山口やまぐち流りゅう

山口やまぐち流りゅう（やまぐちりゅう）とは、山口やまぐち卜ぼく真ま斎とき（右みぎ馬ば之の助すけともいう）が開ひらいた武術ぶじゅつの流派りゅうは。剣術けんじゅつ、居合いあいを伝つたえ、兵法ひょうほうと称しょうした。山口やまぐち一刀いっとう流りゅうともいわれるが、俗称ぞくしょうと考かんがえられる。

概要がいよう

山口やまぐち卜ぼく真ま斎とき（諱いみなは家いえ利り）は常陸ひたち国こく鹿島かしまに生うまれ、13歳さいの時ときに天てん流りゅうを学まなんだ。その後ご、鞍馬あんば流りゅう、天然てんねん流りゅう、丸まる目め流りゅう（タイ捨流）、神かみ当流とうりゅう、當田とうで流りゅう、伊井いい流りゅう（神道しんとう流りゅう）等とうの諸しょ流りゅうを学まなんだ。

卜ぼく真ま斎ときは各地かくちで兵法ひょうほう勝負しょうぶを繰くり返かえしていたが、ある時とき、京都きょうとで新しん富田とみたと勝負しょうぶして勝かち、新しん富田とみたは入門にゅうもんした。以後いごは京都きょうとに留とまる事ことになる。元和がんわ6年ねん（1620年ねん）4月がつ28日にちの朝あさ、卜ぼく真ま斎ときの自宅じたくの庭にわで声こえがするので出でてみると、異人いじんの童子どうじが長短ちょうたんの二に刀かたなを持もって呪文じゅもんを唱となえながら「車くるま勝しょう剣けん」「破やぶ勝かち剣けん」「砕勝剣けん」の3つの術じゅつを遣やっていた。これを見みて奥義おうぎを得えて、山口やまぐち流りゅうを興おこした。

富山とやま藩はん、会津あいづ藩はん（山口やまぐち流りゅう新しん小太刀こだち兵へい術じゅつといった）、南部なんぶ藩はんに伝つたわった他ほかには土佐とさ藩はん伝つての無む外そと流りゅうに一部いちぶが併伝されていたという。

技術ぎじゅつ

元々もともと、二刀流にとうりゅうから始はじまった流儀りゅうぎであったが、その後ご、一刀いっとうの剣術けんじゅつ（中ちゅう太刀たち術じゅつ）と小太刀こだち術じゅつが作つくられた。中ちゅう太刀たちを「表ひょう」、小太刀こだちを「裏うら」、始はじめの三さん本ほんと「秘ひ剣けん之の大事だいじ」（小太刀こだちを手裏剣しゅりけんのように投なげる技わざ）、「口くち呪のろい之の大事だいじ」（九字くじ護身ごしん法ほう）を「根元ねもとの技わざ」としている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『無む外そと流りゅう兵法ひょうほう譚たん』
• 『撃剣げっけん叢書そうしょ』（名著めいちょ刊行かんこう会かい）
• 『武芸ぶげい流派りゅうは大だい事典じてん』（綿谷わたや雪ゆき）

関連かんれん項目こうもく

• 無む外そと流りゅう（流ながれ祖その辻つじ月がつ丹にが学まなんだ）
• 無む眼め流りゅう（流ながれ祖その三浦みうら源右衛門げんえもんが学まなんだ）
• 斎藤さいとう一はじめ（学まなんだという説せつがある）
• 中山なかやま博道ひろみち（明治めいじ時代じだいに富山とやまで斎藤さいとう理り則そくから学まなび目録もくろくを得えた）

外部がいぶリンク

• 無む外そと流りゅう兵法ひょうほう譚たん　山口やまぐち流りゅう剣術けんじゅつとその時代じだい