巨大きょだい核質かくしつDNAウイルス

巨大きょだい核質かくしつDNAウイルス
	メガウイルス・キレンシス天然痘てんねんとうウイルス
分類ぶんるい
学名がくめい
	Nucleocytoplasmic large DNA viruses
綱つな
	メガウイルス綱つな Megaviricetes; ポッケスウイルス綱つな Pokkesviricetes;

巨大きょだい核質かくしつDNAウイルス (Nucleocytoplasmic large DNA viruses) は、ウイルスにおける分類ぶんるい群ぐんの1つ。ヌクレオサイトウイルス門もん（Nucleocytoviricota）に分類ぶんるいされる^[1]。

2006年ねんにアメリカ国立こくりつ衛生えいせい研究所けんきゅうじょのエル・アラヴィントの研究けんきゅうグループが提唱ていしょうした。当初とうしょはこのウイルスの起源きげんについて様々さまざまな説せつが提唱ていしょうされたが。2019年ねん段階だんかいでは、風邪かぜのウイルスであるアデノウイルスなどと共ともに、ポリントンと呼よばれる昆虫こんちゅうや原生げんせい生物せいぶつのゲノム中ちゅうに存在そんざいするトランスポゾンから進化しんかしたと考かんがえられている^[2]^[3]。

概要がいよう

名前なまえの通とおり、ゲノムサイズやカプシドの直径ちょっけいが大おおきい。中なかにはミミウイルスのように発見はっけんから9年ねん近ちかく真正しんしょう細菌さいきんに分類ぶんるいされていたものや、ママウイルスのようにウイルスに寄生きせいするウイルスであるスプートニクヴィロファージが付つくなど、ウイルスよりも生物せいぶつに近ちかい性質せいしつを持もつものもある。

巨大きょだい核質かくしつDNAウイルスは、ウイルスの分類ぶんるいにおける階層かいそうは不明ふめいである。また、ウイルスの遺伝子いでんしが巨大きょだいで複雑ふくざつなことから、太古たいこの昔むかしに共通きょうつう祖先そせんから真ま核かく生物せいぶつと分化ぶんかしたという説せつがある。仮かりにそうだとすれば、現在げんざいでは生物せいぶつと見みなされていないウイルスと生物せいぶつの境目さかいめが曖昧あいまいになる。そのため、巨大きょだい核質かくしつDNAウイルスはウイルスではなく、真ま核かく生物せいぶつ、真正しんしょう細菌さいきん、古こ細菌さいきんに次ついで、新あらたな生物せいぶつのドメインである可能かのう性せいがある^[4]^[5]。

一方いっぽうで、2017年ねんに発見はっけんされた157万まん塩基えんき対たいのゲノムを持もつKlosneuvirusの詳細しょうさいな検討けんとうを通つうじ、巨大きょだい核質かくしつDNAウイルスは比較的ひかくてき最近さいきんに細胞さいぼう様さまの要素ようそを獲得かくとくしたとし、遥はるかに小ちいさなウイルスから進化しんかしたとする説せつも出でている。このウイルスは多おおくのアミノアシルtRNA合成ごうせい酵素こうそを持もつが、単一たんいつの祖先そせんからこれを受うけ継ついだのではなく、それぞれのアミノアシルtRNA合成ごうせい酵素こうそが別々べつべつの生物せいぶつに由来ゆらいし、様々さまざまな生物せいぶつからこれらを取得しゅとくした可能かのう性せいがある^[6]^[7]。

分類ぶんるい

以下いかの科かが属ぞくする。このうちDinodnavirusは属ぞくするか未み確定かくていである。

アスファウイルス科か (Asfarviridae)
アスコウイルス科か (Ascoviridae)
Dinodnavirus?
イリドウイルス科か (Iridoviridae)
マルセイユウイルス科か (Marseilleviridae)
ミミウイルス科か (Mimiviridae) = メガウイルス科か (Megaviridae)
パンドラウイルス科か (Pandoraviridae)
フィコドナウイルス科か (Phycodnaviridae)
ポックスウイルス科か (Poxviridae)

出典しゅってん

^ 「国際こくさいウイルス分類ぶんるい委員いいん会かいの新あたらしい分類ぶんるい体系たいけい（「ICTV New Taxonomy Release（2019）」）で提唱ていしょうされた目めより上位じょういの分類ぶんるい（2020年ねん3月がつ承認しょうにん）」神谷かみや茂しげる監修かんしゅう、錫すず谷たに達夫たつお・松本まつもと哲哉てつや編へん『標準ひょうじゅん微生物びせいぶつ学がく第だい14版はん』付録ふろく、医学書院いがくしょいん、2021年ねん、表ひょう27-4、2022年ねん6月がつ12日にち閲覧えつらん。
^ Koonin EV "et al." (2019). “Create a megataxonomic framework, filling all principal taxonomic ranks, for DNA viruses encoding vertical jelly roll-type major capsid proteins”. ICTV. doi:10.13140/RG.2.2.14886.47684.
^ “Multiple origins of viral capsid proteins from cellular ancestors”. Proc Natl Acad Sci U S A 114 (12): E2401-E2410. (21 March 2017). doi:10.1073/pnas.1621061114. PMC 5373398. PMID 28265094 10 June 2020閲覧えつらん。.
^ Common Origin of Four Diverse Families of Large Eukaryotic DNA Viruses National Center for Biotechnology Information
^ Glimpses of the Fourth Domain? Discover
^ Giant viruses found in Austrian sewage fuel debate over potential fourth domain of life | Science | AAAS
^ Giant virus discovery sparks debate over tree of life : Nature News & Comment

[1] 「国際こくさいウイルス分類ぶんるい委員いいん会かいの新あたらしい分類ぶんるい体系たいけい（「ICTV New Taxonomy Release（2019）」）で提唱ていしょうされた目めより上位じょういの分類ぶんるい（2020年ねん3月がつ承認しょうにん）」神谷かみや茂しげる監修かんしゅう、錫すず谷たに達夫たつお・松本まつもと哲哉てつや編へん『標準ひょうじゅん微生物びせいぶつ学がく第だい14版はん』付録ふろく、医学書院いがくしょいん、2021年ねん、表ひょう27-4、2022年ねん6月がつ12日にち閲覧えつらん。

[ICTV2019-2] Koonin EV "et al." (2019). “Create a megataxonomic framework, filling all principal taxonomic ranks, for DNA viruses encoding vertical jelly roll-type major capsid proteins”. ICTV. doi:10.13140/RG.2.2.14886.47684.

[origin-3] “Multiple origins of viral capsid proteins from cellular ancestors”. Proc Natl Acad Sci U S A 114 (12): E2401-E2410. (21 March 2017). doi:10.1073/pnas.1621061114. PMC 5373398. PMID 28265094 10 June 2020閲覧えつらん。.

[4] Common Origin of Four Diverse Families of Large Eukaryotic DNA Viruses National Center for Biotechnology Information

[5] Glimpses of the Fourth Domain? Discover

[6] Giant viruses found in Austrian sewage fuel debate over potential fourth domain of life | Science | AAAS

[7] Giant virus discovery sparks debate over tree of life : Nature News & Comment

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