彭誼

彭 誼よしみ（ほう ぎ、1410年ねん - 1497年ねん）は、明代あきよの官僚かんりょう・軍人ぐんじん。字じは景けい宜よろし、号ごうは正せい庵あん。本ほん貫ぬきは広州こうしゅう府ふ東ひがし莞ふとい県けん。

生涯しょうがい

1435年ねん（宣せん徳とく10年ねん）、郷さと挙きょにより工こう部ぶ司つかさ務つとむに任にんじられた。1449年ねん（正統せいとう14年ねん）、景けい泰たい帝みかどが即位そくいすると、推薦すいせんにより湖みずうみ広道ひろみち監かん察御史しに転てんじた。1451年ねん（景けい泰やすし2年ねん）、工こう部ぶ尚書しょうしょの石いし璞に従したがって沙すな湾わんの黄河こうが決壊けっかい箇所かしょを塞ふさぎ、秩二に等とうを進すすめられた。1452年ねん（景けい泰たい3年ねん）、沙すな湾わんで再ふたたび黄河こうがが決壊けっかいすると、彭誼はまた赴おもむいて石堤いしづつみで決壊けっかい箇所かしょを塞せいだ。

1454年ねん（景けい泰たい5年ねん）、彭誼は大だい学士がくしの王おう文あやに従したがって長江ながえ・淮河流域りゅういきを巡視じゅんしし、蘇州そしゅう府ふの賊ぞくを捕とらえ、大だい理り寺てら丞すすむに抜擢ばってきされた。1455年ねん（景けい泰たい6年ねん）2月がつ、右みぎ僉都御ご史しに抜擢ばってきされ、紫むらさき荊関・倒たおせ馬ば関せきなどを提督ていとくした。都と指揮しきの胡えびす璽を収賄しゅうわいと軍ぐんでの専横せんおうの罪つみで弾劾だんがいした。1457年ねん（天てん順じゅん元年がんねん）、巡じゅん撫なでの官かんを罷免ひめんされた。内うち朝あさに彭誼を嫌きらっている者ものがおり、彭誼は紹興しょうこう府ふ知ち府ふとして出だされた。飢饉ききんが起おこると、朝命ちょうめいを待またずに穀物こくもつ倉くらを開ひらいて振ふ恤貸与たいよにあたった。白馬はくばに水門すいもんを築きずいて海うみ潮しおを防ふせいだ。9年ねんの任期にんきで、善政ぜんせいが多おおかった。1466年ねん（成なり化か2年ねん）、山東さんとう左ひだり布ぬの政せい使しに抜擢ばってきされた。1467年ねん（成なり化か3年ねん）、入朝にゅうちょうして工こう部ぶ左ひだり侍さむらい郎ろうとなった。

1468年ねん（成なり化か4年ねん）、彭誼は右みぎ副ふく都と御ご史しとなり、遼東りゃおとん巡めぐ撫なでをつとめた。1470年ねん（成なり化か6年ねん）冬ふゆ、建けん州しゅう女おんな直じきを討うち、これを破やぶった。1473年ねん（成なり化か9年ねん）、軍ぐんを率ひきいて小黒山おぐろやまを討うち、連れん州しゅう・麦むぎ州しゅうの反乱はんらん軍ぐん根拠地こんきょちを焼やき討うちした。1474年ねん（成なり化か10年ねん）冬ふゆ、戸部とべが黒山くろやまの金鉱きんこうを開ひらこうとした。彭誼は永楽えいらく年間ねんかんに太ふとし監かんの王おう彦らがこの山やまを開ひらいたが、6000人にんの鉱夫こうふを動員どういんして3カ月かげつで金かね8両りょうを得えるにとどまったことを上奏じょうそうし、中止ちゅうしを請願せいがんした。このため開ひらけ鉱こうは取とりやめられた。

彭誼は古こ籍せきを好このんで博学はくがくであり、律りつ暦れき・占うらない象ぞう・水利すいり・兵法ひょうほうの分野ぶんやに通つうじた。平素へいそはつつしみ深ふかく温厚おんこうで落おち着つきがあり寡黙かもくであったが、有事ゆうじにあっては毅然きぜんとして決断けつだん力りょくがあった。遼東りゃおとんに駐屯ちゅうとんすること8年ねん、軍令ぐんれいは振ふるい引ひき締しまった。のちに致仕ちしして帰郷ききょうした。1497年ねん（弘治こうじ11年ねん）9月がつ丁未ていみ、死去しきょした。享年きょうねんは88。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『明あかり史し』巻まき159 列伝れつでん第だい47
• 郝玉麟『広東かんとん通どおり志こころざし』巻まき45