降伏ごうぶく

太平洋戦争たいへいようせんそう（大だい東亜とうあ戦争せんそう）に於おける日本にっぽんの降伏ごうぶく文書ぶんしょ調印ちょういん

降伏ごうぶく（こうふく、降服こうふくとも）とは、戦争せんそうにおいて軍隊ぐんたい、あるいは個々ここの戦闘せんとう員いんが敵てきに対たいする戦闘せんとう行為こういをやめて、その支配しはい下かにある地点ちてん・兵員へいいん・戦闘せんとう手段しゅだんを敵てきの権力けんりょく内ないに置おく事こと。投降とうこうとも。広義こうぎには抵抗ていこうを止とめて相手あいてに服従ふくじゅうする事こと。

概要がいよう

軍人ぐんじん、その他たの戦闘せんとう員いんが指揮しき官かんの命令めいれい、或あるいは個々ここの判断はんだんによって戦闘せんとうを中止ちゅうしし、捕虜ほりょとなることである。白旗しらはたを掲かかげたり（白旗はっきの掲示けいじそのものは降伏ごうぶくを表あらわすのではなく、軍使ぐんしの派遣はけんを要請ようせいしている意思いし表示ひょうじである）、何なにも持もたずに両手りょうてを開ひらいて挙あげたりすることで投降とうこうの意思いしを示しめす。海上かいじょうでは白旗はっきに加くわえ、投降とうこう側がわの艦船かんせんは自みずからが降参こうさんする意思いしを持もつことを具体ぐたい的てきに示しめさねばならず例たとえば砲撃ほうげき・雷撃らいげきの停止ていしや機関きかん停止ていし、砲ほう口こうの向むきを外はずす、戦闘せんとう旗きを降おろすなど抗戦こうせんの意思いしを持もたず武装ぶそう解除かいじょを受うける用意よういがあることを示しめすことが必要ひつようである。投降とうこう者しゃは意志いしに反はんして傷きずつくのを避さける事ことができ、相手あいては戦闘せんとうを回避かいひできる。当事とうじ者しゃ双方そうほうにとって意味いみがある事ことであるので軍使ぐんしによる降伏ごうぶく交渉こうしょうや降伏ごうぶく勧告かんこくが良よく行おこなわれる。

兵士へいしが個人こじんで降伏ごうぶくする場合ばあい、戦場せんじょうの混乱こんらんと戦闘せんとう中ちゅうの激情げきじょうのもとでその場ばで殺害さつがいされてしまう事例じれいがしばしばあるが、これは戦時せんじ国際こくさい法ほう（ハーグ陸戦りくせん条約じょうやく23条じょうハ号ごう）で禁止きんしされており、違反いはん行為こういは締約ていやく国こくの軍法ぐんぽうあるいは国際こくさい戦犯せんぱん法廷ほうていで裁さばかれる。組織そしき的てき降伏ごうぶくにおいても、助命じょめい・安全あんぜんその他た一定いっていの条件じょうけん等とうを約やくして降伏ごうぶくさせた者ものをそれに反はんし殺傷さっしょうすることは、背信はいしん行為こういとして禁止きんし事項じこうに該当がいとう（ハーグ陸戦りくせん条約じょうやく23条じょうロ号ごう）し、また、助命じょめいしないことを宣せんすることも禁止きんし事項じこうとなる（ハーグ陸戦りくせん条約じょうやく23条じょうニ号ごう）ので、実質じっしつ、助命じょめいを条件じょうけんに降伏ごうぶくしてきた兵士へいし・部隊ぶたいは殺害さつがいされることがないよう定さだめられている。降伏ごうぶくの申さる出では一般いっぱんに白旗はっきを掲示けいじした軍使ぐんしによるが（ハーグ陸戦りくせん条約じょうやく32条じょう）、軍使ぐんしを計略けいりゃくの手段しゅだんとして利用りようしている場合ばあいは軍使ぐんしの不可侵ふかしん権けんは失うしなわれる（34条じょう）。

降伏ごうぶくの条件じょうけんや捕虜ほりょの権利けんりはジュネーヴ条約じょうやくやハーグ陸戦りくせん条約じょうやくによって規定きていされている。

降伏ごうぶくする側がわが勝利しょうり者しゃに対たいして、約束やくそくが確実かくじつに果はたされるときのみに降伏ごうぶくを受うけ入いれる場合ばあい、条件じょうけん付づけ降伏ごうぶくと呼よばれる。しかし、勝利しょうり者しゃが国際こくさい法ほうに定さだめられたこと以外いがいに何なんの約束やくそくもしないときや、通告つうこくした条件じょうけん以外いがいでの降伏ごうぶくを認みとめず交渉こうしょう拒否きょひを宣言せんげんする場合ばあい、これを受入うけいれることも一般いっぱん的てきに無条件むじょうけん降伏ごうぶくと呼よばれる。

国家こっかが戦争せんそうおよび軍事ぐんじ衝突しょうとつを終結しゅうけつさせるために自国じこくの軍ぐんを降伏ごうぶくさせることがある。この場合ばあい、紛争ふんそう国こく間あいだの合意ごういや片方かたがたの一方いっぽう的てきな宣言せんげんによりなされるものであり、締約ていやくにより条約じょうやく的てき性格せいかくを持もつ（降伏ごうぶく条約じょうやく）。戦時せんじ国際こくさい法ほうの状況じょうきょう下かにおいては、国際こくさい法ほうに合意ごういされた諸しょ条約じょうやくにおいて国家こっかによる降伏ごうぶく行為こういの当事とうじ適格てきかく性せいについては不ふ分明ぶんめいであるが、慣例かんれい的てきにハーグ陸戦りくせん条約じょうやく付属ふぞく書しょ36条じょう以降いこうにもとづき休戦きゅうせん協定きょうていを結むすび、のち平和へいわ条約じょうやくの締結ていけつをすることになるか、第だい三さん款「占領せんりょう」による戦闘せんとう終結しゅうけつのいずれかとなる。この場合ばあい、被ひ占領せんりょうや降伏ごうぶくの帰結きけつとして軍ぐんを保有ほゆうする政体せいたいが消滅しょうめつしたり（デベラチオ（戦せん亡ほろび）ナチスドイツの後継こうけいフレンスブルク政府せいふやイラク共和きょうわ国こくフセイン政権せいけんなど）、亡命ぼうめい政権せいけん・抵抗ていこう政権せいけんにとって替かわられたり（南みなみベトナム共和きょうわ国こくなど）、干渉かんしょう戦争せんそう（アフガニスタン紛争ふんそうなど）や内戦ないせん終結しゅうけつ時じの終結しゅうけつ宣言せんげんなど、例外れいがいも多おおく一般いっぱん的てきなプロトコルがあるわけではない。休戦きゅうせん協定きょうていから平和へいわ条約じょうやくに至いたるまでの複数ふくすうの条約じょうやくを降伏ごうぶく条約じょうやく群ぐんと呼よぶことがある。

占領せんりょう時じの戦闘せんとうを避さけるために国家こっかや軍ぐんが都市としに無む防備ぼうび都市とし宣言せんげんを出だすことがある。これは組織そしき的てき降伏ごうぶくの一種いっしゅでありハーグ陸戦りくせん条約じょうやく付属ふぞく書しょ25条じょうにおける無防備むぼうび都市としを具体ぐたい化かしたジュネーヴ条約じょうやく追加ついか第だい1議定ぎてい書しょによるもので、戦争せんそう中ちゅうに相手あいて国こくに対たいして宣言せんげんするものである。平和へいわ時じに地方自治体ちほうじちたいが戦争せんそうに巻まき込こまれない事ことを条例じょうれいで謳うたおうとする市民しみん運動うんどうについては無む防備ぼうび都市とし宣言せんげん#無む防備ぼうび地域ちいき宣言せんげん運動うんどうを参照さんしょう。

関連かんれん項目こうもく

• 白旗しらはた
• 無条件むじょうけん降伏ごうぶく