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抗告こうこく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

抗告こうこく(こうこく)とは、日本にっぽん司法しほう制度せいどにおける不服ふふく申立もうしたての一種いっしゅであり、決定けっていまた命令めいれいたいして、その決定けっていまた命令めいれいをした裁判所さいばんしょはら裁判所さいばんしょ)の上級じょうきゅう裁判所さいばんしょ裁判所さいばんしょほう16じょう2ごう地方裁判所ちほうさいばんしょ家庭かてい裁判所さいばんしょでいえば原則げんそく高等こうとう裁判所さいばんしょ上級じょうきゅう裁判所さいばんしょ高等こうとう裁判所さいばんしょ決定けっていなら最高裁判所さいこうさいばんしょ)になされる不服ふふく申立もうしたて、あるいは、この申立もうしたてにより開始かいしされる上級じょうきゅう裁判所さいばんしょにおける審理しんり判断はんだん手続てつづきをいう。同一どういつしんきゅうたいする不服ふふく申立もうしたては、異議いぎという。また、行政ぎょうせい事件じけん訴訟そしょうほうだい3じょう抗告こうこく訴訟そしょう(こうこくそしょう)は、行政ぎょうせい訴訟そしょういち典型てんけい類型るいけいであり、ここでの「抗告こうこく」にはふくまれない。

種類しゅるい

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抗告こうこくには通常つうじょう抗告こうこく即時そくじ抗告こうこくさい抗告こうこく許可きょか抗告こうこく特別とくべつ抗告こうこくなどといった種別しゅべつがある。

通常つうじょう抗告こうこく

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通常つうじょう抗告こうこく(つうじょうこうこく)とは、即時そくじ抗告こうこくことなり不服ふふく申立もうしたて期間きかんさだめがなく、執行しっこう停止ていし効力こうりょくもない抗告こうこくである(民事みんじ訴訟そしょうほう328じょう刑事けいじ訴訟そしょうほう419じょう)。抗告こうこく裁判所さいばんしょとうは、裁量さいりょう執行しっこう停止ていしをすることができる(民事みんじ訴訟そしょうほう334じょう2こう刑事けいじ訴訟そしょうほう424じょう2こう)。通常つうじょう抗告こうこく対象たいしょうは、民事みんじ訴訟そしょうでは、口頭こうとう弁論べんろんないで訴訟そしょう手続てつづきかんする申立もうしたてを却下きゃっかした決定けっていまた命令めいれい民事みんじ訴訟そしょうほう328じょう1こう)、または、たがえしき決定けってい命令めいれい民事みんじ訴訟そしょうほう328じょう2こう)である。刑事けいじ訴訟そしょうでは、原則げんそくとして裁判所さいばんしょのした決定けってい通常つうじょう抗告こうこく対象たいしょうになる(刑事けいじ訴訟そしょうほう419じょう)。

即時そくじ抗告こうこく

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即時そくじ抗告こうこく(そくじこうこく)とは、裁判さいばん告知こくちけたから民事みんじ訴訟そしょうにおいては1週間しゅうかん家事かじ審判しんぱんほう民事みんじ保全ほぜんほう破産はさんほうとうにおいては2週間しゅうかん)、刑事けいじ訴訟そしょうにおいては3にち不変ふへん期間きかんない(いかなる理由りゆうがあろうとも、3日間にちかん以内いないに。延長えんちょうゆるされない)にしなければならないとされる抗告こうこくである(民事みんじ訴訟そしょうほう332じょう刑事けいじ訴訟そしょうほう422じょう)。一般いっぱんに、即時そくじ抗告こうこくは、はら決定けってい命令めいれい迅速じんそく確定かくていさせる必要ひつようがある場合ばあいさだめられ、執行しっこう停止ていし効力こうりょく(334じょう1こう)がある。

ただし、文書ぶんしょ提出ていしゅつ命令めいれい申立もうした却下きゃっか決定けっていかんしては例外れいがいがあり、証拠しょうこ調しら必要ひつようせいいと判断はんだんされた文書ぶんしょを、その必要ひつようせいをもとに抗告こうこくすることはできない。2000ねん3がつ10日とおか最高裁判所さいこうさいばんしょ証拠しょうこ調しら必要ひつようせいがないことを理由りゆうとした文書ぶんしょ提出ていしゅつ命令めいれい申立もうした却下きゃっか決定けっていたいし、証拠しょうこ調しらべの必要ひつようせいのみを理由りゆうとする抗告こうこくみとめないことを、判例はんれいはたろんとしてしめした[1]どう決定けっていにて最高裁さいこうさいは、『証拠しょうこ調しらべの必要ひつようせいくことを理由りゆうとして文書ぶんしょ提出ていしゅつ命令めいれい申立もうしたてを却下きゃっかする決定けっていたいしては、みぎ必要ひつようせいがあることを理由りゆうとして独立どくりつ不服ふふく申立もうしたてをすることはできないとするのが相当そうとうである。』[1]べ、証拠しょうこ調しらべの必要ひつようせいもとめた抗告こうこく論旨ろんし採用さいようしなかった[3]。ただ文書ぶんしょ提出ていしゅつ命令めいれい対象たいしょう文書ぶんしょ内容ないよう文書ぶんしょ意味いみけが十分じゅうぶん吟味ぎんみされぬまま必要ひつようせいなしと判断はんだんされることが、裁判さいばんける権利けんりがい違憲いけんであるとして特別とくべつ抗告こうこくされるれい存在そんざいする。

さい抗告こうこく

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さい抗告こうこく(さいこうこく)とは、抗告こうこく裁判所さいばんしょ決定けっていたいする再度さいど抗告こうこくである。刑事けいじ訴訟そしょうではさい抗告こうこくみとめられていない(刑事けいじ訴訟そしょうほう427じょう)。民事みんじ訴訟そしょうでは、抗告こうこく裁判所さいばんしょ決定けっていたいして、その決定けってい憲法けんぽう解釈かいしゃくあやまりその憲法けんぽう違反いはんがあることまた決定けってい影響えいきょうおよぼすことがあきらかな法令ほうれい違反いはんがある場合ばあいかぎさい抗告こうこくができるむねさだめられている(憲法けんぽう81じょう民事みんじ訴訟そしょうほう330じょう、331じょう。)が、337じょう1こう括弧かっこおよ裁判所さいばんしょほう7じょう2ごう根拠こんきょとして、最高さいこう裁判所さいばんしょへの抗告こうこく特別とくべつ抗告こうこくあるいは許可きょか抗告こうこくかぎられるとほぐされている。少年しょうねん事件じけんでは高等こうとう裁判所さいばんしょ決定けっていたいしてさい抗告こうこく可能かのうであるが、憲法けんぽう違反いはん判例はんれい違反いはんかぎられており、最高さいこう裁判所さいばんしょはんはせずにもどす(少年しょうねんほう35じょう1こう、2こう)。検察官けんさつかんさい抗告こうこくできない。

許可きょか抗告こうこく

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許可きょか抗告こうこく(きょかこうこく)とは、民事みんじ訴訟そしょうにおける高等こうとう裁判所さいばんしょ決定けっていおよ命令めいれいたいする抗告こうこくのうち、法令ほうれい解釈かいしゃくかんする重要じゅうよう事項じこうふくむとして高等こうとう裁判所さいばんしょたいして抗告こうこく許可きょかもとめておこなうものをいう(民事みんじ訴訟そしょうほう337じょう)。許可きょか基準きじゅん上告じょうこく受理じゅり申立もうしたてと同一どういつであるが、受理じゅり相当そうとうする判断はんだん最高さいこう裁判所さいばんしょではなく、原審げんしんである高等こうとう裁判所さいばんしょおこない、高等こうとう裁判所さいばんしょ抗告こうこく許可きょかした事件じけんたいしては最高さいこう裁判所さいばんしょ判断はんだんしめさなければならない。

民事みんじ手続てつづきほう分野ぶんやでは決定けってい命令めいれい手続てつづきおこなわれるものでも重要じゅうようなものが数多かずおお存在そんざいする。民事みんじ訴訟そしょう決定けってい命令めいれい手続てつづきおこなわれるものとしては訴状そじょう却下きゃっか移送いそう文書ぶんしょ提出ていしゅつ命令めいれいげられる。民事みんじ執行しっこう民事みんじ保全ほぜん破産はさん民事みんじ再生さいせいなどでは判決はんけつ手続てつづきによるものはまれでほとんどが決定けっていにより裁判所さいばんしょ判断はんだんしめされる。それにもかかわらずきゅう民事みんじ訴訟そしょうほうでは許可きょか抗告こうこく相当そうとうする制度せいどがなかったため、裁判所さいばんしょによって法令ほうれい解釈かいしゃくかれたままになってしまうことがあった。現行げんこう民事みんじ訴訟そしょうほうはこのような弊害へいがい解消かいしょうし、最高裁判所さいこうさいばんしょによる法令ほうれい解釈かいしゃく統一とういつはかることを可能かのうとするため、許可きょか抗告こうこく制度せいど創設そうせつした。

なお、少年しょうねんほうにおいては、抗告こうこく受理じゅり申立もうしたて制度せいどがあり、検察官けんさつかん関与かんよする少年しょうねん審判しんぱんにおいて、事件じけん非行ひこう事実じじつ認定にんていさいし、決定けってい影響えいきょうおよぼす法令ほうれい違反いはんまたは重大じゅうだい事実じじつ誤認ごにんがあることを理由りゆうとして検察官けんさつかん高等こうとう裁判所さいばんしょ抗告こうこく受理じゅり申立もうしたてをすることができ、この場合ばあい高等こうとう裁判所さいばんしょ受理じゅりするかどうかを決定けっていする。現在げんざいまでのところ、検察官けんさつかんより抗告こうこく受理じゅり申立もうしたてがされた事件じけんについてはすべ高等こうとう裁判所さいばんしょにおいて受理じゅり決定けっていがなされている。

特別とくべつ抗告こうこく

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特別とくべつ抗告こうこく(とくべつこうこく)とは、かく訴訟そしょうほう不服ふふくもうてることができない決定けってい命令めいれいたいして、その裁判さいばん憲法けんぽう解釈かいしゃくあやまりその憲法けんぽう違反いはん理由りゆうとするときに、とくに、最高さいこう裁判所さいばんしょ判断はんだんもとめる抗告こうこくをいう(民事みんじ訴訟そしょうほう336じょう刑事けいじ訴訟そしょうほう433じょう)。最高さいこう裁判所さいばんしょ憲法けんぽう適合てきごうせい決定けっていする権限けんげんゆうする終審しゅうしん裁判所さいばんしょ憲法けんぽうだい81じょう)であることからさだめられている。なお、刑事けいじにおいては判例はんれい違反いはん特別とくべつ抗告こうこく理由りゆうとなりうる。また、刑事けいじ訴訟そしょうほうじょう特別とくべつ抗告こうこくについては、適法てきほう抗告こうこく理由りゆうみとめられない場合ばあいであっても、法令ほうれい違反いはん重大じゅうだい事実じじつ誤認ごにんなど刑事けいじ訴訟そしょうほう411じょう所定しょてい事由じゆうみとめられる場合ばあいには最高さいこう裁判所さいばんしょ職権しょっけんはら決定けっていすことが判例はんれいじょうみとめられている。

上記じょうき以外いがい抗告こうこく

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このほか、民事みんじ執行しっこうほううえ執行しっこう抗告こうこく(しっこうこうこく)、民事みんじ保全ほぜんほううえ保全ほぜん抗告こうこく(ほぜんこうこく)、破産はさんほう事件じけん手続てつづきほうなどによる抗告こうこくもある。

じゅん抗告こうこく

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じゅん抗告こうこく(じゅんこうこく)とは、勾留こうりゅう保釈ほしゃく押収おうしゅうなど、裁判官さいばんかん裁判さいばん不服ふふくがあるものは、簡易かんい裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかんがした裁判さいばんたいしては管轄かんかつ地方裁判所ちほうさいばんしょに、その裁判官さいばんかんがした裁判さいばんたいしてはその裁判官さいばんかん所属しょぞく裁判所さいばんしょに、その裁判さいばん取消とりけしまた変更へんこう請求せいきゅう刑事けいじ訴訟そしょうほう429じょう1こう)する不服ふふく申立もうしたてや検察官けんさつかん司法しほう警察けいさつ職員しょくいん接見せっけん指定していかんする処分しょぶん押収おうしゅうたいする処分しょぶんたいする不服ふふく申立もうしたてて(刑事けいじ訴訟そしょうほう430じょう)(刑事けいじ確定かくてい記録きろく閲覧えつらんかんする保管ほかん検察官けんさつかん処分しょぶんたいしても準用じゅんようされている)をいう。

過料かりょうまた費用ひよう賠償ばいしょうめいずる裁判さいばんたいするじゅん抗告こうこく申立もうしたては、はら裁判さいばんじゅん抗告こうこくによりその当否とうひあらそわれている裁判さいばん)のあったから3にち以内いないに(どうじょう4こう)、申立もうしたてしょ管轄かんかつ裁判所さいばんしょして(どうほう431じょう)しなければならない。

抗告こうこくおこなかた

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刑事けいじ訴訟そしょうほうにおいてはほう423じょうにあるように書面しょめん抗告こうこく申立もうしたてしょ)によりおこなわなければならないこととなっている。

他方たほう民事みんじ訴訟そしょうほうにおいては、たとえばさい抗告こうこく特別とくべつ抗告こうこく許可きょか抗告こうこくのぞ抗告こうこくについては、抗告こうこくじょうによりおこなう(331じょう、286じょう1こう[5][6]し、特別とくべつ抗告こうこくについては、特別とくべつ抗告こうこくじょうによりおこなわなければならない(327じょう、314じょう1こう[7]

抗告こうこくとその理由りゆう説明せつめい

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民事みんじ訴訟そしょうほうにおいては、抗告こうこくおこなさいにその事由じゆう具体ぐたいてき説明せつめい後続こうぞく書面しょめん抗告こうこく理由りゆうしょ)でおこなこと出来できる。この場合ばあい抗告こうこくじんは、抗告こうこく提起ていき14にち以内いないに、事由じゆう説明せつめい記載きさいした書面しょめんはら裁判所さいばんしょ提出ていしゅつしなければならない(民事みんじ訴訟そしょう規則きそく207じょう)。

抗告こうこく手続てつづき異議いぎ

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刑事けいじ訴訟そしょう

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異議いぎ申立もうしたて(いぎもうしたて)とは、刑事けいじ事件じけんにおいて高等こうとう裁判所さいばんしょがした決定けっていたいして、抗告こうこくみとめると最高さいこう裁判所さいばんしょにおいて事件じけん集中しゅうちゅうすることから、特別とくべつ抗告こうこくかぎられているが、不服ふふく申立もうしたての機会きかいあたえるため、抗告こうこくわる異議いぎ申立もうしたてが高等こうとう裁判所さいばんしょにおいてはみとめられている。この場合ばあいはら決定けっていくだした合議ごうぎたいべつ合議ごうぎたい審理しんりおこなわれる。なお、この異議いぎ申立もうしたてたのちに最高さいこう裁判所さいばんしょ特別とくべつ抗告こうこくができる。

また最高さいこう裁判所さいばんしょが、刑事けいじ訴訟そしょうほうだい414じょうおよだい386じょうだい1こうだい3ごうにより上告じょうこく棄却ききゃくした決定けっていたいしては、刑事けいじ訴訟そしょうほうだい414じょうだい386じょうだい2こうだい385じょうだい2こう前段ぜんだんおよだい428じょうだい2こう規定きていにより異議いぎ申立もうしたてをすることができる。この異議いぎ申立もうしたてについては、特別とくべつ抗告こうこくはできない。

民事みんじ訴訟そしょう

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民事みんじ訴訟そしょうほうでは、受命じゅめい裁判官さいばんかんまた受託じゅたく裁判官さいばんかん裁判さいばんたいして不服ふふくがある当事とうじしゃが、受訴裁判所さいばんしょたいして異議いぎ申立もうしたてをすることができる(民訴みんそほう329じょう1こう)。

人事じんじ訴訟そしょう家事かじ事件じけん

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家事かじ事件じけん手続てつづきほう別表べっぴょう2相当そうとう審判しんぱんは、どうほう85じょうおよびどうほう156じょうによって即時そくじ抗告こうこくをすることができる審判しんぱんとされており、どうほう77じょうさだめる誤記ごきとう更正こうせい以外いがいについては、どうほう78じょうの2およびどうほう90じょうにより、(一見いっけんすると)はら裁判所さいばんしょ(であるところの家庭かてい裁判所さいばんしょ)がみずか更正こうせいすることはできず、どうほう91じょうの2にさだめるとおり、「事件じけんだいいちしん裁判所さいばんしょもどすとき」をのぞいては抗告こうこく裁判所さいばんしょが「みずか審判しんぱんわる裁判さいばんをしなければならない」。

しかし、これら原審げんしん審判しんぱん、たとえば離婚りこん離縁りえんおよ民事みんじ訴訟そしょう提起ていきすることができる家庭かていかんする事件じけんや、別表べっぴょうだい2事件じけん家事かじ調停ちょうてい不成立ふせいりつになった場合ばあいには、家事かじ審判しんぱん移行いこうする事件じけん)がどうほう284じょう1こうう「調停ちょうていわる審判しんぱん」としておこなわれた場合ばあい調停ちょうていまえおけ主義しゅぎいては大体だいたい場合ばあいはこれにてはまる)については、その審判しんぱんたいしてどうほう286じょうもとづいて家庭かてい裁判所さいばんしょ異議いぎもうてることができ、しんきゅうげずに利益りえきられる。

ただし、別表べっぴょうだい2事件じけん家事かじ調停ちょうてい不成立ふせいりつになった場合ばあいには、家事かじ審判しんぱん移行いこうする事件じけん)が、どうほう272じょう4こうで(自動的じどうてきに)審判しんぱん移行いこうした場合ばあい、その審判しんぱんどうほう73じょう規定きていする「審判しんぱん」となり、どうほう284じょう規定きていする「調停ちょうていわる審判しんぱん」ではないこととなるので、異議いぎもうてはできない。

また、人事じんじかんするうったえ(=人事じんじ訴訟そしょうほう2じょう)から離婚りこんおよ離縁りえんうったえをのぞいた「合意ごうい相当そうとうする審判しんぱん」(家事かじ事件じけん手続てつづきほう277じょう)についても、家事かじ事件じけん手続てつづきほう279じょう異議いぎ申立もうしたてがみとめられている。 これら家事かじ事件じけん手続てつづきほう異議いぎ申立もうしたて(279じょう、286じょうとう)によって、はら裁判所さいばんしょでも(いわゆる)「再度さいど考案こうあんによる更正こうせい」が一部いちぶ可能かのうとなっている。

手続てつづきのおおまかなながれについては大坪おおつぼ和敏かずとし論文ろんぶん[8]参照さんしょう

抗告こうこくができない手続てつづき

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裁判さいばん手続てつづきは、結論けつろんいたるまでに様々さまざまなかあいだてき判断はんだん必要ひつようとする。このようななかあいだてき判断はんだん当否とうひは、原則げんそくとして独立どくりつ不服ふふく申立もうしたてがゆるされず、結論けつろんそのものにたいする不服ふふく申立もうしたての手続てつづきなかで、その結論けつろん不当ふとうであることの理由りゆうとして主張しゅちょうすべきものとされている。中間ちゅうかんてき判断はんだんれいと、独立どくりつ不服ふふく申立もうしたての可否かひつぎのようになる。がいしてうと、中間ちゅうかんてき判断はんだんであっても当事とうじしゃ裁判さいばんける権利けんり決定的けっていてき左右さゆうるほどに影響えいきょうおおきいものは、抗告こうこくゆるされている。

  • その事件じけんをどの裁判所さいばんしょ担当たんとうするか。移送いそう申立もうしたてにたいする決定けっていたいしては、抗告こうこくをすることができる(民事みんじ訴訟そしょうほう21じょう刑事けいじ訴訟そしょうほう19じょう3こう家事かじ事件じけん手続てつづきほう9じょう3こう)。ただし、簡易かんい裁判所さいばんしょから地方裁判所ちほうさいばんしょへの移送いそうたいしては、不服ふふく申立もうしたてをきんずる明文めいぶんがある。民事みんじ訴訟そしょうほう274じょう2こう
  • その事件じけん担当たんとう裁判官さいばんかん担当たんとうしていか。じょ斥・忌避きひ申立もうしたてを却下きゃっかする決定けっていたいしては、抗告こうこくをすることができる(民事みんじ訴訟そしょうほう25じょう5こう刑事けいじ訴訟そしょうほう25じょう家事かじ事件じけん手続てつづきほう12じょう9こう)。
  • 代替だいたいてき紛争ふんそう解決かいけつ手続てつづき存在そんざいとう理由りゆう裁判さいばん手続てつづき中止ちゅうしまたはその取消とりけしをすべきか。不服ふふく申立もうしたてをきんずる明文めいぶんがある。裁判さいばんがい紛争ふんそう解決かいけつ手続てつづき利用りよう促進そくしんかんする法律ほうりつ26じょう3こう信託しんたく業法ぎょうほう85じょうの15だい3こう特定とくてい非常ひじょう災害さいがい被害ひがいしゃ権利けんり利益りえき保全ほぜんとうはかるための特別とくべつ措置そちかんする法律ほうりつ5じょう4こう独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん国民こくみん生活せいかつセンターほう28じょう3こうなど。
  • 代替だいたいてき紛争ふんそう解決かいけつ手続てつづき民事みんじ訴訟そしょう移行いこうすべきか。犯罪はんざい被害ひがいしゃとう権利けんり利益りえき保護ほごはかるための刑事けいじ手続てつづき付随ふずいする措置そちかんする法律ほうりつ38じょう3こう民事みんじ訴訟そしょうほう373じょう4こうなど。
  • 弁論べんろん分離ぶんり併合へいごうすべきか。不服ふふく申立もうしたてはゆるされない。
  • 証拠しょうこ調しらべの必要ひつようせいがあるか。判例はんれい[9]独立どくりつ不服ふふく申立もうしたてをゆるさないことをあきらかにしている。
  • 証拠しょうこ調しらべの準備じゅんび行為こうい不服ふふく申立もうしたてをきんずる明文めいぶんがある。信託しんたくほう180じょう5こう民事みんじ訴訟そしょうほう132じょうの8、238じょうなど。
  • 団体だんたい統制とうせい裁判所さいばんしょ介入かいにゅうするための準備じゅんび証拠しょうこ収集しゅうしゅう一部いちぶ不服ふふく申立もうしたてをきんずる明文めいぶんがある。一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんおよ一般いっぱん財団ざいだん法人ほうじんかんする法律ほうりつ293じょう会社かいしゃほう874じょう信託しんたくほう46じょう4こう、64じょう2こう、172じょう3こう地方ちほう独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじんほう101じょう特定とくてい営利えいり活動かつどう促進そくしんほう32じょうの5、弁理べんりほう52じょうの5だい2こう、マンションの建替たてかとう円滑えんかつかんする法律ほうりつ42じょうの3、密集みっしゅう市街地しがいちにおける防災ぼうさいがい整備せいび促進そくしんかんする法律ほうりつ103じょうの8など。
  • 上訴じょうそ提起ていきともな執行しっこう停止ていし裁判さいばん不服ふふく申立もうしたてをきんずる明文めいぶんがある。配偶はいぐうしゃからの暴力ぼうりょく防止ぼうしおよ被害ひがいしゃ保護ほごとうかんする法律ほうりつ16じょう5こう民事みんじ訴訟そしょうほう403じょう2こうなど。
  • 仲裁ちゅうさいてき裁判さいばん民事みんじ訴訟そしょうほう375じょう3こうなど。
  • 現状げんじょう維持いじてき裁判さいばんであって、権利けんり関係かんけい確定かくてい効果こうかがないもの。民事みんじ訴訟そしょうほう385じょう4こうなど。
  • 確定かくてい裁判さいばんたいする是正ぜせい申立もうしたてにともな執行しっこう停止ていし裁判さいばん不服ふふく申立もうしたてをきんずる明文めいぶんがある。国際こくさいてき奪取だっしゅ民事みんじじょう側面そくめんかんする条約じょうやく実施じっしかんする法律ほうりつ117じょう2こう、120じょう2こう事件じけん手続てつづきほう84じょう2こう民事みんじ訴訟そしょうほう403じょう2こうなど。
  • 記録きろく閲覧えつらん謄写とうしゃ許可きょかすべきか。明文めいぶん不服ふふく申立もうしたてがきんじられることがある。人事じんじ訴訟そしょうほう35じょう7こう犯罪はんざい被害ひがいしゃ権利けんり利益りえき保護ほごはかるための刑事けいじ手続てつづき付随ふずいする措置そちかんする法律ほうりつ39じょう8こうなど。

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ a b c d 平成へいせい11ねん(もと)だい20ごう 文書ぶんしょ提出ていしゅつ命令めいれい申立もうした却下きゃっか決定けっていたいする許可きょか抗告こうこく事件じけん決定けってい最高さいこう裁判所さいばんしょだいいちしょう法廷ほうてい 平成へいせい12ねん3がつ10日とおか
  2. ^ 平成へいせい11(もと)だい25ごう 不動産ふどうさん引渡命令めいれいたいする執行しっこう抗告こうこく棄却ききゃく決定けっていたいする許可きょか抗告こうこく事件じけん決定けってい最高さいこう裁判所さいばんしょだいさんしょう法廷ほうてい 平成へいせい11ねん10がつ26にち
  3. ^ なおどう決定けっていにおいて同時どうじ最高裁さいこうさいは、民事みんじ訴訟そしょうほうだい197じょうだい1こう3ごうさだめる「技術ぎじゅつまた職業しょくぎょう秘密ひみつかんする事項じこう」について、『その事項じこう公開こうかいされると、当該とうがい技術ぎじゅつゆうする社会しゃかいてき価値かち下落げらくしこれによる活動かつどう困難こんなんになるものまた当該とうがい職業しょくぎょう深刻しんこく影響えいきょうあた以後いごその遂行すいこう困難こんなんになるものをいうとするのが相当そうとう[1]とし、内容ないよう開示かいじ所持しょじしゃがわ看過かんかがた不利益ふりえきしょうじるおそれの有無うむおよび、その文書ぶんしょ特段とくだん事情じじょうについて、それぞれ具体ぐたいてき判断はんだん同時どうじもとめている[1][2]
  4. ^ a b 民事みんじ訴訟そしょうほう講義こうぎ 上訴じょうそ3 関西大学かんさいだいがく法学部ほうがくぶ教授きょうじゅ 栗田くりたたかし 2021ねん10がつ29にち閲覧えつらん
  5. ^ [4] の 「4.5 一般いっぱん抗告こうこく」の「抗告こうこく提起ていき抗告こうこくしん手続てつづき
  6. ^ 渡部わたなべ美由紀みゆき鶴田つるたしげる岡庭おかにわみき民事みんじ訴訟そしょうほう日本にっぽん評論ひょうろんしゃ、2016ねんぺーじ214
  7. ^ [4] の 「4.6 特別とくべつ抗告こうこく」の「手続てつづき
  8. ^ 東京とうきょう弁護士べんごしかい LIBRA「特集とくしゅう 2013ねん1がつ1にち施行しこう 家事かじ審判しんぱんほうから「家事かじ事件じけん手続てつづきほう」へ」 2012ねん12がつごう 大坪おおつぼ和敏かずとし「Ⅰ 家事かじ事件じけん手続てつづきほう要点ようてんどうほう施行しこうともな実務じつむ動向どうこう」( p.14 「【ひょう4】家事かじ事件じけん手続てつづきながれ」参照さんしょう
  9. ^ 最高裁判所さいこうさいばんしょだいいちしょう法廷ほうてい平成へいせい12ねん3がつ10日とおか判決はんけつ平成へいせい11(もと)だい20ごうPDF)。裁判さいばんちょう裁判官さいばんかんしまいちとも裁判官さいばんかん小野おの幹雄みきお遠藤えんどう光男みつお藤井ふじい正雄まさお大出おおいで峻郎たかお

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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