春 夜
『
本文
[しゅんしょういっこく あたいせんきん |
||
はなにせいこうあり つきにかげあり |
||
かかん ろうだい こえ さいさい |
にぎやかな | |
鞦韆 |
鞦韆 しゅうせん いんらく よる ちんちん[3] |
ぶらんこのある |
解釈
[起句
- 「
宵 」 -日本語 では宵 の口 を指 すが、ここは夜更 け[2]、人 がまだ活動 している時間 帯 の夜 [11]、を意味 する。日没 から夜半 までは「夕 ・暮 ・昏・宵 ・夜 」の順 で呼 ばれた[11]。 - 「
一刻 」 -一刻 は文字通 りには一昼夜 の 1/100 つまり約 15分間 に相当 する[9]。また漏刻 (水時計 )の水 受 けの壺 に立 てた矢 に刻 まれた目盛 りの一 刻 みも意味 する[12]。ここは「わずかな時間 」と解 してよい[9][13]。 - 「
直 」 - 「値 」と同 じで、値打 ちのこと[4]。 - 「
千金 」 -一 金 は重 さ一 斤 (257グラム[11])の黄金 を指 し[13]、千金 で比喩 的 に非常 に価値 があるという意味 を持 たせている[2]。初 唐 の類書 『芸文 類聚 』に「一笑 千金 」という語 が見 えるが、ここはむしろ杜 甫 の『春 望 』にある「家 書 抵萬金 」からの影響 が窺 える[14]。
承 句
- 「
清香 」 -清 らかで淡 い香 り[3]。一般 に梅 の香 りを指 す[1][6]。 - 「
月 有 陰 」 -朧月 のように霞 がかかった月 と解 されるが[3]、「清 らかな月 の光 がさす」[10]、あるいは庭 の草木 の黒 々と陰 になっている部分 とも解 される[6]。
転 句
- 「
歌 管 」 -宴 遊 の余興 として妓女 や楽師 が演奏 した歌 や音楽 [3]。「管 」は竹 製 の管楽器 (笛 )を指 し、「歌 管 」でひろく音楽 の意味 も指 す[2]。 - 「
楼台 」 -見晴 らしの良 い二 ・三 階 建 ての高殿 で[2]「楼閣 」と同 じ[3]。「鞦韆」と共 に、奥 御殿 の雰囲気 をうかがわせる[10]。 - 「
細細 」 -音 がか細 くなる様子 [4]。ここを「寂寂 」(ひっそりしている様子 )とするテキストもある[9]。
結句
- 「鞦韆」 - ブランコのことで、「
秋 千 」とも書 く[9]。寒 食 節 や清明 節 の時 に限 って[9][15]高 さ約 30メートルの横 枝 から紫 や緑 の糸 綱 で吊 るして設 けられ[9]、若 い女性 が乗 って遊 ぶためのものだった[9]。ブランコはもとは鮮卑系 の山 戎 の習俗 で[15]、六朝 時代 には南 の荊楚地方 でも行 なわれ[9]、唐 の天宝 年間 には玄 宗 が寒 食 節 の折 、宮 女 たちに鞦韆を遊 ばせ「半 仙 の戯 れ」と称 した[15]。春 の季語 として、唐詩 でしばしば寒 食 節 の景物 になる[15]。 - 「
院 落」 -広 い邸宅 の中庭 [2]。 - 「
沈沈 」 -夜 が静 かに更 けてゆく様子 [4]。ここを「深深 」とするテキストもある[4]。
まず
制作
[『
評価
[この
影響
[- 「
夏 の月 蚊 を疵 (きず)にして五 百 両 」(宝井 其角 )[9] - 「
一刻 を千金 づつにしめあげて六 万 両 の春 の曙 」(蜀 山人 )[13] - 「ひっそりとぶらんこが
花 の木陰 です/鬱 金 (うこん)ざくらの匂 ふ夜 ふけです」(安西 冬衛 )[16]
「
脚注
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春 の夜 の魅力 は宵 と曙 の中間 にもあるものだ、といった意