(Translated by https://www.hiragana.jp/)
本山原人 - Wikipedia コンテンツにスキップ

本山もとやま原人げんじん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

本山もとやま原人げんじん(もとやまげんじん)は、日本にっぽん国立こくりつ大学だいがくである名古屋大学なごやだいがく学生がくせい外見がいけんてきなイメージをしょうした言葉ことば[1]。1982ねん発行はっこうされた南山大学なんざんだいがく学生がくせいによるミニコミ『Campus Life 南山なんざん』が初出しょしゅつで、1980年代ねんだいから1990年代ねんだいにかけてもちいられた。

語義ごぎ[編集へんしゅう]

本山もとやま原人げんじん本山ほんざんとは、名古屋なごや市営しえい地下鉄ちかてつえきである本山もとやまえき[2]本山もとやまえきは、2003ねん12月に名古屋大学なごやだいがくえき完成かんせいするまでは名古屋大学なごやだいがく最寄もよえきであり、名古屋大学なごやだいがく学生がくせい以下いかめい大生おおう)は本山もとやまえきから四谷通よつやとおりあるいて名古屋大学なごやだいがくかっていた[3]

原人げんじんについては、朝日新聞あさひしんぶん (1983)は、めいだいせい共通きょうつうしていた時代遅じだいおくれのファッション感覚かんかくすとしている[4]。また、名古屋大学なごやだいがく生協せいきょう学生がくせい委員いいんかいMe~dia編集へんしゅう (2005)は、リュックサックを背負せおっためいだいせいぜんかたぶけ姿勢しせいあるいてたことをすとしている[5]

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

画像がぞう外部がいぶリンク
『Campus Life 南山なんざん』に掲載けいさいされた本山もとやま原人げんじんのイラスト。名古屋大学なごやだいがく発行はっこうの「めいだいトピックス」No.321より

本山もとやま原人げんじん特徴とくちょうについて、本山もとやま原人げんじんという言葉ことば発祥はっしょうである南山大学なんざんだいがく学生がくせい以下いか南山大なんざんだいせい)によるミニコミ『Campus Life 南山なんざんだい12ごうにおいては「あたまななさん銀縁ぎんぶちメガネ、じゅうねんまえ流行りゅうこうしたチェックのシャツをて、あさかあさんがたせてくれたかさち、運動うんどう音痴おんち苦労くろうしたにがおもがある運動うんどうくつく」などとされている[4][6]。また、日本経済新聞にほんけいざいしんぶん (1984)では「色褪いろあせたジーンズ、チェックのボタンダウンシャツ、くたびれたスニーカーをこのみ、まじめであそ下手へた」とされている[2]

経緯けいい[編集へんしゅう]

発祥はっしょう[編集へんしゅう]

本山もとやま原人げんじん初出しょしゅつは、1982ねん発行はっこうされた南山大なんざんだいせいによるミニコミ『Campus Life 南山なんざんだい12ごう掲載けいさいされた特集とくしゅうである「わたし本山もとやま原人げんじんた!! 衝撃しょうげきめいだい潜入せんにゅうルポ」である。この特集とくしゅうにおいて「これが本山もとやま原人げんじんだ!!」として垢抜あかぬけない流行りゅうこうおくれななりをしためいだいせい皮肉ひにくった掲載けいさいされた[6][注釈ちゅうしゃく 1]。ただし、この特集とくしゅう半分はんぶん以上いじょう南山大なんざんだいせいである筆者ひっしゃ南山大学なんざんだいがくのイメージをめいだいせいいてまわったもので、めいだいせいあたまいということが強調きょうちょうされたほか、おしゃれなめいだいせいもいるとしるされていたという[6]

めいだいせい反応はんのう[編集へんしゅう]

画像がぞう外部がいぶリンク
名古屋大学なごやだいがく新聞しんぶんだい588ごうの1めん名古屋大学なごやだいがく発行はっこうの「めいだいトピックス」No.321より

これをけて、名古屋大学なごやだいがく学生がくせい新聞しんぶんである『名古屋大学なごやだいがく新聞しんぶん』は反論はんろんおこなった[4]。『名古屋大学なごやだいがく新聞しんぶん』1982ねん11月11にちづけだい588ごうではいちめんからさんめんいて「文化ぶんか特集とくしゅう めい大生おおう気質きしつ」という特集とくしゅうみ、いちめんには「めい大生おおう=”本山もとやま原人げんじん”!? あなたはどうおもいますか?」というだい見出みだしがまれた[6]めいだいせいからは「南山なんざんのひがみ」「流行りゅうこうまどわされないだけ」という反論はんろんせられた[4]。また、非常勤ひじょうきん講師こうしとして南山大学なんざんだいがくっても南山大なんざんだいせいめいだいせい見分みわけはつかないという名古屋大学なごやだいがく教員きょういんや、めいだいせい大学だいがく学生がくせいわりはないという名古屋大学なごやだいがくちかくの喫茶店きっさてん店員てんいん意見いけんせられた[8]。ただし、この特集とくしゅう意図いとは、当時とうじめいだいせい積極せっきょくせいけるイメージをうことにあり、同紙どうしには学内がくないがい論者ろんしゃからもめいだいせい積極せっきょくせいやリーダーシップ、自己じこ主張しゅちょうもとめる文章ぶんしょうせられた[6]

名古屋大学なごやだいがく学園がくえんさいであるめい大祭たいさい教養きょうよう実行じっこう委員いいんかい作成さくせいしていた『めい大生おおう白書はくしょ』の1983年版ねんばんでは本山もとやま原人げんじんめいだいせいのファッションにかんする質問しつもんおこなわれた。「めいだいせい本山もとやま原人げんじんばれていることをどうおもうか」といういには「あたっている」「ややあたっている」という回答かいとうが60パーセントをえた。また、本山もとやま原人げんじんという言葉ことばらないという回答かいとうは5パーセント未満みまんだった[9]。このことから、名古屋大学なごやだいがく (2022)は、めいだいせいのほとんどに本山ほんざん原人げんじんという言葉ことば普及ふきゅうしており、おおくが本山もとやま原人げんじんという自覚じかくがあったとしている[8]

名古屋大学なごやだいがく消費しょうひ生活協同組合せいかつきょうどうくみあいから出版しゅっぱんされた『めいだいスピリッツ:名古屋なごや大学だいがくほん』の「めいだい用語ようご基礎きそ知識ちしき」において本山もとやま原人げんじん項目こうもく掲載けいさいされた。ここでは本山もとやま原人げんじんは「めいだいせいのこと。」とされ、「純血じゅんけつしゅは「名古屋大学なごやだいがく」とおおきくかれたTてぃーシャツを繁華はんかがいかける」とされている[10]

分析ぶんせき[編集へんしゅう]

予備校よびこうである河合塾かわいじゅく名古屋大学なごやだいがく受験じゅけんクラスのチューターは日本経済新聞にほんけいざいしんぶん取材しゅざいたいし、名古屋大学なごやだいがく南山大学なんざんだいがくへの受験じゅけん希望きぼうしゃあいだには気質きしつちがいがられないが、いちど名古屋なごや大学だいがく入学にゅうがくすると次第しだい本山もとやま原人げんじんまっていくとし、その理由りゆうについて、女子じょし学生がくせいすくないてん、キャンパスがひろすぎるてんげている[2]。また、国際基督教大学こくさいきりすときょうだいがくから名古屋大学なごやだいがく大学院だいがくいん進学しんがくした学生がくせい名古屋大学なごやだいがくについて、国立こくりつ大学だいがく共通きょうつうしたくらさがあるとしたほか、名古屋大学なごやだいがくはこの地域ちいきのエリートこうであり、そと冒険ぼうけんするになれないのだろうとしている[2]

めいだいせいのファッションセンス[編集へんしゅう]

本山もとやま原人げんじんという言葉ことばまれたころに名古屋大学なごやだいがく入学にゅうがくした作家さっか堀田ほったあけみは、当時とうじめいだいせい服装ふくそうジーパンにチェックシャツ、ショルダーバッグが定番ていばんで、チノパンいているとおどろかれたとかたっている[11]。また、名古屋大学なごやだいがく消費しょうひ生活協同組合せいかつきょうどうくみあい (1989)は、かつてだいでは「チェックのカッターにこんのGパン」という「制服せいふく」があったとしている[12][注釈ちゅうしゃく 2]。1983ねん発行はっこうされた『めい大生おおう白書はくしょ』でもうけられた「どの程度ていどファッションにくばるか」というアンケートの結果けっかでは、めいだいせい大学だいがく生徒せいとくらべてファッションにくば学生がくせいすくなかった[8]。ただし、名古屋大学なごやだいがく (2022)決定的けっていてきおおきなではないとしている[8]

毎日新聞まいにちしんぶん (2004)では、本山もとやま原人げんじんという言葉ことばわり「めいだいブランド」という言葉ことばもちいられているとされている。椙山女学園大学すぎやまじょがくえんだいがく学生がくせいかたったところによると、めいだいブランドの定義ていぎは「ヨレヨレのもらいものっぽいTてぃーシャツかチェックシャツ、したはジーンズ、足元あしもとはスニーカーかビーチサンダル」であるという[13]

評価ひょうか[編集へんしゅう]

名古屋大学なごやだいがく (2022)は、『名古屋大学なごやだいがく新聞しんぶん』の反応はんのうや、『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん』1984ねん9がつ23にちづけ朝刊ちょうかん名古屋なごやばん掲載けいさいされた記事きじなどでめいだいせい典型てんけいてきなイメージがやや誇大こだい強調きょうちょうされ、めいだいせいもそれにとらわれていた側面そくめんがあるとしている。また、大学だいがく紛争ふんそうから10ねん経過けいかしており、めいだいせいみずからのアイデンティティを見失みうしないつつあったなかとなり南山大なんざんだいせいからイメージを想起そうきされたため『名古屋大学なごやだいがく新聞しんぶん』などめいだいせい即座そくざ反応はんのうしたとしている[14]

本山もとやま原人げんじんという言葉ことばは1980年代ねんだいから1990年代ねんだいにかけてもちいられた[13]。しかし、名古屋大学なごやだいがく (2020)は、本山もとやま原人げんじんもっとさかえた時期じき実際じっさいには1980年代ねんだいよりもうすこまえかもしれないとしている[7]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 2020ねん現在げんざい、『Campus Life 南山なんざん』の当該とうがいごうつかっていない[7]
  2. ^ ただし、名古屋大学なごやだいがく消費しょうひ生活協同組合せいかつきょうどうくみあい (1989)は、これは名古屋大学なごやだいがくかぎらず理系りけい学生がくせいおお大学だいがくならたりまえのことかもしれないとしている[12]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 名古屋大学なごやだいがく 2022, pp. 200, 201.
  2. ^ a b c d さとわれた「本山もとやま原人げんじん」――新興しんこうぞく台頭たいとうゆるす(ナゴトピア84)」『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ、1984ねん9がつ23にち朝刊ちょうかん名古屋なごやばん、21めん
  3. ^ 「(ぐるり東海とうかい 名古屋なごや四谷通よつやとおり通信つうしん)キャンパス付近ふきんく めい大生おおう本山ほんざん使つかってる?」『朝日新聞あさひしんぶん朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、2019ねん2がつ19にち朝刊ちょうかん名古屋なごや共通きょうつうばん、24めん
  4. ^ a b c d 「「本山もとやま原人げんじん」の汚名おめい返上へんじょう名古屋大なごやだい」『朝日新聞あさひしんぶん朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1983ねん1がつ25にち朝刊ちょうかん東京とうきょうばん、14めん
  5. ^ 名古屋大学なごやだいがく生協せいきょう学生がくせい委員いいんかいMe~dia編集へんしゅう 2005, p. 36.
  6. ^ a b c d e 名古屋大学なごやだいがく 2022, p. 201.
  7. ^ a b 名古屋大学なごやだいがく 2020, p. 214.
  8. ^ a b c d 名古屋大学なごやだいがく 2022, p. 202.
  9. ^ 名古屋大学なごやだいがく 2022, pp. 201, 202.
  10. ^ 名古屋大学なごやだいがく消費しょうひ生活せいかつ協同きょうどう組合くみあい 1989, p. 187.
  11. ^ だいよ:創立そうりつ70周年しゅうねん・OBから/4 作家さっか堀田ほったあけみさん」『毎日新聞まいにちしんぶん毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ、2009ねん10がつ26にち夕刊ゆうかん中部ちゅうぶばん、8めん
  12. ^ a b 名古屋大学なごやだいがく消費しょうひ生活せいかつ協同きょうどう組合くみあい 1989, p. 118.
  13. ^ a b 「[2004なごやこう] 本山もとやま原人げんじん進化しんかろんうえ 「ダサいけどかっこよく」」『毎日新聞まいにちしんぶん毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ、2004ねん10がつ14にち夕刊ゆうかん中部ちゅうぶばん、6めん
  14. ^ 名古屋大学なごやだいがく 2022, pp. 201–203.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • ちょっとめいだい」『めいだいトピックス』だい321ごう名古屋大学なごやだいがく、2020ねん、214ぺーじ 
  • 名古屋大学なごやだいがく へん名古屋大学なごやだいがく歴史れきし 1871~2019 じょう名古屋大学出版会なごやだいがくしゅっぱんかい、2022ねんISBN 978-4-8158-1063-4 
  • 名古屋大学なごやだいがく消費しょうひ生活協同組合せいかつきょうどうくみあい へんめいだいスピリッツ:名古屋なごや大学だいがくほん名古屋大学なごやだいがく消費しょうひ生活協同組合せいかつきょうどうくみあい、1989ねん 
  • 名古屋大学なごやだいがく生協せいきょう学生がくせい委員いいんかいMe~dia編集へんしゅう へんMe~dia10名古屋大学なごやだいがく生協せいきょう理事りじかい、2005ねんhttps://www.nucoop.jp/me-dia/bnum/pdf/me-dia_102_05_10.pdf