根古屋ねごや城じょう

logo 根古屋ねごや城じょう （埼玉さいたま県けん）
狭山湖さやまこ堤防ていぼう上じょうからの遠景えんけい
別名べつめい	竜谷りゅうざく城じょう、勝楽寺しょうらくじ城じょう
城郭じょうかく構造こうぞう	山城やましろ
天守てんしゅ構造こうぞう	なし
築城ちくじょう主ぬし	山口やまぐち高こう忠ただし
築城ちくじょう年ねん	明徳めいとく・応おう永年えいねん間あいだ
主おもな改修かいしゅう者しゃ	後こう北条ほうじょう氏し
主おもな城主じょうしゅ	山口やまぐち氏し
廃はい城じょう年ねん	不ふ詳しょう（1590年ねん頃ごろ？）
遺構いこう	土ど塁るい、空堀からぼり、郭かく
指定してい文化財ぶんかざい	埼玉さいたま県けん指定してい史跡しせき
位置いち	北緯ほくい35度ど46分ふん48.2秒びょう 東経とうけい139度ど24分ふん25.0秒びょう
地図ちず	根古屋ねごや城じょう

根古屋ねごや城じょう（ねごやじょう）は、埼玉さいたま県けん所沢ところざわ市し勝楽寺しょうらくじの山口貯水池やまぐちちょすいち（狭山さやま湖こ）となっている人造湖じんぞうこの北岸ほくがんにあった日本にっぽんの城しろ。埼玉さいたま県けん指定してい史跡しせき。

歴史れきし・沿革えんかく

山口やまぐち高治たかじの子こ、山口やまぐち高こう忠ただしによって明徳めいとく・応おう永年えいねん間あいだ(1390年ねん～1428年ねん)に築城ちくじょうされた。元々もともとの城しろ名めいは竜谷りゅうざく城じょうや勝楽寺しょうらくじ城じょうと呼よばれていたが、後のちに山麓さんろくにあった集落しゅうらく名めいにちなんで根古屋ねごや城じょうと名付なづけられたという。根古屋ねごやとは寝小屋ねこやという意味いみで、日本にっぽんの各地かくちに存在そんざいする字じでもある。城主じょうしゅやその家臣かしんらが平常へいじょう時じはこの集落しゅうらくや、山口やまぐち城じょうに居住きょじゅうし、有事ゆうじの際さいにはこの根古屋ねごや城じょうに籠こめるようになっていた。城しろの周辺しゅうへんには築城ちくじょう者しゃである高こう忠ただしから付つけられた「小太郎こたろう坂ざか」という地名ちめいがあったと伝つたえられているが、現在げんざいでは不明ふめいである。

父ちちである山口やまぐち高治たかじは祖父そふ・山口やまぐち高こう実みのるらとともに1383年ねんに南朝なんちょうの協力きょうりょくの下した、上杉うえすぎ氏しと戦たたかったが敗やぶれ、山口やまぐち城じょうに火ひを放はなち自害じがい。

その後ご、上杉うえすぎ氏し家臣かしんの守護しゅご代だい大石おおいし氏しに仕つかえた高こう忠ただしによって山口やまぐち城じょうは室町むろまち時代ときよ末期まっきに修復しゅうふくされたが、山口やまぐち城じょうはもともと館かんであったため、山口やまぐち城じょうとは別べつに根古屋ねごや城じょうを築城ちくじょうし、山口やまぐち城じょうの城郭じょうかくとして機能きのうさせていたようだ。

高こう忠ただしから5代目だいめの山口やまぐち高だか種しゅの時とき、北条ほうじょう氏康うじやすの攻撃こうげきにより根古屋ねごや城じょうが落城らくじょうし山口やまぐち氏しは後こう北条ほうじょう氏しの家臣かしんとなった。 その後ごも根古屋ねごや城じょうは改修かいしゅうされながらも山口やまぐち氏しの家臣かしんである伏見ふしみ小太郎こたろう（「新編しんぺん武蔵むさし風土記ふどき稿こう」による）や、後こう北条ほうじょう氏しの家臣かしんの山住やまずみ彦三郎ひこさぶろう（「武蔵野むさしの話ばなし」「勝楽寺しょうらくじ村むら地誌ちし」「江戸えど名所めいしょ図会ずえ」による）が城主じょうしゅとして存続そんぞくしたとされる。 現在げんざいの東京とうきょう都と西多摩にしたま郡ぐん瑞穂みずほ町まち殿ケ谷とのがや(当時とうじの村山むらやま村むらの一部いちぶ)の瀧田たきた谷津たにつ・尾引おびき谷たに一帯いったいに、戦国せんごく時代じだい末期まっき、北条ほうじょう氏照うじてるに仕つかえたという村山むらやま党とう金子かねこ氏しの一派いっぱ村山むらやま土佐とさ守義もりよし光こうがこの辺あたり一帯いったいを治おさめ、居館きょかんを構かまえたという伝承でんしょうが残のこっている。 そのため、殿ケ谷とのがやと呼よばれる地名ちめいが残のこっている。

構造こうぞう

大おおきさは南北なんぼく150m、東西とうざい75m。二重土塁囲郭の城しろだった。山口やまぐち氏しによる築城ちくじょう時じは本ほん郭くるわと二にの郭かく程度ていどの小規模しょうきぼな構造こうぞうであったが、先述せんじゅつの通とおり後ご北条ほうじょう氏し支配しはい下か後ごも何なん度どか改修かいしゅうされており、特とくに本ほん郭くるわと二にの郭くるわを取とり囲かこむ空堀からぼりは鉄砲てっぽうの射程しゃていを考慮こうりょした対策たいさくとして改修かいしゅうされたという。最終さいしゅう的てきには8～9つの郭くるわで構成こうせいされた城しろとなっていた。中田なかた正ただし光こうの『埼玉さいたまの古城こじょう址し』によると、後述こうじゅつの影響えいきょうで遺構いこうの保存ほぞん状態じょうたいはかなり良好りょうこうであり、 土ど塁るい、空堀からぼり、郭かくが見事みごとな状態じょうたいで残のこっているという。

その後ご

狭山丘陵さやまきゅうりょうの奥地おくちに築城ちくじょうされた為ため、近代きんだいになってからも開発かいはつによる破壊はかいはなく、山口貯水池やまぐちちょすいち建設けんせつの際さいも辛かろうじて水没すいぼつを免まぬかれた。現在げんざい狭山湖さやまこ周辺しゅうへんは東京とうきょう都と水道局すいどうきょく管理かんりの都と有ゆう地ちとなっており、水みず資源しげんの保護ほご地域ちいきとしてフェンスに囲かこまれている。一般人いっぱんじんの立たち入いりは制限せいげんされており、城跡じょうせきも公開こうかいされていない。昭和しょうわ50年代ねんだい初頭しょとうまでは簡単かんたんな柵しがらみが張はり巡めぐらされていただけで、それを乗のり越こえて進入しんにゅうし城跡じょうせきを見みに行いった見物けんぶつ者しゃもいたと言いわれている。

参考さんこう資料しりょう

• 中田なかた正ただし光ひかり著ちょ　埼玉さいたまの古城こじょう址し（有峰ありみね書店しょてん新しん社しゃ）
• 所沢ところざわ市し史し研究けんきゅう　第だい19号ごう（1996年ねん3月がつ30日にち発行はっこう）

関連かんれん項目こうもく

• 日本にっぽんの城しろ一覧いちらん