楊敞

楊 敞たかし（よう しょう、? - 紀元前きげんぜん74年ねん）は、前漢ぜんかんの人ひと。京きょう兆ちょう尹いん華はな陰かげ県けんの人ひと。

略歴りゃくれき

大将軍だいしょうぐんの幕府ばくふで仕事しごとをし、軍司ぐんじ馬ばとなった。大将軍だいしょうぐんの霍光に重用じゅうようされて昇進しょうしんし、始はじめ元もと6年ねん（紀元前きげんぜん81年ねん）に大だい司つかさ農みのりとなった。

元もと鳳おおとり元年がんねん（紀元前きげんぜん80年ねん）、稲田いなだ使者ししゃの燕つばめ倉くらが上官じょうかん桀らの陰謀いんぼうを知しると、そのことを楊敞に報告ほうこくした。しかし楊敞は恐おそれをなし、病気びょうきを称しょうして諌大夫たいふの杜もり延のべ年ねんに告つげ、杜もり延のべ年ねんがこのことを皇帝こうていに報告ほうこくした。上官じょうかん桀らが誅殺ちゅうさつされると杜もり延のべ年ねんや燕つばめ倉くらは列侯れっこうに封ふうじられたが、楊敞だけは九きゅう卿きょうでありながらすぐに報告ほうこくしなかったために列侯れっこうになれなかった。

元もと鳳おおとり4年ねん（紀元前きげんぜん77年ねん）、王おう訢の後任こうにんの御ご史し大夫たいふとなった。元もと鳳おおとり6年ねん（紀元前きげんぜん75年ねん）、前年ぜんねんに死亡しぼうした王おう訢の後任こうにんの丞相じょうしょうとなり、安平あびら侯こうに封ふうじられた。

翌年よくねんの元もと平たいら元年がんねん（紀元前きげんぜん74年ねん）、昭あきら帝みかどが死亡しぼうすると、昌あきら邑王劉りゅう賀がが皇帝こうていに立たてられた。しかし、淫乱いんらんを理由りゆうに廃位はいいし劉りゅう病びょう已やめを立たてると大将軍だいしょうぐんの霍光と車くるま騎き将軍しょうぐんの張ちょう安世やすよにより決きめられ、霍光は大だい司つかさ農みのりの田た延のべ年ねんに楊敞へ報告ほうこくさせた。楊敞は驚愕きょうがくして物ものも言いえなかったが、更衣ころもがえに立たった際さいに妻つまに「ここで早はやく応おうじないでぼやぼやしていたら、先さきに誅殺ちゅうさつされてしまいますよ」と言いわれたため、田た延のべ年ねんに対たいし許諾きょだくして廃立はいりつに加くわわった。

楊敞はその年としの内うちに死亡しぼうし、敬けい侯こうと諡おくりなされた。安平あびら侯こうは子この楊忠（楊賁）が継ついだ。楊忠の後のちは楊譚が継まましいだが、下記かきの叔父おじの楊惲を諫めなかったことで、爵位しゃくいを剝奪された。楊譚の子この楊宝は民間みんかんにおいて名なを馳はせた。

楊敞は司馬しば遷の娘むすめを娶めとっており、司馬しば遷の娘むすめとのあいだに生うまれた楊惲が『史記しき』を世よに広ひろめた。

『後こう漢書かんしょ』楊震伝でんによると、後こう漢かん時代じだいに「四よん世せい三公みつきみ」と称となえられた楊震・楊秉・楊賜・楊彪らの楊氏の祖そであるとされている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 班はん固かた著ちょ『漢書かんしょ』巻まき19下か百官ひゃっかん公卿くぎょう表ひょう下か、巻まき62司馬しば遷伝、巻まき66楊敞伝でん