永原ながはら慶けい二に

永原ながはら 慶けい二に

人物じんぶつ情報じょうほう
生誕せいたん	(1922-07-12) 1922年ねん7月がつ12日にち 日本にっぽん関東かんとう州しゅう大連たいれん市し
死没しぼつ	2004年ねん7月がつ9日にち(2004-07-09)（81歳さい）
出身しゅっしん校こう	東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく
学問がくもん
研究けんきゅう分野ぶんや	歴史れきし学がく(日本にっぽん史し)
研究けんきゅう機関きかん	一橋大学ひとつばしだいがく、日本福祉大学にほんふくしだいがく、和光大学わこうだいがく
学位がくい	経済けいざい学がく博士はかせ

永原ながはら 慶けい二に（ながはら けいじ、1922年ねん7月がつ12日にち - 2004年ねん7月がつ9日にち）は、日本にっぽんの歴史れきし学者がくしゃ。一橋大学ひとつばしだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ、和光大学わこうだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ。専せん門もんは日本にっぽん中世ちゅうせい史し。学位がくいは、経済けいざい学がく博士はかせ（一橋大学ひとつばしだいがく・1962年ねん）。

略歴りゃくれき

戦前せんぜん

1922年ねん、関東かんとう州しゅう大連たいれん市しに生うまれた。1942年ねん3月がつに東京とうきょう高等こうとう学校がっこう文科ぶんか乙おつ類るいを卒業そつぎょう後ご。同年どうねん4月がつ、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく文学部ぶんがくぶ国史こくし学科がっかに入学にゅうがく。1943年ねん、文科ぶんか系けい学生がくせいの徴兵ちょうへい猶予ゆうよ停止ていしにともない、海軍かいぐんの大竹おおたけ海兵かいへい団だんに入団にゅうだん。1944年ねん、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく国史こくし学科がっかを卒業そつぎょう。

戦後せんご

終戦しゅうせん後ごに帰郷ききょうし、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく大学院だいがくいんに入学にゅうがく。1947年ねん、東京大学とうきょうだいがく史料しりょう編纂へんさん所しょ員いんとなり、『大だい日本にっぽん史料しりょう』第だい三さん編へんの編纂へんさん業務ぎょうむに従事じゅうじした。

このころ一橋大学ひとつばしだいがくでは、村松むらまつ恒ひさし一郎いちろう・川上かわかみ多助たすけ門下もんかの及川おいかわ完かん助教授じょきょうじゅが戦死せんししたのち、ながらく日本にっぽん経済けいざい史し担当たんとうの専任せんにん教員きょういんが空席くうせきとなっており、その伝統でんとうが断絶だんぜつしてしまっていた。豊田とよだ武たけしが兼任けんにん教授きょうじゅとして教鞭きょうべんを執とっていたが、日本にっぽん史し専攻せんこう大学院生だいがくいんせいは皆無かいむという状況じょうきょうであった。1958年ねん、永原ながはらは豊田とよだ兼任けんにん教授きょうじゅの後任こうにんとして、一橋大学ひとつばしだいがく経済学部けいざいがくぶ助教授じょきょうじゅとなり、日本にっぽん経済けいざい史し講座こうざを担当たんとう。1960年ねんに着任ちゃくにんした古島こじま敏雄としお兼任けんにん教授きょうじゅとともに多おおくの研究けんきゅう者しゃを育成いくせいした。1962年ねん、一橋大学ひとつばしだいがくに学位がくい論文ろんぶん『日本にっぽん封建ほうけん制せい成立せいりつ過程かていの研究けんきゅう』を提出ていしゅつして経済けいざい学がく博士はかせの学位がくいを取得しゅとく。1963年ねん、一橋大学ひとつばしだいがく教授きょうじゅに昇格しょうかく。1986年ねんに一橋大学ひとつばしだいがくを退官たいかんし、名誉めいよ教授きょうじゅとなった。その後ごは、1986年ねんから1988年ねんまで日本福祉大学にほんふくしだいがく経済学部けいざいがくぶ教授きょうじゅ、1988年ねんから1993年ねんまで和光大学わこうだいがく人文学部じんぶんがくぶ教授きょうじゅ。同どう大学だいがく退官たいかんにあたって名誉めいよ教授きょうじゅとなった。2004年ねん7月がつ9日にち、血管けっかんの癌がんにより、東京とうきょう都と新宿しんじゅく区くで死去しきょ。81歳さい没ぼつ。

また、学界がっかいにおいては、1970年ねんから1973年ねんまで歴史れきし学がく研究けんきゅう会かい委員いいん長ちょう、1978年ねんから1985年ねんまで日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎ会員かいいん、1978年ねんから1993年ねんまで文化財ぶんかざい保護ほご審議しんぎ会かい専門せんもん委員いいん、1983年ねんから1989年ねんまで比較ひかく家族かぞく史し研究けんきゅう会かい会長かいちょうをつとめた。

研究けんきゅう内容ないよう・業績ぎょうせき

• 在地ざいち領主りょうしゅ制せい、とくに荘園しょうえん制せい・大名だいみょう領国りょうごく制せい研究けんきゅうを展開てんかいして、日本にっぽん中世ちゅうせい史し像ぞうの基礎きそを確立かくりつした。その学問がくもんについては、自身じしんによる回想かいそうや門人もんじんらによる業績ぎょうせき紹介しょうかい・追悼ついとう文ぶんによって構成こうせいされた『永原ながはら慶けい二にの歴史れきし学がく』が刊行かんこうされているほか、主要しゅよう著作ちょさくについて、吉川弘文館よしかわこうぶんかんより『永原ながはら慶けい二に著作ちょさく選集せんしゅう』全ぜん10巻かんが刊行かんこう。歴史れきし学がく研究けんきゅうの方法ほうほうとしてマルクス歴史れきし学がく、つまりマルクスの分析ぶんせき方法ほうほうを中世ちゅうせい史しの研究けんきゅうに適用てきようした、と述のべている。
• 柳生やぎゅうの徳政とくせい碑文ひぶんを改あらためて紹介しょうかいし、注目ちゅうもくされるきっかけを作つくった。

教科書きょうかしょ検定けんていに対たいする立場たちば

教科書きょうかしょ検定けんていに反対はんたいの立場たちばを取とり、家永いえなが三郎さぶろうの教科書きょうかしょ訴訟そしょうを支援しえんした。

指導しどう学生がくせい

• 中村なかむら政則まさのり
• 池いけ享とおる
• 池上いけがみ裕子ゆうこ
• 森もり武たけ麿まろ
• 西田にしだ美昭よしあき
• 春日かすが豊ゆたか
• 大門だいもん正克まさかつ
• 西にし成田なりた豊ゆたか
• 浅井あさい良夫よしお
• 関口せきぐち恒雄つねお
• 松元まつもと宏ひろし
• 千田せんだ稔みのる
• 林はやし華はな生せい
• 福島ふくしま清彦きよひこ
• 峰みね崎さき直樹なおき。

家族かぞく・親族しんぞく

• 妻つま：永原ながはら和子かずこも歴史れきし学者がくしゃ。女性じょせい史し研究けんきゅうで知しられる。

著書ちょしょ

単たん著ちょ

• 『新しん日本にっぽん史し講座こうざ　封建ほうけん時代じだい前期ぜんきの民衆みんしゅう生活せいかつ』（中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、1950年ねん）
• 『日本にっぽん封建ほうけん社会しゃかい論ろん』（東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、1955年ねん）
• 『源みなもと頼朝よりとも』（岩波書店いわなみしょてん、1958年ねん）
• 『日本にっぽん封建ほうけん制せい成立せいりつ過程かていの研究けんきゅう』（岩波書店いわなみしょてん、1961年ねん）
• 『日本にっぽんの歴史れきし10　下剋上げこくじょうの時代じだい』（中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、1965年ねん）
• 『体系たいけい・日本にっぽん歴史れきし3　大名だいみょう領国りょうごく制せい』（日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ、1967年ねん）
• 『日本にっぽんの中世ちゅうせい社会しゃかい』（岩波書店いわなみしょてん、1968年ねん）
• 『日本にっぽん経済けいざい史し』（有斐閣ゆうひかく、1970年ねん）
• 『日本にっぽん中世ちゅうせい社会しゃかい構造こうぞうの研究けんきゅう』（岩波書店いわなみしょてん、1973年ねん）
• 『日本にっぽんの歴史れきし14　戦国せんごくの動乱どうらん』（小学館しょうがくかん、1975年ねん）
• 『中世ちゅうせい成立せいりつ期きの社会しゃかいと思想しそう』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1977年ねん）
• 『中世ちゅうせい内乱ないらん期きの社会しゃかいと民衆みんしゅう』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1977年ねん）
• 『荘園しょうえん』（評論ひょうろん社しゃ、1978年ねん）
• 『歴史れきし学がく叙説じょせつ』（東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、1978年ねん）
• 『日本にっぽん経済けいざい史し』（岩波書店いわなみしょてん、1980年ねん）
• 『日本にっぽん中世ちゅうせいの社会しゃかいと国家こっか』（日本にっぽん放送ほうそう出版しゅっぱん協会きょうかい、1982年ねん）
• 『皇国こうこく史観しかん』（岩波書店いわなみしょてん、1983年ねん）
• 『大系たいけい日本にっぽんの歴史れきし6　内乱ないらんと民衆みんしゅうの世紀せいき』（小学館しょうがくかん、1988年ねん）
• 『新しん・木綿もめん以前いぜんのこと』（中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、1990年ねん）
• 『天皇てんのう制せい・新しん国家こっか主義しゅぎと歴史れきし教育きょういく』（あゆみ出版しゅっぱん、1990年ねん）
• 『室町むろまち戦国せんごくの社会しゃかい　商業しょうぎょう・貨幣かへい・交通こうつう』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1992年ねん）
• 『中世ちゅうせい動乱どうらん期きに生いきる　一揆いっき・商人しょうにん・侍さむらい・大名だいみょう』（新しん日本にっぽん出版しゅっぱん社しゃ、1996年ねん）
• 『戦国せんごく期きの政治せいじ経済けいざい構造こうぞう』（岩波書店いわなみしょてん、1997年ねん）
• 『「自由じゆう主義しゅぎ史観しかん」批判ひはん』（岩波書店いわなみしょてん、2000年ねん）
• 『歴史れきし教科書きょうかしょをどうつくるか』（岩波書店いわなみしょてん、2001年ねん）
• 『富士山ふじさん宝永ほうえい大だい爆発ばくはつ』（集英社しゅうえいしゃ、2002年ねん）
• 『20世紀せいき日本にっぽんの歴史れきし学がく』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2003年ねん）
• 『苧麻からむし・絹きぬ・木綿もめんの社会しゃかい史し』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2004年ねん）
• 『永原ながはら慶けい二に著作ちょさく選集せんしゅう』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2007-2008年ねん）
  • (1)日本にっぽん封建ほうけん社会しゃかい論ろん　日本にっぽんの中世ちゅうせい社会しゃかい
  • (2)日本にっぽん封建ほうけん制せい成立せいりつ過程かていの研究けんきゅう
  • (3)日本にっぽん中世ちゅうせい社会しゃかい構造こうぞうの研究けんきゅう
  • (4)荘園しょうえん　荘園しょうえん制せいと中世ちゅうせい村落そんらく
  • (5)大名だいみょう領国りょうごく制せい　中世ちゅうせい後期こうきの社会しゃかいと経済けいざい
  • (6)戦国せんごく期きの政治せいじ経済けいざい構造こうぞう　戦国せんごく大名だいみょうと都市とし
  • (7)日本にっぽん中世ちゅうせいの社会しゃかいと国家こっか　中世ちゅうせい史しの争点そうてん
  • (8)日本にっぽん経済けいざい史し　苧麻からむし・絹きぬ・木綿もめんの社会しゃかい史し
  • (9)歴史れきし学がく叙説じょせつ　20世紀せいき日本にっぽんの歴史れきし学がく
  • (10)歴史れきし教育きょういくと歴史れきし観かん

編著へんちょ

• （古島こじま敏雄としお）『商品しょうひん生産せいさんと寄生きせい地主じぬし制せい』（東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、1954年ねん）
• 『日本にっぽん経済けいざい史し大系たいけい2』（東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、1965年ねん）
• 『人物じんぶつ日本にっぽんの歴史れきし4　鎌倉かまくらと京都きょうと』（読売新聞社よみうりしんぶんしゃ、1966年ねん）
• 『戦国せんごく期きの権力けんりょくと社会しゃかい』（東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、1976年ねん）
• 『戦国せんごく時代じだい 1550年ねんから1650年ねんの社会しゃかい転換てんかん』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1978年ねん）
• 『カレンダ－日本にっぽん史し 一いち日にち一いち史話しわ』（岩波書店いわなみしょてん、1979年ねん）
• （松島まつしま栄一えいいち）『元号げんごう問題もんだいの本質ほんしつ』（白石しらいし書店しょてん、1979年ねん）
• 『日本にっぽん経済けいざい史しを学まなぶ』（有斐閣ゆうひかく、1982年ねん）
• 『講座こうざ・日本にっぽん技術ぎじゅつの社会しゃかい史し』（日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ、1983年ねん）
• 『中世ちゅうせい・近世きんせいの国家こっかと社会しゃかい』（東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、1986年ねん）
• 『中世ちゅうせいの発見はっけん』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1993年ねん）

映画えいが・テレビドラマ監修かんしゅう

• NHK大河たいがドラマ 『太平たいへい記き』

参考さんこう文献ぶんけん

• 永原ながはら慶けい二に追悼ついとう文集ぶんしゅう刊行かんこう会かい 編へん『永原ながはら慶けい二にの歴史れきし学がく』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2006年ねん） ISBN 4-642-07959-9