流星りゅうせい群ぐん

流星りゅうせい群ぐん（りゅうせいぐん）とは、その軌跡きせきが天球てんきゅう上うえのある一いち点てん（放射ほうしゃ点てんまたは輻射ふくしゃ点てんという）を中心ちゅうしんに放射状ほうしゃじょうに広ひろがるように出現しゅつげんする一群いちぐんの流星りゅうせいのことをいう。流星りゅうせい群ぐんに属ぞくする流星りゅうせいを群ぐん流星りゅうせいという。流星りゅうせい群ぐんには、毎年まいとし同おなじ時期じきに出現しゅつげんする定常ていじょう群ぐんと、数すう年ねんから数すう十じゅう年ねんおきに活発かっぱつに出現しゅつげんする周期しゅうき群ぐん、突然とつぜん活動かつどうする突発とっぱつ群ぐんがある。たとえば、ペルセウス座ざ流星りゅうせい群ぐんは定常ていじょう群ぐん、しし座ざ流星りゅうせい群ぐんは周期しゅうき群ぐんである。突発とっぱつ群ぐんとしてはほうおう座ざ流星りゅうせい群ぐんが例れいとして挙あげられる。

流星りゅうせい群ぐんの成因せいいん[編集へんしゅう]

流星りゅうせい現象げんしょうを引ひき起おこす原因げんいんとなる物質ぶっしつを流星りゅうせい物質ぶっしつという。軌道きどう計算けいさんにより、流星りゅうせい物質ぶっしつは主おもに彗星すいせいから放出ほうしゅつされると考かんがえられているが、なかには小惑星しょうわくせい起源きげんのものもあるようである。流星りゅうせい群ぐんをもたらす流星りゅうせい物質ぶっしつを放出ほうしゅつしたこのような天体てんたいをその流星りゅうせい群ぐんの母はは天体てんたいという。母はは天体てんたいの周囲しゅういには、放出ほうしゅつされた一群いちぐんの流星りゅうせい物質ぶっしつが細ほそい帯状おびじょうに伸のびており、これをダストトレイルと呼よぶ。ダストトレイルはそれ自身じしんの軌道きどう上じょうを母はは天体てんたいとほぼ同おなじ周期しゅうきで巡めぐる。ダストトレイルの軌道きどうと地球ちきゅう軌道きどうが交差こうさしており、かつダストトレイルと地球ちきゅうが同どう時期じきにこの交差こうさ地点ちてんにさしかかったとき、ダストトレイルと地球ちきゅうとの衝突しょうとつによって流星りゅうせい群ぐんが生しょうじる。

ダストトレイルは周回しゅうかいを重かさねるにつれて長ながく伸のび、軌道きどう上じょうに拡散かくさんしていく。周期しゅうき群ぐんはダストトレイルが軌道きどう上じょうの一部いちぶに集中しゅうちゅうしているもの、定常ていじょう群ぐんは軌道きどう上じょうにほぼ一様いちように拡散かくさんしたものである。したがって、周期しゅうき群ぐんは比較的ひかくてき若わかい流星りゅうせい群ぐんであり、定常ていじょう群ぐんは古ふるい流星りゅうせい群ぐんであると言いうことができる。

母はは天体てんたいからの流星りゅうせい物質ぶっしつの放出ほうしゅつは、通常つうじょうは一いち度ど限かぎりではないため、ダストトレイルは軌道きどう上じょうに複数ふくすう本ほん有あることが知しられている。これらは木星もくせいなどの引力いんりょくによって少すこしずつ軌道きどうが変化へんかしているため、出現しゅつげんする流星りゅうせいの数かずが変化へんかしたり、出現しゅつげんしなかったりする要因よういんとなっている。特とくに流星りゅうせい物質ぶっしつの空間くうかん密度みつどの高たかいダストトレイルと地球ちきゅうが遭遇そうぐうした場合ばあいには、大だい流星りゅうせい雨う又または流星りゅうせい嵐あらしとなることがある。流星りゅうせい嵐あらしを起おこす流星りゅうせい群ぐんとしては、しし座ざ流星りゅうせい群ぐんなどが知しられており、2001年ねんには世界せかい各所かくしょで流星りゅうせい嵐あらしが見みられた。

なお、ダストトレイルという考かんがえ方かたは1999年ねん提唱ていしょうされたもので、その軌道きどう要素ようそを計算けいさんすることにより、流星りゅうせい出現しゅつげんの最もっとも多おおい時間じかん、地域ちいきなどを、従来じゅうらいの経験けいけん的てきな予報よほうをはるかに上回うわまわる精度せいどで予測よそくすることが可能かのうとなってきた。

流星りゅうせい群ぐんの名称めいしょう[編集へんしゅう]

流星りゅうせい群ぐんは、放射ほうしゃ点てんのある星座せいざの名なをつけてしし座ざ流星りゅうせい群ぐん、ペルセウス座ざ流星りゅうせい群ぐんなどのように呼よばれるのが普通ふつうだが、しぶんぎ座ざ流星りゅうせい群ぐんのようにかつての星座せいざ名めいで呼よばれるものや、ジャコビニ流星りゅうせい群ぐんのように母はは天体てんたいの名前なまえで呼よばれるものもある。2009年ねんの国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうの総会そうかいで流星りゅうせい群ぐんの名称めいしょうは基本きほん的てきに彗星すいせい名めいでなく星座せいざ名めいを基本きほんとすることなどが決きまった^[1]。またそれに合あわせて、日本にっぽんにおける流星りゅうせい群ぐんの和名わみょう設定せっていルールも決定けっていされた^[2]。

流星りゅうせい群ぐんの英語えいご名めいは、和名わみょうと同様どうように、放射ほうしゃ点てんの近ちかくの星座せいざや目印めじるしになるような星ほしから命名めいめいされる。その際さい、ラテン語らてんごの属ぞく格かく形かたちの語尾ごびが -id もしくは -ids に置おき換かえられる。例れいとして、みずがめ座ざデルタ星ぼし (Delta Aquarii) の流星りゅうせい群ぐんは、Aquari-i の第だい二に変化へんか単数たんすう属ぞく格かく形がたの語尾ごび -i を -ids に置おき換かえ、 Delta Aquariids となる。

有名ゆうめいな流星りゅうせい群ぐん[編集へんしゅう]

まず、「三さん大だい流星りゅうせい群ぐん」の名称めいしょうが日本にっぽんでは国立こくりつ天文台てんもんだいの予報よほうなどにも使つかわれていて、しぶんぎ座ざ流星りゅうせい群ぐん、ペルセウス座ざ流星りゅうせい群ぐん、ふたご座ざ流星りゅうせい群ぐんである。 ^[3]

しぶんぎ座ざ流星りゅうせい群ぐんは1月がつ4日にちごろに出現しゅつげんの極大きょくだいを迎むかえる。星座せいざとしてのしぶんぎ座ざは1928年ねんに廃止はいしされており、現在げんざいの星座せいざ名めいで「りゅう座ざ流星りゅうせい群ぐん」とも呼よばれるが、国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうは「しぶんぎ座ざ流星りゅうせい群ぐん」を正式せいしき名称めいしょうとしている^[4]。母はは天体てんたいはヘール・ボップ彗星すいせいや小惑星しょうわくせい2003 EH1（英語えいご版ばん）などが挙あげられている。
ペルセウス座ざ流星りゅうせい群ぐんは8月がつ13日にちごろに極大きょくだいを迎むかえ、母はは天体てんたいはスイフト・タットル彗星すいせいである。
ふたご座ざ流星りゅうせい群ぐんは12月20日にちごろ極大きょくだいを迎むかえ、母はは天体てんたいは小惑星しょうわくせい・ファエトンと考かんがえられている。