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渦巻うずまき (小説しょうせつ)

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渦巻うずまき
うえ / なか / した / つづけ
著者ちょしゃ 渡辺わたなべ霞亭かてい
発行はっこう 1913ねん - 1914ねん ぜん4かん
発行はっこうもと 隆文たかふみかん
ジャンル 小説しょうせつ家庭かてい小説しょうせつ
くに 日本の旗 日本にっぽん
言語げんご 日本の旗 日本語にほんご
公式こうしきサイト opac.ndl.go.jp
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渦巻うずまき』(うずまき)は、1913ねん大正たいしょう2ねん)に発表はっぴょうされた渡辺わたなべ霞亭かていによる日本にっぽん小説しょうせつ名家めいか家督かとく相続そうぞくをめぐる紛争ふんそういえ騒動そうどう)をえがいた家庭かてい小説しょうせつで、『大阪おおさか朝日新聞あさひしんぶん』に連載れんさいされ、人気にんきはくした。

どうさく原作げんさくとして、1913ねん日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえいしょ敷島しきしま商会しょうかいサイレント映画えいが製作せいさく公開こうかいした。その、1922ねん大正たいしょう11ねん)に日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえいしょが『うずまき』のタイトルで、1932ねん昭和しょうわ7ねん)に新興しんこうキネマが『渦巻うずまき』のタイトルで、それぞれリメイクをおこなった。

解説かいせつ

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小説しょうせつ渦巻うずまき』の初出しょしゅつは、渡辺わたなべ霞亭かてい勤務きんむさき発行はっこうする『大阪おおさか朝日新聞あさひしんぶん紙上しじょうで、1913ねん大正たいしょう2ねん)に掲載けいさいされ、翌年よくねんまでつづいた。連載れんさい途中とちゅう同年どうねんから翌年よくねんにかけて、東京とうきょう隆文たかふみかんから『渦巻うずまき上中かみなかぞくぜん4さつ刊行かんこうされている[1]。テーマとしては「いえ騒動そうどう」という江戸えど時代じだい以来いらいのもの[2][3]ではあるが(という趣向しゅこう同様どうようである[4])、従来じゅうらい芝居しばい人物じんぶつ類型るいけい意識いしきしつつもより現実げんじつてき人物じんぶつぞう創造そうぞうする工夫くふうおこなわれている。また、民法みんぽうという近代きんだいほうおおきな役割やくわりたすてんあたらしい特徴とくちょうである[3][注釈ちゅうしゃく 1]

ほんさくは、連載れんさい開始かいしとともにたいへん人気にんきとなった。大阪おおさか浪花なにわ伊井いい蓉峰ようほう喜多村きたむら緑郎ろくろうらによる上演じょうえんおこなわれたほか、「渦巻うずまきしみ」「渦巻うずまき人形にんぎょう」をはじめ、渦巻うずまき模様もよう織物おりもの袋物ふくろもの小間物こまものといった関連かんれん商品しょうひん発売はつばいされたという[6][注釈ちゅうしゃく 2]

映画えいがもすぐに企画きかくされている。日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえいしょでは、人気にんき女形おんながた立花たちばな貞二郎ていじろうと、人気にんき俳優はいゆう関根せきねいたるはつ主演しゅえんして、まえへんへんけられて公開こうかいされた[8]。1922ねん、1932ねんにもリメイクがおこなわれている[8]

映画えいが渦巻うずまき』『うずまき』は、いずれのヴァージョンも、東京とうきょう国立こくりつ近代きんだい美術館びじゅつかんフィルムセンター所蔵しょぞうされていない[9]

小説しょうせつ渦巻うずまき』は、2009ねん平成へいせい21ねん)12がつ現在げんざい、すべて絶版ぜっぱんである。青空あおぞら文庫ぶんこには収録しゅうろくされていない[10]が、国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんの「近代きんだいデジタルライブラリー」にはデジタル画像がぞう公開こうかいされており、閲覧えつらん・ダウンロードが可能かのうである[11]。 ⇒ #ビブリオグラフィ

あらすじ

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  • 本節ほんぶし出典しゅってん[12][13]

京都きょうとだい富豪ふごうである東大路ひがしおおじ子爵ししゃく分家ぶんけという名家めいかであるが、当主とうしゅあきらじゅうには一人娘ひとりむすめかずこうしかおらず、婿養子むこようし入夫にゅうふ)として大津おおつ旧家きゅうか出身しゅっしんこうあきらむかえる。しかしあきらじゅう死後しご当主とうしゅ戸主こしゅ)となったこうあきら放蕩ほうとうをはじめ、わらわとして政子まさこかこう。こうあきらすうあいだには喜美子きみこというむすめまれるが、ときをほぼおなじくしてすう光子こうしというむすめみ、また政子まさこ従妹じゅうまいである早苗さなえ金杉かなすぎ哲夫てつおとのあいだひろしという息子むすこむ。

金杉かなすぎ法律ほうりつ知識ちしき悪用あくようして東小路ひがしこうじ財産ざいさんねらう。金杉かなすぎ協力きょうりょくした政子まさこは、かず不貞ふていこうあきらみ、かずいえからすことに成功せいこうする。喜美子きみこすうはなされ、一時いちじ政子まさこ手許てもとかれるが、乳母うば兼子かねこ喜美子きみこまもそだてることになる。

東大路ひがしおおじはいんだ政子まさこは、みずからがんだむすめである光子こうし早苗さなえあづけ、わりに早苗さなえであるひろしる。ひろし東大路ひがしおおじ家督かとく相続そうぞくじんとすることによって、自身じしん地位ちい安泰あんたいとするためである(明治めいじ民法みんぽうにおいて、家督かとく相続そうぞく男子だんし優先ゆうせんであった)。政子まさこひろしみずからのいつわり、それをしんじたこうあきらひろし庶子しょしとして認知にんちし、家督かとく相続そうぞくじんとなることを承認しょうにんした。

その政子まさことその協力きょうりょくしゃたちの悪事あくじあばかれる。かず喜美子きみこ親子おやこ東大路ひがしおおじ本宅ほんたくもどる。また、えにまれたひろし光子こうしも、かずられてそだてられることになる。

フィルモグラフィ

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1913ねん 日活にっかつばん

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渦巻うずまき
まえへん / へん
監督かんとく 不明ふめい
脚本きゃくほん 篠山しのやまぎん
原作げんさく 渡辺わたなべ霞亭かてい
出演しゅつえんしゃ 立花たちばな貞二郎ていじろう
関根せきねいたるはつ
製作せいさく会社かいしゃ 日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえいしょ
配給はいきゅう 日活にっかつ
公開こうかい 日本の旗
まえへん 1913ねん11月5にち
こうへん 1913ねん11月24にち
製作せいさくこく 日本の旗 日本にっぽん
言語げんご 日本語にほんご
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渦巻うずまき』(うずまき)は、1913ねん大正たいしょう2ねん製作せいさく公開こうかい日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえいしょ製作せいさく日活にっかつ配給はいきゅうによる日本にっぽんサイレント映画えいが女性じょせい映画えいがである。まえへんへんけて公開こうかいされた。

スタッフ・作品さくひんデータ

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キャスト

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1913ねん 敷島しきしまばん

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渦巻うずまき
監督かんとく 不明ふめい
脚本きゃくほん 不明ふめい
原作げんさく 渡辺わたなべ霞亭かてい
出演しゅつえんしゃ 不明ふめい
製作せいさく会社かいしゃ 敷島しきしま商会しょうかい
配給はいきゅう 敷島しきしま商会しょうかい
公開こうかい 日本の旗 1913ねん11月15にち
製作せいさくこく 日本の旗 日本にっぽん
言語げんご 日本語にほんご
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渦巻うずまき』(うずまき)は、1913ねん大正たいしょう2ねん製作せいさく公開こうかい敷島しきしま商会しょうかい製作せいさく配給はいきゅうによる日本にっぽんサイレント映画えいが女性じょせい映画えいがである。

スタッフ・作品さくひんデータ・キャスト

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1922年版ねんばん

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うずまき
監督かんとく 不明ふめい
脚本きゃくほん 不明ふめい
原作げんさく 渡辺わたなべ霞亭かてい
出演しゅつえんしゃ 不明ふめい
製作せいさく会社かいしゃ 日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえいしょ
配給はいきゅう 日活にっかつ
公開こうかい 日本の旗 1922ねん5がつ20日はつか
製作せいさくこく 日本の旗 日本にっぽん
言語げんご 日本語にほんご
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うずまき』は、1922ねん大正たいしょう11ねん製作せいさく公開こうかい日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえいしょ製作せいさく日活にっかつ配給はいきゅうによる日本にっぽんサイレント映画えいが女性じょせい映画えいがである。

スタッフ・作品さくひんデータ・キャスト

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1932年版ねんばん

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渦巻うずまき
監督かんとく 印南いなみひろし
脚本きゃくほん 山内やまうち英三えいぞう
原作げんさく 渡辺わたなべ霞亭かてい
出演しゅつえんしゃ もり静子しずこ
撮影さつえい 鷲田わしだまこと
製作せいさく会社かいしゃ 新興しんこうキネマ
配給はいきゅう 新興しんこうキネマ
公開こうかい 日本の旗 1932ねん11月10にち
製作せいさくこく 日本の旗 日本にっぽん
言語げんご 日本語にほんご
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渦巻うずまき』(うずまき)は、1932ねん昭和しょうわ7ねん製作せいさく公開こうかい新興しんこうキネマ製作せいさく配給はいきゅうによる日本にっぽんサイレント映画えいが女性じょせい映画えいがである。

スタッフ・作品さくひんデータ

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キャスト

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ビブリオグラフィ

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国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん蔵書ぞうしょ[1]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ただし、作中さくちゅう民法みんぽう説明せつめいには法的ほうてきあやまったものもられる[5]。これについては、霞亭かてい正確せいかく民法みんぽう描写びょうしゃよりも、通俗つうぞく小説しょうせつ読者どくしゃそうに「法律ほうりつ悪用あくようによってくるしむものがいる」あるいは「民法みんぽうあやまった内容ないよう吹聴ふいちょうして人々ひとびとまどわせるものがいる」ことをつたえることを重視じゅうししたという解釈かいしゃくもできる[3]
  2. ^ なお、「渦巻うずまき」というタイトルは複雑ふくざつ人間にんげん関係かんけい比喩ひゆとしてけられたタイトルとみられ、作中さくちゅう別段べつだん渦巻うずまき模様もよう意匠いしょう登場とうじょうするわけではない[7]

出典しゅってん

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  1. ^ a b OPAC NDL 検索けんさく結果けっか国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん、2009ねん12月2にち閲覧えつらん
  2. ^ どうせいひろし 1998, pp. 37–38.
  3. ^ a b c よりゆきまつ瑞生ずいしょう 2018, p. 53.
  4. ^ どうせいひろし 1998, pp. 38–39.
  5. ^ よりゆきまつ瑞生ずいしょう 2018, p. 54.
  6. ^ どうせいひろし 1998, pp. 36–37, 48–49.
  7. ^ どうせいひろし 1998, p. 49.
  8. ^ a b 渡辺わたなべ霞亭かてい日本にっぽん映画えいがデータベース、2009ねん12月2にち閲覧えつらん
  9. ^ 所蔵しょぞう映画えいがフィルム検索けんさくシステム東京とうきょう国立こくりつ近代きんだい美術館びじゅつかんフィルムセンター、2009ねん12月2にち閲覧えつらん
  10. ^ 渡辺わたなべ霞亭かてい青空あおぞら文庫ぶんこ、2009ねん12月2にち閲覧えつらん
  11. ^ 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん、2009ねん12月2にち閲覧えつらん
  12. ^ どうせいひろし 1998, pp. 40–44.
  13. ^ よりゆきまつ瑞生ずいしょう 2018, p. 3.

参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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