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炭化たんかカルシウム

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
炭化たんかカルシウム
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純度じゅんどたかいカルシウムカーバイドは灰白色かいはくしょく
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市販しはんされているカルシウムカーバイドでは、不純物ふじゅんぶつのためにあおみがかった灰白色かいはくしょくとなっている。
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 75-20-7 チェック
PubChem 6352
ChemSpider 6112 チェック
特性とくせい
化学かがくしき CaC2
モル質量しつりょう 64.099 g/mol
外観がいかん 白色はくしょく固体こたい
(不純物ふじゅんぶつ灰色はいいろ場合ばあいゆう
密度みつど 2.22 g/cm3, 固体こたい
融点ゆうてん

2160 ℃

沸点ふってん

2300 ℃

みずへの溶解ようかい 反応はんのう
構造こうぞう
結晶けっしょう構造こうぞう 正方まさかたあきら [1]
空間くうかんぐん D174h, I4/mmm, tI6
はい構造こうぞう 6
ねつ化学かがく
標準ひょうじゅん生成せいせいねつ ΔでるたfHo −63 kJ·mol−1
標準ひょうじゅんモルエントロピー So 70 J·mol−1·K−1
危険きけんせい
NFPA 704
3
3
2
W
関連かんれんする物質ぶっしつ
関連かんれん物質ぶっしつ アセチレン
カルシウムシアナミド
リンカルシウム
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

炭化たんかカルシウム(たんかカルシウム)、別名べつめいカルシウムカーバイド (calcium carbide) は、化学かがくしき CaC2あらわされる化合かごうぶつである。灰色はいいろがかった白色はくしょく固体こたいで、おもアセチレンガスの簡便かんべん発生はっせいげんとして利用りようされる。

燃料ねんりょうよう市販しはんされているカルシウムカーバイドは灰白色かいはくしょく塊状かいじょう固体こたいである。これには不純物ふじゅんぶつとしてリンカルシウム硫黄いおうなどがふくまれている。この不純物ふじゅんぶつ由来ゆらいするホスフィン硫化りゅうか水素すいそのため、市販しはんひんによって発生はっせいしたアセチレンはわずかな不快ふかいしゅうていする。純粋じゅんすい炭化たんかカルシウムは無色むしょく透明とうめい結晶けっしょうである。カルシウムイオン(Ca2+)とアセチリドイオン(C22−)でたされた塩化えんかナトリウムがた結晶けっしょう構造こうぞうをとる。

製造せいぞう[編集へんしゅう]

電気でんきでカーバイドを生成せいせいしているところ

生石灰せいせっかいコークス混合こんごうぶつ電気でんきやく2000℃に加熱かねつすることによってつくられる。反応はんのうしき以下いかしめす。

炭化たんかカルシウムの合成ごうせいには普通ふつう燃料ねんりょう燃焼ねんしょうでは容易よういたっすることができないような高温こうおん必要ひつようとするため、グラファイト電極でんきょくをそなえた電気でんき使つかって反応はんのうおこなう。その工業こうぎょう過程かてい化学かがく分野ぶんやでの産業さんぎょう革命かくめいにおいて重要じゅうよう役割やくわりたした。19世紀せいき以降いこうナイアガラのたきなどでの水力すいりょく発電はつでんによって大量たいりょう電力でんりょく安価あんか供給きょうきゅうされるようになったため、電気でんきだい規模きぼ利用りよう可能かのうになった。

用途ようと[編集へんしゅう]

炭化たんかカルシウムとみず反応はんのうする様子ようす

炭化たんかカルシウムとみず反応はんのうは1862ねんフリードリヒ・ヴェーラーによって見出みいだされた。1グラムの CaC2 からは370ミリリットルアセチレン生成せいせいする。

この反応はんのう溶解ようかいアセチレンの工業こうぎょうてき製造せいぞう応用おうようされており、近代きんだい工業こうぎょうにおける炭化たんかカルシウムのおも用途ようとのひとつである。また伝統でんとうてき照明しょうめい器具きぐであるアセチレンランプは、炭化たんかカルシウムにみず滴下てきかすることによって発生はっせいさせたアセチレンガスを燃焼ねんしょうさせる。

炭化たんかカルシウムは鉄鋼てっこうぎょうにおいても使つかわれ、精錬せいれんによって酸素さんそ硫黄いおうなどの不純物ふじゅんぶつのぞ段階だんかい添加てんかされる。また、しきのトイレようだつ酸化さんかざいとしても使つかわれる。

オランダベルギー伝統でんとうてきあそびである、金属きんぞくせいつつにカーバイドとみずれ、発生はっせいしたガスに点火てんかして大砲たいほうのようなおとをさせる "Carbidschieten" (カーバイド)や、玩具おもちゃ大砲たいほうビッグ・バン・キャノンなど)でももちいられる。

リンカルシウムともに、自然しぜんせい照明しょうめいだん使つかわれる。

また、高温こうおんやく1100°C)で窒素ちっそ反応はんのうさせて、肥料ひりょうとして使つかわれているカルシウムシアナミド合成ごうせいにも使つかわれる。窒素ちっそ分子ぶんしつよ三重みえ結合けつごう化学かがくてき切断せつだんする数少かずすくない方法ほうほうひとつである。

日本にっぽんでのカーバイド製造せいぞう[編集へんしゅう]

さんきょさわ発電はつでんしょ藤山ふじやま常一つねいちぞう

1902ねん明治めいじ35ねん)、宮城みやぎ紡績ぼうせき電灯でんとう藤山ふじやま常一つねいち技師ぎしちょう仙台せんだい郊外こうがいさんきょさわ発電はつでんしょで、日本にっぽんはじめてカルシウムカーバイドの製造せいぞう成功せいこうした。藤山ふじやまはかねてから電気でんきエネルギーの利用りよう関心かんしんがあり、さんきょさわ発電はつでんしょ発電はつでんされる電力でんりょく利用りようしてカーバイドを製造せいぞうしたのち同年どうねん4がつに「さんきょさわカーバイト製造せいぞうしょ」が設立せつりつされた[2]藤山ふじやまさんきょさわほか全国ぜんこく4箇所かしょ工場こうじょう設立せつりつしたのち、1907ねん明治めいじ40ねん)に野口のぐちとともに日本にっぽんカーバイド商会しょうかい設立せつりつしている。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Massalimov, I. A.; Kireeva, M. S.; Sangalov, Yu. A. (2002). Inorganic Materials 38 (4): 363. doi:10.1023/A:1015105922260. 
  2. ^ 「三居沢発電所考」『仙台せんだい郷土きょうど研究けんきゅう 復刊ふっかんだい25かん2ごう-特集とくしゅう 仙台せんだい開府かいふ400ねん論考ろんこう通巻つうかん261ごう p.48

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]