無む可動かどう実じつ銃じゅう

無む可動かどう実じつ銃じゅう（むかどうじつじゅう）は、銃じゅうから実弾じつだん発射はっしゃ機能きのうを排除はいじょし、研究けんきゅうや鑑賞かんしょう用ように加工かこうした装飾そうしょく品ひんの実じつ銃じゅうである。

概要がいよう

実じつ銃じゅうそのものをコレクションする場合ばあい、銃じゅう規制きせいの厳きびしい国くににおいては銃じゅうそのものの所持しょじが困難こんなんであるほか、許可きょか制せいに基もとづいて所持しょじする場合ばあいでも銃じゅう種しゅの制約せいやくを受うけるために好このみの銃じゅうを選択せんたくすることは非常ひじょうに困難こんなんであり、軍用ぐんよう銃じゅうを所持しょじすることはほぼ不可能ふかのうである。
そのため実じつ銃じゅうを「法的ほうてきに銃じゅうではない状態じょうたい」にまで内部ないぶの実弾じつだん発射はっしゃ機構きこうを破壊はかいすることによって、無む可動かどう実じつ銃じゅうとして合法ごうほう的てきに実じつ銃じゅうを輸入ゆにゅうし、保有ほゆうすることが行おこなわれる。

所有しょゆう者しゃへの免許めんきょ・許可きょか制せいにより所持しょじすることが出来できる銃じゅう（日本にっぽんにおける猟銃りょうじゅうなど）と異ことなり、発砲はっぽうすることはもちろん、銃じゅうの発砲はっぽう機構きこうのうち槓桿や遊ゆう底そこなど、可動かどうする部分ぶぶんがまったくない場合ばあいが多おおく、動うごくとしてもごくわずかに限かぎられる。しかし法的ほうてきな制約せいやくを受うけないため、保有ほゆう数量すうりょうに制限せいげんがないほか、拳銃けんじゅうや短たん機関きかん銃じゅう、アサルトライフルなどの民間みんかんでは所持しょじできない銃じゅうはもちろん、対戦たいせん車しゃ銃じゅうや軽けい機関きかん銃じゅう、重じゅう機関きかん銃じゅうでさえも保有ほゆうすることが可能かのうであり、なおかつ壁かべに掛かけたり棚たなに置おくといった鑑賞かんしょうのための保管ほかんをすることができるメリットがある。さらにはエアソフトガンのような玩具おもちゃと異ことなり実じつ銃じゅうであるため、銃じゅう本来ほんらいの感触かんしょくを楽たのしめ、外装がいそうに限かぎれば本物ほんものの銃じゅうの手入ていれを味あじわうことも可能かのうである。ちなみに重量じゅうりょうは加工かこう内容ないようにより大幅おおはばに異ことなる場合ばあいがある。

過去かこにおいて無む可動かどう実じつ銃じゅうとして輸入ゆにゅうされた物ものが再さい加工かこうにより銃じゅうとしての機能きのうを回復かいふくし違法いほうに所持しょじされ摘発てきはつされた例れいがあり、その加工かこう基準きじゅんは年としを追おって厳きびしく見直みなおされ、観賞かんしょう用ようとかけ離はなれた加工かこう内容ないようとなっている。

日本にっぽんにおける無む可動かどう実じつ銃じゅう

実じつ銃じゅうの所持しょじが銃刀じゅうとう法ほうで厳きびしく規制きせいされている日本にっぽんにおいて、公安こうあん委員いいん会かいの所持しょじ許可きょかを得えずに合法ごうほう的てきに実じつ銃じゅうを所持しょじするためには発射はっしゃ機能きのうのある実じつ銃じゅうを加工かこうして無む可動かどう実じつ銃じゅうとする必要ひつようがある。加工かこうは主おもに海外かいがいで行おこなわれ、加工かこう基準きじゅんの絶対ぜったい要項ようこうとしては以下いかの項目こうもくが含ふくまれる。

• 銃身じゅうしん内部ないぶに鉄てつ製せいの棒ぼうを挿入そうにゅうし、銃口じゅうこうから薬くすり室しつまで塞ふさがっていて、更さらに溶接ようせつされ絶対ぜったいに抜ぬけないようにする
• 薬くすり室しつ及および銃身じゅうしん、機関きかん部ぶにスリットを入いれる
• 装填そうてんは出来できないように薬くすり室内しつないを溶接ようせつで塞ふさぎ、その加工かこうを外部がいぶから容易よういに確認かくにんできる状態じょうたいにする
• ボルト（撃げき針はり部ぶ）の一部いちぶか半分はんぶんを廃はいし使用しよう不可能ふかのうにする
• 機関きかん部ぶ本体ほんたいは溶接ようせつで固定こてい、切断せつだん等とうの加工かこうを施ほどこし強度きょうどを低下ていかさせる
• 引ひき金がねを除のぞく、トリガー・メカニズムの全すべてを取とり外はずし、それを外部がいぶから容易よういに確認かくにんできるよう開口かいこうする

近年きんねんでは上記じょうきの要項ようこう以外いがいに輸入ゆにゅうの際さいには警察けいさつと税関ぜいかんの立会たちあいの元もと、検査けんさを行おこなう。この検査けんさに合格ごうかくして初はじめて無む可動かどう実じつ銃じゅうとして所有しょゆうできる。

用途ようと

前述ぜんじゅつしたように、無む可動かどう実じつ銃じゅうの主おもな用途ようとは観賞かんしょうや蒐集しゅうしゅう、展示てんじ用ようである。このほかにも、遊戯ゆうぎ銃じゅうメーカーが製品せいひん開発かいはつの際さいに資料しりょうとして用もちいることも珍めずらしくない。無む可動かどう実じつ銃じゅうから採寸さいすんして作つくられた遊戯ゆうぎ銃じゅうには、グリップ等とう、合法ごうほう的てきに所持しょじできる実じつ銃じゅう用ようの部品ぶひんや周辺しゅうへん機器ききを容易よういに取とり付つけることができる。

変かわったところでは、楽器がっきの材料ざいりょうに使つかわれた例れいがある。エスコペターラは無む可動かどう実じつ銃じゅうをベースに作つくられたギターで、武器ぶきと楽器がっきがそれぞれ持もつ象徴しょうちょう性せいを利用りようし、反戦はんせんのメッセージを込こめたものである。

関連かんれん項目こうもく

• 銃じゅう
• 遊戯ゆうぎ銃じゅう
• ラバーダック - 発砲はっぽうを伴ともなわない訓練くんれんに使用しようする無む可動かどう銃じゅう。
• ステージガン - 映画えいが撮影さつえいに使つかわれる小道具こどうぐ。