特別とくべつ代理人だいりにん

特別とくべつ代理人だいりにん（とくべつだいりにん）とは、本来ほんらいの代理人だいりにんが代理だいり権けんを行使こうしすることができない（代理人だいりにんの破産はさんなど）又または不適切ふてきせつな場合ばあい（利益りえき相反あいはん行為こういなど（民法みんぽう第だい826条じょう、民法みんぽう第だい860条じょう））や不ふ存在そんざいな場合ばあい（民事みんじ訴訟そしょう法ほう第だい35条じょう）に、法律ほうりつに基もとづき定さだめられた裁判所さいばんしょに申もうし立たてを行おこない選任せんにんし、本来ほんらいの代理人だいりにんが行おこなう職務しょくむを行おこなう特別とくべつな代理人だいりにんのことをいう（民法みんぽう第だい826条じょう、民法みんぽう第だい860条じょう、民事みんじ訴訟そしょう法ほう第だい35条じょう、民事みんじ訴訟そしょう法ほう第だい37条じょう、民事みんじ執行しっこう法ほう第だい20条じょう、民事みんじ執行しっこう法ほう第だい41条じょう、刑事けいじ訴訟そしょう法ほう第だい29条じょうなど）。

民法みんぽうにおける特別とくべつ代理人だいりにん（未成年みせいねん者しゃ）

親権しんけんを行おこなう父ちち又または母ははとその子ことの利益りえきが相反あいはんする行為こういについては、親権しんけんを行おこなう者ものは、その子このために特別とくべつ代理人だいりにんを選任せんにんすることを家庭かてい裁判所さいばんしょに請求せいきゅうしなければならない（民法みんぽう第だい826条じょう）とされているほか、民法みんぽう上じょうでは嫡出ちゃくしゅつ否認ひにんの訴うったえを行おこなう場合ばあいに親権しんけんを行おこなう母ははがないときは特別とくべつ代理人だいりにんを選任せんにんされることとなっている（民法みんぽう第だい775条じょう）。

民法みんぽうにおける特別とくべつ代理人だいりにん（成年せいねん被ひ後見人こうけんにん）

成年せいねん後見人こうけんにんと成年せいねん被ひ後見人こうけんにんとの利益りえきが相反あいはんする行為こういについては後見こうけん監督かんとく人じんがいる場合ばあいを除のぞきその被ひ後見人こうけんにんのために特別とくべつ代理人だいりにんを選任せんにんすることを家庭かてい裁判所さいばんしょに請求せいきゅうしなければならない（民法みんぽう第だい826条じょう、民法みんぽう第だい860条じょう）とされている。
なお、被ひ保ほ佐さ人じんや被ひ補助ほじょ人じんに関かんして同様どうように利益りえき相反あいはん行為こういを行おこなう場合ばあいには臨時りんじ保ほ佐さ人じん、臨時りんじ補助ほじょ人じんを選任せんにんすることなるが、職務しょくむ内容ないようは特別とくべつ代理人だいりにんとほぼ変かわらない。

民事みんじ訴訟そしょうにおける特別とくべつ代理人だいりにん

法定ほうてい代理人だいりにんがない場合ばあい又または法定ほうてい代理人だいりにんが代理だいり権けんを行おこなうことができない場合ばあいにおいて、未成年みせいねん者しゃ又または成年せいねん被ひ後見人こうけんにんに対たいし訴訟そしょう行為こういをしようとする者ものは、遅滞ちたいのため損害そんがいを受うけるおそれがあることを疎うと明あきらして、受訴裁判所さいばんしょの裁判さいばん長ちょうに特別とくべつ代理人だいりにんの選任せんにんを申もうし立たてることができる（民事みんじ訴訟そしょう法ほう第だい35条じょう）。 また、民事みんじ訴訟そしょう法ほうにおける法定ほうてい代理だいり及および法定ほうてい代理人だいりにんに関かんする規定きていは、法人ほうじんの代表だいひょう者しゃ及および法人ほうじんでない社団しゃだん又または財団ざいだんでその名なにおいて訴うったえ、又または訴うったえられることができるものの代表だいひょう者しゃ又または管理人かんりにんについて準用じゅんようする（民事みんじ訴訟そしょう法ほう第だい37条じょう）ため、同様どうようの理由りゆうで特別とくべつ代理人だいりにんの選任せんにんを申もうし立たてることができる。

民事みんじ執行しっこうにおける特別とくべつ代理人だいりにん

民事みんじ執行しっこうの手続てつづきに関かんしては民事みんじ訴訟そしょう法ほうの規定きていが準用じゅんようされる（民事みんじ執行しっこう法ほう第だい20条じょう）ため民事みんじ訴訟そしょう法ほう第だい35条じょう及および民事みんじ訴訟そしょう法ほう第だい37条じょうと同様どうようの理由りゆうで特別とくべつ代理人だいりにんを選任せんにんする。また民事みんじ執行しっこう法ほう第だい41条じょうでは債務さいむ者しゃの相続そうぞく人じんの存在そんざいが明あきらかでないとき（相続そうぞく人じんの不ふ存在そんざい）又またはその所在しょざいが明あきらかでないとき（不在ふざい者しゃ）に相続そうぞく財産ざいさん又または相続そうぞく人じんのために特別とくべつ代理人だいりにんを選任せんにんする規定きていを設もうけている。

刑事けいじ訴訟そしょうにおける特別とくべつ代理人だいりにん

刑事けいじ訴訟そしょうにおいて、被告人ひこくにん（被疑ひぎ者しゃ）の訴訟そしょう行為こういを代表だいひょう、又または代理だいりする者もの（刑事けいじ訴訟そしょう法ほう第だい27条じょう、刑事けいじ訴訟そしょう法ほう第だい28条じょう）がいない場合ばあい、検察官けんさつかん（司法しほう警察けいさつ員いん又または利害りがい関係かんけい人じん）の請求せいきゅう又または裁判所さいばんしょの職権しょっけんにより、特別とくべつ代理人だいりにんが選任せんにんされなければならないことになっている（刑事けいじ訴訟そしょう法ほう第だい29条じょう1項こう、2項こう）。選任せんにんされた特別とくべつ代理人だいりにんは、被告人ひこくにん又または被疑ひぎ者しゃを代表だいひょうし又または代理だいりして訴訟そしょう行為こういをする者ものができるまで、その任務にんむを行おこなう。