成年せいねん後見こうけん制度せいど

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成年せいねん後見こうけん制度せいど(せいねんこうけんせいど)とは、広義こうぎには日本にっぽんにおける意思いし決定けってい支援しえん法制ほうせいをいう。ひと自然人しぜんじん)の意思いし能力のうりょくひく状態じょうたいがある程度ていど期間きかんつづいている場合ばあいに、本人ほんにん判断はんだんものおぎなうことによって、本人ほんにん法律ほうりつてき支援しえんするための制度せいどをいう[1]1999ねん民法みんぽう改正かいせい従来じゅうらい禁治産きんじさん制度せいどわって制定せいていされ、2000ねん4がつ1にち施行しこうされた。民法みんぽうもとづく法定ほうてい後見こうけんと、任意にんい後見こうけん契約けいやくかんする法律ほうりつもとづく任意にんい後見こうけんとがある。広義こうぎ成年せいねん後見こうけん制度せいどには任意にんい後見こうけんふく[1]

狭義きょうぎには法定ほうてい後見こうけんのみを[1]法定ほうてい後見こうけん民法みんぽう規定きていしたがい、意思いし能力のうりょく十分じゅうぶんでないもの行為こうい能力のうりょく制限せいげんし(代理だいりけん付与ふよのみがおこなわれている補助ほじょ場合ばあいのぞく)、そのもの保護ほごするとともに取引とりひき円滑えんかつはか制度せいどをいう[1]

さい狭義きょうぎには法定ほうてい後見こうけん後見こうけん補助ほじょ)の3類型るいけいのうち民法みんぽう親族しんぞくへんだい5しょう後見こうけん」に規定きていされる類型るいけいのみを[2]

後見こうけんには成年せいねん後見こうけんのほか未成年みせいねん後見こうけんもある。未成年みせいねん後見こうけんについては「未成年みせいねん後見人こうけんにん」と「後見こうけん」のこう参照さんしょう後述こうじゅつ未成年みせいねんしゃについても成年せいねん後見こうけん適用てきよう排除はいじょされていない[1]。これは成年せいねんちかくなった未成年みせいねんしゃ知的ちてき障害しょうがいしゃ成年せいねんたっする場合ばあいには法定ほうてい代理人だいりにんがいなくなってしまうことから、そのときそなえて申請しんせいおこな必要ひつようがあるためである[3]詳細しょうさい後述こうじゅつ)。

  • 民法みんぽうについて以下いかでは、じょうすうのみ記載きさいする。

成年せいねん後見こうけん制度せいど発足ほっそく経緯けいい[編集へんしゅう]

ほん制度せいどドイツ世話せわほうイギリス持続じぞくてき代理だいりけん授与じゅよほう参考さんこうにして2000ねん4がつ旧来きゅうらい禁治産きんじさんじゅん禁治産きんじさん制度せいどにかわってもうけられた。

従来じゅうらい禁治産きんじさんじゅん禁治産きんじさん制度せいどには、差別さべつてきであるなどの批判ひはん後述こうじゅつ)がおおかった。こうしたなか1995ねん法務省ほうむしょううち成年せいねん後見こうけん問題もんだい研究けんきゅうかい発足ほっそくして以来いらい成年せいねん後見こうけん制度せいど導入どうにゅう検討けんとうかさねられてきたが従来じゅうらい制度せいどへの批判ひはんとともに、制度せいど導入どうにゅう時期じき決定けってい契機けいきとなったのが介護かいご保険ほけん制度せいど発足ほっそくである。

福祉ふくしサービスの利用りようにあたって、行政ぎょうせい処分しょぶんである措置そち制度せいどから受益じゅえきしゃ意思いし決定けってい尊重そんちょうできる契約けいやく制度せいどへと移行いこう検討けんとうされていた(いわゆる「措置そちから契約けいやくへ」)。高齢こうれいしゃ介護かいごサービスについては2000ねんから介護かいご保険ほけん制度せいどした利用りようしゃとサービス提供ていきょう事業じぎょうしゃあいだ契約けいやくによるものとされることとなったが、認知にんちしょう高齢こうれいしゃ契約けいやく当事とうじしゃとしての能力のうりょく欠如けつじょしていることから契約けいやくという法律ほうりつ行為こうい支援しえんする方策ほうさく制定せいてい急務きゅうむであった[ちゅう 1]

厚生こうせい労働省ろうどうしょうにおける介護かいご保険ほけんほう制定せいてい準備じゅんび並行へいこうして法務省ほうむしょう1999ねんだい145かい通常つうじょう国会こっかい成年せいねん後見こうけん関連かんれん4法案ほうあん[ちゅう 2]提出ていしゅつ、1999ねん12月にだい146かい通常つうじょう国会こっかいにおいて成立せいりつした。そのせい省令しょうれい制定せいていて2000ねん4がつ1にち介護かいご保険ほけんほう同時どうじ施行しこうされることとなったのである。

こうした経緯けいいから、介護かいご保険ほけん制度せいど成年せいねん後見こうけん制度せいどはしばしば「くるま両輪りょうりん」といわれる[ちゅう 3]。もっとも、政府せいふ介護かいご保険ほけん制度せいど成立せいりついそいだ結果けっかとして、成年せいねん後見こうけん制度せいど充分じゅうぶん審議しんぎがされないまま従来じゅうらい禁治産きんじさん制度せいど規定きていすくなからず移行いこうさせたため、本来ほんらい理念りねんとはことなる規定きてい残存ざんそんすることになった(後述こうじゅつ#欠格けっかく事由じゆう#選挙せんきょけんひとし)。

制度せいどじょう名称めいしょうには「成年せいねん」がふくまれているが、未成年みせいねん知的ちてき障害しょうがいしゃ成年せいねんたっして未成年みせいねん後見こうけん終了しゅうりょうする場合ばあい法定ほうてい代理人だいりにんがいなくなることをふせぐため、未成年みせいねんしゃ段階だんかいでも成年せいねん後見こうけん対象たいしょうとなりうる[4]民法みんぽう7じょう11じょう本文ほんぶん15じょう1こう本文ほんぶん請求せいきゅうけんしゃ未成年みせいねん後見人こうけんにん未成年みせいねん後見こうけん監督かんとくじんがある。

最高裁判所さいこうさいばんしょは2000ねん制度せいど施行しこう当初とうしょから、成年せいねん後見こうけん事件じけんかんする統計とうけい公表こうひょうしている[5]

禁治産きんじさんじゅん禁治産きんじさん制度せいどへの批判ひはん[編集へんしゅう]

  • 制度せいどつくられたのは明治めいじ大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう時代じだいであり、本人ほんにん保護ほご家財かざいさん保護ほご強調きょうちょうされても本人ほんにん自己じこ決定けっていけん尊重そんちょう身上しんじょう配慮はいりょなど、本人ほんにん基本きほんてき人権じんけんは、かならずしも重視じゅうしされていなかった。
  • 禁治産きんじさんという用語ようごは「(いえの)財産ざいさんおさめることをきんず」というち、いえ制度せいど廃止はいしされた日本国にっぽんこく憲法けんぽうしたでの民法みんぽう親族しんぞく相続そうぞくほう)に合致がっちしない。また、国家こっか権力けんりょくにより私有しゆう財産ざいさん処分しょぶんきんぜられ、無能力むのうりょくしゃとされること、また禁治産きんじさんじゅん禁治産きんじさん戸籍こせき記載きさいされることが、人格じんかくてき否定ひていとう差別さべつてき印象いんしょうあたえがちであった。これらにより、禁治産きんじさん制度せいど利用りよう抵抗ていこうしめされやすかった。
  • 裁判所さいばんしょ受理じゅり件数けんすうすくなく処理しょり定型ていけいしていなかったこともあり、鑑定かんていける医師いしすくなく、時間じかんとコストの負担ふたんすくなくなかった。
  • 比較的ひかくてき軽度けいど判断はんだん能力のうりょく低下ていか場合ばあいであっても、一律いちりつ行為こうい能力のうりょく制限せいげんするじゅん禁治産者きんちさんしゃ宣告せんこくけることになるため、制限せいげん過剰かじょうである場合ばあいがあった。とく浪費ろうひしゃ場合ばあい裁判所さいばんしょ運用うんようによって、鑑定かんていなしでじゅん禁治産きんじさん宣告せんこくおこなうなど、やや無理むり目立めだっていた。
  • 配偶はいぐうしゃがいる場合ばあいに、法律ほうりつじょう当然とうぜん配偶はいぐうしゃ後見人こうけんにんとなるむね規定きていがあり(改正かいせいまえの840じょう)、実情じつじょうそくした弾力だんりょくてき運用うんよう困難こんなんであった。
  • じん取消とりけしけんについて、法律ほうりつ明文めいぶん規定きていいていたため、その行使こうし可否かひについて解釈かいしゃくじょうあらそいがあった。

禁治産きんじさんじゅん禁治産きんじさん制度せいどとの相違そういてん[編集へんしゅう]

  • 身上しんじょう配慮はいりょ義務ぎむ明文化めいぶんか民法みんぽう858じょう民法みんぽう876じょうの5民法みんぽう876じょうの10)。
  • 本人ほんにん保護ほごと、自己じこ決定けっていけん尊重そんちょうとの調和ちょうわをより重視じゅうし
  • 禁治産きんじさんという用語ようご廃止はいし
  • 戸籍こせきへの記載きさい廃止はいしわりに後見こうけん登記とうき制度せいど新設しんせつ
  • 補助ほじょ」の新設しんせつ旧来きゅうらい禁治産きんじさん後見こうけんじゅん禁治産きんじさんおおむにあたる)。
  • じゅん禁治産きんじさん事由じゆうふくまれていた「浪費ろうひしゃ」を、後見こうけん制度せいど対象たいしょうから除外じょがい
  • にち用品ようひん購入こうにゅうその日常にちじょう生活せいかつかんする行為こうい」を取消とりけしうる行為こういから除外じょがい
  • 鑑定かんていしょ書式しょしき専門医せんもんいけに配布はいふすることなどにより、鑑定かんてい定型ていけい迅速じんそく[6][7]
  • 配偶はいぐうしゃ当然とうぜん後見人こうけんにんじんとなるという規定きてい削除さくじょ
  • 複数ふくすう成年せいねん後見人こうけんにんじん補助ほじょじん)、法人ほうじん後見こうけん導入どうにゅう。なお、後見人こうけんにんじん補助ほじょじん)が複数ふくすう選任せんにんされている場合ばあい第三者だいさんしゃ意思いし表示ひょうじはそのうちの一人ひとりたいしてすればりる(民法みんぽう859じょうの2)。
  • じん補助ほじょじん取消とりけしけん明文化めいぶんか

法定ほうてい後見こうけん[編集へんしゅう]

法定ほうてい後見こうけんは、本人ほんにん判断はんだん能力のうりょく不十分ふじゅうぶんになった場合ばあい家庭かてい裁判所さいばんしょ審判しんぱんにより後見人こうけんにんじん補助ほじょじん)が決定けっていされ開始かいしするものである。本人ほんにん判断はんだん能力のうりょく程度ていどおうじて後見こうけん補助ほじょの3類型るいけいがある。

根拠こんきょほう[編集へんしゅう]

制度せいど民法みんぽうもとづく。実際じっさい手続てつづき家事かじ事件じけん手続てつづきほうおよび家事かじ事件じけん手続てつづき規則きそくもとづき、家庭かてい裁判所さいばんしょおこなう。後見こうけん登記とうき[8]は、後見こうけん登記とうきとうかんする法律ほうりつによる。市区しく町村ちょうそんちょう申立もうしたて根拠こんきょ老人ろうじん福祉ふくしほう知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくしほう精神せいしん保健ほけんおよ精神せいしん障害しょうがいしゃ福祉ふくしかんする法律ほうりつ精神せいしん保健ほけん福祉ふくしほう)である。

3類型るいけい[編集へんしゅう]

成年せいねん後見こうけん[編集へんしゅう]

  • 後見こうけん開始かいし審判しんぱん
    • 精神せいしんじょう障害しょうがいにより判断はんだん能力のうりょくを「つねきょうにある」しゃ対象たいしょうとする(7じょう)。なお、未成年みせいねんしゃ知的ちてき障害しょうがいしゃ成年せいねんたっする場合ばあいには法定ほうてい代理人だいりにん親権しんけんしゃあるいは未成年みせいねん後見人こうけんにん)がいなくなってしまうことから、そのときそなえて申請しんせいおこな必要ひつようがある場合ばあいもあるため後見こうけん開始かいし審判しんぱん対象たいしょうには未成年みせいねんしゃふくまれるてん注意ちゅういようする[3]
    • 後見こうけん開始かいし審判しんぱん請求せいきゅうけんしゃ本人ほんにん配偶はいぐうしゃ、4親等しんとうない親族しんぞく未成年みせいねん後見人こうけんにん未成年みせいねん後見こうけん監督かんとくじんじん監督かんとくじん補助ほじょじん補助ほじょ監督かんとくじんまたは検察官けんさつかんである(7じょう)。なお市町村しちょうそんちょうも65さい以上いじょうもの知的ちてき障害しょうがいしゃ精神せいしん障害しょうがいしゃにつきその福祉ふくしはかるためとく必要ひつようがあるとみとめるときは後見こうけん開始かいし審判しんぱん請求せいきゅうすることができることとされている(老人ろうじん福祉ふくしほう32じょう知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくしほう28じょう精神せいしん保健ほけんおよ精神せいしん障害しょうがいしゃ福祉ふくしかんする法律ほうりつ51じょうの11の2)。
    • 家庭かてい裁判所さいばんしょ後見こうけん開始かいし審判しんぱんにより後見人こうけんにんすとの審判しんぱんけたもの成年せいねん後見人こうけんにん本人ほんにんわって法律ほうりつ行為こういおこなものとして選任せんにんされたもの成年せいねん後見人こうけんにんとよぶ(8じょう)。
    • 家庭かてい裁判所さいばんしょ後見こうけん開始かいし審判しんぱんをするときは職権しょっけん成年せいねん後見人こうけんにん選任せんにんする(843じょう1こう)。成年せいねん後見人こうけんにんについては複数ふくすうもの選任せんにんされることがある(843じょう3こう859じょうの2)。また、法人ほうじん成年せいねん後見人こうけんにんとなることもある(843じょう4こう)。後見こうけん開始かいし審判しんぱんについては請求せいきゅうけんしゃ請求せいきゅうもとづいてなされるが、成年せいねん後見人こうけんにん選任せんにん家庭かてい裁判所さいばんしょ職権しょっけんによる。
  • 成年せいねん後見人こうけんにん権能けんのう成年せいねん後見人こうけんにん法律ほうりつ行為こうい
成年せいねん後見人こうけんにん成年せいねん後見人こうけんにんについて広範こうはん代理だいりけん859じょう1こう)と取消とりけしけん120じょう1こう)、財産ざいさん管理かんりけん859じょう)、療養りょうよう看護かんご義務ぎむ858じょう)をもつ。なお、成年せいねん後見人こうけんにん成年せいねん後見人こうけんにんわってその居住きょじゅうよう建物たてもの敷地しきちについて、売却ばいきゃく賃貸ちんたい賃貸借ちんたいしゃく解除かいじょまた抵当ていとうけん設定せっていそのこれらにじゅんずる処分しょぶんをするには、家庭かてい裁判所さいばんしょ許可きょかなければならない(859じょうの3)。
成年せいねん後見人こうけんにん権限けんげん
権限けんげん 内容ないよう
代理だいりけん 成年せいねん後見人こうけんにんは、成年せいねん後見人こうけんにん財産ざいさん管理かんりかんするすべての法律ほうりつ行為こういについて代理だいりけんゆうする(859じょう1こう[9]身分みぶんほうじょう行為こうい治療ちりょう行為こういなどの事実じじつ行為こういかんする同意どういなど、本人ほんにん意思いしのみによってめるべき(一身いっしん専属せんぞくまと事項じこうについても代理だいりけん行使こうしできない(遺言ゆいごんにつき962じょう婚姻こんいんにつき738じょうなど)。なお、後見人こうけんにん後見人こうけんにん養子ようしとするには、家庭かてい裁判所さいばんしょ許可きょかなければならない(794じょう)。
取消とりけしけん追認ついにんけん 取消とりけしけん - 成年せいねん後見人こうけんにん法律ほうりつ行為こういは、にち用品ようひん購入こうにゅうその日常にちじょう生活せいかつかんする行為こういのぞき、すことができる(9じょう)。成年せいねん後見人こうけんにん法定ほうてい代理人だいりにんであり、成年せいねん後見人こうけんにん日常にちじょう生活せいかつかんする行為こういのぞき、取消とりけしけんゆうする(120じょう1こう[9]
追認ついにんけん - すことができる行為こういは、成年せいねん後見人こうけんにん追認ついにんしたときは、以後いごすことができない(122じょう)。
なお、成年せいねん後見人こうけんにんにはじん補助ほじょじんとはことなり同意どういけんみとめられていないとするのが通説つうせつである[9][10]成年せいねん後見人こうけんにん精神せいしんじょう障害しょうがいにより判断はんだん能力のうりょくつねきょうにある(7じょう)ため、成年せいねん後見人こうけんにんあらかじ同意どういをしていても同意どうい直後ちょくご成年せいねん後見人こうけんにん判断はんだん能力のうりょくうしなってしまうおそれがあるためである[9][11]。したがって、成年せいねん後見人こうけんにんには同意どういけんがないので成年せいねん後見人こうけんにん行為こういについては成年せいねん後見人こうけんにん同意どういした行為こういであってもしうる[11]成年せいねん後見人こうけんにんとはことなり、未成年みせいねん後見人こうけんにん未成年みせいねんしゃ法定ほうてい代理人だいりにんとして同意どういけんみとめられている(5じょう1こう)。

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  • 開始かいし審判しんぱん
    • 精神せいしんじょう障害しょうがいにより判断はんだん能力のうりょくが「いちじるしく不十分ふじゅうぶんな」しゃ対象たいしょうとする(11じょう本文ほんぶん)。
    • 開始かいし審判しんぱん請求せいきゅうけんしゃ本人ほんにん配偶はいぐうしゃ、4親等しんとうない親族しんぞく後見人こうけんにん未成年みせいねん後見人こうけんにんおよ成年せいねん後見人こうけんにんをいう。10じょう参照さんしょう)、後見こうけん監督かんとくじん未成年みせいねん後見こうけん監督かんとくじんおよ成年せいねん後見こうけん監督かんとくじんをいう。10じょう参照さんしょう)、補助ほじょじん補助ほじょ監督かんとくじんまたは検察官けんさつかんである(11じょう本文ほんぶん)。なお市町村しちょうそんちょうも65さい以上いじょうもの知的ちてき障害しょうがいしゃ精神せいしん障害しょうがいしゃにつきその福祉ふくしはかるためとく必要ひつようがあるとみとめるときは開始かいし審判しんぱん請求せいきゅうすることができることとされている(老人ろうじん福祉ふくしほう32じょう知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくしほう28じょう精神せいしん保健ほけんおよ精神せいしん障害しょうがいしゃ福祉ふくしかんする法律ほうりつ51じょうの11の2)。ただし、精神せいしんじょう障害しょうがいにより判断はんだん能力のうりょくつねきょうにあるものについては7じょうにより後見こうけん開始かいし審判しんぱん請求せいきゅうすべきであるから開始かいし審判しんぱん請求せいきゅうすることはできない(11じょう但書ただしがき)。
    • 家庭かてい裁判所さいばんしょ開始かいし審判しんぱんによりじんすとの審判しんぱんけたものをじん事務じむおこなものとして選任せんにんされたものじんとよぶ(12じょう)。
じん権限けんげん
権限けんげん 内容ないよう
同意どういけん取消とりけしけん追認ついにんけん 同意どういけん - じん民法みんぽう13じょうだい1こうとく重要じゅうようとして列挙れっきょされた法律ほうりつ行為こういおよ家庭かてい裁判所さいばんしょ審判しんぱんじん同意どういなければならないとされた法律ほうりつ行為こういをするには、そのじん同意どういなければならない(13じょう1こう本文ほんぶん・2こう)。ただしにち用品ようひん購入こうにゅうその日常にちじょう生活せいかつかんする行為こうい同意どうい必要ひつようとしない(13じょう1こうただししょ)。
じん同意どういなければならない行為こういについて、じんじん利益りえきがいするおそれがないにもかかわらず同意どういをしないときは、家庭かてい裁判所さいばんしょは、じん請求せいきゅうにより、じん同意どういわる許可きょかあたえることができる(13じょう3こう)。
取消とりけしけん - じん民法みんぽう13じょう所定しょてい行為こういじん同意どういなければならない行為こういであって、じん同意どういまたはこれにわる家庭かてい裁判所さいばんしょ許可きょかないでしたもの)を、すことができる(9じょう[12]じん同意どういけんしゃであり、じん日常にちじょう生活せいかつかんする行為こういのぞき、取消とりけしけんゆうする(120じょう1こう[9]
追認ついにんけん - すことができる行為こういは、じん追認ついにんしたときは、以後いごすことができない(122じょう)。
代理だいりけん
代理だいりけん付与ふよ審判しんぱん
じんには当然とうぜんには代理だいりけんはないが申立もうしたての範囲はんいない家庭かてい裁判所さいばんしょ審判しんぱん代理だいりけん付与ふよ審判しんぱん)があれば代理だいりけん付与ふよされる[12]家庭かてい裁判所さいばんしょは、じんとう請求せいきゅうによって、じんのために特定とくてい法律ほうりつ行為こういについてじん代理だいりけん付与ふよするむね審判しんぱんをすることができる(876じょうの4だい1こう)。ただし、本人ほんにん以外いがいもの請求せいきゅうでこの審判しんぱんをするには本人ほんにん同意どういがなければならない(876じょうの4だい2こう[9]

じん付与ふよされる同意どういけん取消とりけしけん対象たいしょうとなる行為こうい民法みんぽう13じょうだい1こう所定しょていつぎ行為こういである[13]場合ばあいはこれ以外いがい家庭かてい裁判所さいばんしょ審判しんぱん同意どういけん取消とりけしけん対象たいしょうとなる行為こうい範囲はんいひろげることができる(13じょう2こう[9]

民法みんぽう13じょうだい1こう所定しょてい行為こうい
  1. 元本がんぽん領収りょうしゅうし、また利用りようすること。
  2. 借財しゃくざいまた保証ほしょうをすること。
  3. 不動産ふどうさんその重要じゅうよう財産ざいさんかんする権利けんり得喪とくそう目的もくてきとする行為こういをすること。
  4. 訴訟そしょう行為こういをすること[ちゅう 4]
  5. 贈与ぞうよ和解わかいまた仲裁ちゅうさい合意ごういをすること。
  6. 相続そうぞく承認しょうにんしくは放棄ほうきまた遺産いさん分割ぶんかつをすること。
  7. 贈与ぞうよ申込もうしこみを拒絶きょぜつし、遺贈いぞう放棄ほうきし、負担ふたんづけ贈与ぞうよ申込もうしこみを承諾しょうだくし、また負担ふたんづけ遺贈いぞう承認しょうにんすること。
  8. 新築しんちく改築かいちく増築ぞうちくまただい修繕しゅうぜんをすること。
  9. 民法みんぽうだい602じょう短期たんき賃貸借ちんたいしゃく)にさだめる期間きかんえる賃貸借ちんたいしゃくをすること。
  10. ぜん各号かくごうかかげる行為こうい制限せいげん行為こうい能力のうりょくしゃ法定ほうてい代理人だいりにんとしてすること。

後述こうじゅつする補助ほじょじん付与ふよされる同意どういけん取消とりけしけん対象たいしょうとなる行為こういは、この民法みんぽう13じょうだい1こう所定しょてい行為こういのうち必要ひつようおうじてえらんだ一部いちぶ行為こうい家庭かてい裁判所さいばんしょ審判しんぱんけたものが対象たいしょうとなる[14]

補助ほじょ[編集へんしゅう]

  • 補助ほじょ開始かいし審判しんぱん
    • 精神せいしんじょう障害しょうがいにより判断はんだん能力のうりょくが「不十分ふじゅうぶんな」しゃのうち、後見こうけん程度ていどいたらない軽度けいど状態じょうたいにあるもの対象たいしょうとする(15じょう1こう本文ほんぶん)。
    • 補助ほじょ開始かいし審判しんぱん請求せいきゅうけんしゃ本人ほんにん配偶はいぐうしゃ、4親等しんとうない親族しんぞく後見人こうけんにん未成年みせいねん後見人こうけんにんおよ成年せいねん後見人こうけんにんをいう。10じょう参照さんしょう)、後見こうけん監督かんとくじん未成年みせいねん後見こうけん監督かんとくじんおよ成年せいねん後見こうけん監督かんとくじんをいう。10じょう参照さんしょう)、じん監督かんとくじんまたは検察官けんさつかんである(15じょう1こう本文ほんぶん)。なお市町村しちょうそんちょうも65さい以上いじょうもの知的ちてき障害しょうがいしゃ精神せいしん障害しょうがいしゃにつきその福祉ふくしはかるためとく必要ひつようがあるとみとめるときは補助ほじょ開始かいし審判しんぱん請求せいきゅうすることができることとされている(老人ろうじん福祉ふくしほう32じょう知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくしほう28じょう精神せいしん保健ほけんおよ精神せいしん障害しょうがいしゃ福祉ふくしかんする法律ほうりつ51じょうの11の2)。**精神せいしんじょう障害しょうがいにより判断はんだん能力のうりょくつねきょうにあるものおよ精神せいしんじょう障害しょうがいにより判断はんだん能力のうりょくいちじるしく不十分ふじゅうぶんものについては7じょう後見こうけん開始かいし審判しんぱんもしくは11じょう開始かいし審判しんぱん請求せいきゅうすべきであるから補助ほじょ開始かいし審判しんぱん請求せいきゅうすることはできない(15じょう1こう但書ただしがき)。
    • 家庭かてい裁判所さいばんしょ補助ほじょ開始かいし審判しんぱんにより補助ほじょじんすとの審判しんぱんけたものを補助ほじょじん本人ほんにんおこな法律ほうりつ行為こうい補助ほじょするものとして選任せんにんされたもの補助ほじょじんとよぶ(16じょう)。
    • 補助ほじょ事理じりべん識能りょく低下ていか後見こうけん程度ていどいたらない軽度けいど状態じょうたいにあるもの対象たいしょうとしており、自己じこ決定けってい尊重そんちょう観点かんてんから、後見こうけんとはことなり本人ほんにん申立もうしたまた同意どうい審判しんぱん要件ようけんとする(15じょう2こう)。
    • 補助ほじょ開始かいし審判しんぱんにはかならあわせて17じょうだい1こう同意どういけん付与ふよ審判しんぱんあるいは876じょうの9代理だいりけん付与ふよ審判しんぱん一方いっぽうまた双方そうほう審判しんぱんがなされる(15じょう3こう)。補助ほじょじん権能けんのう補助ほじょ開始かいし審判しんぱん基礎きそとしてなされる同意どういけん付与ふよ審判しんぱん代理だいりけん付与ふよ審判しんぱんわせによって内容ないようさだまる。したがって、補助ほじょじん同意どういけん付与ふよ審判しんぱん代理だいりけん付与ふよ審判しんぱん双方そうほうがなされている場合ばあいにはその補助ほじょじんには同意どういけん取消とりけしけん代理だいりけんみとめられ同意どういけん付与ふよ審判しんぱんのみの場合ばあいには同意どういけん取消とりけしけんのみが、代理だいりけん付与ふよ審判しんぱんのみの場合ばあいには代理だいりけんのみがみとめられることになる。ただし、いずれの場合ばあい身分みぶんほうじょう行為こういなど、本人ほんにん意思いしのみによってめるべき(一身いっしん専属せんぞくまと事項じこうについては同意どういけん取消とりけしけん代理だいりけん行使こうしできない。なお、補助ほじょじん補助ほじょじんわってその居住きょじゅうよう建物たてもの敷地しきちについて、売却ばいきゃく賃貸ちんたい賃貸借ちんたいしゃく解除かいじょまた抵当ていとうけん設定せっていそのこれらにじゅんずる処分しょぶんをするには、家庭かてい裁判所さいばんしょ許可きょかなければならない(876じょうの10859じょうの3)。
  • 同意どういけん付与ふよ審判しんぱん
同意どういけん付与ふよ審判しんぱん請求せいきゅうけんしゃ補助ほじょ開始かいし審判しんぱん請求せいきゅうけんしゃまたは補助ほじょじんもしくは補助ほじょ監督かんとくじんである(17じょう1こう)。市町村しちょうそんちょうも65さい以上いじょうもの知的ちてき障害しょうがいしゃ精神せいしん障害しょうがいしゃにつきその福祉ふくしはかるためとく必要ひつようがあるとみとめるときは同意どういけん付与ふよ審判しんぱん請求せいきゅうすることができることとされている(老人ろうじん福祉ふくしほう32じょう知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくしほう28じょう精神せいしん保健ほけんおよ精神せいしん障害しょうがいしゃ福祉ふくしかんする法律ほうりつ51じょうの11の2)。本人ほんにん以外いがいもの請求せいきゅうによる場合ばあい本人ほんにん同意どういがなければならないのは補助ほじょ開始かいし審判しんぱん同様どうようである(17じょう2こう)。補助ほじょじん同意どういけん付与ふよ審判しんぱんがなされている場合ばあいには、補助ほじょじん13じょう1こう列挙れっきょされている行為こうい一部いちぶ法律ほうりつ行為こういについて補助ほじょじん同意どういようする(17じょう1こう)。補助ほじょじん同意どういなければならない行為こういについて、補助ほじょじん補助ほじょじん利益りえきがいするおそれがないにもかかわらず同意どういをしないときは家庭かてい裁判所さいばんしょ補助ほじょじん請求せいきゅうにより補助ほじょじん同意どういわる許可きょかあたえることができる(17じょう3こう)。補助ほじょじん補助ほじょじん同意どういようするとされた法律ほうりつ行為こうい補助ほじょじん同意どういまたはこれにわる家庭かてい裁判所さいばんしょ許可きょかずにった場合ばあいは、当該とうがい法律ほうりつ行為こういすことができる(17じょう4こう)。
  • 代理だいりけん付与ふよ審判しんぱん
代理だいりけん付与ふよ審判しんぱん請求せいきゅうけんしゃ補助ほじょ開始かいし審判しんぱん請求せいきゅうけんしゃまたは補助ほじょじんもしくは補助ほじょ監督かんとくじんである(876じょうの9だい1こう)。市町村しちょうそんちょうも65さい以上いじょうもの知的ちてき障害しょうがいしゃ精神せいしん障害しょうがいしゃにつきその福祉ふくしはかるためとく必要ひつようがあるとみとめるときは代理だいりけん付与ふよ審判しんぱん請求せいきゅうすることができることとされている(老人ろうじん福祉ふくしほう32じょう知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくしほう28じょう精神せいしん保健ほけんおよ精神せいしん障害しょうがいしゃ福祉ふくしかんする法律ほうりつ51じょうの11の2)。補助ほじょじん代理だいりけん付与ふよ審判しんぱんがなされている場合ばあいには、特定とくてい法律ほうりつ行為こういについて補助ほじょじん代理だいりけん付与ふよされる(876じょうの9だい1こう)。ただし、補助ほじょじん本人ほんにん以外いがい請求せいきゅうによるときは本人ほんにん同意どういようする(876じょうの9だい2こう)。
補助ほじょじん権限けんげん
権限けんげん 内容ないよう
同意どういけん取消とりけしけん追認ついにんけん
同意どういけん付与ふよ審判しんぱん
同意どういけん - 同意どういけん付与ふよ審判しんぱんがあった場合ばあいには補助ほじょじん同意どういけんおよ取消とりけしけん追認ついにんけん)があたえられる[15]家庭かてい裁判所さいばんしょは、補助ほじょじんとう請求せいきゅうにより、補助ほじょじん特定とくてい法律ほうりつ行為こういをするにはその補助ほじょじん同意どういなければならないむね審判しんぱんをすることができる。ただし、その審判しんぱんによりその同意どういなければならないものとすることができる行為こういは、じんにつきじん同意どういようするとされている行為こうい一部いちぶかぎる(17じょう1こう)。にち用品ようひん購入こうにゅうその日常にちじょう生活せいかつかんする行為こうい同意どうい必要ひつようとしない。
補助ほじょじん同意どういなければならない行為こういについて、補助ほじょじん補助ほじょじん利益りえきがいするおそれがないにもかかわらず同意どういをしないときは、家庭かてい裁判所さいばんしょは、補助ほじょじん請求せいきゅうにより、補助ほじょじん同意どういわる許可きょかあたえることができる(17じょう3こう)。
取消とりけしけん - 補助ほじょじん同意どういなければならない行為こういであって、補助ほじょじん同意どういまたはこれにわる家庭かてい裁判所さいばんしょ許可きょかないでしたものは、すことができる(4じょう)。補助ほじょじん同意どういけんしゃであり、補助ほじょじん日常にちじょう生活せいかつかんする行為こういのぞき、取消とりけしけんゆうする(120じょう1こう[9]
追認ついにんけん - すことができる行為こういは、補助ほじょじん追認ついにんしたときは、以後いごすことができない(122じょう)。
代理だいりけん
代理だいりけん付与ふよ審判しんぱん
補助ほじょじん当然とうぜんには代理だいりけんはないが申立もうしたての範囲はんいない家庭かてい裁判所さいばんしょ代理だいりけん付与ふよ審判しんぱんがあれば代理だいりけん付与ふよされる[12]家庭かてい裁判所さいばんしょは、補助ほじょじんとう請求せいきゅうによって、補助ほじょじんのために特定とくてい法律ほうりつ行為こういについてじん代理だいりけん付与ふよするむね審判しんぱんをすることができる(876じょうの9だい1こう)。ただし、本人ほんにん以外いがいもの請求せいきゅうでこの審判しんぱんをするには本人ほんにん同意どういがなければならない(876じょうの9だい2こう876じょうの4だい2こう[9]

法定ほうてい後見こうけん開始かいし手続てつづき[編集へんしゅう]

審判しんぱん申立もうした[編集へんしゅう]

  • 判断はんだん能力のうりょく低下ていかした場合ばあい、4親等しんとうない親族しんぞく検察官けんさつかん市区しく町村ちょうそん長等ながら申立もうしたてけんしゃ本人ほんにん住所じゅうしょ家庭かてい裁判所さいばんしょたいして、後見こうけんまたは補助ほじょ開始かいしもうてる。法律ほうりつじょうは、本人ほんにん申立もうしたても可能かのうである。
  • 本人ほんにん財産ざいさん親族しんぞくとう第三者だいさんしゃにより勝手かって処分しょぶんされるおそれがあるひとし必要ひつようがある場合ばあいには裁判所さいばんしょ審判しんぱんるまでのあいだ裁判所さいばんしょ命令めいれいにより、財産ざいさん管理人かんりにんをおくなどの「審判しんぱんまえ保全ほぜん処分しょぶん」がおこなわれる場合ばあいがある。
  • 申立もうしたてのさい申立もうしたてしょ財産ざいさん目録もくろく判断はんだん能力のうりょくかんする医師いし診断しんだんしょひとし書類しょるい提出ていしゅつもとめられる。弁護士べんごしによる代理だいり申立もうしたてや、司法しほう書士しょしによる書類作成しょるいさくせいもみとめられている。ただし申立もうしたてしょなどの書式しょしき定型ていけいされており、申立もうしたてじん手続てつづきについてからない場合ばあい家庭かてい裁判所さいばんしょ職員しょくいん裁判所さいばんしょ書記官しょきかんひとし)の助言じょげんながら書類しょるい作成さくせいすることは可能かのうである。なお、弁護士べんごし司法しほう書士しょし以外いがいもの申立もうしたてしょその裁判所さいばんしょ提出ていしゅつ書類しょるい作成さくせいまたはこれらにかん相談そうだんすることは弁護士べんごしほう司法しほう書士しょしほう禁止きんしされており(弁護士べんごしほうだい72じょう司法しほう書士しょしほうだい73じょう)、裁判所さいばんしょ提出ていしゅつする目的もくてきであることがあきらかな法定ほうてい後見こうけん申立もうしたて書類しょるい添付てんぷする戸籍こせきとう収集しゅうしゅうについても弁護士べんごしおよ司法しほう書士しょし以外いがいのものが業務ぎょうむとしてできない以上いじょう、いわゆる職務しょくむじょう請求せいきゅうでの戸籍こせきとう収集しゅうしゅう取得しゅとく戸籍こせきほう違反いはんともなる。(行政ぎょうせい書士しょし開始かいし申立もうしたてしょそのそれに付随ふずいする書類しょるい違法いほう作成さくせいしたケースで平成へいせい21ねん2がつ9にち札幌さっぽろ地方裁判所ちほうさいばんしょ判決はんけつでは司法しほう書士しょしほう違反いはんにより有罪ゆうざい判決はんけつがでている)。申立もうしたての費用ひようとしては申立もうしたて自体じたいに1,600えんぶん程度ていど収入しゅうにゅう印紙いんし貼付ちょうふ申立もうした類型るいけい組合くみあわとうによってことなる)と裁判所さいばんしょにより若干じゃっかんことなるが、郵便ゆうびん切手きってを4,000えんぶん程度ていど登記とうき費用ひよう4,000えん程度ていど予納よのう必要ひつようとなる。
  • 申立もうしたてが受理じゅりされたのち家庭かてい裁判所さいばんしょ本人ほんにん後見人こうけんにんとう候補者こうほしゃ(いる場合ばあい)の面接めんせつなどによる調査ちょうさおこなう。必要ひつようおうじて家庭かてい裁判所さいばんしょ職員しょくいん家庭かてい裁判所さいばんしょ調査官ちょうさかんひとし)は、裁判所さいばんしょがいでの面接めんせつおこな場合ばあいもある。調査ちょうさ簡略かんりゃくされる場合ばあいもあるが本人ほんにんらないところで勝手かってもうてられるなどの濫用らんようふせぐため、かなら本人ほんにん陳述ちんじゅつかなければならないと規定きていされている。実際じっさいには、調査ちょうさ官等かんとう面談めんだんによって本人ほんにん意向いこう確認かくにんされている。東京とうきょう家裁かさいでは申立もうしたて本人ほんにんおよ後見人こうけんにんとう候補者こうほしゃ同行どうこうさせれば申立もうしたて同時どうじ面接めんせつおこなわれるあつかいになっており(即日そくじつ面接めんせつ)、日程にってい短縮たんしゅくはかられている。

鑑定かんてい[編集へんしゅう]

  • 後見こうけん場合ばあい申立もうしたに、原則げんそくとして、本人ほんにん判断はんだん能力のうりょくについての鑑定かんていおこなわれる。鑑定かんていは、本人ほんにん主治医しゅじいひとしがいれば、まずはその主治医しゅじいとう家庭かてい裁判所さいばんしょから依頼いらいされる。しかし、主治医しゅじいせんもんではない場合ばあいなど、鑑定かんていをすることができない場合ばあいには、せんもん医師いしさが必要ひつようがあり、家庭かてい裁判所さいばんしょ鑑定かんていさが依頼いらいする。鑑定かんてい費用ひようは、東京とうきょう家裁かさいで10まんえん程度ていど横浜よこはま家裁かさいでは5まんえん - 10まんえんとされるが、医師いし設定せっていによる。
  • 後見人こうけんにん精神せいしん鑑定かんてい精神せいしん専門医せんもんい判断はんだん必要ひつようで、費用ひようは10まんえん程度ていどかる。
  • なお、親族しんぞく情報じょうほう診断しんだんしょ内容ないようなどから鑑定かんてい必要ひつようなしと判断はんだんされて鑑定かんてい省略しょうりゃくされる場合ばあいもある[16][17]。いわゆる植物しょくぶつ状態じょうたいにある場合ばあい幼少ようしょうからのおも知的ちてき障害しょうがいしゃ重度じゅうど認知にんちしょうなど、診断しんだんしょなどから状況じょうきょうあきらかで鑑定かんてい省略しょうりゃくされる場合ばあいである。裁判所さいばんしょ統計とうけいによれば、実際じっさい鑑定かんてい実施じっしされるのは1わり程度ていどである[18]

審判しんぱん[編集へんしゅう]

  • 鑑定かんてい結果けっかまえて家庭かてい裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかん家事かじ審判官しんぱんかん)の判断はんだん開始かいし決定けっていまた申立もうしたての却下きゃっか決定けっていおこなわれる。裁判官さいばんかん判断はんだんによって、たとえば後見こうけん開始かいし申立もうしたてであっても本人ほんにん状況じょうきょうおうじて補助ほじょとうもうてた内容ないようよりも能力のうりょく制限せいげんすくない類型るいけい開始かいし決定けっていされることもある。開始かいし決定けっていがされた場合ばあいかなら本人ほんにんにも通知つうちされる。
  • 開始かいし決定けっていがあると裁判所さいばんしょからの嘱託しょくたくによって特別とくべつ登記とうきがされる。法定ほうてい後見こうけん種類しゅるい後見人こうけんにん氏名しめい住所じゅうしょ後見人こうけんにん氏名しめい本籍ほんせき、が東京とうきょう法務局ほうむきょく登記とうきされる。登記とうき事項じこう登記とうき事項じこう証明しょうめいしょ記載きさいされる。この証明しょうめいしょ本人ほんにん後見人こうけんにんとう相続そうぞくじん公務員こうむいん以外いがい交付こうふ請求せいきゅうできないとされ、プライバシー配慮はいりょされている。

成年せいねん後見人こうけんにんとう義務ぎむ[編集へんしゅう]

  • 成年せいねん後見人こうけんにんじん補助ほじょじん意思いし尊重そんちょう義務ぎむ身上しんじょう配慮はいりょ義務ぎむがある[14]
    • 成年せいねん後見人こうけんにんは、成年せいねん後見人こうけんにん生活せいかつ療養りょうよう看護かんご財産ざいさん管理かんり事務じむおこなうにあたり、成年せいねん後見人こうけんにん意思いし尊重そんちょうし、かつ、その心身しんしん状態じょうたいおよ生活せいかつ状況じょうきょう配慮はいりょしなければならない(858じょう)。
    • じん事務じむおこなうにあたっては、じん意思いし尊重そんちょうし、かつ、その心身しんしん状態じょうたいおよ生活せいかつじょうきょう配慮はいりょしなければならない義務ぎむう(876じょうの5だい1こう)。
    • 補助ほじょじん補助ほじょ事務じむおこなうにあたっては、補助ほじょじん意思いし尊重そんちょうし、かつ、その心身しんしん状態じょうたいおよ生活せいかつじょうきょう配慮はいりょしなければならない義務ぎむう(876じょうの10だい1こう876じょうの5だい1こう)。
  • 利益りえき相反あいはん行為こうい
    • 成年せいねん後見人こうけんにん成年せいねん後見人こうけんにんとの利益りえき相反あいはん行為こういについて、成年せいねん後見人こうけんにん成年せいねん後見人こうけんにんのために特別とくべつ代理人だいりにん選任せんにんすることを家庭かてい裁判所さいばんしょ請求せいきゅうしなければならない(860じょう本文ほんぶん826じょう)。ただし、後見こうけん監督かんとくじん後述こうじゅつ)が選任せんにんされている場合ばあいには後見こうけん監督かんとくじんによる(860じょう但書ただしがき)。
    • じんまたはその代理人だいりにんじんとの利益りえき相反あいはん行為こういについて、じん臨時りんじじん選任せんにんすることを家庭かてい裁判所さいばんしょ請求せいきゅうしなければならない(876じょうの2だい3こう本文ほんぶん)。ただし、監督かんとくじん後述こうじゅつ)が選任せんにんされている場合ばあいには監督かんとくじんによる(876じょうの2だい3こう但書ただしがき)。
    • 補助ほじょじんまたはその代理人だいりにん補助ほじょじんとの利益りえき相反あいはん行為こういについて、補助ほじょじん臨時りんじ補助ほじょじん選任せんにんすることを家庭かてい裁判所さいばんしょ請求せいきゅうしなければならない(876じょうの7だい3こう本文ほんぶん)。ただし、補助ほじょ監督かんとくじん後述こうじゅつ)が選任せんにんされている場合ばあいには補助ほじょ監督かんとくじんによる(876じょうの7だい3こう但書ただしがき)。

後見こうけん監督かんとくじんとう[編集へんしゅう]

  • 家庭かてい裁判所さいばんしょ必要ひつようがあるとみとめるときは、成年せいねん後見人こうけんにん、その親族しんぞくもしくは成年せいねん後見人こうけんにん請求せいきゅうまたは職権しょっけんにより後見こうけん監督かんとくじん選任せんにんすることができる(849じょうの2)。後見こうけん監督かんとくじん職務しょくむについては851じょう863じょうひとし規定きていがあり、後見こうけん監督かんとくじん選任せんにんされている場合ばあいにはとくにその同意どういようする場合ばあい864じょう865じょう)がある。
  • 家庭かてい裁判所さいばんしょ必要ひつようがあるとみとめるときは、じん、その親族しんぞくもしくはじん請求せいきゅうまたは職権しょっけんにより監督かんとくじん選任せんにんすることができる(876じょうの2だい1こう)。監督かんとくじん職務しょくむ権限けんげんについては後見こうけん監督かんとくじん規定きてい準用じゅんようされる(876じょうの2だい2こう)。
  • 家庭かてい裁判所さいばんしょ必要ひつようがあるとみとめるときは補助ほじょじん、その親族しんぞくもしくは補助ほじょじん請求せいきゅうまたは職権しょっけんにより補助ほじょ監督かんとくじん選任せんにんすることができる(876じょうの8だい1こう)。補助ほじょ監督かんとくじん職務しょくむ権限けんげんについては後見こうけん監督かんとくじん規定きてい準用じゅんようされる(876じょうの8だい2こう)。

報酬ほうしゅう付与ふよ[編集へんしゅう]

後見人こうけんにん報酬ほうしゅうようとする場合ばあいは、家庭かてい裁判所さいばんしょ報酬ほうしゅう付与ふよ申立もうしたてをする必要ひつようがある。報酬ほうしゅうがくは、報酬ほうしゅう付与ふよ申立もうしたてもとづき、裁判所さいばんしょ本人ほんにん財産ざいさん状況じょうきょう事務じむりょう内容ないよう総合そうごうてき勘案かんあんして、報酬ほうしゅうがく決定けっていする。第三者だいさんしゃ専門せんもんしょく弁護士べんごしとう)が後見人こうけんにん就任しゅうにんする場合ばあいなどは、1ねん程度ていど経過けいか申立もうしたてをおこなうことがおおい。成年せいねん後見こうけん監督かんとくじんがついている場合ばあい監督かんとくじん報酬ほうしゅうについても同様どうようである。

法定ほうてい後見こうけん終了しゅうりょう[編集へんしゅう]

  • 審判しんぱん取消とりけしによる終了しゅうりょう
    • 後見こうけん開始かいし審判しんぱん取消とりけし(10じょう
    • 開始かいし審判しんぱん取消とりけし(14じょう
    • 補助ほじょ開始かいし審判しんぱん取消とりけし(18じょう
  • 審判しんぱん相互そうご関係かんけい19じょう
  • 後見人こうけんにんじん補助ほじょじん)の死亡しぼう

任意にんい後見こうけん[編集へんしゅう]

任意にんい後見こうけんは、将来しょうらい後見人こうけんにん候補者こうほしゃ本人ほんにんがあらかじめ選任せんにんしておくものである。法定ほうてい後見こうけん裁判所さいばんしょ審判しんぱんによるものであるのにたいし、任意にんい後見こうけん契約けいやくである。後見人こうけんにん候補者こうほしゃ受任じゅにんしゃ)と本人ほんにん契約けいやく当事とうじしゃである。この契約けいやくは、公正こうせい証書しょうしょによっておこなわれる。

将来しょうらい後見人こうけんにんとなることをけたものを「任意にんい後見こうけん受任じゅにんしゃ」という。任意にんい後見こうけん発効はっこうすると、受任じゅにんしゃは「任意にんい後見人こうけんにん」となる。任意にんい後見人こうけんにん行為こういは、定期ていきてき裁判所さいばんしょ選任せんにんする任意にんい後見こうけん監督かんとくじんにより監督かんとくける。任意にんい後見こうけん監督かんとくじん裁判所さいばんしょ報告ほうこくすることで、国家こっか間接かんせつてき監督かんとくするものである[ちゅう 5]

根拠こんきょほう[編集へんしゅう]

法定ほうてい後見こうけん民法みんぽうじょう制度せいどであるのにたいし、任意にんい後見こうけん民法みんぽう特別とくべつほうである「任意にんい後見こうけん契約けいやくかんする法律ほうりつ」にさだめられた制度せいどである。

優先ゆうせん劣後れつご[編集へんしゅう]

任意にんい後見こうけん契約けいやくは、法定ほうてい後見こうけん優先ゆうせんする。任意にんい後見こうけん契約けいやく締結ていけつされているときに法定ほうてい後見こうけん開始かいし申立もうしたてをしても、原則げんそくとして法定ほうてい後見こうけん開始かいしすることはない(任意にんい後見こうけん契約けいやくかんする法律ほうりつだい10じょう)。成年せいねん後見こうけん理念りねん本人ほんにん意思いし尊重そんちょうであり(858じょう)、本人ほんにん意思いしにより締結ていけつされた契約けいやく国家こっか裁判所さいばんしょ)による行為こういである審判しんぱん優先ゆうせんさせるというかんがえにもとづくものといわれている。

任意にんい後見こうけん契約けいやく発効はっこう[編集へんしゅう]

本人ほんにん判断はんだん能力のうりょく不十分ふじゅうぶんとなった場合ばあい後見こうけん状態じょうたいかぎらない。)に親族しんぞく任意にんい後見こうけん受任じゅにんしゃとう裁判所さいばんしょたいし「任意にんい後見こうけん監督かんとくじん」の選任せんにんもうてる。任意にんい後見こうけん監督かんとくじん選任せんにんがなされたときに、当該とうがい任意にんい後見こうけん契約けいやく発効はっこうする。

任意にんい代理だいりとのちが[編集へんしゅう]

任意にんい後見こうけん契約けいやく後見人こうけんにんつね判断はんだん能力のうりょく状況じょうきょうにある本人ほんにん代理だいりして法律ほうりつ行為こういおこなうことを規定きていして事前じぜん契約けいやくしておくものであるが、通常つうじょう委任いにん契約けいやくことなるのは公正こうせい証書しょうしょによるという要式ようしき契約けいやくであるというてん任意にんい後見こうけん監督かんとくじん後見人こうけんにん監督かんとくするてん、がげられる。

とくに後者こうしゃは、任意にんい代理だいり契約けいやくとの比較ひかくじょう重要じゅうよう差異さいである。任意にんい代理だいりでは本人ほんにん判断はんだん能力のうりょく十分じゅうぶん場合ばあい代理人だいりにん行動こうどう本人ほんにん監督かんとくでき、もし代理人だいりにん行動こうどう権限けんげんえつとう問題もんだいがあれば原則げんそくとしていつでも解除かいじょできる。しかし任意にんい代理だいり契約けいやく発効はっこう本人ほんにん判断はんだん能力のうりょく不十分ふじゅうぶんとなった場合ばあい当然とうぜん本人ほんにんからの監督かんとく期待きたいできないにもかかわらず判断はんだん能力のうりょくくことは委任いにん契約けいやく終了しゅうりょう事由じゆうではないから任意にんい代理だいり契約けいやく継続けいぞくし、代理人だいりにん代理だいりけんゆうするまま監督かんとくしゃ不在ふざい法律ほうりつ行為こういおこなうことができてしまい本人ほんにん保護ほご十分じゅうぶんになされないのである。

任意にんい後見こうけん契約けいやくでは、その発効はっこうのために任意にんい後見こうけん監督かんとくじん選任せんにん必要ひつようである。つまり、本人ほんにん判断はんだん能力のうりょく不十分ふじゅうぶんとなった場合ばあいには裁判所さいばんしょにより選任せんにんされた任意にんい後見こうけん監督かんとくじん後見人こうけんにん監督かんとくするのである。任意にんい後見こうけん監督かんとくじん裁判所さいばんしょ状況じょうきょう報告ほうこくおこなうこともあり、裁判所さいばんしょ間接かんせつてき後見人こうけんにん監督かんとくする。これにより本人ほんにん保護ほごはかられるのである。

法定ほうてい後見こうけんとのちが[編集へんしゅう]

法定ほうてい後見こうけんでは原則げんそくとして本人ほんにん判断はんだん能力のうりょく不十分ふじゅうぶんであることについての鑑定かんてい必要ひつようであるのにたいして、任意にんい後見こうけんでは鑑定かんてい不要ふようである。

任意にんい後見こうけんには、本人ほんにんおこなった行為こうい取消とりけしけんはない。クーリングオフひとしについては、日本にっぽん成年せいねん後見こうけんほう学会がっかいひとし120じょうもとづいて取消とりけしけん行使こうししうるとする意見いけんされている[ちゅう 6]

任意にんい後見こうけん契約けいやく態様たいよう[編集へんしゅう]

任意にんい後見こうけん契約けいやくは、通常つうじょう3種別しゅべつ分類ぶんるいされる。

  • 将来しょうらいがた
  • 移行いこうがた
  • 即効そっこうがた

将来しょうらいがた[編集へんしゅう]

将来しょうらい本人ほんにん判断はんだん能力のうりょく不十分ふじゅうぶんとなったときに任意にんい後見こうけん契約けいやく発効はっこうさせるものである。親族しんぞく受任じゅにんしゃであるとう場合ばあい利用りようされる。

移行いこうがた[編集へんしゅう]

本人ほんにん判断はんだん能力のうりょく十分じゅうぶんあいだ任意にんい代理だいり契約けいやくまたは「見守みまも契約けいやく」)とし、判断はんだん能力のうりょくちた場合ばあい任意にんい代理だいり契約けいやく終了しゅうりょうさせ任意にんい後見こうけん契約けいやく発効はっこうさせるものである。弁護士べんごしとうぎょう契約けいやく関与かんよする場合ばあいにはこの方式ほうしきこのまれる傾向けいこうにある。理由りゆうとしてはいつ判断はんだん能力のうりょくちるか分明ぶんめいであること、任意にんい代理だいり契約けいやく見守みまも契約けいやくあいだ本人ほんにん生活せいかつじょうきょうなど(QOLADL)を把握はあくすることができること、「任意にんい後見こうけん監督かんとくじん選任せんにん申立もうしたて時期じき的確てきかく把握はあくしやすい」ということがげられる。任意にんい代理だいり契約けいやく任意にんい後見こうけん契約けいやく両方りょうほうに、受任じゅにんしゃ義務ぎむとして的確てきかく時期じき監督かんとくじん選任せんにんもうてるという条文じょうぶん挿入そうにゅうされる[19]ぎょう同居どうきょ親族しんぞくことなり、定期ていきてき本人ほんにん状況じょうきょう把握はあくするよう努力どりょくしないと本人ほんにん判断はんだん能力のうりょく低下ていかとう状況じょうきょうについて把握はあくしづらく、結果けっかとして申立もうした時期じきいたずらすごしてしまうこともありうるからである[ちゅう 7]

即効そっこうがた[編集へんしゅう]

任意にんい後見こうけん契約けいやく締結ていけつしたあと、すぐに任意にんい後見こうけん監督かんとくじん選任せんにん申立もうしたてをして任意にんい後見こうけん契約けいやく発効はっこうさせるタイプの契約けいやくである。早期そうき発効はっこうさせたい場合ばあいには利用りようされる。しかし判断はんだん能力のうりょく不十分ふじゅうぶんであるから任意にんい後見こうけん発効はっこうさせるのだから、任意にんい後見こうけん契約けいやく締結ていけつしたときに契約けいやく内容ないよう理解りかいする十分じゅうぶん能力のうりょくがあったのかどうかが問題もんだいとなることもある。

後見人こうけんにん報酬ほうしゅう[編集へんしゅう]

後見人こうけんにん報酬ほうしゅうは、任意にんい後見こうけん契約けいやくにおいて支払しはらいがく方法ほうほうめないかぎりは民法みんぽうだい648じょうもとづき報酬ほうしゅうである。

弁護士べんごしほうとの問題もんだい[編集へんしゅう]

任意にんい後見こうけんかんする業務ぎょうむ見守みまも契約けいやく任意にんい代理だいり契約けいやくふくむ)については司法しほう書士しょしほう施行しこう規則きそく31じょうそなえている司法しほう書士しょし以外いがいものおこな場合ばあい弁護士べんごしほう72じょう違反いはん可能かのうせい指摘してきされている(「成年せいねん後見こうけん制度せいどをめぐるしょ問題もんだい赤沼あかぬま康弘やすひろへんしょ)。

後見こうけんかんする証明しょうめいしょ[編集へんしゅう]

登記とうき事項じこう証明しょうめいしょ
法定ほうてい後見こうけん補助ほじょ発効はっこう、もしくは任意にんい後見こうけん契約けいやく成立せいりつすると裁判所さいばんしょ公証こうしょうじん嘱託しょくたくにより東京とうきょう法務局ほうむきょく後見こうけん登録とうろく後見こうけん登記とうきがされる。その登記とうき事項じこうは、登記とうき事項じこう証明しょうめいしょにより証明しょうめいされる。1つう550えん[ちゅう 8]
登記とうきなきことの証明しょうめいしょ
この証明しょうめいしょは、後見こうけん登記とうきがされていないことを証明しょうめいするものである。法務局ほうむきょく地方ちほう法務局ほうむきょく戸籍こせき東京とうきょう後見こうけん登録とうろく)で発行はっこうされる。従来じゅうらい禁治産者きんちさんしゃじゅん禁治産者きんちさんしゃでないことは、市町村しちょうそん役所やくしょ発行はっこうされる身分みぶん証明しょうめいしょにて破産はさんしゃでないことと一括いっかつ証明しょうめいされていた。2000ねん4がつ以降いこう成年せいねん後見こうけん制度せいどでは、成年せいねん後見人こうけんにんじん補助ほじょじんでないことは登記とうきされていないことの証明しょうめいしょにて証明しょうめいされるようになった。たいして、破産はさんしゃでないことは身分みぶん証明しょうめいしょ証明しょうめいされる。しゅとして、国家こっか資格しかく登録とうろくなどにおいて欠格けっかく事由じゆう該当がいとうしないことの証明しょうめいもちいられる。1つう300えん[ちゅう 8]

精神せいしん保健ほけん福祉ふくしほうとの関係かんけい[編集へんしゅう]

精神せいしん保健ほけん福祉ふくしほうだい20じょうは、後見人こうけんにんまたじん精神せいしん障害しょうがいしゃ保護ほごしゃになるものだい1順位じゅんいとしている[ちゅう 9]。これにより精神せいしん障害しょうがいしゃ後見人こうけんにんおよじん当然とうぜんに「保護ほごしゃ」となり、精神せいしん保健ほけん福祉ふくしほうじょう義務ぎむう。禁治産きんじさん時代じだいじん保護ほごしゃ対象たいしょうからははずされていたが、成年せいねん後見こうけん制度せいど開始かいし同時どうじじん保護ほごしゃ対象たいしょうふくまれた。

職業しょくぎょう後見人こうけんにん単独たんどく後見人こうけんにん就任しゅうにんした場合ばあい実際じっさいには家族かぞく親族しんぞくがいてまわりの世話せわなどをおこなっている場合ばあいでも法律ほうりつじょう職業しょくぎょう後見人こうけんにん当然とうぜん精神せいしん保健ほけん福祉ふくしほうじょう保護ほごしゃとなる。つまり、受療義務ぎむなど保護ほごしゃとしての法的ほうてき義務ぎむ家族かぞく親族しんぞくではなく後見人こうけんにんうことになる。実際じっさいには家族かぞく負担ふたんおもかったことから、保護ほごしゃ規定きてい平成へいせい26ねん4がつ改正かいせいほう施行しこうにより廃止はいしされている。

いっぽう、成年せいねん後見人こうけんにんおよじんは、かつての保護ほごしゃ規定きていでは家族かぞく立場たちばとしてでも保護ほごしゃになることはできず、また保護ほごしゃ規定きてい廃止はいしにおいて、医療いりょう保護ほご入院にゅういんにおける家族かぞくとう同意どういもなしえなかったが、2019ねんほう改正かいせいにより、当該とうがい規定きてい改正かいせいされたことにより、同意どういおこな家族かぞくとうについて精神せいしん機能きのう障害しょうがいにより同意どういまた同意どうい意思いし表示ひょうじ適切てきせつおこなうにたって必要ひつよう認知にんち判断はんだんおよ意思いし疎通そつう適切てきせつおこなうことができるかどうかを精神せいしん病院びょういん管理かんりしゃ個別こべつ確認かくにんすることとなった(れい元年がんねん12がつ6にちさわせいはつ1206だい1ごう)。

法定ほうてい後見こうけん実務じつむ課題かだい[編集へんしゅう]

後見人こうけんにん類型るいけい[編集へんしゅう]

後見人こうけんにんとなるもの2010ねん最高さいこう裁判所さいばんしょ事務じむ総局そうきょく家庭かていきょく編成へんせいねん後見こうけん事件じけん概況がいきょうによれば、同年どうねん選任せんにんけん総数そうすう28,606にんのうち、家族かぞく親族しんぞくやく58.6%の16,758にんであり、残余ざんよ第三者だいさんしゃ後見人こうけんにんであった。第三者だいさんしゃ後見人こうけんにん内訳うちわけ司法しほう書士しょしやく15.6%の4,460にん弁護士べんごしやく10.2%の2,918にん社会しゃかい福祉ふくしやく8.9%の2,553にん法人ほうじん後見人こうけんにん選任せんにんされる法人ほうじん後見こうけんやく3.3%の961にん知人ちじん名義めいぎやく0.5%の140にん、そのやく2.8%で816にんとなっている。親族しんぞくとう選任せんにんるのと反比例はんぴれいして、職業しょくぎょう後見人こうけんにんとして選任せんにんされている司法しほう書士しょし前年ぜんねんやく26.8%の増加ぞうか弁護士べんごし前年ぜんねんやく23.7%の増加ぞうか社会しゃかい福祉ふくし前年ぜんねんやく22.9%の増加ぞうかとなっている。また、法定ほうてい後見こうけんにおいて財産ざいさん管理かんり遺産いさん分割ぶんかつとう法律ほうりつ事務じむ中心ちゅうしん見込みこまれる場合ばあい法律ほうりつしょくが、身上しんじょう監護かんご重視じゅうしすべき事案じあん裁判所さいばんしょ判断はんだんした場合ばあいには、社会しゃかい福祉ふくしとう福祉ふくし専門せんもんしょく選任せんにんされるといわれている。身上しんじょう監護かんご家族かぞく後見人こうけんにん財産ざいさん管理かんり第三者だいさんしゃ後見人こうけんにんになうなど、様々さまざま事情じじょうによって複数ふくすう後見人こうけんにん選任せんにんして役割やくわり分担ぶんたんすることもある。

職業しょくぎょう後見人こうけんにん[編集へんしゅう]

専門せんもんしょく従事じゅうじしゃ(いわゆるぎょう)による第三者だいさんしゃ後見人こうけんにんを、とくに「職業しょくぎょう後見人こうけんにん」とぶことがある。

団体だんたいとして後見人こうけんにん活動かつどうんでいるれいとしては公益社こうえきしゃだん法人ほうじん成年せいねん後見こうけんセンター・リーガルサポート司法しほう書士しょし)、公益社こうえきしゃだん法人ほうじん日本にっぽん社会しゃかい福祉ふくしかい権利けんり擁護ようごセンター・ぱあとなあひとし著名ちょめいである。

公益社こうえきしゃだん法人ほうじん成年せいねん後見こうけんセンター・リーガルサポートはほん制度せいど発足ほっそくまえより、後見こうけん制度せいど先進せんしんこくであるドイツ、英国えいこくとう視察しさつし2000ねん4がつほん制度せいど発足ほっそく以降いこう積極せっきょくてき提言ていげんをしてきたという実績じっせきがある。またどう団体だんたい活躍かつやくもあり司法しほう書士しょし職能しょくのう職業しょくぎょう後見人こうけんにん選任せんにん件数けんすうでは職業しょくぎょう後見人こうけんにんなかでは一番いちばんおおい。

弁護士べんごし弁護士べんごしかい日弁連にちべんれんとしての統一とういつてき実務じつむてきみはなく、日弁連にちべんれんとして提言ていげんをまとめるとう活動かつどうおこなわれるにとどまっている。なお個人こじんてき積極せっきょくてき成年せいねん後見こうけん分野ぶんや活動かつどうする弁護士べんごし存在そんざいし、とう分野ぶんや著名ちょめい中山なかやま基子もとこ弁護士べんごし中心ちゅうしんとした有限ゆうげん責任せきにん中間なかま法人ほうじん2005ねん発足ほっそくしている。

司法しほう書士しょし前述ぜんじゅつとお団体だんたいとしての活動かつどう資格しかくぎょうなかでは一番いちばん積極せっきょくてきえる。社会しゃかい福祉ふくしは、福祉ふくしつうじて後見人こうけんにん身近みぢか存在そんざいであるという実績じっせきがある。これらの3ぎょう後見人こうけんにん関連かんれんする業務ぎょうむおこなってきた実績じっせき能力のうりょく、そのみが評価ひょうかされているため第三者だいさんしゃ後見人こうけんにん職業しょくぎょう後見人こうけんにん就任しゅうにんすうおおくそのほとんどをめている。

後見人こうけんにん就任しゅうにんかく団体だんたいにおいて研修けんしゅうとう修了しゅうりょう候補者こうほしゃとして推薦すいせんされたものがその団体だんたい名簿めいぼ登載とうさいされ、その名簿めいぼ家庭かてい裁判所さいばんしょ提出ていしゅつされ家庭かてい裁判所さいばんしょ受領じゅりょうした名簿めいぼなか候補者こうほしゃたいし、後見人こうけんにん就任しゅうにん打診だしんをするというながれとなっている。しかし、こうした職業しょくぎょう後見人こうけんにんおよびその候補者こうほしゃかず現在げんざいではまだ必要ひつようとされるかずしてすくないといわれている。成年せいねん後見こうけん分野ぶんや積極せっきょくてきんでいる弁護士べんごしかず弁護士べんごし総数そうすうからみればけっしておおくなく、制度せいど発足ほっそくよりこの制度せいど推進すいしんおおきな役割やくわりたしてきた司法しほう書士しょし[ちゅう 10]かず社会しゃかい福祉ふくしかずわせてもかずりないという現状げんじょうがある。

そこで、職能しょくのう団体だんたい積極せっきょくてき後見こうけん業務ぎょうむ参画さんかくはじめ、平成へいせい22ねん8がつ日本にっぽん行政ぎょうせい書士しょしかい連合れんごうかい一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんコスモス成年せいねん後見こうけんサポートセンター設立せつりつし、成年せいねん後見こうけん業務ぎょうむ参画さんかくしているほか税理士ぜいりし全国ぜんこく女性じょせい税理士ぜいりし連盟れんめいひとしによって成年せいねん後見こうけん活動かつどう参画さんかくしているれいがあり、また、埼玉さいたまけんでは社会しゃかい保険ほけん労務ろうむかいなか成年せいねん後見こうけん活動かつどうおこない、研修けんしゅうかいおこなっているが、社会しゃかい保険ほけん労務ろうむ業界ぎょうかい全体ぜんたいとして、制度せいど関心かんしんがあるものすくなく、税理士ぜいりししゃろうはともに実績じっせきとぼしい。なお、専門せんもんしょくのなかで法律ほうりつじょう後見こうけん業務ぎょうむおこなえる規定きてい明文めいぶんゆうするのは弁護士べんごしおよび司法しほう書士しょしのみであり、社会しゃかい福祉ふくし社会しゃかい福祉ふくしおよ介護かいご福祉ふくしほうだい2じょう規定きていによりおも身上しんじょう監護かんごめんから業務ぎょうむおこなえる根拠こんきょゆうし、裁判所さいばんしょもそのように運用うんようしている。しかしながら行政ぎょうせい書士しょし税理士ぜいりししゃろうとうはこれらの業法ぎょうほうではその専門せんもんしょくとして後見こうけん業務ぎょうむおこなうことは法律ほうりつじょうさだめておらず、これら専門せんもんしょくの「ぎょう」としておこなえるわけではない。それぞれの専門せんもんしょくとしての経験けいけんかしつつ一個人いっこじんとしてっているにすぎず、専門せんもん職能しょくのうの「職業しょくぎょう後見人こうけんにんではない。なお、日本にっぽん行政ぎょうせい書士しょしかい連合れんごうかいぎょうとはことなり、高齢こうれい社会しゃかいにおける成年せいねん後見こうけん業務ぎょうむを「ぎょう」とかんがえることはせずに、高齢こうれいしゃさわがいしゃ支援しえん社会しゃかい貢献こうけん活動かつどう一環いっかん位置いちづけて活動かつどうすすめている。

また、職業しょくぎょう後見人こうけんにん不足ふそく解消かいしょう一案いちあんとして平成へいせい24ねん2がつより最高さいこう裁判所さいばんしょ家庭かていきょく主導しゅどうした後見こうけん制度せいど支援しえん信託しんたく制度せいど開始かいしされた。これはある一定いってい財産ざいさん信託しんたく契約けいやくすることで親族しんぞく後見人こうけんにん不正ふせいふせぐことで成年せいねん後見人こうけんにんとう財産ざいさんまもり、比較的ひかくてきおおきな財産ざいさんがある場合ばあいでも親族しんぞく後見人こうけんにん就任しゅうにん可能かのうにすることで後見人こうけんにん候補者こうほしゃ潜在せんざいてきすうやす目的もくてきがあった。どう制度せいど導入どうにゅうさいには日弁連にちべんれん日本にっぽん司法しほう書士しょしかい連合れんごうかい公益社こうえきしゃだん法人ほうじん成年せいねん後見こうけんセンター・リーガルサポート社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん社会しゃかい福祉ふくしかい職業しょくぎょう後見人こうけんにん関連かんれん4団体だんたい最高さいこう裁判所さいばんしょ家庭かていきょくあいだ事前じぜん協議きょうぎすうかいなされた。このことは職業しょくぎょう後見人こうけんにんとして司法しほう書士しょし弁護士べんごし社会しゃかい福祉ふくし選任せんにんすうじゅん)の存在そんざいおおきいことをしめすことになった。

このように、後見こうけん制度せいど支援しえん信託しんたく制度せいど導入どうにゅう弁護士べんごし司法しほう書士しょし社会しゃかい福祉ふくし以外いがいぎょう団体だんたいとう後見人こうけんにん養成ようせいおこなっており、今後こんご増加ぞうかする後見人こうけんにんざら増加ぞうかさせるうごきがえている。

市民しみん後見人こうけんにん[編集へんしゅう]

とはいえ、職業しょくぎょう後見人こうけんにんたいしては月額げつがくおよそ3 - 5まんえん報酬ほうしゅう本人ほんにん財産ざいさんから支払しはら必要ひつようがある。このため成年せいねん後見こうけん制度せいど利用りようすべき状態じょうたいにある高齢こうれいしゃであっても後見人こうけんにんとなるべき家族かぞくとうがおらず、または家族かぞくから財産ざいさん侵害しんがい経済けいざいてき虐待ぎゃくたい)をけているために家族かぞく後見人こうけんにんにするのが相当そうとう場合ばあいなどは一定いってい資力しりょくがないと職業しょくぎょう後見人こうけんにんすることができないという問題もんだいしょうじていた。

こうしたなかで都道府県とどうふけん日本にっぽん成年せいねん後見こうけんほう学会がっかいひとしでは、後見人こうけんにん養成ようせい急務きゅうむであるとかんがえており東京とうきょうでは市民しみん後見人こうけんにん養成ようせい講座こうざ開催かいさいされ、世田谷せたがやでも同様どうようみがおこなわれる予定よていであると発表はっぴょうされている。また、一般いっぱん市民しみんなかにも第三者だいさんしゃ後見人こうけんにんになになるうごきがひろがっている(「市民しみん後見人こうけんにん」)。滋賀しがけん大津おおつ特定とくてい営利えいり活動かつどう法人ほうじん「あさがお」、岐阜ぎふけん多治見たじみの「ひがし成年せいねん後見こうけんセンター」などの民間みんかん機関きかんによる活動かつどうれいがある。しかし、かくぎょう団体だんたい指導しどう監督かんとくけ、つね能力のうりょく向上こうじょうはかっている専門せんもんしょく後見人こうけんにんとはことなり、市民しみん後見人こうけんにん能力のうりょく担保たんぽ具体ぐたいてきにどうはかるのかが課題かだいとされている。

成年せいねん後見人こうけんにん権限けんげん[編集へんしゅう]

成年せいねん後見人こうけんにん権限けんげんとしてみとめられるれいは、預貯金よちょきん解約かいやく株式かぶしき売却ばいきゃく遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎ相続そうぞく手続てつづき、病院びょういん介護かいご施設しせつへの入院にゅういん入所にゅうしょ契約けいやくである。条件じょうけんきながら、介護かいご施設しせつ入所にゅうしょするための自宅じたく売却ばいきゃく自宅じたくえ、財産ざいさんから一定いってい報酬ほうしゅうることもみとめられる。しかし遺言ゆいごん子供こども認知にんちにち用品ようひん購入こうにゅうして返品へんぴんすることはみとめられない。また、成年せいねん後見人こうけんにんにあてた郵便ゆうびんぶつとう成年せいねん後見人こうけんにん転送てんそうすることは、郵便ゆうびんきょく提出ていしゅつする転居てんきょとどけ郵便ゆうびんほうだい35じょう)でおこな場合ばあい成年せいねん後見人こうけんにん成年せいねん後見人こうけんにん同居どうきょしている事実じじつ郵便ゆうびんきょく確認かくにんできない場合ばあいみとめられない。成年せいねん後見人こうけんにん後見こうけん事務じむおこなうために郵便ゆうびんぶつとう転送てんそうをさせる場合ばあいは、家庭かてい裁判所さいばんしょに「成年せいねん後見人こうけんにんてた郵便ゆうびんぶつとう配達はいたつ転送てんそう)の嘱託しょくたく審判しんぱん」(以下いか転送てんそう嘱託しょくたく審判しんぱん」)をもうて、家庭かてい裁判所さいばんしょにより転送てんそう嘱託しょくたく審判しんぱん確定かくていしたのち家庭かてい裁判所さいばんしょから日本にっぽん郵便ゆうびんとうにそのむね通知つうちがされ、6ヶ月かげつえない期間きかん転送てんそうがおこなわれる(家事かじ事件じけん手続てつづきほうだい122じょうだい2こう)。ただし、郵便ゆうびんぶつとう該当がいとうするものは、郵便ゆうびんほうじょうの「郵便ゆうびんぶつまた民間みんかん事業じぎょうしゃによる信書しんしょ送達そうたつかんする法律ほうりつだい2じょうだい3こう規定きていする「信書しんしょ便びんぶつ」のことをす(民法みんぽうだい860じょうの2だい1こう)ため「ゆうパック」とうは「郵便ゆうびんぶつ」に該当がいとうしないことから、転送てんそう対象たいしょうふくまれない。 みとめられるケースにかんしては、いずれも本人ほんにんのためにする必要ひつようがあり、成年せいねん後見人こうけんにん自身じしん本人ほんにん家族かぞくのためにするのは後見人こうけんにん義務ぎむはんするということを理解りかいすべきである。条件じょうけんきでみとめられるケースにかんしては、後見人こうけんにん自分じぶん意思いし表明ひょうめいしにくく、よわ立場たちばにあることに留意りゅういしなければならない。生活せいかつ拠点きょてんである自宅じたく処分しょぶん慎重しんちょうさがもとめられる。みとめられないケースにかんしては、たとえばにち用品ようひんまで介入かいにゅうするのは、本人ほんにん意思いし不当ふとう束縛そくばくするためであり、意思いし尊重そんちょうすることと判断はんだんりょく限界げんかいはかることのバランスが課題かだいとなる。本人ほんにん預貯金よちょきん解約かいやくして株式かぶしき投資とうしすることにかんしては、財産ざいさん管理かんり一環いっかんとして成年せいねん後見人こうけんにん法的ほうてき権限けんげんがあることは否定ひていできないが、2017ねん3がつ時点じてんでは「株式かぶしき投資とうし元本がんぽん保証ほしょうされないので、実際じっさい投資とうししたれいかない」と司法しほう書士しょし大貫おおぬき正男まさおはなしている[20]

成年せいねん後見人こうけんにん法的ほうてき権利けんりかんする問題もんだい[編集へんしゅう]

欠格けっかく事由じゆう[編集へんしゅう]

成年せいねん後見こうけん制度せいど利用りようすること(おおくは成年せいねん後見人こうけんにんまたじんになること)で権利けんり制限せいげんとなっている資格しかく制度せいど(いわゆる欠格けっかく事由じゆう)がおおのこされている。国家こっか公務員こうむいんほう地方ちほう公務員こうむいんほうなどの公務員こうむいん任用にんようにあたっての欠格けっかく事由じゆうとなっているほか、弁護士べんごしほう公認こうにん会計士かいけいしほう警備けいび業法ぎょうほうなど多岐たきにわたる。そしてこのことが、成年せいねん後見こうけん制度せいど利用りよう躊躇ちゅうちょさせる要因よういんひとつになっていると指摘してきされている[21]実際じっさいに、じんとなったことを理由りゆう雇用こよう契約けいやくられたり、公務員こうむいんとしての任用にんよう継続けいぞくできなくなったりするケースがある。2015ねん7がつには、じんとなったことで地方ちほう公務員こうむいん任用にんようられたとして、自治体じちたい相手あいてに、地位ちい確認かくにん損害そんがい賠償ばいしょうもとめる訴訟そしょうきている[22]

このため、成年せいねん後見こうけん制度せいど利用りよう促進そくしんほうおよどうほうもとづく成年せいねん後見こうけん制度せいど利用りよう促進そくしん基本きほん計画けいかくからの指摘してきけ、成年せいねん後見こうけん制度せいど利用りようしていることを理由りゆうとする欠格けっかく条項じょうこうふく法律ほうりつ188ほん一括いっかつ改正かいせいする法案ほうあん成年せいねん後見人こうけんにんとう権利けんり制限せいげんかか措置そち適正てきせいとうはかるための関係かんけい法律ほうりつ整備せいびかんする法律ほうりつあん)がだい196かい国会こっかい提出ていしゅつされ[23]継続けいぞく審議しんぎすえだい198かい国会こっかいにおいて可決かけつ成立せいりつした。これにより欠格けっかく条項じょうこうもうけているかく制度せいどについて、心身しんしん故障こしょうとう状況じょうきょう個別こべつてき実質じっしつてき審査しんさし、かく制度せいどごとに必要ひつよう能力のうりょく有無うむ判断はんだんする規定きてい個別こべつ審査しんさ規定きてい)へと適正てきせいするとともに、所要しょよう手続てつづき規定きてい整備せいびすることとなった。なお会社かいしゃほうおよ一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんおよ一般いっぱん財団ざいだん法人ほうじんかんする法律ほうりつの2ほうについては今後こんご検討けんとうくわ必要ひつよう法制ほうせいじょう措置そちこうずるものとされ(成年せいねん後見人こうけんにんとう権利けんり制限せいげんかか措置そち適正てきせいとうはかるための関係かんけい法律ほうりつ整備せいびかんする法律ほうりつ附則ふそくだい7じょう)、欠格けっかく事由じゆうのこされた。

ほう改正かいせいうごきに先行せんこうして、兵庫ひょうごけん明石あかしでは、成年せいねん後見人こうけんにんまたじん地方ちほう公務員こうむいんくことができない欠格けっかく事由じゆうとなっている地方ちほう公務員こうむいんほう16じょう1ごうおよび28じょう4こうにつき、その例外れいがいさだめる条例じょうれい明石あかし職員しょくいん平等びょうどう任用にんよう機会きかい確保かくほ障害しょうがいしゃ自立じりつ社会しゃかい参加さんか促進そくしんする条例じょうれい)を制定せいていした(2016ねん4がつ施行しこう)。[24]

しかし一方いっぽうで、2022ねん長崎ながさきにおいて、欠格けっかく事由じゆう廃止はいしもとづき、じんになっている女性じょせい職員しょくいんについて、失職しっしょく判決はんけつされたにもかかわらず、欠格けっかく事由じゆう存在そんざいしていた時期じきにまでさかのぼって、理由りゆうけをして失職しっしょくさせていたことがあきらかになっており、当該とうがい女性じょせい職員しょくいん長崎ながさき地方裁判所ちほうさいばんしょ訴訟そしょうこしている[25]

選挙せんきょけん[編集へんしゅう]

成年せいねん後見こうけん制度せいど開始かいし当時とうじ公職こうしょく選挙せんきょほうだい11じょうは、成年せいねん後見人こうけんにん選挙せんきょけん被選挙権ひせんきょけんゆうしないむねさだめていた(上記じょうき類型るいけいのうちの後見こうけんのみがどうじょう対象たいしょうであり、補助ほじょどうじょう対象たいしょうがいである)。この規定きていは、前身ぜんしん禁治産きんじさん制度せいどにおいて禁治産者きんちさんしゃ選挙せんきょけん被選挙権ひせんきょけんゆうしなかったむね規定きていを、従来じゅうらい禁治産者きんちさんしゃ成年せいねん後見人こうけんにん対象たいしょうしゃ一致いっちするもの[ちゅう 11]として成年せいねん後見こうけん制度せいどにおいてもそのままいだものである。禁治産きんじさん時代じだい選挙せんきょけん制限せいげん合憲ごうけんとする見解けんかい通説つうせつであったが[26]在外ざいがい国民こくみん選挙せんきょけん制限せいげん違憲いけんとした2005ねん平成へいせい17ねん)の判決はんけつさいはん平成へいせい17ねん9がつ14にち)で、「国民こくみん選挙せんきょけんまたはその行使こうし制限せいげんすることは原則げんそくとしてゆるされず、国民こくみん選挙せんきょけんまたはその行使こうし制限せいげんするためには、そのような制限せいげんをすることがやむをないとみとめられる事由じゆうがなければない」との見解けんかいしめされたことから、成年せいねん後見こうけん制度せいどが「やむをないとみとめられる事由じゆう」にあたるかどうかの検討けんとう相次あいつぐこととなった。

成年せいねん後見こうけん制度せいど成年せいねん後見人こうけんにん収入しゅうにゅう財産ざいさん契約けいやくを、成年せいねん後見人こうけんにん法定ほうてい代理人だいりにんとして管理かんりすることが目的もくてきであり、日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい15じょうさだめている国民こくみん権利けんりであるはず参政さんせいけんの1つである選挙せんきょけんゆうしないとさだめることは、日本国にっぽんこく憲法けんぽう違反いはんであるという民事みんじ訴訟そしょうが、東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょさいたま地方裁判所ちほうさいばんしょ京都きょうと地方裁判所ちほうさいばんしょ札幌さっぽろ地方裁判所ちほうさいばんしょ提起ていきされた。

2013ねん平成へいせい25ねん)3がつ14にちに、東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょは、「事理じりわきまえ識する能力のうりょくもの選挙せんきょけん付与ふよしないとすることは、立法りっぽう目的もくてきとして合理ごうりせいくものとはいえない」としながらも、そのような目的もくてきのために制度せいど趣旨しゅしまったことにする成年せいねん後見こうけん制度せいど借用しゃくようして成年せいねん後見人こうけんにんから選挙せんきょけん一律いちりつ剥奪はくだつすることは、およそ「やむをない」ものとして許容きょようすることはできない、として、公職こうしょく選挙せんきょほうだい11じょう成年せいねん後見人こうけんにん選挙せんきょけん付与ふよしないむねさだめていることは憲法けんぽう違反いはんであると、知的ちてき障害しょうがいしゃである原告げんこく主張しゅちょうみとめる違憲いけん判決はんけつくだした[27][28][29][30][31]

くに総務そうむしょう)は、判決はんけつ不服ふふくとして東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょ控訴こうそしたが、訴訟そしょう係属けいぞくちゅう2013ねん平成へいせい25ねん5月27にち成年せいねん後見こうけん制度せいど後見人こうけんにんいたものも、選挙せんきょけん一律いちりつみとめる公職こうしょく選挙せんきょほう改正かいせいあんが、国会こっかい成立せいりつ[32]訴訟そしょう同年どうねん7がつ17にち和解わかいによって終了しゅうりょうした。

東京電力とうきょうでんりょくへの賠償ばいしょう請求せいきゅうにおける課題かだい[編集へんしゅう]

認知にんちしょう高齢こうれいしゃなどの意思いし能力のうりょくのないもの不足ふそくするもの(いわゆる賠償ばいしょう弱者じゃくしゃ)が、福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこかか賠償ばいしょう請求せいきゅうをするには成年せいねん後見人こうけんにん選任せんにんするしか方法ほうほうがなく、賠償ばいしょうじゃくしゃ権利けんり擁護ようごはかるべき成年せいねん後見こうけん制度せいどがかえってかべとなり、賠償ばいしょう請求せいきゅうできない事態じたいとなっている。弁護士べんごしなどの専門せんもんしょく認知にんちしょう高齢こうれいしゃ依頼いらい代理だいりすることはけん代理だいり行為こういとなるためできず、通常つうじょう家族かぞくとうけん代理だいり行為こうい東電とうでん請求せいきゅうしょ作成さくせいしているが、身寄みよりのない認知にんちしょう高齢こうれいしゃわって賠償ばいしょう請求せいきゅうするものはいない。

また、認知にんちしょう高齢こうれいしゃなどは度重たびかさなる避難ひなん生活せいかつ健常けんじょうしゃよりストレスや不便ふべんいられることから原子力げんしりょく損害そんがい賠償ばいしょう紛争ふんそう解決かいけつセンター原発げんぱつADR)や裁判所さいばんしょ賠償金ばいしょうきん増額ぞうがくもうてねばならないため、結局けっきょく成年せいねん後見人こうけんにん選任せんにんしなければならない。しかしながら東京電力とうきょうでんりょくへの賠償ばいしょう請求せいきゅうは、はやくて2014ねん3がつ10日とおか(またはダイレクトメールを通知つうちした3ねんの9がつ以降いこう)に消滅しょうめつ時効じこうとなるため、それまでに成年せいねん後見人こうけんにんをつけ、賠償ばいしょう請求せいきゅうすることは困難こんなん状況じょうきょうとなっていた。

2013ねん5月31にち東京電力とうきょうでんりょくは、福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこによる精神せいしんてき賠償ばいしょうで、避難ひなん区域くいきんでいたよう介護かいごしゃおよ各種かくしゅ障害しょうがいしゃ賠償ばいしょうがくを、はやければ6がつ中旬ちゅうじゅんにも上積うわづみする方針ほうしんしめした。原発げんぱつADRでは、よう介護かいごしゃらの避難ひなん生活せいかつける負担ふたんおもさをみとめ、東電とうでん賠償ばいしょうがく上回うわまわ和解わかい事例じれいえており、東電とうでんよう介護かいごしゃらの負担ふたんぶん直接ちょくせつ請求せいきゅう反映はんえいさせる必要ひつようせまられた(『福島ふくしまみんとも』2013ねん6がつ1にち参照さんしょう)。これにより成年せいねん後見人こうけんにん選任せんにんせずとも原発げんぱつ事故じこ賠償ばいしょうじゃくしゃ権利けんり擁護ようごはかみちひらかれたが、今回こんかい露呈ろていした成年せいねん後見こうけん制度せいどそのものの根本こんぽんてき課題かだいのこされたままとなった。

てきおかせかさねたいする同意どうい[編集へんしゅう]

医療いりょう現場げんばでは手術しゅじゅつ輸血ゆけつ人工じんこう呼吸こきゅう装着そうちゃくなどの高度こうど延命えんめい措置そちなどおかせかさねてきまたは高度こうど可逆かぎゃくてき医療いりょう行為こういまえ本人ほんにんわって説明せつめいけ、その同意どうい後見人こうけんにんもとめるケースがある。しかし法的ほうてきには後見人こうけんにんとう遺言ゆいごん婚姻こんいんなどの身分みぶん行為こうい治療ちりょうかんする同意どういなど、本人ほんにん一身いっしん専属せんぞくする行為こうい代理だいりしておこな権限けんげんはないとかんがえられている[ちゅう 12]

インフォームド・コンセントの実施じっし問題もんだい[編集へんしゅう]

のう血管けっかん疾患しっかんは、国内こくない年齢ねんれい65さい以上いじょうでは死亡しぼう原因げんいん上位じょうい3以内いないはい疾患しっかんであるが、こうした高次こうじのう機能きのう障害しょうがいにおいてはしばしば言語げんご障害しょうがいや、てい酸素さんそ脳症のうしょうなどによる遂行すいこう機能きのう障害しょうがいなどを併発へいはつする場合ばあいがある[33]他方たほうリハビリテーション治療ちりょうにあたる言語げんご聴覚ちょうかくについては人員じんいん不足ふそく問題もんだい指摘してきされており[34]成年せいねん後見人こうけんにんとうがわインフォームド・コンセントおこなうための言語げんご能力のうりょく質問しつもん能力のうりょくとう保全ほぜん復旧ふっきゅう対策たいさくについての環境かんきょう改善かいぜんようされる。

社会しゃかい福祉ふくし精神せいしん保健ほけん福祉ふくし指定してい科目かもくとしての位置いちづけ[編集へんしゅう]

かつて、2008ねん以前いぜん入学にゅうがくしゃ社会しゃかい福祉ふくし指定してい科目かもくなかで、「法学ほうがく」という科目かもく精神せいしん保健ほけん福祉ふくしとの共通きょうつう科目かもくあつかいとして位置いちづけられていたが、2009ねん以降いこう入学にゅうがくしゃたいして適用てきようされる指定してい科目かもくとして、「権利けんり擁護ようご成年せいねん後見こうけん制度せいど」が後継こうけいとなり、成年せいねん後見こうけん制度せいどメインであることが明確めいかくされた(福祉ふくしほう関連かんれんでは、せい共通きょうつう科目かもくではなくなったが「更生こうせい保護ほご制度せいど」があらたに設定せっていされた)[ちゅう 13]

成年せいねん後見人こうけんにん財産ざいさん保護ほごかんする問題もんだい[編集へんしゅう]

自治体じちたい首長しゅちょうによる申立もうしたて[編集へんしゅう]

2015ねん4がつ15にちづけ朝日新聞あさひしんぶんによると、自治体じちたい首長しゅちょう市区しく町村ちょうそんちょう)が、身寄みよりの認知にんちしょう患者かんじゃ高齢こうれいしゃ財産ざいさん保護ほごする目的もくてきで、家庭かてい裁判所さいばんしょ成年せいねん後見こうけんもうてるケースが、2010ねん以降いこう急増きゅうぞうしている。高齢こうれいしゃ虐待ぎゃくたいや、親族しんぞく財産ざいさん管理かんり拒否きょひすることがおおいことなども背景はいけいにあるとされている[35]くにによる成年せいねん後見こうけん制度せいど促進そくしんけ、行政ぎょうせい独居どっきょ高齢こうれいしゃつけては本人ほんにん意思いしはんして首長しゅちょう申立もうしたてで後見人こうけんにんつけてしまい、本人ほんにん高齢こうれいしゃ施設しせつ強制きょうせいてき入所にゅうしょさせる事案じあん続発ぞくはつしており人権じんけん侵害しんがいとのこえがっている。

後見人こうけんにん背任はいにんおよび横領おうりょう[編集へんしゅう]

後見人こうけんにんになひろがりつつあるが、一方いっぽう家族かぞく後見人こうけんにんとなり財産ざいさん管理かんりをするかたわらで本人ほんにん財産ざいさんおかせだつしたり悪徳あくとくリフォーム業者ぎょうしゃ認知にんちしょう高齢こうれいしゃ任意にんい後見人こうけんにんになり高額こうがく契約けいやくむすんだりするひとし事例じれいがあるのも事実じじつである。年金ねんきん生活せいかつである知的ちてき障害しょうがいしゃ家族かぞくが、年金ねんきん収入しゅうにゅう家族かぞく生計せいけいてている事例じれいがあるとの指摘してきもされている。監督かんとくじんがいない場合ばあい後見人こうけんにん家庭かてい裁判所さいばんしょ監督かんとくする建前たてまえだが裁判所さいばんしょ人的じんてき資源しげん限界げんかいもあって十分じゅうぶん監督かんとくができていないのが実情じつじょうである。他方たほう任意にんい後見こうけん移行いこうがたについては任意にんい後見こうけん受任じゅにんしゃ監督かんとく忌避きひして監督かんとくじん選任せんにん申立もうしたてを故意こいてき懈怠けたいする可能かのうせい学会がっかい新聞紙しんぶんし上等じょうとうにおいて指摘してきされており[36]監督かんとく忌避きひ目的もくてき任意にんい代理だいり契約けいやくでそのまますすめて問題もんだいしょうじているケースもある。

具体ぐたいてき事例じれいとしては、後見人こうけんにんである親族しんぞくによる金銭きんせん着服ちゃくふく発覚はっかく刑事けいじ事件じけんとなるケースとして、福岡ふくおかけん知的ちてき障害しょうがい実兄じっけい2にん成年せいねん後見人こうけんにんであった実弟じっていヤミきん業者ぎょうしゃらと共謀きょうぼうして多額たがく預金よきんしたとして親族しんぞくしょうぬすめれい排除はいじょして業務ぎょうむじょう横領おうりょうざい適用てきようし、福岡ふくおか地方ちほう検察庁けんさつちょう特別とくべつ刑事けいじによって逮捕たいほ起訴きそされたことが2006ねん10月5にちけの毎日新聞まいにちしんぶんによってほうじられている。

また、2012ねん2がつには広島ひろしま高裁こうさいで、財産ざいさん管理かんり能力のうりょく考慮こうりょせずに親族しんぞく一人ひとり成年せいねん後見人こうけんにんとした結果けっか財産ざいさん着服ちゃくふくされたとして、広島ひろしま家裁かさい過失かしつみとめる判決はんけつされている[37]。 このような財産ざいさん着服ちゃくふくは、最高裁さいこうさい家庭かていきょくによると、2010ねん6がつから2011ねん3月の10ヵ月かげつあいだだけでも182けんおよぶという。最高裁さいこうさいは、信託しんたく制度せいど活用かつようするかたちで、親族しんぞく後見人こうけんにんによる不祥事ふしょうじから本人ほんにん財産ざいさん保護ほごする方策ほうさく検討けんとうしている[38][39]

一方いっぽう専門せんもんしょくによる職業しょくぎょう後見人こうけんにん不当ふとう報酬ほうしゅうがく取得しゅとく財産ざいさんおかせだつしたりするケースとして、社団しゃだん法人ほうじん成年せいねん後見こうけんセンター・リーガルサポート東京とうきょう支部しぶもとふく支部しぶちょうである司法しほう書士しょしが、任意にんい後見こうけん契約けいやくにおいて設定せっていされた報酬ほうしゅうがくくわえて日当にっとうとう請求せいきゅうし、結果けっかてき年間ねんかん500まんえん程度ていど多額たがく報酬ほうしゅうがく不当ふとう取得しゅとくしたとして問題もんだいとなった。この司法しほう書士しょしは、2006ねんはる成年せいねん後見こうけんかんする書籍しょせき発行はっこうするなどの活動かつどうおこなっていた。

また、東京とうきょう弁護士べんごしかいもとふく会長かいちょう弁護士べんごしが、2009ねんから12ねんまでのあいだに、成年せいねん後見人こうけんにんとして管理かんりしていた千葉ちばけん女性じょせい定期ていき預金よきん解約かいやくし、やく4200まんえん自分じぶん口座こうざれるなどして横領おうりょうした。読売新聞社よみうりしんぶんしゃ取材しゅざいでは、成年せいねん後見こうけん制度せいど悪用あくようするなどして高齢こうれいしゃなどの財産ざいさん着服ちゃくふくしたりだまったりしたとして、2013ねんから2015ねんにかけて23にん弁護士べんごし起訴きそされている[40]

このようななかで、後見人こうけんにんとしての資質ししつ向上こうじょう倫理りんりかん懲罰ちょうばつ制度せいどについての議論ぎろんこっており、とく裁判所さいばんしょでは業者ぎょうしゃ団体だんたいによる後見人こうけんにん候補者こうほしゃ名簿めいぼ作成さくせいたっては、名簿めいぼ提出ていしゅつをする団体だんたい研修けんしゅう内容ないよう組織そしき体制たいせい重視じゅうししてきた。また業者ぎょうしゃ団体だんたいたいし、裁判所さいばんしょ適切てきせつ懲罰ちょうばつ制度せいどもうけることなどをもとめるれいもでている。また民間みんかん団体だんたいによる市民しみん後見人こうけんにん後見こうけん業務ぎょうむおこな場合ばあいには、複数ふくすう法人ほうじん相互そうご活動かつどうをチェックする体制たいせいをとるなど、権限けんげん濫用らんよう防止ぼうしするためのこころみもおこなわれているとの報道ほうどうがなされている[41]


なお、最高裁さいこうさい統計とうけい[42]によれば、後見人こうけんにんによる不正ふせい事案じあんは、件数けんすうベース・被害ひがいがくベースの双方そうほうにおいて、だい多数たすう親族しんぞく後見人こうけんにんによるものである。件数けんすう被害ひがいがくともに平成へいせい26ねんをピークに急激きゅうげき減少げんしょうしていることがてとれる。

後見こうけん制度せいど支援しえん信託しんたく[編集へんしゅう]

2012ねん2がつから、信託しんたく契約けいやく使つかったあたらしい仕組しくみが、成年せいねん後見こうけん制度せいど導入どうにゅうされた[43]後見人こうけんにん資産しさんのうち、日常にちじょう使つかぶん親族しんぞくなどの後見人こうけんにん管理かんりし、のこりは信託しんたく銀行ぎんこう信託しんたくする。おおきな支出ししゅつ必要ひつよう場合ばあいは、後見人こうけんにん家裁かさい申請しんせいしてチェックをける。これにより、専門せんもん後見人こうけんにん選任せんにんした場合ばあいよりもコストをげることができ、かつ親族しんぞく後見人こうけんにんによる使つかとうふせげると期待きたいされる。

最高裁さいこうさいは、後見こうけん制度せいど支援しえん信託しんたくを「親族しんぞく後見人こうけんにんによる不正ふせい行為こうい未然みぜん防止ぼうしし、後見こうけん制度せいど利用りようするほう財産ざいさん保護ほごするために家庭かてい裁判所さいばんしょ選択肢せんたくし(オプション)として」導入どうにゅうすすめたが[44]日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごうかい[45]公益社こうえきしゃだん法人ほうじん成年せいねん後見こうけんセンター・リーガルサポート[46](日本にっぽん司法しほう書士しょしかい連合れんごうかい関連かんれん団体だんたい)などの専門せんもんしょく団体だんたいからは、慎重しんちょう判断はんだんもとめる声明せいめい相次あいついだ。また、東京とうきょう社会しゃかい福祉ふくしかいも、後年こうねん同様どうよう会長かいちょう声明せいめいしている[47]

成年せいねん後見人こうけんにん報酬ほうしゅう[編集へんしゅう]

成年せいねん後見こうけん制度せいどにおいては、報酬ほうしゅうがく全国ぜんこくいちりつ基準きじゅん存在そんざいせず、現行げんこうでは通常つうじょう後見人こうけんにんいてから後見こうけん対象たいしょうしゃ死亡しぼうするまでの業務ぎょうむりょうなみがあるとしても、月額げつがくでは一律いちりつ報酬ほうしゅう支払しはらわれているのが現状げんじょうで、医療いりょう介護かいご体制たいせいととのえるなどの内容ないよう生活せいかつ支援しえん報酬ほうしゅう反映はんえいされていないとの指摘してきがある。このため、最高裁判所さいこうさいばんしょ2019ねん1がつに、業務ぎょうむりょう業務ぎょうむ難易なんいなどを報酬ほうしゅう反映はんえいさせるよう、全国ぜんこく家庭かてい裁判所さいばんしょたい通知つうちした[48]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 2003ねんからは身体しんたい障害しょうがいしゃ知的ちてき障害しょうがいしゃ障害しょうがい利用りようする福祉ふくしサービスについても契約けいやく制度せいど導入どうにゅうされている(支援しえん制度せいど)。2006ねんからは、精神せいしん障害しょうがいしゃふくめた障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうしたでの障害しょうがい福祉ふくしサービスに衣替ころもがえした。
  2. ^ 民法みんぽう一部いちぶ改正かいせいする法律ほうりつあん任意にんい後見こうけん契約けいやくかんする法律ほうりつあん民法みんぽう一部いちぶ改正かいせいする法律ほうりつ施行しこうともな関係かんけい法律ほうりつ整備せいびとうかんする法律ほうりつあん後見こうけん登記とうきとうかんする法律ほうりつあん
  3. ^ 介護かいごサービス契約けいやくのために後見人こうけんにんとう契約けいやく代理だいりおこなうことが想定そうていされているが、現実げんじつには介護かいごサービスを利用りようしている認知にんちしょう高齢こうれいしゃとうのすべてに後見人こうけんにんがついているわけではなく家族かぞく親族しんぞくとう代理だいりけんないまま契約けいやく代行だいこうしているれいすくなくない。
  4. ^ ここでいう「訴訟そしょう行為こうい」は、民事みんじ訴訟そしょうにおいて原告げんこくとなって訴訟そしょう遂行すいこうする一切いっさい行為こういをいう。相手方あいてがた提起ていきしたうったまた上訴じょうそについて訴訟そしょう行為こういをすることは、じん同意どういそのの授権をようしない(民事みんじ訴訟そしょうほうだい32じょう)。
  5. ^ 法定ほうてい後見こうけんでは成年せいねん後見こうけん監督かんとくじん選任せんにん必須ひっすではなく、おおくの事例じれい裁判所さいばんしょ直接ちょくせつ監督かんとくである。任意にんい後見こうけん間接かんせつ監督かんとくであるのは、民法みんぽうだい858じょう具現ぐげんのひとつである。
  6. ^ 論者ろんしゃとして、新井あらいまこと日本にっぽん成年せいねん後見こうけんほう学会がっかい理事りじちょう筑波大学つくばだいがく法科ほうか大学院だいがくいん院長いんちょう)がげられる。日本にっぽん成年せいねん後見こうけんほう学会がっかい 2006, p. 182
  7. ^ 任意にんい後見こうけん受任じゅにんしゃ適切てきせつ時期じき監督かんとくじん選任せんにん申立もうしたてをしなかった場合ばあい監督かんとく能力のうりょくうしなった本人ほんにん代理人だいりにんとして監督かんとくけないまま行動こうどうできてしまうという問題もんだいてんがある(任意にんい代理だいりにおける、本人ほんにん判断はんだん能力のうりょく喪失そうしつ監督かんとくしゃ不在ふざい問題もんだい同様どうようである)このてんは、日本にっぽん成年せいねん後見こうけんほう学会がっかいのシンポジウムおよ日本にっぽん成年せいねん後見こうけんほう学会がっかい 2006, p. 155とう
  8. ^ a b 平成へいせい23ねん4がつ1にちから証明しょうめいしょ手数料てすうりょう変更へんこう引下ひきさげ)あり。成年せいねん後見こうけん登記とうきについて”. 法務省ほうむしょう名古屋なごや法務局ほうむきょく. 2012ねん7がつ22にち閲覧えつらん
  9. ^ 保護ほごしゃになるものだい2順位じゅんい以下いか配偶はいぐうしゃ親権しんけんしゃ扶養ふよう義務ぎむしゃについては本人ほんにん保護ほごのためにとく必要ひつようであると家庭かてい裁判所さいばんしょみとめた場合ばあい利害りがい関係かんけいじん申立もうしたてにより保護ほごしゃとなるもの順位じゅんい変更へんこうできる。しかし、後見人こうけんにんじんかんしては、順位じゅんい変更へんこう規定きていから除外じょがいされている。
  10. ^ 公益社こうえきしゃだん法人ほうじん成年せいねん後見こうけんセンター・リーガルサポートとして活動かつどうしている。
  11. ^ 平成へいせい11ねん附則ふそくだい3じょうにより、旧法きゅうほう禁治産者きんちさんしゃ新法しんぽう成年せいねん後見人こうけんにんとみなされた。
  12. ^ 診療しんりょう契約けいやく介護かいご契約けいやく締結ていけつ法律ほうりつ行為こういなので代理だいりできるてんあらそいない。てきおかせかさねについては、
    A)診療しんりょう介護かいご契約けいやく締結ていけつ治療ちりょう介護かいご行為こういへの同意どうい不可分ふかぶん一体いったいのものであるとかんがえれば診療しんりょう契約けいやく締結ていけつ代理だいりけん付随ふずいして、治療ちりょう行為こういへの同意どういけんがあるとするとする立場たちば
    B)包括ほうかつてき診療しんりょう契約けいやく締結ていけつ法律ほうりつ行為こうい)とてきおかせかさねともな治療ちりょう方法ほうほう事実じじつ行為こうい)の選択せんたくとは性質せいしつことなることにもとづき、同意どういけんみとめられないとする立場たちば
    がある。この論点ろんてんについては後見人こうけんにん業務ぎょうむおこな職業しょくぎょう後見人こうけんにんおよ医療いりょう関係かんけいしゃ双方そうほう実務じつむから現実げんじつインフォームド・コンセントがますます重視じゅうしされ、また輸血ゆけつおこなさいにはかなら文書ぶんしょでの同意どうい必要ひつようとなっていることなどからも形式けいしきてき法理ほうりろんだけでは実務じつむりたないというこえがっており、ほう改正かいせいにより同意どういけん明文化めいぶんかすべきとする意見いけん学会がっかい職域しょくいき団体だんたいにおける議論ぎろんなか提示ていじされている。現状げんじょう十分じゅうぶん議論ぎろんくされている状況じょうきょうではなく、つづ関連かんれんしょ団体だんたいにおいて議論ぎろんちゅうである。(日本にっぽん成年せいねん後見こうけんほう学会がっかい 2006ひとし
  13. ^ ただし、2012ねん以降いこう入学にゅうがくしゃ適用てきようされる、精神せいしん保健ほけん福祉ふくし指定してい科目かもくちゅう、「精神せいしん保健ほけん福祉ふくしかんする制度せいどとサービス」の「制度せいど相当そうとう部分ぶぶんで、「更生こうせい保護ほご制度せいど」の内容ないようをカバーする。2011ねん以前いぜん入学にゅうがくしゃ指定してい科目かもく、「精神せいしん保健ほけん福祉ふくしろん」の「理論りろん」の部分ぶぶんのぞいた後継こうけい科目かもくあつかいとなる。「理論りろん」の部分ぶぶんは、きゅう指定してい科目かもく精神せいしん保健ほけん福祉ふくし援助えんじょ技術ぎじゅつ各論かくろん」とともに、後継こうけいとして、「精神せいしん保健ほけん福祉ふくし理論りろん相談そうだん援助えんじょ展開てんかい」が設定せっていされた。

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

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  • 芦部あしべ信喜しき憲法けんぽう議会ぎかいせい東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱんかい、1971ねんISBN 4130310593 
  • 我妻あづまさかえ有泉ありいずみとおる川井かわいけん民法みんぽう 1 総則そうそく物権ぶっけんほう』(だいはん)勁草書房しょぼう、2005ねんISBN 4-326-45073-8 
  • 日本にっぽん成年せいねん後見こうけんほう学会がっかいへん)『成年せいねん後見こうけんほう研究けんきゅうだい3ごう民事みんじほう研究けんきゅうかい、2006ねんISBN 4896283112 
  • 『すぐに役立やくだ成年せいねん後見こうけん制度せいど法律ほうりつ手続てつづき』原田はらだただしほまれ監修かんしゅう)、三修社さんしゅうしゃ、2007ねんISBN 4384039301 
  • 我妻あづまさかえ有泉ありいずみとおる清水しみずまこと田山たやま輝明てるあき我妻あづま有泉ありいずみコンメンタール民法みんぽう 総則そうそく物権ぶっけん債権さいけん』(だい2はんおいばん日本にっぽん評論ひょうろんしゃ、2010ねんISBN 978-4-535-51762-2 
  • しょうその真知子まちこ言語げんご聴覚ちょうかく教育きょういく現状げんじょう今後こんご課題かだい」『紀要きよう.保健ほけん科学かがく研究けんきゅうだい9かん熊本くまもと保健ほけん科学かがく大学だいがく、2012ねん3がつ、1-6ぺーじISSN 1348-7043NAID 120005558115 
  • 我妻あづまさかえ有泉ありいずみとおる清水しみずまこと田山たやま輝明てるあき我妻あづま有泉ありいずみコンメンタール民法みんぽう 総則そうそく物権ぶっけん債権さいけん』(だい3はん日本にっぽん評論ひょうろんしゃ、2013ねんISBN 978-4-535-51984-8 
  • 和波わなみ宏典ひろのりほか「後見こうけん制度せいど支援しえん信託しんたく目的もくてきとその運用うんようじょうきょう」『実践じっせん成年せいねん後見こうけんだい54かん民事みんじほう研究けんきゅうかい、2015ねん1がつ、60-68ぺーじNAID 40020292860 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]