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被告人ひこくにん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

被告人ひこくにんひこくにんとは、犯罪はんざい嫌疑けんぎけて起訴きそされたもの

被告人ひこくにんは、日本にっぽんふくえいべいほうけい刑事けいじ訴訟そしょうにおいては、原告げんこくである検察官けんさつかんならび、その相手方あいてがたたる当事とうじしゃとして位置付いちづけられている。

なお、被告ひこくとは民事みんじ裁判さいばんにおいてうったえを提起ていきされたもののことをし、「被告人ひこくにん」と「被告ひこく」はことなる用語ようごである。

概要がいよう

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被告人ひこくにんは、捜査そうさ機関きかんによって犯罪はんざい嫌疑けんぎけ、検察官けんさつかんによって公訴こうそ提起ていきをされたものであり、刑事けいじ裁判さいばん審判しんぱん対象たいしょうとなっているものである。犯罪はんざい嫌疑けんぎ捜査そうさ対象たいしょうになっていながらいま公訴こうそ提起ていきけていないものを「被疑ひぎしゃ」という。

現在げんざい日本にっぽん刑事けいじ訴訟そしょうほうにおいては、検察官けんさつかん被告人ひこくにん対等たいとう当事とうじしゃである。もっとも、当事とうじしゃではあるものの、原則げんそくとして挙証きょしょう責任せきにんうことはない。これに関連かんれんし、捜査そうさ段階だんかいにおける黙秘もくひけん公判こうはんにおける自己じこまけざい拒否きょひ特権とっけん重要じゅうよう憲法けんぽうどうだい38じょうじょう権利けんりとしてあたえられている。また、対等たいとうとはいえ、現実げんじつ法的ほうてき攻撃こうげき防御ぼうぎょ能力のうりょくにはおおきながあるため、弁護人べんごにん選任せんにんすることがみとめられ、必要ひつようてき弁護べんご事件じけんにおいては弁護人べんごにんかなら選任せんにんされる。

なお、被告人ひこくにん勾留こうりゅうされている場合ばあいがあるが、かならずしも身体しんたいてき拘束こうそくけているとはかぎらず、勾留こうりゅうされていない場合ばあいもある。勾留こうりゅうされた被告人ひこくにんをはじめ、逮捕たいほしゃ勾留こうりゅうしゃとう総称そうしょうして未決みけつ拘禁こうきんしゃ(みけつこうきんしゃ)とぶ。また、勾留こうりゅうされずに起訴きそされた場合ばあい、「在宅ざいたく起訴きそ」とばれる。

被告人ひこくにんは、犯罪はんざい嫌疑けんぎけているものであるが、法的ほうてきにはいま無罪むざい推定すいていはたらいている存在そんざいである。

被告人ひこくにん権利けんり自由じゆう

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被告人ひこくにんは、無罪むざい推定すいていはたらいているため、原則げんそくとしては自由じゆう存在そんざいである。しかし、刑事けいじ裁判さいばん当事とうじしゃであることから、一定いってい範囲はんい権利けんり自由じゆう制限せいげんせられることがある。

つみしょう隠滅いんめつ逃亡とうぼうのおそれのあるものについては、裁判官さいばんかん命令めいれいまた裁判所さいばんしょ決定けっていにより、勾留こうりゅうがなされる。未決みけつ拘禁こうきんしゃ場合ばあい逃亡とうぼうおよつみしょう隠滅いんめつ防止ぼうし目的もくてきから拘束こうそくされ身体しんたい行動こうどう自由じゆう大幅おおはば制限せいげんくわえられている。外部がいぶものとの信書しんしょはつ受や面会めんかい制限せいげんくわえられることもある。また、ざい逮捕たいほ勾留こうりゅうされている場合ばあい接見せっけん指定していなど捜査そうさのために制限せいげんされる場合ばあいもある。

逮捕たいほ勾留こうりゅうされず在宅ざいたく起訴きそけた被告人ひこくにんや、逮捕たいほ勾留こうりゅうされたが保釈ほしゃくされた被告人ひこくにんは、身体しんたい拘束こうそくされていないことから自宅じたくにおいては自由じゆう活動かつどうできるなど、未決みけつ拘禁こうきんしゃくら権利けんり自由じゆうへの制限せいげんちいさい。

報道ほうどうによる用法ようほう

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日本語にほんごにおける報道ほうどうでは、起訴きそされ被告人ひこくにんとなった状態じょうたい個人こじんについてほうじるさいに、その氏名しめいのちに「被告ひこく」という呼称こしょうけ、てをける用法ようほう一般いっぱんてきになっている。被告人ひこくにんけい確定かくていしたのち再審さいしん請求せいきゅうもとめた場合ばあいなどは「もと被告ひこく」とける場合ばあいもある。

明治めいじ以来いらい新聞しんぶん犯罪はんざい被疑ひぎしゃてで表記ひょうきするのが慣例かんれいであり、昭和しょうわ40年代ねんだい(1960年代ねんだい後半こうはん~70年代ねんだい前半ぜんはん)のマスコミも、起訴きそされた刑事けいじ被告人ひこくにんについて実名じつめいほうじるさいは、NHKなどほぼ全部ぜんぶのマスコミが実名じつめいて(「」などはけない。)であった。これが昭和しょうわ50年代ねんだい(1970年代ねんだい後半こうはん~80年代ねんだい前半ぜんはん)になると、てをけるさくとして、呼称こしょうとして実名じつめいのちける「被告ひこく」がもちいられはじめ、現在げんざいいたっている。被疑ひぎしゃ逮捕たいほされた時点じてん実名じつめいに「容疑ようぎしゃ」をけるのが一般いっぱんしたのは1989ねんで、それよりはや裁判さいばんでの「○○被告ひこく表記ひょうき呼称こしょう採用さいようされたのは、この時期じき免田めんだ事件じけん戦後せんごはつとなる死刑しけいしゅう再審さいしんみとめられ無罪むざい判決はんけつたり、ロッキード事件じけんもと首相しゅしょう田中たなか角栄かくえい裁判さいばんがあったりしたため、それぞれ冤罪えんざい被害ひがいしゃもと首相しゅしょうてをつづけることに不都合ふつごうしょうじたことなどが理由りゆうとして指摘してきされている。

一方いっぽう報道ほうどうでは法律ほうりつじょうの「被告人ひこくにん」を「被告ひこく」にえることもルールとしてさだめられている。「被告ひこく3にん起訴きそ内容ないようみとめる」、「この被告ひこく起訴きそ内容ないようみとめなかった」など、ある裁判さいばんほうじるさい具体ぐたいてき被告人ひこくにんのことについて記述きじゅつするさい場合ばあいによってもちいられる。公判こうはんでの「被告人ひこくにん無期むき懲役ちょうえきしょする」「被告人ひこくにん反省はんせいしている」などの判決はんけつぶん発言はつげん内容ないよう、「被告人ひこくにん質問しつもん」「うたがわしきは被告人ひこくにん利益りえきに」などの一般いっぱんてき用語ようご用法ようほうが「被告ひこく」にわることはすくない。

被告人ひこくにんの「ひと」をあえてけずった理由りゆうとしては、字数じすう節約せつやくとも、テレビ・ラジオとう音声おんせいメディアにおいて「非国民ひこくみん」とこえてしまうため、ともわれる[よう出典しゅってん]本来ほんらい被告ひこく民事みんじ裁判さいばんもちいられる言葉ことばである。刑事けいじ裁判さいばん被告人ひこくにん民事みんじ裁判さいばん被告ひこくおなじ「被告ひこく」で表記ひょうきする結果けっか民事みんじ裁判さいばんうったえられたものが「被告ひこく」とばれ、「犯罪はんざいしゃ一緒いっしょにするな」という誤解ごかいがたびたびこっている[よう出典しゅってん]。(もっとも、被告人ひこくにんは、前述ぜんじゅつのとおり、無罪むざい推定すいてい原則げんそくがあるため、裁判さいばん確定かくていまでは、犯罪はんざいしゃときまったわけではないのだが)

法曹ほうそう関係かんけいしゃが「被告ひこく」を法律ほうりつ用語ようご誤用ごようだと批判ひはんするケースもある。ただ前述ぜんじゅつのとおり報道ほうどうにおいても法律ほうりつ用語ようごの「被告人ひこくにん質問しつもん」などを「被告ひこく質問しつもん」などとえているわけではなく、法律ほうりつじょう被告人ひこくにんとなった個人こじんたいする呼称こしょうについて「○○被告人ひこくにん」としなければならないルールはない。

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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