画鋲がびょう

画鋲がびょう（がびょう）または押おしピン（おしピン）とは、掲示けいじ物ぶつを壁面へきめんに固定こていする際さいなどに使つかわれる、金属きんぞく・プラスチックなどの頭部とうぶに、鋭するどい針はりを取とり付つけた器具きぐのこと。

種類しゅるい

金属きんぞく製せい画鋲がびょう

二に重じゅう画鋲がびょう

二に重じゅう画鋲がびょう

金属きんぞく製せいの円えん板ばんの中央ちゅうおうに針はりを取とり付つけたもの。以前いぜんから広ひろく使つかわれている。紙かみ製せいの掲示けいじ物ぶつや看板かんばんの上うえからビニールを貼はり付づけて防水ぼうすいする際さい、紙かみの部分ぶぶんを壁面へきめんや板いたに固定こていする際さいには、このタイプの画鋲がびょうが便利べんりである。壁面へきめんに深ふかく突つき刺さすと指先ゆびさきで外はずしにくいため、専用せんようの取とり外はずし器きがある。かつては製造せいぞう工程こうてい上じょうツマミが2重じゅうであったが、2015年ねん現在げんざいでは溝みぞだけをいれてあって実際じっさいは2重じゅうになっていないものが販売はんばいされている。「二に重じゅう画鋲がびょう」という製品せいひん名めいに関かんする議論ぎろんについては、「呼よび名な」の項こうを参照さんしょう。

プラスチック製せい画鋲がびょう

ダルマ型がた

ダルマ型がた画鋲がびょう

持もちやすく、落おちても針はりが上うえに向むかないように、プラスチック製せいの頭部とうぶをだるまやひょうたん型かたの形状けいじょうにしたもの。

マップピン

頭部とうぶは少すこし小ちいさめのプラスチック製せいの球形きゅうけいで、針はりは細ほそめにできている。壁かべに貼はり付づけた地図ちずの上うえから突つき刺さし、位置いちを表示ひょうじするために使つかわれる。

L字じ型がた

針はりが円形えんけいではなくL字じ型がたのもの。ぐらつき難がたく、抜ぬいたあとピン跡あとが目立めだたない。

ユニバーサルデザインの画鋲がびょう

手てが不自由ふじゆうな人ひと、力ちからの弱よわい人ひとでも扱あつかいやすいよう、頭部とうぶがシリコーンゴム製せいのリングなどでできている。以下いかの特徴とくちょうがある。

• 直接ちょくせつ針はりに触ふれる事ことがない
• 特別とくべつな道具どうぐが無なくても抜ぬけやすい
• 落おとしても針はりが上うえに向むかず安全あんぜん

用途ようと・用法ようほう

壁面へきめんに掲示けいじ物ぶつをあてがい、画鋲がびょうの針はりで掲示けいじ物ぶつを突つき刺さし、壁面へきめんに密着みっちゃくさせることによって対象たいしょう物ぶつを固定こていする。軽かるく刺さして針はりの部分ぶぶんだけで支ささえるような貼はり方かたでは掲示けいじ物ぶつが切きれて落下らっかしてしまうことがあるため、金属きんぞくやプラスチック製せいの本体ほんたい部分ぶぶんで掲示けいじ物ぶつと壁面へきめんを押おし付つけるように密着みっちゃくさせる必要ひつようがある。

以前いぜんは構造こうぞうが簡単かんたんで値段ねだんも安やすい金属きんぞく製せいの円えん板ばんの中央ちゅうおうに針はりを取とり付つけたタイプの製品せいひんが広ひろく使つかわれていたが、床ゆかなどに落おちた場合ばあいに針はりが上うえを向むくことが多おおく、足あしで踏ふんだ場合ばあいに負傷ふしょうする危険きけん性せいがある点てん、壁面へきめんの材質ざいしつや刺ささり方かたによっては取とり外はずす際さいに手間てまがかかる点てん、針はりが折おれる可能かのう性せいがある点てん、錆さび・腐食ふしょくに弱よわい点てんなどから、近年きんねんではプラスチック製せいの製品せいひんの普及ふきゅうが進すすみつつある。また針はりを上うえに向むけて設置せっちできる特性とくせいから半はん世紀せいき以上いじょうに渡わたり学校がっこう内ないで靴くつに忍しのばすいたずらやいじめのアイテムとしても使つかわれ続つづけており、故意こいに他人たにんを負傷ふしょうさせる傷害しょうがいおよび自転車じてんしゃのタイヤをパンクさせるなどの器物きぶつ損壊そんかいといった事件じけんも起おきているが刑事けいじ事件じけんであり立派りっぱな犯罪はんざい行為こういである。

一部いちぶの賃貸ちんたい家屋かおくでは、壁面へきめんへの損傷そんしょうを防ふせぐため、賃貸借ちんたいしゃく契約けいやくによって画鋲がびょうの使用しようが禁きんじられている物件ぶっけんもある。

また、近年きんねんでは一部いちぶのプロレス団体だんたいで「画鋲がびょうデスマッチ」として無数むすうの画鋲がびょうが敷しき詰つめられた箱はこに対戦たいせん相手あいてを叩たたき落おとしたりといった、試合しあい中ちゅうの凶器きょうきとしての用途ようとにも用もちいられることもある。2010年ねん10月17日にち・大だい日本にっぽんプロレス後楽園こうらくえんホール大会たいかいで行おこなわれたBJW認定にんていデスマッチヘビー級きゅう選手権せんしゅけん試合しあい（伊東いとう竜二りゅうじ（王者おうじゃ）vs石川いしかわ修司しゅうじ（挑戦ちょうせん者しゃ））では、3万まん個この募集ぼしゅうに対たいして4万まん9205個この画鋲がびょうが全国ぜんこく各地かくちから提供ていきょうされ、蛍光けいこう灯とうとガラスボードと共ともに全すべて使用しようされた。

呼よび名な

「画鋲がびょう」「押おしピン」「ガバリ」

「画鋲がびょう」という呼称こしょうが正式せいしき名称めいしょうとして全国ぜんこく的てきに使つかわれるのに対たいし、西日本にしにほんでは「押おしピン」、岐阜ぎふ県けんでは「ガバリ（画が針はり）」という通称つうしょうが用もちいられ、しばしば出身しゅっしん地ちに関かんする話題わだいに登場とうじょうする。「押おしピン」は東日本ひがしにっぽんでも用もちいられるようになってきているが、その場合ばあい上記じょうきの金属きんぞく製せい画鋲がびょうを「画鋲がびょう」、プラスチック製せい画鋲がびょうを「押おしピン」と呼よんで区別くべつすることが多おおい。

「二に重じゅう画鋲がびょう」

「二に重じゅう画鋲がびょう」という製品せいひん名めいについては、戦時せんじ期きの非金属ひきんぞく材料ざいりょうを使つかった画鋲がびょうの製造せいぞう方法ほうほうに由来ゆらいするとした次つぎのような説せつが存在そんざいした。

戦時せんじ期きには本来ほんらいの画鋲がびょうの材料ざいりょうである金属きんぞくが不足ふそくしたため、レコード盤ばんから取とった2枚まいの画鋲がびょう用ようの円盤えんばんの一方いっぽうに貫通かんつう穴あなをあけて、その間あいだに釘くぎを通とおして、その上うえにもう一いち枚まいを貼はり合あわせる方式ほうしきで画鋲がびょうを製造せいぞうした。この画鋲がびょうは見みた目めにも二に重じゅうになっている様子ようすがよくわかったため、「二に重じゅう画鋲がびょう」という名称めいしょうで発売はつばいされた。これは爆発ばくはつ的てきに売うれて、当時とうじの画鋲がびょうの代名詞だいめいしとなるほど、広ひろく一般いっぱんに知しれ渡わたった。

しかし最近さいきんの研究けんきゅうにより、「二に重じゅう画鋲がびょう」という製品せいひん名めいは戦前せんぜんから存在そんざいすること、戦時せんじ期きのレコード盤ばん製せい画鋲がびょうの実物じつぶつ資料しりょうは、2枚まいを貼はり合あわせるのではなく、材料ざいりょうを熱ねっして直接ちょくせつ釘くぎを埋うめ込こむ方式ほうしきで製造せいぞうされていたことが明あきらかにされている。

外部がいぶリンク

• 「画鋲がびょうができるまで」 - 株式会社かぶしきがいしゃミツヤ、日にち清しん工業こうぎょう株式会社かぶしきがいしゃに取材しゅざいし、画鋲がびょうの製造せいぞう工程こうていを紹介しょうかい（全ぜん14分ふん） 2006年ねん サイエンスチャンネル