疑問ぎもん名めい

疑問ぎもん名めい（ぎもんめい）は、国際こくさい動物どうぶつ命名めいめい規約きやくにおいて、どう適用てきようするか不ふ詳しょうもしくは不ふ明確めいかくな学名がくめいのことである。

動物どうぶつ学がく

疑問ぎもん名めいの場合ばあい、ある標本ひょうほんがその学名がくめいの示しめす分類ぶんるい群ぐんに属ぞくするか同定どうていすることが不可能ふかのうかもしれない。このような事例じれいは元もとのホロタイプ、アイソタイプ、シンタイプ、パラタイプといったタイプシリーズの標本ひょうほんが失うしなわれた場合ばあいに発生はっせいすることがあり、この場合ばあいには新しん基準きじゅん標本ひょうほん（ネオタイプ）を選定せんていすることが可能かのうである。

命名めいめいに用もちいられた標本ひょうほんが断片だんぺん的てきであるか、あるいは同定どうていに重要じゅうような部位ぶいを欠かいている場合ばあいにも、その生物せいぶつの名前なまえは疑問ぎもん名めいとなる可能かのう性せいがある。これは化石かせき種しゅによく見みられる事例じれいである。名前なまえの安定あんてい性せいを維持いじするため、動物どうぶつ命名めいめい法ほう国際こくさい審議しんぎ会かいは新あらたなホロタイプまたはネオタイプの選定せんていを許可きょかしている。

75.5．ネオタイプによる同定どうてい不能ふのうの担名タイプの置換ちかん．ある名義めいぎ種しゅ階級かいきゅう群ぐんタクソンの分類ぶんるい学がく的てき同一どういつ性せいが存在そんざいする担名タイプからは決定けっていできず（すなわちそれの学名がくめいが疑問ぎもん名めいであり），そのことによって安定あんていもしくは普遍ふへん性せいが脅おびやかされていると考かんがえられるときは，その存在そんざいしている担名タイプを強権きょうけん［条じょう81］の下したで破棄はきしてネオタイプを指定していするよう，審議しんぎ会かいに要求ようきゅうすることができる．

例たとえば、1885年ねんにリチャード・ライデッカーが命名めいめいしたワニに似にた主しゅ竜りゅう類るい Parasuchus hislopi は吻部の一部いちぶに基もとづいて命名めいめいされたが、これは近きん縁えんな生物せいぶつからパラスクスを区別くべつするのに不十分ふじゅうぶんであった。従したがって Parasuchus hislopi は疑問ぎもん名めいとされた。完全かんぜんな骨格こっかくを新あらたなタイプ標本ひょうほんにするべきであると2001年ねんに古こ生物せいぶつ学者がくしゃが提案ていあんし、動物どうぶつ命名めいめい法ほう国際こくさい審議しんぎ会かいはこれを検討けんとう、2003年ねんにオリジナルの模も式しき標本ひょうほんをネオタイプに差さし替かえることに賛同さんどうした。