皆川みなかわ正ただし禧

皆川みなかわ 正ただし禧

人物じんぶつ情報じょうほう
生誕せいたん	1877年ねん??月つき??日ひ 日本にっぽん福島ふくしま県けん
死没しぼつ	1949年ねん1月がつ1日にち(1949-01-01)（72歳さい没ぼつ）
出身しゅっしん校こう	東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく
学問がくもん
研究けんきゅう分野ぶんや	英えい文学ぶんがく
研究けんきゅう機関きかん	明治めいじ学院がくいん、第だい七なな高等こうとう学校がっこう、水戸みと高等こうとう学校がっこう、法政大学ほうせいだいがく

皆川みなかわ 正ただし禧（みなかわ まさき、1877年ねん（明治めいじ10年ねん） - 1949年ねん（昭和しょうわ24年ねん））は、日本にっぽんの英文えいぶん学者がくしゃ、翻訳ほんやく家か、教育きょういく者しゃ。雅号がごうは真ま拆。

経歴けいれき

出生しゅっしょう

1877年ねん（明治めいじ10年ねん）、福島ふくしま県けん会津あいづ（現在げんざいは新潟にいがた県けん東蒲原ひがしかんばら郡ぐん阿賀あが町まち）に生うまれた。皆川みなかわ家かは、土地とちの旧家きゅうかで総そう鎮守ちんじゅ西村にしむら八幡宮はちまんぐうの神宮じんぐうを務つとめていた大だい地主じぬしであったという。 1900年ねん（明治めいじ33年ねん）、第だい二に高等こうとう学校がっこうを卒業そつぎょうし、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく英文えいぶん学科がっかに入学にゅうがく。

東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく学生がくせい時代じだい(小泉こいずみ八雲やくも・夏目なつめ漱石そうせき)

在学ざいがく中ちゅう、小泉こいずみ八雲やくもの講義こうぎを2年ねん半はん受うけた。正せい禧が八雲やくもの講義こうぎを筆記ひっきしたノートが10冊さつ残のこされており、1904年ねん（明治めいじ37年ねん）11月の『帝国ていこく文学ぶんがく』で追悼ついとう特集とくしゅう（八雲やくもは9月に逝去せいきょ）が組くまれたとき、正せい禧は「蓬莱ほうらい」という追悼ついとう文ぶんを寄よせている。

1903年ねん（明治めいじ36年ねん）、最上級さいじょうきゅう生せいのとき、八雲やくもの後任こうにんとして夏目なつめ漱石そうせきが赴任ふにんし、卒業そつぎょうまでの3ヶ月かげつ間あいだ、「文学ぶんがくの一般いっぱん概念がいねん」という講義こうぎを受うけた。その講義こうぎ録ろくは漱石そうせきの生前せいぜんに公表こうひょうされることはなかったが、正せい禧は小松こまつ武治たけはる・吉松よしまつ武たけ通どおり・野間のま真しん綱つなと彼かれ自身じしんの講義こうぎノートを整理せいりし、1924年ねんに『英えい文学ぶんがく形式けいしき論ろん』と題だいして岩波書店いわなみしょてんから刊行かんこうした。なお、八雲やくもの講義こうぎが学生がくせいの間あいだで絶大ぜつだいな人気にんきを博はくしていたのに対たいし、当時とうじの漱石そうせきの講義こうぎは不評ふひょうであったことを、正せい禧は『英えい文学ぶんがく形式けいしき論ろん』の「はしがき」で記しるしている。ただ、同級どうきゅうの野間のま（第だい五ご高等こうとう学校がっこう時代じだいから漱石そうせきの教おしえ子ごであった）と親友しんゆうだったこともあり、卒業そつぎょう後ごも漱石そうせきとの交流こうりゅうが続つづいた。1905年ねん（明治めいじ38年ねん）から、漱石そうせき宅たくで毎月まいつき、文章ぶんしょう会かいが開ひらかれていたが、正せい禧はその常連じょうれんであり、そこで和歌わかや俳体詩しなどの創作そうさくも試こころみて、『ホトトギス』に俳体詩し「偶成ぐうせい」（1905年ねん6月がつ）、「散歩さんぽ」（同年どうねん7月がつ）を発表はっぴょうしている。近藤こんどう哲あきらは『吾輩わがはいは猫ねこである』の越智おち東風こちなど、漱石そうせき作品さくひんの登場とうじょう人物じんぶつの造形ぞうけいに正せい禧が関かかわっている可能かのう性せいを指摘してきしている。

英えい文学ぶんがく教師きょうしとなる

1903年ねん（明治めいじ36年ねん）7月がつ、大学だいがく卒業そつぎょう後ご、明治めいじ学院がくいん高等こうとう部ぶに勤務きんむ。同年どうねんから、『帝国ていこく文学ぶんがく』に「まぜっぱ」（ジョージ・ゴードン・バイロンの物語ものがたり詩しの邦訳ほうやく）などの翻訳ほんやくを4編へん発表はっぴょうし、翌年よくねんから内外ないがい出版しゅっぱん協会きょうかいより『希まれ臘勇士し譚たん』（チャールズ・キングズリー）などの訳書やくしょを7冊さつ刊行かんこうした。 1908年ねん（明治めいじ41年ねん）、野間のまの誘さそいによって、第だい七なな高等こうとう学校がっこうに移うつった。1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）、水戸みと高等こうとう学校がっこう教授きょうじゅとなった。1922年ねん（大正たいしょう11年ねん）、英語えいごならびにご学がく研究けんきゅうのため欧米おうべいに留学りゅうがくを命めいじられた。1929年ねん、水戸みと高校こうこうを退職たいしょく。その後ごは東京とうきょうの私立しりつ大学だいがく等とうの講師こうしを務つとめ、1932年ねんから1944年ねんまで、法政大学ほうせいだいがく高等こうとう師範しはん科かに勤務きんむした。

家族かぞく・親族しんぞく

• 父ちち：皆川みなかわ正勝まさかつは新潟にいがた県けん士族しぞく。
• 長女ちょうじょ：皆川みなかわユキは漢学かんがく者もの・高田たかだ眞治しんじ夫人ふじん。

著作ちょさく

編著へんちょ

• 漱石そうせき文学ぶんがく館かん・名著めいちょ複ふく刻こく『英えい文学ぶんがく形式けいしき論ろん』（日本にっぽん近代文学館きんだいぶんがくかん、1976年ねん）

翻訳ほんやく

• 『希まれ臘勇士し譚たん 英和えいわ対訳たいやく 巻まき1(パァセアス物語ものがたり)』チャールズ・キングズリー著ちょ（内外ないがい出版しゅっぱん協会きょうかい、1904年ねん）
• 『如何いかにして生活せいかつすべきか』ロバート・グラント著ちょ（内外ないがい出版しゅっぱん協会きょうかい、1906年ねん）
• 『わが生涯しょうがい』ヘレン・ケラー著ちょ（内外ないがい出版しゅっぱん協会きょうかい、1907年ねん）
• 『時勢じせいと青年せいねん』ジョシア・ストロング著ちょ（内外ないがい出版しゅっぱん協会きょうかい、1907年ねん）
• 『母ははの道みち 一いち名めい・小児しょうにの教育きょういく』ハンナ・ホイットール・スミス著ちょ（内外ないがい出版しゅっぱん協会きょうかい、1908年ねん）
• 『ワグネル物語ものがたり』（内外ないがい出版しゅっぱん協会きょうかい、1908年ねん）
• 『淑女しゅくじょの美徳びとく』ウィリアム・ゼー・シアラー著ちょ（内外ないがい出版しゅっぱん協会きょうかい、1909年ねん）
• ジョージ・メレディス「シャグパットの毛け剃そ」-「享楽きょうらく主義しゅぎ者しゃメイリアス　下しも 付録ふろく」（ウォルター・ペイター、國民こくみん文庫ぶんこ刊行かんこう会かい 1927年ねん）に収録しゅうろく
  • 新版しんぱん『ゴシック名訳めいやく集成しゅうせい暴夜(アラビア)幻想げんそう譚たん―伝奇でんきノ匣くしげ8』 (東あずま雅夫まさお編へん、学研がっけんM文庫ぶんこ、2005年ねん）に収録しゅうろく
• 『独逸どいつ古こ謡うたい ニーベルンゲンの歌うた』（大智たいち書房しょぼう、1943年ねん）

参考さんこう文献ぶんけん

• 田村たむら道みち美び「漱石そうせきと皆川みなかわ正ただし禧」『英学えいがく史し研究けんきゅう』25, 1992年ねん, 1-13頁ぺーじ.PDF
• 近藤こんどう哲あきら『夏目なつめ激げき石せきと門下生もんかせい・皆川みなかわ正ただし禧』（歴史れきし春秋しゅんじゅう出版しゅっぱん社しゃ、2009年ねん）
• 『人事じんじ興信録こうしんろく』データベース第だい8版はん