相阿弥そうあみ

相阿弥そうあみ作さくの絵画かいが（ホノルル美術館びじゅつかん所蔵しょぞう）

相阿弥そうあみ（そうあみ、生年せいねん不明ふめい - 大だい永ひさし5年ねん10月27日にち（1525年ねん11月12日にち））は室町むろまち時代ときよの絵師えし、鑑定かんてい家か、連歌れんが師し。姓せいは中尾なかお、名なは真相しんそう（しんそう）、号ごうは松雪まつゆき斎ひとし・鑑かん岳だけ。父ちちは芸阿弥げいあみ、祖父そふは能阿弥のうあみ。

略伝りゃくでん

祖父そふ・父ちちに引ひき続つづいて足利あしかが将軍家しょうぐんけに同朋どうほう衆しゅとして仕つかえ、唐物とうぶつ奉行ぶぎょうも務つとめた。阿弥あみ派はの絵画かいがの大成たいせい、書院しょいん飾かざりの完成かんせい、書画しょがの管理かんり・鑑定かんてい、造園ぞうえん、香こう、連歌れんが、茶道さどうなど多方面たほうめんで活躍かつやくした。狩野かの正信まさのぶに対たいして画題がだい・画かく本ほんの選択せんたくや画が事ごとの相談そうだんを行おこなったりもしている。更さらに正信まさのぶの子こ・狩野かの元信もとのぶは、墨すみの調子ちょうしを相阿弥そうあみに学まなぶべきだと忠告ちゅうこくされたとの話はなしもある。

画家がかとしては三条西さんじょうにし実隆さねたか『実隆さねたか公おおやけ記き』や景けい徐じょ周あまね麟『翰林かんりん葫にんにく蘆あし集しゅう』でその活躍かつやくが記しるされ、「国くに工こう相しょう阿おもね」と称しょうされている。また『翰林かんりん葫にんにく蘆あし集しゅう』には相阿弥そうあみの描えがいた書斎しょさい図ずに題だいして、「（原はら叔首座ざが）国こく工こう相しょう阿おもねに絵えんこを請こい、且かつ又また予よに就て賛さん詞しを求もとむ」とある。一般いっぱんに五山ごさん文学ぶんがくにおいて、絵師えしに画がを求もとめる時ときの常套じょうとう的てきな表現ひょうげんは「工こうに命めいじて」描えがかせるというもので、絵師えしの名なさえ記しるされないのが通例つうれいである。それに比くらべ、ここでの「我わが国くにの名画めいが工こう相阿弥そうあみに頼たのんで描えがいて貰もらった」という表現ひょうげんは、非常ひじょうに丁寧ていねいであり、相阿弥そうあみの画が技わざは一般いっぱんの職業しょくぎょう画工がこうより高たかいランクが与あたえられていたことがわかる。弟子でしに単たん庵あん智さとし伝でんがいる。

鑑定かんてい家かとしての側面そくめんを見みると、『蔭かげ涼りょう軒のき日び録ろく』には相阿弥そうあみが唐物とうぶつの値ね付づけをしている記述きじゅつが頻出ひんしゅつする。応仁おうにんの乱らん以降いこう、東山ひがしやま御物ぎょもつの名品めいひんが市場いちばに流出りゅうしゅつし、堺さかいの豪商ごうしょうや町衆まちしゅうたちの手てに渡わたるといった流行りゅうこうが起おきており、相阿弥そうあみもこうした時流じりゅうに直接ちょくせつ関かかわっていったと想定そうていできる。永えい正ただし8年ねん（1511年ねん）には150人にんほどの中国ちゅうごく画家がか列伝れつでんと座敷ざしき飾かざりの図ず入いり解説かいせつ、香合こうごうや茶碗ちゃわんなどの唐物とうぶつの説明せつめいから成なり立たつ『君きみ台だい観かん左右さゆう帳ちょう記き』、大だい永なが3年ねん（1523年ねん）には座敷ざしき飾かざりの方式ほうしきをまとめた『御ご飾かざり記き』を著あらわした。大だい永なが5年ねん（1525年ねん）10月がつ27日にち死去しきょ。享年きょうねんは70前後ぜんこうとされる。

青あお蓮れん院いん築山つきやま泉水せんすい庭にわ

主おもな作品さくひん

絵画かいが

• 紙かみ本ほん墨画ぼくが瀟湘八景はっけい図ず 6幅ぶく（大徳寺だいとくじ大仙だいせん院いん所蔵しょぞう、重要じゅうよう文化財ぶんかざい）
• 紙かみ本ほん墨画ぼくが瀟湘八景はっけい図ず 16幅ぶく（大徳寺だいとくじ大仙だいせん院いん所蔵しょぞう、重要じゅうよう文化財ぶんかざい）
• 廬いおり山やま観かん瀑図 （出光いでみつ美術館びじゅつかん所蔵しょぞう） 彦龍周しゅう興きょう賛さん
• 山水さんすい図ず（MOA美術館びじゅつかん所蔵しょぞう）
• 四季しき山水さんすい図ず屏風びょうぶ（左ひだり隻せき・右みぎ隻せき）（メトロポリタン美術館びじゅつかん所蔵しょぞう） 紙し本ほん墨画ぼくが 六ろく曲きょく一双いっそう
• 山水さんすい図ず（クリーブランド美術館びじゅつかん所蔵しょぞう）
• 観かん瀑図 （サンフランシスコ・アジア美術館びじゅつかん所蔵しょぞう）

庭園ていえん

• 青あお蓮れん院いん築山つきやま泉水せんすい庭にわ
• 龍安寺りゅうあんじ方丈ほうじょう庭園ていえん（諸説しょせつあり）
• 慈照寺じしょうじ庭園ていえん
• 長楽寺ちょうらくじ庭園ていえん
• 願泉寺がんせんじ庭園ていえん

山水さんすい図ず メトロポリタン美術館びじゅつかん

参考さんこう文献ぶんけん

• 『国史こくし大だい辞典じてん』第だい7巻かん（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1986年ねん） 873頁ぺーじ「真相しんそう」の項こう（赤沢あかざわ英二えいじ 著ちょ）
• 島尾しまお新しん 『水墨すいぼく画が -能阿弥のうあみから狩野かの派はへ』 至文しぶん堂どう〈日本にっぽんの美術びじゅつNo.338〉、1994年ねん、ISBN 978-4-784-33338-7
• 相阿弥そうあみ - コトバンク