破局はきょく

破局はきょく（はきょく）とは、事態じたいが健常けんじょうな状態じょうたいを維持いじすることが不可能ふかのうになり滅めっするという形かたちで終焉しゅうえんを迎むかえるということ。

多おおくの場合ばあい、男女だんじょ関係かんけいにおいてこの言葉ことばが使つかわれており、その場合ばあいは深ふかい間柄あいだがらで交まじわりを持もっていた男女だんじょが不仲ふなかとなり別離べつりするということが意味いみされている。大抵たいていの場合ばあいは恋人こいびと同士どうしが分わかれる時ときに使つかわれているが、夫婦ふうふ生活せいかつを終おえる離婚りこんを意味いみするときにも使つかわれることがある^[1]。芸能人げいのうじんの恋愛れんあい関係かんけいに関かんする破局はきょくはしばしば大衆たいしゅうの注目ちゅうもくの的まととなっており、事態じたいが発はっするたびにメディアをにぎわせている。

社会しゃかい心理しんり学がくの調査ちょうさ研究けんきゅうでは、一旦いったん親したしくなった対人たいじん関係かんけいが破局はきょくに至いたる要因よういんとして、両者りょうしゃの属性ぞくせい・特性とくせいの落差らくさ、親密しんみつさ（関与かんよ度ど）の低下ていか、当事とうじ者しゃのパーソナリティに起因きいんした社会しゃかい的てき消極しょうきょく性せい、そして性差せいさによる認知にんち能力のうりょく・コミュニケーション行動こうどうのギャップが挙あげられている^[2]。

破局はきょくのメカニズム

社会しゃかい心理しんり学がくでは、親密しんみつなパートナー関係かんけいの維持いじや破局はきょくのメカニズムについて、いくつかの理論りろんやモデルが提唱ていしょうされているが、大おおきく分わけて社会しゃかい的てき交換こうかん理論りろんに基もとづいた交換こうかんモデルと、関係かんけいの親密しんみつ化かから別離べつりまでを一連いちれんのプロセスとして考かんがえる適合てきごう性せいモデルの2つに分わけられる^[3]。

交換こうかんモデル

交換こうかんモデルとは、パートナーと付つき合あうことによって発生はっせいする損得そんとくが関係かんけいの維持いじを左右さゆうするという考かんがえ方かたである^[3]。ここでいう損得そんとくは金銭きんせんや物品ぶっぴんの移動いどうに限かぎらず、欲求よっきゅうの充足じゅうそくやパートナーからの愛情あいじょうといった報酬ほうしゅうに対たいして、パートナーに費ついやした時間じかんやエネルギーをコストとする、人ひとと人ひととの相互そうご作用さようの全般ぜんぱんを指さす。一緒いっしょにいると楽たのしく感かんじるという感覚かんかくがコストを上回うわまわっていれば関係かんけいは良好りょうこうに続つづくが、それが逆転ぎゃくてんすると不満ふまんを感かんじ、関係かんけいの停滞ていたいや崩壊ほうかいへとつながる可能かのう性せいが高たかまるとされる。

適合てきごう性せいモデル

適合てきごう性せいモデルでは、パートナーとの関係かんけい深化しんかを複数ふくすうの段階だんかいに分わけ、ある段階だんかいから次つぎの段階だんかいに移行いこうする条件じょうけんを近接きんせつ性せいや外見がいけん的てき魅力みりょく、役割やくわり適合てきごうなどで吟味ぎんみする。このうち、破局はきょくに至いたる段階だんかいでは対人たいじん的てきな葛藤かっとうや食くい違ちがいが要因よういんとして挙あげられる^[4]。

たとえば、M・L・ナップ（英語えいご版ばん）の関係かんけい発展はってんモデルでは、関係かんけいの崩壊ほうかいを以下いかの5つの段階だんかいに仮定かていして説明せつめいしている^[3]。

食くい違ちがい: それまで相手あいてのチャームポイントとして感かんじられていた部分ぶぶんが食くい違ちがいとして認識にんしきされるようになる
境界きょうかい化か: コミュニケーションが限定げんてい的てきとなる。特とくに、食くい違ちがいとして認識にんしきされた部分ぶぶんに触ふれることは極力きょくりょく回避かいひする
停滞ていたい: さらに関係かんけいが後退こうたいし、表面ひょうめん的てきなコミュニケーションに留とまる
回避かいひ: 物理ぶつり的てきに距離きょりを取とるようになる
終焉しゅうえん: 社会しゃかい的てき・法律ほうりつ的てきな別離べつりへと至いたる

それぞれの段階だんかいにかけられる時間じかんはさまざまであり、ある段階だんかいから進行しんこうせずに安定あんてい化かする場合ばあいや、関係かんけいが改善かいぜんして逆行ぎゃっこうする場合ばあいもある。逆ぎゃくに、途中とちゅうのステップを飛とばして急激きゅうげきに進行しんこうしてしまう場合ばあいもあり得える。

脚注きゃくちゅう

^ [1]
^ 大坊だいぼう 2011, pp. 96–99.
^ ^a ^b ^c 多川たがわ 2012, pp. 71–78.
^ 適合てきごう性せいモデルの研究けんきゅうでは最終さいしゅう段階だんかいが死別しべつか別離べつりに分岐ぶんきする場合ばあいがあるが、ここでは別離べつりによる終結しゅうけつについて解説かいせつする。

参考さんこう文献ぶんけん

大坊だいぼう郁夫いくお、二宮にのみや克美かつみ、子安こやす増ぞう生せい（編へん）、2011、「関係かんけいの崩壊ほうかい」、『社会しゃかい心理しんり学がく』、新しん曜社〈キーワードコレクション〉 ISBN 9784788512368
多川たがわ則子のりこ、吉田よしだ俊和としかず、橋本はしもと剛つよし、小川おがわ一美かずみ（編へん）、2012、「なぜ恋愛れんあい感情かんじょうは浮うき沈しずみするのか？」、『対人たいじん関係かんけいの社会しゃかい心理しんり学がく』、ナカニシヤ出版しゅっぱん ISBN 9784779506932

[1] [1]

[FOOTNOTE大坊201196–99-2] 大坊だいぼう 2011, pp. 96–99.

[FOOTNOTE多川201271–78-3] 多川たがわ 2012, pp. 71–78.

[4] 適合てきごう性せいモデルの研究けんきゅうでは最終さいしゅう段階だんかいが死別しべつか別離べつりに分岐ぶんきする場合ばあいがあるが、ここでは別離べつりによる終結しゅうけつについて解説かいせつする。

[1]

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[4]