福永ふくなが操みさお

福永ふくなが 操みさお（ふくなが みさお、1907年ねん5月8日にち‐1991年ねん）は、日本にっぽんの社会しゃかい運動うんどう家か、著述ちょじゅつ家か。兵庫ひょうご県けん出身しゅっしん。東京女子大学とうきょうじょしだいがく中退ちゅうたい。旧姓きゅうせいは波多野はたの、是枝これえだ。

来歴らいれき

1907年ねん、大浦おおうら事件じけんの裁判さいばん長ちょうを務つとめた波多野はたの高だか吉きちと高等こうとう女学校じょがっこう教師きょうしはまの間あいだに生うまれた。1924年ねん、北海道庁ほっかいどうちょう立りつ札幌さっぽろ高等こうとう女学校じょがっこう（現げん北海道ほっかいどう札幌北さっぽろきた高等こうとう学校がっこう）を卒業そつぎょうし、東京女子大学とうきょうじょしだいがく英語えいご専攻せんこう部ぶに入学にゅうがく。在学ざいがく中ちゅうに社会しゃかい科学かがく研究けんきゅう会かいを結成けっせいし、女子じょし学生がくせい運動うんどうを指導しどうした。

1927年ねん日本にっぽん共産党きょうさんとうに入党にゅうとう後ご、『無産むさん者しゃ新聞しんぶん』編集へんしゅう長ちょうだった是枝これえだ恭二きょうじと結婚けっこん。翌年よくねん、三さん・一いち五ご事件じけんで検挙けんきょされた。1934年ねん2月がつ、治安ちあん維持いじ法ほう再犯さいはんとして起訴きそされ、服役ふくえきした。

戦後せんごは1955年ねんに日本にっぽん共産党きょうさんとう復ふく党とう後ご、地域ちいき活動かつどうに従事じゅうじする傍かたわら、思想しそう研究けんきゅうや運動うんどう史し研究けんきゅうを行おこなった。

1979年ねん、『運動うんどう史し研究けんきゅう』4号ごうに「座談ざだん会かい・ハウスキーパーの虚像きょぞうと実像じつぞう／原泉げんせん・福永ふくなが操みさお・石堂いしどう清きよし倫りん・宮内みやうち勇いさむ」掲載けいさい。1983年ねん、同誌どうし11号ごうに「座談ざだん会かい・労働ろうどう運動うんどうのなかの先駆せんく的てき女性じょせいたち／山内やまうちみな・福永ふくなが操みさお・鍋山なべやま歌子うたこ・丹野たんのせつ・大竹おおたけ一いち燈とう子こ・鈴木すずき裕子ゆうこ」。1983年ねん5月がつ、記録きろく映画えいが「女おんなたちの証言しょうげん―労働ろうどう運動うんどうの中なかの先駆せんく的てき女性じょせいたち―」制作せいさくのためインタビューに応おうじた。1982年ねんには自叙伝じじょでん『あるおんな共産きょうさん主義しゅぎ者しゃの回想かいそう』を上梓じょうし。

1989年ねんのベルリンの壁かべ崩壊ほうかいでソビエト社会しゃかい主義しゅぎが挫折ざせつして以降いこう、体調たいちょうを崩くずし、入退院にゅうたいいんを繰くり返かえして一いち種しゅの虚脱きょだつ状態じょうたいにあったが、ある日ひ病院びょういん脇わきの路上ろじょうで亡なくなっているのが発見はっけんされた。窓まどから飛とび降おりたのではないかと疑うたがう者ものも多おおかったという。

家族かぞく

• 父方ちちかた祖父そふ・波多野はたの弘ひろし ‐ 土浦つちうら藩はん（土屋つちや家か）の江戸詰えどづめ下級かきゅう武士ぶし
• 父方ちちかた伯父おじ・波多野はたの貞之助ていのすけ ‐ 弘ひろの長男ちょうなん。教育きょういく者しゃ。
• 父ちち・波多野はたの高だか吉きち（1867-） ‐ 弘ひろの二男じなん。判事はんじ。東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく法科ほうか大学だいがく卒そつ。死別しべつした前妻ぜんさいとの間あいだに二に児じ。
• 母方ははかた曽そ祖父そふ・吉村よしむら善よし海うみ（-1884） ‐ 関宿せきやど藩はん主おも・久世くぜ広ひろ周しゅう侍医じい。維新いしん後ごは埼玉さいたま県けん下鹿山しもかやま村むら（現げん・日高ひだか市し）の村むら医者いしゃ。
• 母方ははかた祖父そふ・吉村よしむら岱仲（1851-1902） ‐ 善ぜん海うみの長男ちょうなん。玉川たまがわ村むら (埼玉さいたま県けん)の村むら医者いしゃ。
• 母はは・はま（1876-） ‐ 岱仲の長女ちょうじょ。高こう吉きちの後妻ごさい。教育きょういく者しゃ。お茶ちゃの水みず高だか師し附属ふぞく高だか女おんなを経へて東京とうきょう女おんな高だか師し卒業そつぎょう後ご、浦和うらわ高等こうとう女学校じょがっこう教師きょうしとなり、1906年ねんに神戸こうべ地方裁判所ちほうさいばんしょ判事はんじだった高こう吉きちの後妻ごさいとなり、1913年ねんまで親和しんわ高等こうとう女学校じょがっこうで教おしえる。長岡ながおか輝子てるこの母はは・栄子えいこ、宮川みやがわヒサとは女おんな高だか師しの同級生どうきゅうせい。
• 異母いぼ姉あね・文ぶん（1900-） ‐ 富塚とみつか清きよしの妻つま。兵庫ひょうご県立けんりつ神戸こうべ高等こうとう女学校じょがっこう卒そつ。
• 夫おっと・是枝これえだ恭二きょうじ ‐ 獄死ごくし
• 夫おっと・福永ふくなが基はじめ三さん ‐ 左翼さよく系けい出版しゅっぱん社しゃ「希望きぼう閣かく」社主しゃしゅ・永田ながた周作しゅうさくの妻つまの義弟ぎてい。戦中せんちゅうは中国ちゅうごくで新聞しんぶん記者きしゃ、引ひき揚あげ後ご波多野はたの家かに寄寓きぐうしたことで知しり合あい、戦後せんご再婚さいこん。

著作ちょさく

• 『共産きょうさん党員とういんの転向てんこうと天皇てんのう制せい』三さん一いち書房しょぼう、1978年ねん
• 『あるおんな共産きょうさん主義しゅぎ者しゃの回想かいそう』れんが書房しょぼう新しん社しゃ、1982年ねん
• 『「源氏物語げんじものがたり」の女おんなたちと作者さくしゃ』れんが書房しょぼう新しん社しゃ、1990年ねん
• 「熊沢くまさわ光子みつこさんのことなど」『運動うんどう史し研究けんきゅう』3号ごう、1979年ねん2月がつ
• 「"スパイ査問さもん事件じけん"前後ぜんこう」『運動うんどう史し研究けんきゅう』6号ごう、1980年ねん8月がつ
• 「天皇てんのう制せいは何なん年間ねんかん継続けいぞくしたか？」『運動うんどう史し研究けんきゅう』17号ごう、1986年ねん2月がつ