篠原しのはら眞しん

篠原しのはら 眞しん
生誕せいたん	(1931-12-10) 1931年ねん12月10日にち
出身しゅっしん地ち	日本にっぽん・大阪おおさか府ふ
死没しぼつ	(2024-03-03) 2024年ねん3月3日にち（92歳さい没ぼつ）
学歴がくれき	パリ国立こくりつ高等こうとう音楽おんがく・舞踊ぶよう学校がっこう作曲さっきょく科か, 音楽おんがく哲学てつがく, 対位法たいいほう
ジャンル	現代げんだい音楽おんがく
職業しょくぎょう	作曲さっきょく家か

篠原しのはら 眞しん（しのはら まこと、1931年ねん12月10日にち - 2024年ねん3月3日にち）は、日本にっぽんの作曲さっきょく家か。大阪おおさか府ふ出身しゅっしん。主しゅとしてオランダのユトレヒト在住ざいじゅう。

略歴りゃくれき

大阪おおさか府ふ大阪おおさか市し出身しゅっしん、東京とうきょう都と青山あおやま育そだち。東京とうきょう都立とりつ日比谷ひびや高等こうとう学校がっこう卒業そつぎょう後ご、青山学院大学あおやまがくいんだいがくに入学にゅうがくするも中退ちゅうたい、東京藝術大学とうきょうげいじゅつだいがく作曲さっきょく科かに入学にゅうがく。東京とうきょうでは池内いけうち友次ともじ郎ろう、安川やすかわ加寿子かずこ、渡邉わたなべ暁あきら雄ゆう、クルト・ヴェスらに師事しじ。しかし、芸大げいだいも中退ちゅうたい。

池内いけうち友次ともじ郎ろうの勧すすめで早期そうきにフランスへ渡わたり、トニー・オーバンに作曲さっきょくを師事しじ、「ヴァイオリン・ソナタ(1958)」で一等いっとう賞しょう首席しゅせき、オリヴィエ・メシアンに音楽おんがく哲学てつがく（一等いっとう賞しょう）、シモーヌ・プレ・コーサードに対位法たいいほう（一等いっとう賞しょう）、ルイ・フーレスチェに指揮しき法ほうを師事しじする。複数ふくすうの一等いっとう賞しょうを得えてパリ国立こくりつ高等こうとう音楽おんがく院いんを卒業そつぎょう。メシアンに勧すすめられてダルムシュタット夏季かき現代げんだい音楽おんがく講習こうしゅう会かいへ参加さんかし、ドイツに移うつることを決意けつい。

ミュンヘンで作曲さっきょくをハラルド・ゲンツマーに、ケルンで作曲さっきょくをベルント・アロイス・ツィンマーマンに、電子でんし音楽おんがくをゴットフリート・ミヒャエル・ケーニヒに師事しじ。後のちに念願ねんがんであったカールハインツ・シュトックハウゼンのアシスタントとして共ともに仕事しごとをすることとなり、一時いちじは篠原しのはらはシュトックハウゼンの創作そうさくの紹介しょうかい者しゃとして日本にっぽんに伝つたえられていた。ただし、ミュンヘン音楽おんがく・演劇えんげき大学だいがくとケルン音楽おんがく舞踊ぶよう大学だいがくは給費きゅうひが打うち切きられたため、どちらも卒業そつぎょうしなかった。

1966年ねんにドイツ学術がくじゅつ交流こうりゅう会かいを得えて、ベルリン在住ざいじゅう。一時いちじアメリカにも住すんでいたが、多おおくの期間きかんオランダのユトレヒトなどヨーロッパ在住ざいじゅう。後のちに帰国きこくした。

妻つまは日本人にっぽんじんで初はじめてモンテッソーリ教師きょうしとなった赤羽あかはね惠子けいこ。

海外かいがいで質しつの高たかい創作そうさくを行おこないながら日本にっぽんで全まったく評判ひょうばんが上あがらないことを気きに病やんだピアノ調律ちょうりつ師し原田はらだ力男りきおの主催しゅさいで、1987年ねんに篠原しのはらの個展こてんとレクチャーが開催かいさいされ、大おおきな話題わだいとなった。そのとき個展こてんで演奏えんそうされた作品さくひんには、チェロ独奏どくそうの為ための「エヴォリューション」と、ステレオ増幅ぞうふくされたバス・フルートのための「パッセージ」などがある。2006年ねん12月にケルンの日本にっぽん文化ぶんかセンターで行おこなわれた生誕せいたん75周年しゅうねん記念きねんの記念きねん演奏えんそう会かいは、これまでの創作そうさくの展望てんぼうを一覧いちらんできる重要じゅうような機会きかいとなった。最後さいごの個展こてんは2021年ねんに行おこなわれたものであった。

2024年ねん3月3日にち、胃いがんのため東京とうきょう都との施設しせつで死去しきょ。92歳さい没ぼつ。

作風さくふう

長ながらく作品さくひんリストから割愛かつあいされていたオーケストラ曲きょくや、ヴァイオリンとピアノの為ための「ソナタ」では前衛ぜんえいイディオムは用もちいられていないものの、1960年代ねんだい以後いごは新しん古典こてん的てき様相ようそうが完全かんぜんに消きえ、ダルムシュタット夏季かき現代げんだい音楽おんがく講習こうしゅう会かいで議論ぎろんされた語法ごほうに彩いろどられた作品さくひんを次々つぎつぎと発表はっぴょうした。リコーダーソロの為ための「フラグメント」、ピアノ独奏どくそうの為ための「タンダンス」、打楽器だがっき合奏がっそうの為ための「アルテルナンス」などがこれに入はいる。

1970年代ねんだい以後いごは通つうじて「和洋わようの音楽おんがく的てき融合ゆうごう」をテーマに据すえ、エキゾティシズムが表層ひょうそうに出でず、なおかつ質しつの高たかい様式ようしき美びを失うしなっていない。この時期じきの作品さくひんは「かっこつきの日本にっぽんに毒どくされた創作そうさく」と批判ひはんされることもある。しかし、和洋わよう楽器がっき合奏がっそうの為ための「コゥオペレーション」、25の西洋せいよう楽器がっきの為ための「エガリサシオン」、フルートとピアノの為ための「レラシオン」などの評価ひょうかは高たかい。また、片山かたやま杜もり秀しゅうは管弦楽かんげんがくと混声こんせい合唱がっしょうのための「夢路ゆめじ」を『ONTOMO MOOK クラシック名めい盤ばん大全たいぜん管弦楽かんげんがく曲きょく篇へん』に採とり上あげ、「望郷ぼうきょうの音楽おんがく」として好意こうい的てきな評価ひょうかを書かいている。

「同どう一いちジャンルごとに模倣もほうを生うまない」という厳きびしい作曲さっきょく態度たいどであり、全ぜん作品さくひん数すうが極きわめて少すくない。晩期ばんきはまた洋楽ようがく器きのみの作曲さっきょくへ戻もどった。編曲へんきょく及および子こどものためのピアノ作品さくひんを除のぞいて、Sonate〈ソナタ〉以後いごを真しん作さくとして数かぞえても50作さくを切きる。

主要しゅよう作品さくひん

編曲へんきょく作品さくひん「日本にっぽんの歌うたより」は作品さくひんリストに掲載けいさいされていないこともあり、外国がいこく語ご題名だいめいを付つけていない。彼かれの作品さくひんは全音楽譜出版社ぜんおんがくふしゅっぱんしゃ、音楽之友社おんがくのともしゃ、日本にっぽん作曲さっきょく家か協議きょうぎ会かい、キックオフ、レデュック社しゃ、メック出版しゅっぱん社しゃ、トレメディア音楽おんがく出版しゅっぱん社しゃから出版しゅっぱんされている。近作きんさくはEdition Gravisから発売はつばいされている。

管弦楽かんげんがく

• Solitude 〈孤独こどく〉
• Visions II〈幻影げんえいII〉
• Égalisation〈平等びょうどう化か〉（25人にんの器楽きがく奏者そうしゃ。音楽之友社おんがくのともしゃからの出版しゅっぱん譜ふでは「エガリザシオン」と表記ひょうきされている）
• Liberation〈解放かいほう〉
• 夢路ゆめじ〈Ways of Dreams〉（和洋わよう楽器がっきのオーケストラと混声こんせい合唱がっしょう）
• ロンド（1953年ねん東京とうきょう交響こうきょう楽団がくだん委嘱いしょく作品さくひん、本来ほんらいはSonate〈ソナタ〉以前いぜんの作品さくひんとして公式こうしき作品さくひんリストには挙あがっていなかった。）

室内楽しつないがく

• Trois d'Anches〈木管もっかん三さん重奏じゅうそう曲きょく〉（オーボエ、クラリネット、ファゴット; かつての公式こうしき作品さくひんリストではこれが処女しょじょ作さくになっていた。）
• Sonate〈ソナタ〉（ヴァイオリン、ピアノ; デビュー作さく）
• Kassouga〈春日しゅんじつ〉（フルート、ピアノ）
• Trois Pièces Concertantes〈3つの協奏きょうそう的てき小品しょうひん〉（トランペット、ピアノ）
• Obsession〈概念がいねん〉（オーボエ、ピアノ）
• Alternance〈交互こうご〉（6打楽器だがっき奏者そうしゃ）
• Consonance〈協和きょうわ〉（フルート、ホルン、ヴィブラフォン、マリンバ、ハープ、チェロ）
• Relations〈関係かんけい〉（フルート、ピアノ）
• 求道きゅうどうB〈In quest of enlightenment B〉（尺八しゃくはち、ハープ。なお、『日本にっぽんの作曲さっきょく20世紀せいき』では「尺八しゃくはち、フルート」となっていた）
• Play〈遊あそび〉（フルート、アルトフルート、オーボエ、クラリネット、バスクラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン）
• Turns〈巡めぐり〉（ヴァイオリン、箏そうまたはヴァイオリン）
• Cooperation〈協力きょうりょく〉（8人にんの邦楽ほうがく器き奏者そうしゃと8人にんの洋楽ようがく器き奏者そうしゃ。全音楽譜出版社ぜんおんがくふしゅっぱんしゃから刊行かんこうされた楽譜がくふでは「コゥオペレーション」）
• Situations〈状況じょうきょう〉（アルトサックス、シンセサイザー）
• Undulation B〈波状はじょうB〉（2台だいのピアノ）
• Fragmente Duo〈断片だんぺん デュオ〉（バスフルート、二に十じゅう一いち絃箏）
• Fragmente Trio〈断片だんぺん トリオ〉（バスフルート、二に十じゅう一いち絃箏）

独奏どくそう

• Tendance〈傾向けいこう〉（ピアノ。メック出版しゅっぱん社しゃからの楽譜がくふでは「タンダンス」）
• Fragmente〈断片だんぺん〉（バスフルート）
• Réflection〈思おもいわずらい〉（オーボエ）
• たゆたい〈Fluctuation〉（箏そう、打楽器だがっき、声こえ。箏そう奏者そうしゃが打楽器だがっきと声こえを兼かねる。独唱どくしょう者しゃを別べつに立たててもよい）
• 求道きゅうどうA〈In quest of enlightenment A〉（尺八しゃくはち）
• Elevation〈高揚こうよう〉（オルガン）
• Passage〈移うつり行いき〉（ステレオ増幅ぞうふくされたバスフルート。アルトフルートやフルートでも、また増幅ぞうふくなしで演奏えんそうすることも可能かのう。日本にっぽん作曲さっきょく家か協議きょうぎ会かいから出版しゅっぱんされた楽譜がくふでは「パッセージ」）
• 流ながれ〈Flow〉（三味線しゃみせん。全音楽譜出版社ぜんおんがくふしゅっぱんしゃの楽譜がくふでは、外国がいこく語ご表記ひょうきが「Nagare」となっている）
• 十じゅう七なな絃の生うまれ〈Birth of the Bass Koto〉（十じゅう七なな絃）
• Evolution〈進展しんてん〉（チェロ。日本にっぽん作曲さっきょく家か協議きょうぎ会かいから刊行かんこうされた楽譜がくふでは「エヴォリューション」）
• Undulation A〈波状はじょうA〉（ピアノ）

声楽せいがく

• たびゆき〈On Travel〉（メゾソプラノ、12奏者そうしゃ）
• 日本にっぽんの歌うたより（無む伴奏ばんそう混声こんせい合唱がっしょう。編曲へんきょく）

テープ音楽おんがく

• Visions I〈幻影げんえい I〉
• Mémoires〈回想かいそう録ろく〉
• Personage〈人物じんぶつ〉
• Broadcasting〈ラジオ放送ほうそう〉
• City Visit〈都市とし空間くうかん〉

その他た

• 東京とうきょう都立とりつ日比谷ひびや高等こうとう学校がっこう校歌こうか

外部がいぶリンク

• 作曲さっきょく家かデータベース 篠原しのはら 眞しん