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まゆ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
アメリカオオミズアオ(Actias luna)のまゆ

まゆ(まゆ)は、活動かつどう停止ていしまたはにぶ活動かつどう状態じょうたいにある動物どうぶつつつんで保護ほごするおおいをいう。動物どうぶつから分泌ぶんぴつされたもの、または砂利じゃりなどの体外たいがい物質ぶっしつおおいをし、もうのようなからだ一部いちぶ保護ほご器官きかんのことではない。

一般いっぱんてきには昆虫こんちゅうとくにおける、絹糸けんし繊維せんいしつのものをさす。さらせま意味いみでは、カイコのそれをし、絹糸けんし原料げんりょうである。(#ガのまゆ参照さんしょうのこと)

節足動物せっそくどうぶつまゆ

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節足動物せっそくどうぶつでは、昆虫こんちゅうクモなどの一部いちぶられる。

昆虫こんちゅうでは、上述じょうじゅつ鱗翅りんし一部いちぶ絹糸けんし繊維せんいしつのものがられるほかアミメカゲロウクサカゲロウウスバカゲロウなど、ハチるいアリるいトビケラるいなどの幼虫ようちゅうがやはりいといてまゆつくる。カブトムシなどのコウチュウるいにはどろをかためてはっきりとしたものつくってさなぎになるものがあり、これもまゆうことがある。ユスリカにもさなぎさい粘液ねんえきふくろじょうかためたはん透明とうめいまゆつくるものがあるが、特殊とくしゅれいとしてはキソガワフユユスリカ Hydrobaenus kondoi やそのきんえんしゅ幼虫ようちゅう夏眠かみんのためのまゆつくることがられている。ハエるい幼虫ようちゅうは、さなぎになるさい幼虫ようちゅう皮膚ひふ内側うちがわさなぎになり、幼虫ようちゅう皮膚ひふはそのままにさなぎつつからになる。このようなさなぎ形態けいたいかこえさなぎ(いよう)とぶが、これも機能きのうからすればまゆえなくはない。なお、ミノガやトビケラなどでは幼虫ようちゅう普段ふだん生活せいかついとでかがって異物いぶつ付着ふちゃくさせたつくってそのなか生活せいかつしており、さなぎにはこれにじこもるので、まゆ転用てんようされている。

昆虫こんちゅう以外いがいでは、クモるいにはたまごいとでくるむ習性しゅうせいがあり、これを卵嚢らんのうう。たねによってそのかたち様々さまざまであるが、ナガコガネグモなど、一部いちぶたねでは表面ひょうめん丈夫じょうぶまくつつんだふくろ形成けいせいするものがあり、これはまゆている。しかしそこにこもる本体ほんたいつくったものではないてんおおきくことなる。

ガのまゆ

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るい幼虫ようちゅうは、おおくはさなぎまえいとき、これをつづりわせてふくろじょう構造こうぞう自分じぶんまわりにつくり、そのなかさなぎになる。成虫せいちゅうになるとその一部いちぶやぶって脱出だっしゅつする。このふくろじょう構造こうぞうまゆである。おおくの場合ばあいいとだけではなく、えさなどをその外側そとがわにつけている。形態けいたいには様々さまざまなものがある。おおくはふくろじょうであるが、ウスタビガまゆがあってぶらがる。また、クスサンまゆいちめんおおわれているのではなく、いとわされた金網かなあみのような網目あみめじょうかべになっているので、別名べつめいスカシダワラ(かしたわらという。イラガまゆ独特どくとくで、楕円だえんがたちか球形きゅうけいまゆは、いとだけでなく幼虫ようちゅう分泌ぶんぴつぶつでかためられてちょっとプラスチックのような質感しつかんとなっている。成虫せいちゅう脱出だっしゅつするさいには、一端いったんまるぶたのようにはずれるので、あとにはまるくちひらいたちいさなカプセルがのこる。これを別名べつめいスズメノショウベンタゴという。

実用じつようてき身近みぢかなのはカイコまゆである。おわりよわい幼虫ようちゅうむらが(まぶし)というちいさく仕切しきられたうつわれられる。幼虫ようちゅう各々おのおのてきしたつけ、2昼夜ちゅうやほどかけてまゆつくりあげる。幼虫ようちゅうまゆなかさなぎし、10~15にち羽化うかする。成虫せいちゅうまゆかしてまゆからるが、それによっていとれてしまうので、絹糸けんしるためにはさなぎのうちにまゆころさねばならない。1個いっこまゆ大抵たいてい1ひきのカイコによってつくられるが、2~3%割合わりあいで2ひき1個いっこまゆつくることがあり、これを玉繭たままゆ(たままゆ)という。玉繭たままゆから絹糸けんしるとふしのあるいととなるため、以前いぜん価値かちひくものとされてきた。

すべてのガがまゆつくるわけではなく、たとえばスズメガるい地表ちひょう物陰ものかげさなぎになる。チョウのほとんどはまゆつくらないが、ウスバシロチョウのような例外れいがいもある。

脊椎動物せきついどうぶつまゆ

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脊椎動物せきついどうぶつでは、魚類ぎょるい両生類りょうせいるいなど、水生すいせい生物せいぶつおもにみられる。

ハイギョでは、乾燥かんそう状態じょうたいえるため、粘液ねんえきまわりのすなかためてまゆつくる。

また、カエルサンショウウオなどでは寒天かんてんじょうたまごかたまりまわりにやや丈夫じょうぶまくつものがある。これをまゆことはまずないが、クロサンショウウオではたまごかたまり不透明ふとうめいしろで、かたち楕円だえんがたであり、それがいけまれたものをカイコのまゆ見立みたてたれいがある。

軟体動物なんたいどうぶつまゆ

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軟体動物なんたいどうぶつでは、マダコなどのたまごかたまりまわりに寒天かんてんしつまゆられる。

文化ぶんか

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日本にっぽんではまゆという言葉ことばは、おおくの場合ばあいにカイコのそれを意味いみする。その豊作ほうさく祈願きがんして、まゆしたしろたまをこのえだかざったものを繭玉まゆだましょうし、神社じんじゃとう縁起物えんぎものとして使用しようするれいもある。

関連かんれん項目こうもく

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