羊水ようすい

羊水ようすい（ようすい）は、羊ひつじ膜まく上皮じょうひから分泌ぶんぴつされ、羊ひつじ膜まく腔を満みたす液体えきたいで、爬虫類はちゅうるい、鳥類ちょうるい、哺乳類ほにゅうるいといった有ゆう羊ひつじ膜まく類るいの胚はい、胎児たいじは、羊水ようすいに浮うかんで発育はついくする。また、尿にょう膜まく水すいと一括いっかつして胎水とも呼よばれることもある。

魚類ぎょるいや両生類りょうせいるいといった羊ひつじ膜まくを形成けいせいしない脊椎動物せきついどうぶつの胚はいは、外界がいかいの水みずが胚はいの周囲しゅういを循環じゅんかんすることで胚はいの排泄はいせつする排泄はいせつ物ぶつの除去じょきょやガス交換こうかんを行おこない発生はっせいの行おこなわれる空間くうかんの環境かんきょうを維持いじしているが、有ゆう羊ひつじ膜まく類るいの胚はいは羊ひつじ膜まく腔に保持ほじされpHや浸透しんとう圧あつなどの諸しょ性質せいしつの変動へんどうを一定いっていに抑おさえ、恒常こうじょう性せいを保たもった羊水ようすいを作つくり出だす事ことにより胚はい発生はっせいの行おこなわれる空間くうかんの環境かんきょうを胚はいにとって良好りょうこうに維持いじしている。

卵たまごや子宮しきゅうの中なかには最初さいしょから羊水ようすいがあるわけではなく胚はいに漿膜や羊ひつじ膜まくといった胚はい膜まくが形成けいせい、胚はいの本体ほんたいが羊ひつじ膜まく腔に包つつまれると、その中なかに羊水ようすいが満みたされる。発生はっせいの進すすんだ胚はいでは羊水ようすいを嚥下えんかする運動うんどうが観察かんさつされる。

哺乳類ほにゅうるいでは、出産しゅっさんの直前ちょくぜんに羊ひつじ膜まくが破やぶれ、羊水ようすいが体外たいがいに出でる。これを破水はすい（はすい）という。

なお、高齢こうれい出産しゅっさんや遺伝いでん病びょうの保ほ因いん者しゃなどの場合ばあい、出生しゅっしょう前ぜん診断しんだんとして胎児たいじの染色せんしょく体たい異常いじょうや先天せんてん性せい異常いじょうを調しらべるべく羊水ようすい中ちゅうに浮遊ふゆうする遊離ゆうり細胞さいぼうなどを調しらべる羊水ようすい検査けんさを行おこなう事ことがある。

この検査けんさで重おも篤あつな異常いじょうが見みつかった場合ばあい、胎児たいじを産うみ育そだてるか、もしくは人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつに踏ふみ切きるかなどについて妊にん婦ふおよびその周囲しゅういが決断けつだんを迫せまられる事ことになる。胎児たいじの人権じんけんの侵害しんがいであり、倫理りんり的てきに許ゆるされざる行為こういであるとの意見いけんと、先天せんてん性せいの障害しょうがいをもつ子供こどもを育そだてることは生活せいかつ上じょう大おおきな負担ふたんであり、堕胎だたいについての妊にん婦ふの選択せんたく権けんを認みとめるべきであるとの対立たいりつする意見いけんとがあり、倫理りんり上じょうの問題もんだいが生しょうじている。

加か齢よわいなどの要因よういんにより羊水ようすいが腐くさるという事ことはないが、出産しゅっさん予定よてい日びを過すぎての出産しゅっさん時じなど胎児たいじの排便はいべんにより羊水ようすいが濁にごる事ことがある。

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