肉にく骨粉こっぷん

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肉にく骨粉こっぷん

肉にく骨粉こっぷん（にくこっぷん）は畜産ちくさん副産物ふくさんぶつのひとつで、牛うし・豚ぶた・鶏にわとりなど家畜かちくの解体かいたい処理しょりによって食肉しょくにくを除のぞいたものに、骨ほね、内臓ないぞう、屑くず肉にく等ひとしを加熱かねつ処理しょりして脂質ししつを取とり除のぞくレンダリング（化か製せい処理しょり）を行おこない、これを細こまかく砕くだいて粉末ふんまつとしたものである[1][2]。

肥料ひりょうへの利用りよう[編集へんしゅう]

本来ほんらい、肉にく骨粉こっぷんは畜産ちくさんで余あまった骨ほねや屑くず肉にくを破砕はさいして乾燥かんそうさせ畑はたけにまいていたものを指さし[3]、特とくに牧草ぼくそう用ようの肥料ひりょうとして用もちいられていた[3]。

EU[編集へんしゅう]

欧州おうしゅう連合れんごう（EU）では畜産ちくさん副産物ふくさんぶつ規則きそく（EC／1774／2002）で、家畜かちく・公衆こうしゅう衛生えいせい、環境かんきょうへの潜在せんざい的てき危険きけん度どの高たかさに応おうじて畜産ちくさん副産物ふくさんぶつをC1、C2、C3に分類ぶんるいしている[4]。畜産ちくさん副産物ふくさんぶつのうちC1のカテゴリーのものは焼却しょうきゃく処分しょぶんまたは燃料ねんりょうとなっており、次つぎのC2のカテゴリーのものが加圧かあつ熱処理ねつしょりを行おこなったうえで肥料ひりょうやセメント原料げんりょうなどに利用りようされている[4]。さらに連邦れんぽう制せいのドイツでは州しゅうによって畜産ちくさん副産物ふくさんぶつの利用りよう可能かのう範囲はんいが異ことなり、北部ほくぶの州しゅうでは2008年ねん8月がつより牛うし由来ゆらい肉にく骨粉こっぷんの肥料ひりょう利用りようが解禁かいきんされているが、有畜ゆうちく農家のうかの利用りようを制限せいげんしている州しゅうもある[4]。

日本にっぽん[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、2014年ねん1月がつ4日にちから、国内外こくないがいの対策たいさくによるBSE発生はっせいリスクの減少げんしょうを踏ふまえ、管理かんり措置そちを義務ぎむづけた上うえで牛うしの肉にく骨粉こっぷんの肥料ひりょう利用りようが再開さいかいされた[5]。

飼料しりょうへの利用りよう[編集へんしゅう]

歴史れきし[編集へんしゅう]

肉にく骨粉こっぷんは飼料しりょうとしても利用りようされているが、18世紀せいきの産業さんぎょう革命かくめい期きのイギリスでヒツジに誤あやまって肉にく骨粉こっぷん入いりの飼料しりょうを与あたえたところ成長せいちょうが早はやくなったことが最初さいしょとされている[3]。安価あんかで、蛋白質たんぱくしつ、カルシウム、リン酸さん質しつが豊富ほうふで高たかい栄養えいよう価かを誇ほこるため、BSEの問題もんだいが起おこる前まえまではよく用もちいられていた。

牛うし海綿かいめん状じょう脳症のうしょう等とうとの関かかわり[編集へんしゅう]

牛うしから牛うしへの牛うし海綿かいめん状じょう脳症のうしょう（BSE、いわゆる狂牛病きょきょうぎゅうびょう）の感染かんせんにはBSE感染かんせん牛うしを原料げんりょうとした肉にく骨粉こっぷんなどの飼料しりょうの利用りようが原因げんいんとなっていると考かんがえられている[1]。

日本にっぽん[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは肉にく骨粉こっぷん等とうの牛うし用よう飼料しりょうへの利用りよう禁止きんし（原料げんりょう規制きせい）と牛うし用よう飼料しりょうとその他た飼料しりょうの交差こうさ汚染おせんを防止ぼうしするための製造せいぞう・出荷しゅっか・運送うんそう・保管ほかん・給与きゅうよの分離ぶんり（ライン分離ぶんり）が行おこなわれている[6]。

米国べいこく[編集へんしゅう]

アメリカ食品しょくひん医薬品いやくひん局きょく (FDA) により、1997年ねん以降いこう、哺乳類ほにゅうるい由来ゆらいの肉にく骨粉こっぷんなどタンパク質たんぱくしつを牛うしなど反芻はんすう動物どうぶつの飼料しりょうに用もちいることが禁止きんしされているが[7]、家禽かきんなど非ひ反芻はんすう動物どうぶつ由来ゆらいのタンパク質たんぱくしつを牛うしの飼料しりょうに用もちいることは許容きょようされている[8]。

この内うち、BSEの感染かんせん経路けいろとして懸念けねんされているものとして、家禽かきんの食たべ残のこしや排泄はいせつ物ぶつを含ふくんだ「家禽かきんくず（英語えいご版ばん）」がある。家禽かきんくずはタンパク質たんぱくしつを豊富ほうふに含ふくみ安価あんかなため、米国べいこくでは牛うし飼料しりょうとして用もちいる慣行かんこうがあるが、家禽かきん飼料しりょうに牛うしの肉にく骨粉こっぷんが含ふくまれることから、家禽かきんくずがBSE感染かんせんの抜ぬけ穴あなになることが懸念けねんされている[9]。米国べいこくでは2003年ねん末まつにBSE発生はっせいが確認かくにんされ、その対応たいおうとして2004年ねんに家禽かきんくずの牛うし飼料しりょうへの使用しようが暫定ざんてい禁止きんしされたが[7]、2005年ねんには感染かんせんリスクが十分じゅうぶんに低ひくいと判断はんだんし、家禽かきん飼料しりょうに牛うし由来ゆらいの危険きけん部位ぶいを用もちいない規制きせいを加くわえた上うえで、家禽かきんくずの牛うし飼料しりょうへの使用しようが再ふたたび承認しょうにんされた[10]。この措置そちについて、全米ぜんべい肉牛にくぎゅう生産せいさん者しゃ・牛肉ぎゅうにく協会きょうかい（英語えいご版ばん）は科学かがく的てき判断はんだんとして支持しじしているが、米国べいこく農務のうむ省しょうの伝達でんたつ性せい海綿かいめん状じょう脳症のうしょう (TSE) 作業さぎょう部ぶ会長かいちょうを務つとめた獣医じゅういリンダ・デトワイラーは低ていリスクであるが完全かんぜんではなく、規制きせいすべきと指摘してきしている[11]。またこの慣行かんこうは消費しょうひ者しゃに嫌きらわれており[10]、複数ふくすう消費しょうひ者しゃ団体だんたいなどが健康けんこうへの懸念けねんが依然いぜんあるとして2009年ねんにFDAに対たいして禁止きんしを請願せいがんし、最もっとも牛肉ぎゅうにくを調達ちょうたつする大手おおて外食がいしょく企業きぎょうであるマクドナルドは許容きょようしないと表明ひょうめいしている[11]。家禽かきんくずの牛うし飼料しりょうへの使用しようはオーストラリアやニュージーランド、カナダ、欧州おうしゅう諸国しょこくでは禁止きんしされている[12]。

EU[編集へんしゅう]

EUは2001年ねんに家畜かちくや養殖ようしょく魚ぎょの餌えさに肉にく骨粉こっぷんなど動物どうぶつ性せい加工かこうたんぱく質しつ（PAP）を与あたえることを完全かんぜんに禁止きんしした[13]。その後ご、2013年ねんに養殖ようしょく魚ぎょへの動物どうぶつ性せい加工かこうたんぱく質しつ（PAP）の使用しようを解禁かいきんした[13]。

2021年ねん9月がつ、EUは牛うし、山羊やぎ、羊ひつじなどの反はんすう動物どうぶつの餌えさへのPAPの使用しよう制限せいげんを継続けいぞくしつつ、豚ぶたや家禽かきんへの動物どうぶつ性せい加工かこうたんぱく質しつ（PAP）の使用しようを解禁かいきんした[13]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ a b 牛うし海綿かいめん状じょう脳症のうしょう（BSE）に関かんする基礎きそ資料しりょう 食品しょくひん安全あんぜん委員いいん会かい、2022年ねん2月がつ28日にち閲覧えつらん。
  2. ^ 豚ぶた由来ゆらいたん白しろ質しつ等とうの飼料しりょう利用りように係かかる食品しょくひん健康けんこう影響えいきょう評価ひょうかについて 食品しょくひん安全あんぜん委員いいん会かい、2022年ねん2月がつ28日にち閲覧えつらん。
  3. ^ a b c ベンジャミン・フルフォード『マクドナルド化かする世界せかい経済けいざい』イースト・プレス、2013年ねん。 
  4. ^ a b c 中川なかがわ隆たかし「欧州おうしゅうにおける畜産ちくさん副産物ふくさんぶつ流通りゅうつうの再編さいへんとレンダリング産業さんぎょうの新あらたな動向どうこう ： 我わが国くにレンダリング産業さんぎょうに向むけてのドイツからの示唆しさ」『Global Management』創刊そうかん、国際こくさい経営けいえい学会がっかい (別府大学べっぷだいがく)、2010年ねん6月がつ、16-27頁ぺーじ、CRID 1050282812821550976、ISSN 2185-3428。 
  5. ^ “牛うしの肉にく骨粉こっぷん等とうの肥料ひりょう利用りようについて”. 農林水産省のうりんすいさんしょう (2014年ねん9月がつ17日にち). 2016年ねん10月がつ12日にち閲覧えつらん。
  6. ^ 我わが国くににおける飼料しりょう規制きせいについて 農林水産省のうりんすいさんしょう、2022年ねん2月がつ28日にち閲覧えつらん。
  7. ^ a b “資料しりょう3: 米国べいこくで公表こうひょうされた追加ついか的てきなBSE対策たいさくについてその2”. 食品しょくひん安全あんぜん委員いいん会かい 第だい4回かいプリオン専門せんもん調査ちょうさ会かい (2004年ねん). 2021年ねん2月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  8. ^ “Are Cows Eating Dead Cows as Feed?”. Fact Checking Project on the Film Fresh. Food Politics class of the Communication, Culture and Technology (CCT) program at Georgetown University (2014年ねん). 2021年ねん2月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  9. ^ David Kirby (2011年ねん11月17日にち). “You Want Chicken Poop With That Steak? Why FDA Should Ban Feces From Feed”. The Huffington Post. HuffPost. 2021年ねん1月がつ17日にち閲覧えつらん。
  10. ^ a b Jay Daniel; K.C. Olson. “Feeding Poultry Litter to Beef Cattle”. University of Missouri Extension. 2021年ねん2月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  11. ^ a b Jerry Hirsch (2009年ねん10月がつ31日にち). “Ban on feces in cattle feed urged”. Los Angeles Times. Los Angeles Times. 2021年ねん2月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  12. ^ Brad Jacobson (2013年ねん12月20日にち). “We're feeding our cattle chicken poop -- and the FDA knows it!”. onEarth. Natural Resources Defense Council. 2021年ねん2月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  13. ^ a b c BSE問題もんだいで禁止きんしの肉にく骨粉こっぷんなど動物どうぶつ性せいたんぱく質しつ、EUが一部いちぶ解禁かいきんへ AFP、2022年ねん2月がつ28日にち閲覧えつらん。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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