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苣木ちゃのきこう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
苣木ちゃのきこう
分類ぶんるい 硫化りゅうか鉱物こうぶつ
シュツルンツ分類ぶんるい 2.BB.15
Dana Classification 2.7.2.2
化学かがくしき Cu(Fe,Ni)8S8
結晶けっしょうけい 正方まさかたあきらけい
対称たいしょう H-M記号きごう: 4/m 2/m 2/m
空間くうかんぐん :P42/mnm
単位たんい格子こうし a = 10.566Å
c = 9.749Å
V = 1088.38Å3
Z = 4
モル質量しつりょう 772.05g/mol
あきらへき 粒状りゅうじょうはんかたち
へきかい なし
だんこう 貝殻かいがらじょう
モース硬度こうど 2 - 3
光沢こうたく 金属きんぞく光沢こうたく
いろ あかあじびた黄色おうしょく
透明とうめい 不透明ふとうめい
比重ひじゅう 4.71g/cm3
密度みつど 4.50g/cm3
不純物ふじゅんぶつ Co
文献ぶんけん [1][2][3][4]
プロジェクト:鉱物こうぶつPortal:地球ちきゅう科学かがく
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苣木ちゃのきこう (すがきこう・Sugakiite)とは、硫化りゅうか鉱物こうぶつの1つ。結晶けっしょうけい正方まさかたあきらけい化学かがく組成そせいは Cu(Fe,Ni)8S8 [1][2][3][4]

成分せいぶん種類しゅるい

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苣木ちゃのきこうは、どうてつニッケルふく硫黄いおう化合かごうぶつである。金属きんぞく元素げんそ硫黄いおう比率ひりつは9:8であり、その組成そせいペントランドこう (Pentlandite・Fe4.5Ni4.5S8[4]) とており、ペントランドこうグループぞくするとかんがえられる。しかしペントランドこうとうじくあきらけいなのにたいし、苣木ちゃのきこう正方まさかたあきらけい結晶けっしょうけいことなる。また、苣木ちゃのきこう成分せいぶんとしてどうふくむのが前提ぜんていとしてある[1][2][3][4]

北海道ほっかいどう様似さまにまち幌満ほろまん橄欖かんらんがんさん苣木ちゃのきこう[3]
元素げんそ 割合わりあい重量じゅうりょう%)
てつ 43.27
ニッケル 16.10
どう 6.99
コバルト 0.17
硫黄いおう 33.04

産出さんしゅつ

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苣木ちゃのきこうは、原産地げんさんちである北海道ほっかいどう様似さまにまちにある幌満ほろまん橄欖かんらんがんと、ロシアタイミル自治じち管区かんくの Talnakh Cu-Ni Deposit でのみ発見はっけんされている[1]苣木ちゃのきこう鉱物こうぶつである様似さまにこうともながらく原産地げんさんち唯一ゆいいつ産出さんしゅつであったが、苣木ちゃのきこうのみ2012ねん産地さんち発見はっけんされた[1][5][6]

性質せいしつ特徴とくちょう

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苣木ちゃのきこうペントランドこうトロイリこう (Troilite)、ヒーズルウッドこう (Heazlewoodite) 、むら銅鉱どうこう (Bornite) 、タルナックこう (Talnakhite)、自然しぜんどう (Copper) ととも産出さんしゅつする。また、苣木ちゃのきこう成分せいぶん鉱物こうぶつとして、幌満ほろまんこう (Horomanite・(Fe,Ni,Co,Cu)9S8) と様似さまにこう (Samaniite・Cu2(Fe,Ni)7S8) がある[4]前記ぜんきした硫化りゅうか鉱物こうぶつなかざっていることもあれば、苣木ちゃのきこう幌満ほろまんこう様似さまにこうの3しゅ混合こんごう状態じょうたいのものが単独たんどくつぶ存在そんざいする場合ばあいもあり、苣木ちゃのきこうのみで単独たんどく存在そんざいする場合ばあいもある[7]

苣木ちゃのきこうやそれをふく硫化りゅうか鉱物こうぶつつぶは、橄欖かんらんがんちゅう橄欖かんらんせき輝石きせき隙間すきまたす状態じょうたいさんする[7]。そのため苣木ちゃのきこう粒状りゅうじょうからときとして劈開へきかいのないはんかたち結晶けっしょうさんするが[2]最大さいだいでも0.1mmと極端きょくたんちいさく[3]大抵たいてい顕微鏡けんびきょうスケールのはなしであり、肉眼にくがんではえない[7]

幌満ほろまん橄欖かんらんがんのペントランドこうグループの鉱物こうぶつ結晶けっしょうがくてきデータの比較ひかく[4]
苣木ちゃのきこう 幌満ほろまんこう 様似さまにこう ペントランドこう
結晶けっしょうけい 正方まさかたあきらけい 正方まさかたあきらけい 正方まさかたあきらけい とうじくあきらけい
空間くうかんぐん P42/mnm P4/mmm P42/mnm Fm3m
化学かがく組成そせい Cu(Fe,Ni)8S8 (Fe,Ni,Co,Cu)9S8 Cu2(Fe,Ni)7S8 Fe4.5Ni4.5S8
密度みつど (g/cm3) 4.76 6.45 4.89 5.07
硬度こうど (kg/cm3) 130 - 170 125 - 145 120 - 140 140 - 150
格子こうし定数ていすう a (Å) 10.566(5) 8.707(1) 10.089(1) 10.038(1)
c (Å) 9.749(8) 10.439(6) 10.402(1)
c/a 0.9227 1.1994 1.0306
V (Å3) 1088.4(14) 791.4(4) 1058.9(2) 1011.4(3)
反射はんしゃりつ (%) 436nm 25.6 - 31.9 34.7 - 37.8 27.1 - 29.6 38.4
497nm 29.9 - 36.1 40.0 - 43.2 34.4 - 37.9 44.1
546nm 33.2 - 39.1 43.2 - 46.4 38.9 - 43.6 47.3
586nm 36.1 - 41.5 45.4 - 48.5 44.9 - 49.8 49.5
648nm 39.3 - 44.3 47.8 - 50.7 42.2 - 46.9 51.9

サイド・ストーリー

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苣木ちゃのきこう1998ねん北風きたかぜあらしによって研究けんきゅうされた、北海道ほっかいどう様似さまにまちにある幌満ほろまんかい分布ぶんぷする幌満ほろまん橄欖かんらんがんなかから発見はっけんされた日本にっぽんさんしん鉱物こうぶつである[8]苣木ちゃのきこう幌満ほろまんこうおよび様似さまにこうとも発見はっけんされたが[7]苣木ちゃのきこうはこの2つに先駆さきがけて2005ねん独立どくりつしゅとして承認しょうにんされた。幌満ほろまんこう様似さまにこう承認しょうにんはこの2ねんである[5][6][4]名称めいしょう東北大学とうほくだいがく苣木ちゃのきあさちなむ。北風きたかぜ苣木ちゃのきこう発見はっけん2009ねん日本にっぽん鉱物こうぶつ学会がっかい櫻井さくらいしょう受賞じゅしょうしている[7]

産地さんち幌満ほろまんかい付近ふきんアポイ岳あぽいだけジオパークに指定していされており、サンプルの採集さいしゅう制限せいげんされている[7]

脚注きゃくちゅう

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関連かんれん項目こうもく

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