貯水ちょすい槽そう

ニューヨークの伝統でんとう的てきな高こう置おけ水槽すいそう

貯水ちょすい槽そう（ちょすいそう）とは、水みずを貯ためる施設しせつ・設備せつびの総称そうしょう。

用途ようとに限定げんていは無ない。建物たてものの1階かいや地下ちかや屋上おくじょうなどに設置せっちされる。

コンクリート、ステンレス、ライニング鋼板こうはん、樹脂じゅし、FRP、木材もくざいが主おもな素材そざい。

点検てんけん用ようマンホール、オーバーフロー管かん、ドレン管かん、通気つうき口こう、水位すいい検知けんちの「電極でんきょく保持ほじ器き」が設置せっちされている。

種類しゅるい

貯水ちょすい槽そうでも特とくに水道すいどう水すいを貯ためるものを受水槽じゅすいそうという。

受水槽じゅすいそうは1階かいや地下ちかにも設置せっちされるものだが、屋上おくじょうなど高たかい位置いちに設置せっちされているものを高こう置おけ水槽すいそう、給水きゅうすいポンプに直結ちょっけつし圧力あつりょくの強つよいものを圧力あつりょく水槽すいそうと分類ぶんるいする。

なお、雨水あまみずを貯ためるものは雨水あまみず槽そうや雨水あまみず貯留ちょりゅう槽そうといい、これは庭にわの散水さんすい、洗車せんしゃ、トイレの洗浄せんじょうなど限定げんていした用途ようとに使つかうもので、法的ほうてきな扱あつかいが異ことなる。

受水槽じゅすいそう

受水槽じゅすいそうは水道すいどう引ひき込こみ管かんから引ひき込こんだ水道すいどう水すいを貯水ちょすいするタンク。配水はいすい管かんの圧力あつりょくが変化へんかしても給水きゅうすい圧あつや給水きゅうすい量りょうを一定いっていにでき、建物たてもので一時いちじに大量たいりょうに水みずを使用しようすることも可能かのうになり、災害さいがい時じや断水だんすい時ときにも給水きゅうすいが可能かのうになるというメリットがある。

設置せっち法ほうは水槽すいそう室しつに架台かだい置おき、屋外おくがいに架台かだい置おき、地下ちか室しつに架台かだい置おきが現在げんざいの主流しゅりゅう。昭和しょうわ50年代ねんだい以前いぜんの建物たてものはビルピットの一部いちぶを水槽すいそうとして利用りようしたり、稀まれに建物たてものの2、3階かいに設置せっち（供給きょうきゅう水道すいどう管かんの給水きゅうすい圧あつによる）やFRPタンクを地面じめんに埋設まいせつしているものもある。

受水槽じゅすいそうに関かんする法規ほうきとしては水道すいどう法ほう、水道すいどう法ほう施行しこう令れい、水道すいどう法ほう施行しこう規則きそく、厚生こうせい労働ろうどう省令しょうれい、厚生こうせい労働省ろうどうしょう告示こくじなどがある。

• 日常にちじょうの目視もくし点検てんけんやメンテナンスのために壁面へきめん、天井てんじょう面めん、床ゆか面めんより60センチメートル以上いじょうの空間くうかんを空あけなければならない。
• オーバーフロー管かんは防虫ぼうちゅう網もうを取とり付つけて容易よういに防虫ぼうちゅう網もうの点検てんけんができるようにして汚水おすいの逆ぎゃく流ながれや昆虫こんちゅうや臭気しゅうきが侵入しんにゅうしないためにも排水はいすい口こうに直接ちょくせつ接続せつぞくしてはならない。
• 飲用いんよう等とうに用もちいる場合ばあいの容量ようりょうは1日にちの総そう使用しよう量りょうの40%～60%。
• 死し水域すいいきを作つくらないように給水きゅうすい口こうと採と水口みずぐちの位置いちを考慮こうりょし、場合ばあいによっては、迂回うかい壁かべを設置せっちする。

最近さいきんの設置せっちされているものは清掃せいそう作業さぎょうおよび補修ほしゅう工事こうじ中ちゅうに断水だんすいさせずに作業さぎょうが出来できるように受水槽じゅすいそう内ないに隔壁かくへきを設もうけて2槽ふね式しきとして、連れん通どおり管かんを介かいして１ひとつの槽ふねとする。又または水槽すいそうを2基き設置せっちし連結れんけつし運用うんようしている。 なお、受水槽じゅすいそうを介かいする給水きゅうすいの場合ばあい、以降いこうの給水きゅうすいにポンプや小型こがた圧力あつりょくタンク式しき給水きゅうすいユニットを介かいするため、停電ていでんなどの影響えいきょうや、機器ききの故障こしょうにより影響えいきょうを受うける恐おそれがある。

受水槽じゅすいそうと併あわせ高だか置おけ水槽すいそう（高架こうか水槽すいそう）、大型おおがた圧力あつりょく水槽すいそうを設置せっちする場合ばあいと、小型こがた圧力あつりょくタンク式しき給水きゅうすいユニットの圧力あつりょくで給水きゅうすいを行おこなう場合ばあいがある。

副ふく受水槽じゅすいそう

• 配水はいすい管かんの圧力あつりょくが減圧げんあつされてしまう丘陵きゅうりょう地ちなどで設置せっちが義務ぎむづけられている。
• 高こう水位すいいが地上ちじょう1.5メートル以上いじょうになる場所ばしょに設置せっち。

高こう置おけ水槽すいそう

高こう置おけ水槽すいそう

受水槽じゅすいそうに給水きゅうすいした水みずをポンプにより給水きゅうすいする設備せつび。建物たてものの屋上おくじょうに設置せっちする。これ以降いこう高低こうてい差さによる圧あつ力りょくにより給水きゅうすい栓せんへの給水きゅうすいが行おこなわれる。長所ちょうしょとしては一定いってい水量すいりょうを貯蔵ちょぞうするので、急きゅうな使用しよう水量すいりょうの増加ぞうかや断水だんすいに対応たいおうが容易ようい。文教ぶんきょう施設しせつ・医療いりょう施設しせつ等とうの一時いちじ的てきに大量たいりょうの水みずを使つかう施設しせつに適てきしている。短所たんしょとしては常つねに水槽すいそうの管理かんりを求もとめられるため、一定いってい以上いじょうの規模きぼの建築けんちくでないと水質すいしつの悪化あっかが懸念けねんされる。

• 水圧すいあつ変動へんどうが少すくなく、過度かどな水みず使用しように耐たえうる。
• 揚水ようすいポンプ発はつ停とま用よう・水槽すいそう内ないの満水まんすい、減水げんすいの警報けいほう用ようの自動じどう制御せいぎょ装置そうちを設置せっちする。
• 容量ようりょうは1日ひの使用しよう量りょうの10%または1時じ間あいだ分ぶんが一般いっぱん的てきである。
• 死し水域すいいきを作つくらないように、迂回うかい壁かべ（FRP・ステンレス鋼こう・クラッド鋼こう）を設置せっちするのが一般いっぱん的てきである。
• 日光にっこうの透過とうかにより藻もや苔こけの発生はっせいする恐おそれがあるため、防止ぼうしするため水槽すいそう照度しょうど率りつが0.1%のFRPを使用しよう。なお、水槽すいそう本体ほんたいに劣化れっかが生しょうじる恐おそれがあるため、定期ていき的てきな補修ほしゅうが必要ひつようとなる場合ばあいがある。
• 高こう置おけの鉄骨てっこつ製せい架台かだいに設置せっちのため耐震たいしん措置そちが必要ひつよう。

ニューヨークでは建築けんちく物ぶつが高層こうそう化かするにつれ、屋上おくじょうに貯水ちょすい槽そうを設置せっちするようになった。現代げんだいでも耐久たいきゅう性せい、難なん腐敗ふはい性せいに優すぐれたヒマラヤスギで作つくられた伝統でんとう的てきな高こう置おけ水槽すいそうが使つかわれている。

圧力あつりょく水槽すいそう

• 給水きゅうすいポンプの吐出としゅつ管かんに直結ちょっけつした密閉みっぺい加圧かあつのタンク。
• 労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい法ほう上うえの第だい二に種しゅ圧力あつりょく容器ようきに該当がいとうするものもあり、その場合ばあいは一いち年ねんに一いち回かい、自主じしゅ検査けんさをしなければならない。
• 受水槽じゅすいそうから給水きゅうすいされている二に次じ的てきな圧力あつりょく水槽すいそうは配管はいかんの一部いちぶとしているため清掃せいそうは義務ぎむではないが可能かのうな限かぎり清掃せいそうをすることが望のぞましい。
• 鋼板こうはん製せい
• 水圧すいあつで上うえ階かいへ水道すいどう水すいを上あげ、水圧すいあつが減少げんしょうしてきたら、圧力あつりょくスイッチにより、自動的じどうてきにポンプが起動きどうする。
• 空気くうきの溶解ようかいを防ふせぐために隔膜かくまく式しき圧力あつりょく水槽すいそうを設もうけているものもある。

飲用いんよう（上水道じょうすいどう用よう）の受水槽じゅすいそう

ビルやマンションなどの高層こうそう建築けんちく物ぶつでは、給水きゅうすい栓せんでの水圧すいあつを安定あんていさせるため、水道すいどう水すいを受水槽じゅすいそうに受うけ、

1. ポンプなどで屋上おくじょうの高架こうか水槽すいそう（高こう置おけ水槽すいそう）や圧力あつりょく水槽すいそうへ給水きゅうすいした後のち、各かく給水きゅうすい栓せんへの給水きゅうすいを行おこなう。
2. 小型こがた圧力あつりょくタンク式しき給水きゅうすいユニットにより、貯水ちょすい槽そうに給水きゅうすいした水みずに直接ちょくせつ圧力あつりょくをかけ、各かく給水きゅうすい栓せんへの給水きゅうすいを行おこなう。

水道すいどう法ほうや自治体じちたいの条例じょうれいにより、貯水ちょすい槽そうの点検てんけんや清掃せいそう、検査けんさが規模きぼの大小だいしょうを問とわず義務ぎむづけられている（かつては小規模しょうきぼのものの多おおくは除外じょがいされていた）。

• 水槽すいそうの有効ゆうこう容量ようりょうが10立方りっぽうメートルを越こえるものについては水道すいどう法ほうによる。10立方りっぽうメートル以下いかのものは各かく自治体じちたいの条例じょうれいにより適用てきようされる。
• 【清掃せいそう】1年ねんに1回かい以上いじょう清掃せいそうを実施じっしすることが定さだめている。なお、清掃せいそうを業者ぎょうしゃに委託いたくし実施じっしする場合ばあい、業者ぎょうしゃは貯水ちょすい槽そう清掃せいそう作業さぎょう監督かんとく者しゃの設置せっちが義務ぎむづけられている。
• 【点検てんけん】必要ひつように応おうじて、水槽すいそうの内部ないぶおよび外部がいぶを点検てんけんする事ことが義務ぎむづけられている。なお、ポンプ等ひとしの電力でんりょくを利用りようする設備せつびについても併あわせて点検てんけんが必要ひつようである。
• 【検査けんさ】年ねんに1度ど給水きゅうすい設備せつび（主おもに水槽すいそうについて）その衛生えいせい状態じょうたいや、設備せつびについて検査けんさすることが義務ぎむづけられている。

なお、水道すいどう設備せつびの給水きゅうすい圧あつの向上こうじょう（耐震たいしん化か等とうによる設備せつびの改善かいぜんと併あわせて行おこなわれている）により、小規模しょうきぼな貯水ちょすい槽そう設備せつびに付ついては、直接ちょくせつ水道すいどう施設しせつの圧力あつりょくや貯水ちょすい槽そうを介かいさずに水道すいどう本管ほんかんへ直じかに接続せつぞくして給水きゅうすいするブースターポンプ方式ほうしきが可能かのうになり、貯水ちょすい槽そうを介かいさずに給水きゅうすいする方式ほうしきが増ふえつつある。貯水ちょすい槽そうの清掃せいそうやスペースを確保かくほする必要ひつようがないがブースターポンプ方式ほうしきは定期ていき的てきなメンテナンスが必要ひつようである。阪神はんしん・淡路あわじ大震災だいしんさいや中越なかごえ沖おき地震じしんなどの大だい規模きぼ災害さいがいや、夏期かきに給水きゅうすい制限せいげんを受うける可能かのう性せいのある地域ちいきの場合ばあい、貯水ちょすい槽そうを介かいしていることにより一定いってい量りょうの水みずを貯留ちょりゅうする事ことが可能かのうであり、汚染おせんされて飲用いんようにできなくても水洗すいせんトイレに利用りようするため、非常時ひじょうじに備そなえ水槽すいそうを設置せっちした方ほうがいいという考かんがえ方かたもある。

関連かんれん項目こうもく

• 給水きゅうすい設備せつび
• 特定とくてい建築けんちく物ぶつ
• 貯水ちょすい槽そう清掃せいそう作業さぎょう監督かんとく者しゃ
• 建築けんちく物ぶつ環境かんきょう衛生えいせい管理かんり技術ぎじゅつ者しゃ
• クリプトスポリジウム
• タンク
• クロスコネクション