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ちょう決定けっていろん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ちょう決定けっていろん(ちょうけっていろん、えい: superdeterminism)とは、量子力学りょうしりきがくにおいて、宇宙うちゅう完全かんぜん決定けっていろんてきであるとすることでベルの不等式ふとうしき回避かいひする仮説かせつ。 このあな利用りようして、量子力学りょうしりきがく予測よそく再現さいげんする局所きょくしょてきかくれた変数へんすう理論りろん構築こうちくできるとかんがえられている。 ちょう決定けっていろんしゃは、宇宙うちゅうのどこであっても偶然ぐうぜん存在そんざいしないと認識にんしきしている。

ベルの不等式ふとうしきでは、かく検出けんしゅつ実行じっこうされる測定そくてい種類しゅるいは、おたがいに独立どくりつして、また測定そくてい対象たいしょうかくれた変数へんすうとは無関係むかんけい選択せんたくできると仮定かていしている。 ベルの不等式ふとうしき議論ぎろんつためには、ことなる選択せんたくがなされた場合ばあいに、実験じっけん結果けっかがどうなるかについて意味いみあるはなしができる必要ひつようがある。 この仮定かていはん事実じじつてき確定かくていせい(えい:Counterfactual definiteness)とばれている。 しかし、完全かんぜん決定けっていろんてき理論りろんでは、実験じっけんしゃかく検出けんしゅつ選択せんたくする設定せっていは、物理ぶつり法則ほうそくによって事前じぜん決定けっていされている。したがって、ことなる測定そくてい設定せってい選択せんたくされた場合ばあいなにこるかについてはなすことはあやまりであるとなすことができる。物理ぶつりてき測定そくてい設定せってい選択肢せんたくし存在そんざいしない。 なに測定そくていするかは事前じぜん決定けっていされているため、一方いっぽう検出けんしゅつでの結果けっかは、ちょう光速こうそく情報じょうほう伝達でんたつがなくとも、他方たほう検出けんしゅつ設定せっていから独立どくりつしているわけではない可能かのうせいがある。

したがって、ビッグバンによる宇宙うちゅうはじまり以降いこうビッグバン確立かくりつされた相関そうかんによって、未来みらい測定そくてい事前じぜんにすべて決定けっていされ、選択せんたく自由じゆう制限せいげんされているとかんがえられる[よう出典しゅってん]。これにより、ちょう決定けっていろん検証けんしょう不可能ふかのうになる[よう出典しゅってん]。なぜなら実験じっけんしゃ宇宙うちゅうはじまった時点じてん作成さくせいされた相関そうかん排除はいじょすることがけっしてできないため、自由じゆう選択せんたくあな排除はいじょすることができないためである[1]

ちょう決定けっていろん仮想かそうてき描写びょうしゃ。もつれた光子こうしAliceとBobが到着とうちゃくする直前ちょくぜんに、遠方えんぽう銀河ぎんがSbとScからの光子こうし使用しようしてへんこう検出けんしゅつαあるふぁβべーたきを制御せいぎょする。

1980年代ねんだいジョン・スチュワート・ベルは、BBCのインタビューでちょう決定けっていろんについて以下いかのようにかたった[2] [3]

ちょう光速こうそく不気味ぶきみ遠隔えんかく作用さようからのがれる方法ほうほうがある。しかし、それは宇宙うちゅうにおける完全かんぜんなる決定けっていろんと、自由じゆう意志いし完全かんぜん欠如けつじょともなう。 世界せかいちょう決定けっていろんてきであるなるば、舞台裏ぶたいうら時計とけい仕掛しかうごいている無生物むせいぶついだけでなく、わたしたち行動こうどうもまた、事前じぜんすべめられていることになる。 (...) 粒子りゅうしBにたいしておこなわれた測定そくてい粒子りゅうしAにつたえるために、光速こうそくよりもはや信号しんごう必要ひつようはない。なぜなら粒子りゅうしAをふく宇宙うちゅうは、その測定そくてい測定そくてい結果けっかについてすでに「っている」からだ。

ベルはこのあなみとめたが、それはしんじがたいと主張しゅちょうした。 実行じっこうされた測定そくてい決定けっていろんてき乱数らんすう発生はっせいによって選択せんたくされた場合ばあいでも、その選択せんたく多数たすう非常ひじょうちいさな影響えいきょうによって変更へんこうされるため、「目的もくてきたいして事実じじつじょう自由じゆう」であると想定そうていされる。 かくれた変数へんすうが、乱数らんすう発生はっせいおなちいさな影響えいきょうすべてにたいして敏感びんかんであるとはかんがえにくい [4]アントン・ツァイリンガーは、ちょう決定けっていろんがもし真実しんじつならば、反証はんしょう可能かのうせい破壊はかいすることによって科学かがく自体じたい価値かち疑問ぎもんげかけると、以下いかのようにコメントした。

わたしたちはいつも実験じっけんしゃ自由じゆうあん仮定かていしている…この基本きほんてき仮定かてい科学かがくおこなうために不可欠ふかけつである。 もしこれが真実しんじつでなければ、実験じっけん自然しぜんいをかけることはまった意味いみがないだろう。なぜなら、自然しぜんわたしたちのいかけがなにであるかを決定けっていし、あやまった自然しぜん姿すがた到達とうたつするようにわたしたちのいかけを誘導ゆうどうする可能かのうせいがあるからです[5]

ヘーラルト・トホーフトちょう決定けっていろん好意こういてきであり、独自どくじちょう決定けっていろんモデルを提示ていじしている。ちょう決定けっていろん宇宙うちゅう規模きぼ陰謀いんぼうせつひょうされることもあるが、トホーフトは「陰謀いんぼうのようにえているものは、わたしたちがいまはまだらない、ある保存ほぞんそくによるものかもしれません」と説明せつめいする[6]

関連かんれん項目こうもく

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出典しゅってん

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  1. ^ Wolchover, Natalie. “The Universe Is as Spooky as Einstein Thought” (英語えいご). The Atlantic. https://www.theatlantic.com/science/archive/2017/02/spooky-action-at-a-distance/516201/ 2017ねん2がつ20日はつか閲覧えつらん 
  2. ^ BBC Radio interview with Paul Davies, 1985
  3. ^ The quotation is an adaptation from the edited transcript of the radio interview with John Bell of 1985. See The Ghost in the Atom: A Discussion of the Mysteries of Quantum Physics, by Paul C. W. Davies and Julian R. Brown, 1986/1993, pp. 45-46
  4. ^ J. S. Bell, Free variables and local causality, Epistemological Letters, Feb. 1977. Reprinted as Chapter 12 of J. S. Bell, Speakable and Unspeakable in Quantum Mechanics (Cambridge University Press 1987)
  5. ^ A. Zeilinger, Dance of the Photons, Farrar, Straus and Giroux, New York, 2010, p. 266. Abner Shimony, Michael Horne and John Clauser made a similar comment in replying to John Bell in their discussions in the Epistemological Letters: "In any scientific experiment in which two or more variables are supposed to be randomly selected, one can always conjecture that some factor in the overlap of the backward light cones has controlled the presumably random choices. But, we maintain, skepticism of this sort will essentially dismiss all results of scientific experimentation. Unless we proceed under the assumption that hidden conspiracies of this sort do not occur, we have abandoned in advance the whole enterprise of discovering the laws of nature by experimentation." (Shimony A, Horne M A and Clauser J F, "Comment on the theory of local beables", Epistemological Letters, 13 1 (1976), as quoted in Jan-Åke Larsson, "Loopholes in Bell inequality tests of local realism", J. Phys. A: Math. Theor. 47 (2014))
  6. ^ ジョージ・マッサー『宇宙うちゅうてまではなれていても、つながっている: 量子りょうし局所きょくしょせいから「空間くうかんのない最新さいしん宇宙うちゅうぞう」へ』インターシフト、2019ねん、p175

外部がいぶリンク

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  • Reality, locality, and "free will"引用いんようかれ[Michael JW Hall]は、実験じっけんしゃの「自由じゆう意志いし」を14%削減さくげんすることで、局所きょくしょせい実在じつざいせい保持ほじできることをしめした。