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軟質なんしつつな

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
軟質なんしつつな
Acipenser brevirostrumチョウザメ
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
つな : 軟質なんしつつな Chondrostei
下位かい分類ぶんるい
本文ほんぶん参照さんしょう

軟質なんしつつな(なんしつあこう、Chondrostei)は、じょうひれつなぞくする魚類ぎょるい下位かい分類ぶんるいぐんひとつ。およそ4おくねんまえデボン出現しゅつげんした、原始げんしてき硬骨魚こうこつぎょるい一群いちぐんである。石炭せきたんさんじょうにかけて繁栄はんえいしたが、そのおおくはジュラ紀じゅらきまでに衰退すいたいし、現生げんなましゅとしてのこった仲間なかま唯一ゆいいつチョウザメ(26ぞく27しゅ)のみとなっている。

概要がいよう

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Platysomidae の1しゅMesolepis scalaris)。上下じょうげ非対称ひたいしょう尾鰭おびれ)など原始げんしてき特徴とくちょうのこ

軟質なんしつつな古生代こせいだいデボン出現しゅつげんし、分岐ぶんきひれつなポリプテルスのみが所属しょぞく)とともにもっと原始げんしてき硬骨魚こうこつぎょるいかんがえられている[1][2]。より系統けいとうふる軟骨なんこつ魚類ぎょるいとの最大さいだいちがいは骨格こっかく硬骨こうこつであるが、軟質なんしつつなでは硬骨こうこつ部分ぶぶんてきなものにとどまり、骨格こっかく大半たいはん軟骨なんこつ構成こうせいされる[3]

古生代こせいだい石炭せきたんペルム中生代ちゅうせいだいさんじょうにかけて世界せかい海洋かいよう淡水たんすいいき繁栄はんえいしたが、ほとんどはジュラ紀じゅらきまでに絶滅ぜつめつし、完全かんぜん硬骨こうこつによる頑丈がんじょう体格たいかく敏捷びんしょう運動うんどうせいをともに獲得かくとくしたしんひれつな(2まん6せんしゅ以上いじょう所属しょぞくする、現生げんなま魚類ぎょるいとして最大さいだいのグループ)の仲間なかまにその地位ちいゆずることになった。

2006ねん現在げんざい軟質なんしつつなにはすくなくとも11もく30記載きさいされている[1]。そのうち現生げんなましゅふくむのはチョウザメのみで、のこる10もく化石かせきたねのみの絶滅ぜつめつぐんである。ほんつな魚類ぎょるい共通きょうつうする形態けいたいがくてき特徴とくちょうとしては、あいだえらぶたこつくこと、ぜん上顎じょうがくこつ主上しゅじょう顎骨がっこつそと翼状よくじょうこつおよび口蓋こうがいこつ一部いちぶ強固きょうこ接着せっちゃくすることなどがある[1]。また、おおくの種類しゅるいでは尾鰭おびれ上下じょうげ非対称ひたいしょうとなっている[3]

分類ぶんるい

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軟質なんしつつなには現生げんなましゅとしてチョウザメ26ぞく27しゅられるほか、10もく絶滅ぜつめつぐん所属しょぞくするとみられるが[1]、その分類ぶんるい体系たいけいきわめて不安定ふあんていである。それぞれのたね化石かせきから見出みいだされる形態けいたいがくてき特徴とくちょう多様たようせいみ、つな全体ぜんたいのみならず、所属しょぞくするかくグループのたん系統けいとうせいあきらかではない。かつてほんつなふくめられていたポリプテルスは、Nelson(2006)の体系たいけいにおいて独立どくりつ分岐ぶんきひれつな Cladistiaとして位置付いちづけられるようになった。

以下いかに2006ねんまでにられている11もく分類ぶんるい体系たいけい系統けいとう順位じゅんい沿ってしめすが、Haplolepidae (2ぞくふくむ)など、いずれのにもふくまれていない所属しょぞく未定みていのグループも多数たすう存在そんざいする。2004ねんにCloutier および Arratia は、所属しょぞく未定みていDialipina ぞくのこるすべてのじょうひれつな魚類ぎょるい姉妹しまいぐんとみなし、以降いこう系統けいとうじゅんに Cheirolepididae Mimia ぞくおよび Moythomasia ぞくOsorioichthys ぞくさらにKentuckia ぞくつらなるとする仮説かせつ提唱ていしょうした[4]

Acrolepidae の1しゅ Ptycholepis bollensis (Palaeoniscoidei
Birgeriidae の1しゅ Birgeria sp. (Palaeoniscoidei )。尾鰭おびれうえながびたとなっている
Palaeoniscidae の1しゅ Palaeoniscus freieslebeni (Palaeoniscoidei
Platysomidae の1しゅ Platysomus gibbosus (Platysomoidei )。円盤えんばんじょう体型たいけい特徴とくちょうで、からだかたうろこおおわれる
Saurichthyidae の1しゅSaurichthys curionii (Saurichthyiformes )。ながた吻をもち、尾鰭おびれ上下じょうげ対称たいしょう
Saurichthyidae の1しゅSaurichthys seefeldensis (Saurichthyiformes )の想像そうぞう強力きょうりょく捕食ほしょくしゃであったと推測すいそくされている
Thoracopteridae の1しゅ Thoracopterus magnificus (Perleidiformes
  • Cheirolepidiformes 絶滅ぜつめつ
    デボン繁栄はんえいし、11ぞくCheirolepis)のみからなる。C. canadensisはらひれに124ほんひれじょうをもち、これまでにられる魚類ぎょるいなかでは最多さいたである。本科ほんかDialipina ぞくつづいて出現しゅつげんした、のすべてのじょうひれるい祖先そせんかんがえられている。
  • Palaeonisciformes 絶滅ぜつめつ
    4所属しょぞくする。原始げんしてきなグループでは主上しゅじょう顎骨がっこつぜんえらぶたこつ眼下がんかこつなど、ほお構成こうせいするほねかた癒合ゆごうしている。した顎骨がっこつななめになっており、おおきく前方ぜんぽうく。尾鰭おびれサメのように上下じょうげ非対称ひたいしょうとなっており、脊椎せきつい尾鰭おびれじょうまで延長えんちょうする。系統けいとうくだるにつれ、ほおにおけるほね分離ぶんりした顎骨がっこつ垂直すいちょくすすみ、口腔こうくうからえらにかけての柔軟じゅうなんせいすようになっている。また、尾鰭おびれ上部じょうぶ退すさちぢみし、簡略かんりゃくすすむなど、グループないおおくの遷延せんえんてき進化しんかみとめられる。いずれのにも所属しょぞくせず、系統けいとうじょう位置いち不明ふめいincertae sedis)ないちぐんとして Coccolepis ぞくられる。
  • Tarrasiiformes 絶滅ぜつめつ
    石炭せきたん前期ぜんきから1られる。からだ細長ほそながく、うろこ退化たいかてきである。背鰭せびれしりひれ上下じょうげ対称たいしょう尾鰭おびれ連続れんぞくし、はらひれはもたない。明瞭めいりょうぜん頭骨とうこつをもつ。
  • Guildayichthyiformes 絶滅ぜつめつ
    石炭せきたん前期ぜんき分布ぶんぷした海産かいさんぎょ一群いちぐんで、12ぞくふくむ。からだつよがわひらたし、円盤えんばんじょうとなる。菱形ひしがたかたうろこをもつ。ポリプテルスるいきんえんである可能かのうせい示唆しさされている[5]
  • Phanerorhynchiformes 絶滅ぜつめつ
    チョウザメるい類似るいじした形態けいたいをもつ。Phanerorhynchus ぞくのみが所属しょぞくする。
  • Saurichthyiformes 絶滅ぜつめつ
    さんじょうからジュラ紀じゅらきにかけてられる。
  • チョウザメ Acipenseriformes
    軟質なんしつつな唯一ゆいいつの、現生げんなましゅふくむグループ。24ふくまれ、うち12ふる形質けいしつ保持ほじしたまま現代げんだいのこっている。詳細しょうさいについては当該とうがい記事きじ参照さんしょうのこと。
  • Ptycholepiformes 絶滅ぜつめつ
    きたアメリカにおけるさんじょうおさむジュラ紀じゅらき地層ちそうから出土しゅつどする。
  • Pholidopleuriformes 絶滅ぜつめつ
    さんじょうからられ、1のみが所属しょぞくする。
  • Perleidiformes 絶滅ぜつめつ
    さんじょうからジュラ紀じゅらき後期こうきにかけてのグループをふくむ。便宜べんぎてき設置せっちされた分類ぶんるいぐんで、さまざまな改編かいへんあん提唱ていしょうされている[6]
  • Luganoiiformes 絶滅ぜつめつ
    さんじょう化石かせきしゅ報告ほうこくされているが、詳細しょうさいについてはほとんどわかっていない。

出典しゅってん脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.90-95
  2. ^ かつて軟質なんしつつな所属しょぞくしていたポリプテルスは、Nelson(2006)において独立どくりつつなである分岐ぶんきひれつな Cladistia となった。
  3. ^ a b さかながく入門にゅうもん』 pp.23-24
  4. ^ Cloutier R, Arratia G (2004). Recent advances in the origin and early radiation of vertebrates. München: Verlag Dr. Friedrich Pfeil 
  5. ^ Lund R (2000). “The new Actinopterygian order Guildayichthyiformes from the lower carboniferous of Montana (USA)”. Geodiversitas 22 (2): 171-206. 
  6. ^ Tintori A, Sassi D (1992). “Thoracopterus Bronn (Osteichthyes: Actinopterygii): a gliding fish from the upper Triassic of Europe”. J Vertebr Paleont 12 (3): 265-283. 

関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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