チョウザメ

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チョウザメ
ショートノーズ・スタージョン(Acipenser brevirostrum
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
うえつな : あご口上こうじょうつな Gnathostomata
つな : 硬骨魚こうこつぎょつなOsteichthyes
つな : じょうひれつな Actinopterygii
下綱しもつな : 軟質なんしつ下綱しもつなChondrostei
: チョウザメ Acipenseriformes
下位かい分類ぶんるい
本文ほんぶん参照さんしょう

チョウザメ(チョウザメもく、えい: Acipenseriformes)は、硬骨魚こうこつぎょるい分類ぶんるいぐんひとつ。やく2おく5せんまんねんまえさんじょうにはすで出現しゅつげんしていたことがられ、じょうひれ魚類ぎょるいなかでも原始げんしてきいちぐんである。26ぞく構成こうせいされ、高級こうきゅう食材しょくざいキャビア原料げんりょうとして漁獲ぎょかくされるチョウザメなど、淡水魚たんすいぎょあるいはさかのぼかわせい魚類ぎょるい27しゅふくむ。

概要がいよう分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

チョウザメ硬骨魚こうこつぎょるいなかではポリプテルスいで系統けいとうふる魚類ぎょるいで、しばしば古代こだいぎょとしてあつかわれる。上位じょうい分類ぶんるいである軟質なんしつつなには全部ぜんぶで11のかれているが、現生げんなましゅふくむのはチョウザメのみで、の10もくはすべて絶滅ぜつめつしている。

分布ぶんぷ北半球きたはんきゅうかぎられ、生涯しょうがい河川かせんおく淡水たんすいせい種類しゅるいと、産卵さんらんときのみ遡上そじょうするさかのぼかわせい種類しゅるいがある。キャビアとばれるたまご塩漬しおづ高級こうきゅう食材しょくざいとして珍重ちんちょうされ、乱獲らんかくにより資源しげんりょういちじるしく減少げんしょうした。かつては石狩川いしかりがわ天塩川てしおがわなど日本にっぽん河川かせんにも遡上そじょうしたが、現在げんざいではまったくみられなくなっている[1]

人為じんいてき養殖ようしょく北海道ほっかいどう茨城いばらきけんなどでおこなわれている[2][3]養殖ようしょくもおこなわれている北海道ほっかいどう北部ほくぶ美深びふかまちには、生態せいたい展示てんじする「チョウザメかん」がある[4]

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

本目ほんめ硬骨魚こうこつぎょるいぞくしてはいるが、骨格こっかく大半たいはん軟骨なんこつ構成こうせいされている。尾鰭おびれ二又ふたまたかれているが上下じょうげおおきさは均等きんとうではなく、上方かみがたながびたひずみばれる形態けいたいをしている。現生げんなま硬骨魚こうこつぎょでは唯一ゆいいつあごができるまええらあな痕跡こんせきである噴水ふんすいあな開口かいこうしており[5]、これらの特徴とくちょう軟骨なんこつ魚類ぎょるいサメるい共通きょうつうする。体側たいそくならおおきなうろこともに、本目ほんめふる系統けいとう魚類ぎょるいであることを反映はんえいしている。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

アドリアチョウザメ(Acipenser nacarii)。体側たいそくめん大型おおがたかたうろこなら
ヘラチョウザメ(Polyodon spathula)。へらじょう口先くちさき特徴とくちょう
Protopsephurus liui化石かせき本属ほんぞくはヘラチョウザメ起源きげんとなったグループとかんがえられている

現生げんなまのチョウザメは126ぞくしたに、27しゅ記載きさいされる[6]

チョウザメ[編集へんしゅう]

チョウザメ Acipenseroidei は26ぞく27しゅしゅえらぶたこつがなく、しもえらぶたこつえらぶたおおうことが共通きょうつうする特徴とくちょうである。

チョウザメ[編集へんしゅう]

チョウザメ Acipenseridae は24ぞく25しゅからなる。すべて北半球きたはんきゅう分布ぶんぷし、淡水魚たんすいぎょあるいは産卵さんらんのために河川かせん遡上そじょうするさかのぼかわせい魚類ぎょるいである。からだ両側りょうがわ菱形ひしがたかたうろこが5れつならんでいることが特徴とくちょうである。くち下向したむきについておりすことが可能かのうで、まわりには4ほんのヒゲがある。成魚せいぎょにはがなく、ぶくろおおきい。同定どうていむずかしいたねおおい。絶滅ぜつめつぞくとして Protoscaphirhynchus ぞくられる。

  • Acipenserinae 3ぞく23しゅPseudoscaphirhynchus ぞくアラル海あらるかい水系すいけいScaphirhynchus ぞくミシシッピがわ水系すいけい分布ぶんぷする。
    • チョウザメぞく Acipenser
    • Pseudoscaphirhynchus ぞく
    • Scaphirhynchus ぞく
  • Husinae 1ぞく2しゅ。ダウリアチョウザメ(カルーガ)とオオチョウザメ(ベルーガ)はいずれも非常ひじょう大型おおがた魚類ぎょるいで、後者こうしゃすくなくとも体長たいちょう4.2mの個体こたい記録きろくされている。
    • ダウリアチョウザメぞく Huso

ヘラチョウザメ[編集へんしゅう]

ヘラチョウザメ Polyodontidae は2ぞく2しゅ構成こうせいされる。吻(口先くちさき)がながび、へらじょうになっているのがおおきな特徴とくちょう。チョウザメことなり大型おおがたかたうろこはなく、ちいさな鱗状りんじょう構造こうぞう尾鰭おびれなど一部いちぶにみられるのみである。くちひげとはごくちいさい。ヘラチョウザメ Polyodon spathula はミシシッピがわ生息せいそくし、プランクトンおもべている。ハシナガチョウザメ(シナヘラチョウザメとも。Psephurus gladius中国ちゅうごくしろ英語えいごChinese Paddlefish)は長江ながえ固有こゆうしゅで、さかなしょくせいで、最大さいだい体長たいちょう7〜8mにたっするが、2003ねん最後さいご生息せいそく確認かくにんできていないことから、絶滅ぜつめつしたともわれている。ヘラチョウザメもっと原始げんしてきいちぐんとされる Protopsephurus ぞくをはじめ、4ぞく絶滅ぜつめつぞく記載きさいされている。

2019ねん論文ろんぶんでハシナガチョウザメも絶滅ぜつめつしたと発表はっぴょうされのちにIUCNでも合意ごういされたためハシナガチョウザメは絶滅ぜつめつしゅとされた。

  • ヘラチョウザメぞく Polyodon
  • ハシナガチョウザメぞく Psephurus

化石かせきしゅ[編集へんしゅう]

チョウザメにはすでに絶滅ぜつめつした分類ぶんるいぐんとして2ふくまれる。

ペイピアオステウス[編集へんしゅう]

Yanosteus longidorsalis

ペイピアオステウス Peipiaosteidae はジュラ紀じゅらき後期こうき存在そんざいしたとおもわれるで、すくなくとも2ぞくふくむ。本科ほんか分類ぶんるいじょう位置いちはなお明確めいかくで、いずれのにも所属しょぞくしていない。

  • Peipiaosteus
  • Stichopterus

コンドロステウス[編集へんしゅう]

ジュラ紀じゅらき化石かせきられており、チョウザメ姉妹しまいぐんかんがえられているいちぐんである。1のみをふくむ。

コンドロステウス[編集へんしゅう]

コンドロステウス Chondrosteidae はすくなくとも2ぞくふくむ。

  • Chondrosteus
  • Strongylosteus

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 新版しんぱん ぎょ分類ぶんるい図鑑ずかん』 pp.34-35
  2. ^ 北海道ほっかいどう美深びふかまち/チョウザメ養殖ようしょくばいに キャビア本格ほんかく販売はんばい日本経済新聞にほんけいざいしんぶん電子でんしばん2017ねん8がつ3にち
  3. ^ チョウザメを茨城いばらき名産めいさんひん西京にしぎょうけやバジル日本経済新聞にほんけいざいしんぶん電子でんしばん2017ねん3がつ18にち
  4. ^ 美深びふかまちチョウザメかん”. 美深びふかまちホームページ. 2017ねん8がつ17にち閲覧えつらん
  5. ^ E.H.Colbert『脊椎動物せきついどうぶつ進化しんか
  6. ^ Nelson JS (2006). Fishes of the world (4th edn). New York: John Wiley and Sons 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]