硬骨魚こうこつぎょるい

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硬骨魚こうこつぎょるい
Osteichthyes
    
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
うえつな : あご口上こうじょうつな Gnathostomata
つな : 硬骨魚こうこつぎょつな Osteichthyes
学名がくめい
Osteichthyes
和名わみょう
硬骨魚こうこつぎょるい
つな

硬骨魚こうこつぎょるい(こうこつぎょるい、Osteichthyes)は、あごこうるいぞくする脊椎動物せきついどうぶつ一群いちぐんである。名前なまえ由来ゆらい全身ぜんしん骨格こっかく硬骨こうこつでできているため。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

現在げんざいおおきく2種類しゅるい定義ていぎもちいられる。

  • A : 古典こてんてきには、階層かいそう分類ぶんるいにおける"魚類ぎょるい"の分類ぶんるいぐんタクソン)のひとつで、一般いっぱんてきには便宜上べんぎじょうこちらをすことがおおい。
  • B : 近年きんねん系統けいとうがく分岐ぶんき分類ぶんるいがくてき立場たちばからすると、硬骨魚こうこつぎょるい (Osteichthyes) はあるたん系統けいとうぐんクレード)にあたえられた名称めいしょうであり、哺乳類ほにゅうるいとりのような四肢しし動物どうぶつもすべて硬骨魚こうこつぎょるいふくまれる。

こうした定義ていぎじょう混乱こんらんは、生物せいぶつがくにおける分類ぶんるい体系たいけいつね更新こうしんされたり、用途ようと思想しそう学説がくせつによって最適さいてき体系たいけいことなるために頻繁ひんぱんしょうじるものである。

とく近年きんねん分子ぶんし系統けいとうがく分岐ぶんき分類ぶんるい躍進やくしんいちじるしく、形態けいたいのみにもとづいた伝統でんとうてき分類ぶんるい体系たいけいが、DNA解析かいせきなどにより次々つぎつぎ更新こうしんされているが、一般いっぱんにはひろまりにくく、また伝統でんとうてき分類ぶんるいほう直感ちょっかんてき理解りかいしやすいため、便宜上べんぎじょうどちらの分類ぶんるい体系たいけいもちいられている。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

サメエイいたえらつな)、ギンザメ(ぜんあたまつな)など、骨格こっかくがすべて軟骨なんこつでできている軟骨なんこつ魚類ぎょるいたいして、硬骨魚こうこつぎょるいおおくは、骨格こっかくだい部分ぶぶんが、硬骨こうこつばれるかたほねからなる(ただし、チョウザメるいのように、軟骨なんこつ割合わりあいおおきいものもいる)。硬骨こうこつには、軟骨なんこつほねした軟骨なんこつせい硬骨こうこつ結合けつごう組織そしき外皮がいひ由来ゆらいするまくこつなどがある。

骨格こっかくのほかにも、硬骨魚こうこつぎょるいは、だてうろこをもたない、はいやそこから派生はせいしたぶくろをもつといった特徴とくちょうによっても、軟骨なんこつ魚類ぎょるいから区別くべつされる。はい獲得かくとくした初期しょき硬骨魚こうこつぎょるい祖先そせんあわ水棲すいせいであったとみられ、うみ棲の硬骨魚こうこつぎょるいはここからてき海洋かいよう進出しんしゅつしたものである。そのため硬骨魚こうこつぎょるい体液たいえき塩分えんぶん濃度のうどやく0.9%であり、現在げんざい海水かいすい塩分えんぶん濃度のうど(3.5%程度ていど)よりかなりひくい。ちなみに淡水たんすいでの進化しんか経験けいけんしていない軟骨なんこつ魚類ぎょるいうみ棲の脊椎動物せきついどうぶつ体液たいえき塩分えんぶん濃度のうどは、現在げんざい海水かいすい塩分えんぶん濃度のうどちかい。

従来じゅうらい定説ていせつでは、初期しょき魚類ぎょるい軟骨なんこつであり、それが硬骨こうこつ進化しんかしていったとされ、軟骨なんこつぎょ分類ぶんるいされるサメエイなどは古代こだい姿すがたいまのこきた化石かせきとされる。しかし、あごものすべての祖先そせんたるものは、硬骨こうこつちかほねっており、サメやエイは深海しんかいでの捕食ほしょくとくするために、定説ていせつとはぎゃく硬骨こうこつから軟骨なんこつ進化しんかしたとする学説がくせつもある。そのせつ補強ほきょうする化石かせきなども発見はっけんされている[1][2]

A, 伝統でんとうてき分類ぶんるいもとづく硬骨魚こうこつぎょるい[編集へんしゅう]

軟骨なんこつ魚類ぎょるい硬骨魚こうこつぎょるいは、ふるくはさかなつな下位かい軟骨なんこつぎょつな硬骨魚こうこつぎょつなとしたが、いまでは魚類ぎょるいさかなじょうつなとして、軟骨なんこつぎょつな硬骨魚こうこつぎょつなの2つなけることがおおい。なお魚類ぎょるいあごるいヤツメウナギヌタウナギひとし)をふくめるかどうかは、研究けんきゅうしゃによって意見いけんかれる。

生物せいぶつ進化しんかじょうは、硬骨魚こうこつぎょるい軟骨なんこつ魚類ぎょるいから、軟骨なんこつ魚類ぎょるいあごるいから分岐ぶんきした。また、両生りょうせいつな、爬虫つなとりつな哺乳ほにゅうつなは、硬骨魚こうこつぎょるいから分岐ぶんきした。下図したず参照さんしょう

脊椎動物せきついどうぶつ

あごるい (A)

あごこうるい

軟骨なんこつ魚類ぎょるい (B)

硬骨魚こうこつぎょるい

じょうひれ魚類ぎょるい (C)

にくひれ魚類ぎょるい

肺魚はいぎょるい (D)

四肢しし動物どうぶつ

両生類りょうせいるい

爬虫類はちゅうるい

鳥類ちょうるい

哺乳類ほにゅうるい

すなわち、硬骨魚こうこつぎょるいは (C) + (D) のグループでありがわ系統けいとうぐんたん系統けいとうぐんから一部いちぶぐんのぞいたグループ)のため、この場合ばあい分岐ぶんき分類ぶんるいがく立場たちばでは(脊椎動物せきついどうぶつ爬虫類はちゅうるいなどと同様どうよう生物せいぶつ分類ぶんるい単位たんいとはされないはずである後述こうじゅつ。ただし、実用じつようせい観点かんてんから、硬骨魚こうこつぎょるい分類ぶんるいめい現在げんざいひろ使用しようされている。しかし、分岐ぶんき分類ぶんるいにおいても「硬骨魚こうこつぎょるい (Osteichthyes)」の名称めいしょう定義ていぎえて使用しようされており、伝統でんとうてき分類ぶんるい体系たいけい混同こんどうされ混乱こんらんまねくこともおおい。

分類ぶんるい概略がいりゃく[編集へんしゅう]

硬骨魚こうこつぎょるいは、肺魚はいぎょつなそうひれつなうでひれつなじょうひれつなの4つな分類ぶんるいされる。このうち現生げんなまは、肺魚はいぎょつなにはケラトドゥスとレピドシレンそうひれつなにはシーラカンスうでひれつなにはポリプテルスだけしかない。

じょうひれつなは、軟質なんしつ下綱しもつなしんひれ下綱しもつなの2下綱しもつなけられるが、軟質なんしつ下綱しもつな軟骨なんこつじょうつなチョウザメのみが現生げんなまである。現在げんざいもっと繁栄はんえいしている魚類ぎょるいのグループは、じょうひれつなしんひれつなであり、通常つうじょうわたしたちのにふれる“さかな”は、ほとんどがこのグループであるとってよい。

しんひれ下綱しもつなは、さらにぜんほねるいほねるいとにかれるが、現生げんなまするぜんほねるい魚類ぎょるいはガーレピソステウス)とアミアのみであり、それ以外いがいのすべてのしんひれ下綱しもつな魚類ぎょるいは、ほねるいぞくする。

分類ぶんるいじゅ[編集へんしゅう]

B, 分岐ぶんき分類ぶんるいもとづく硬骨魚こうこつぎょるい[編集へんしゅう]

分岐ぶんきがくは、すべての形質けいしつ極力きょくりょく同様どうようおもみづけしたうえ分岐ぶんき作成さくせいし、そのかく分岐ぶんきてん分類ぶんるいぐんとして定義ていぎする手法しゅほうである。このため、硬骨魚こうこつぎょるい系統けいとう分岐ぶんきして以降いこう、その子孫しそんすべ硬骨魚こうこつぎょるいであって、たとえば哺乳類ほにゅうるい恣意しいてき硬骨魚こうこつぎょからはずされることはない。

系統けいとうじゅ[編集へんしゅう]

脊索せきさく動物どうぶつ系統けいとう概略がいりゃく以下いかしめす。太字ふとじすべ硬骨魚こうこつぎょるいということになる。

脊索せきさく動物どうぶつ 
 あたまさく動物どうぶつ

 ナメクジウオ

 
さく動物どうぶつ 

 オタマボヤるい 

 タリアるい 

 ホヤるい 

 脊椎動物せきついどうぶつ 
 えんこうるい 

 ヌタウナギるい 

 ヤツメウナギるい 

 

 コノドント†  

 つばさかぶとるい

 きのえかわるい

 あごこうるい 

 いたかわるい

 軟骨なんこつ魚類ぎょるい

 くちるい 

 棘魚とげうおるい

 硬骨魚こうこつぎょるい 
 じょうひれるい 

 分岐ぶんきひれるい 

 

 軟質なんしつるい 

 しんひれるい         

 にくひれるい 
void
 四肢しし動物どうぶつ 

 両生類りょうせいるい

 ひつじまくるい 
 たんゆみるい 
void

 哺乳類ほにゅうるい

 りゅうゆみるい 
 そうゆみるい 

 うろこりゅうるい

 しゅりゅうがたるい

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

にくひれるい そうひれるい