辻つじ馬車ばしゃ

コンピエーニュの博物館はくぶつかんに展示てんじされた、1830年ねん製せいの辻つじ馬車ばしゃ。

辻つじ馬車ばしゃ（つじばしゃ、fiacre）は、近代きんだいヨーロッパの都市とし交通こうつうの一ひとつ。今日きょうのタクシーの前身ぜんしんと言いわれるが、他ほかにもタクシーの前身ぜんしんと呼よばれる物ものは存在そんざいする（「ハンサムキャブ」、「ハックニーキャリッジ」参照さんしょう）。あらかじめ決きめられた駅前えきまえなどの道端みちばたで客きゃくを待まち、客きゃくを目的もくてき地ちまで運はこび運賃うんちんを貰もらう形式けいしきの二に輪りん馬車ばしゃ。

歴史れきし

貸かし馬車ばしゃから派生はせいしたもので、1625年ねん頃ごろにロンドンで見みられ、1640年ねん頃ころ、パリのサン＝フィアークル（聖せいフィアークル）ホテルで貸かし馬車ばしゃ業ぎょうをはじめたニコラ・ソバージュが、道端みちばたに馬車ばしゃを用意よういして客きゃくを待まち、市内しないの指定してい場所ばしょまで移動いどうする馬車ばしゃが、後のちにフィアークル（fiacre）と呼よばれる辻つじ馬車ばしゃへ発展はってんしたとされる。聖せいフィアークルはアイルランドの隠者いんじゃで、フランスに修道院しゅうどういんを建たてた庭師にわしと御者ぎょしゃの守護しゅご聖人せいじんであり、サン＝フィアークル・ホテルの看板かんばんにも肖像しょうぞうが描えがかれていた。日本にっぽんでも明治めいじ時代じだいに導入どうにゅうされ、その際さい「辻つじ馬車ばしゃ」と訳やくされた。

関連かんれん項目こうもく

• 乗合のりあい馬車ばしゃ
• 駅えき馬車ばしゃ

参考さんこう資料しりょう

• 『世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん』平凡社へいぼんしゃ