ぎゃく選抜せんばつ

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ぎゃく選択せんたくから転送てんそう

経済けいざいがく保険ほけんリスクマネジメントにおいて、ぎゃく選抜せんばつ(ぎゃくせんばつ、えい: Adverse selection)とは、ことなる情報じょうほうっている市場いちば状況じょうきょうす。その結果けっかりょう当事とうじしゃへの利益りえき分配ぶんぱい均等きんとうになり、重要じゅうよう情報じょうほう当事とうじしゃがよりおおくの利益りえきることになる。ぎゃく選択せんたくぎゃく淘汰とうたともばれる。

理想りそうてき世界せかいでは、自分じぶん支払しはら意思いし製品せいひんやサービスの価値かち反映はんえいした価格かかく支払しはらうべきであり、自分じぶん商品しょうひんやサービスの品質ひんしつ反映はんえいした価格かかく販売はんばいするべきである[1]たとえば、品質ひんしつわる製品せいひん安価あんかであるべきで、こう品質ひんしつ製品せいひんこう価格かかくであるべきである。しかし、一方いっぽう当事とうじしゃがもう一方いっぽう当事とうじしゃっていない情報じょうほう保有ほゆうしている場合ばあい自己じこ効用こうよう最大さいだいし、関連かんれん情報じょうほう隠蔽いんぺいし、さらにはうそをつくことによって、もう一方いっぽう当事とうじしゃ損害そんがいあたえる機会きかいがある。経済けいざい契約けいやく所有しょゆうけん取引とりひきにおいて、開示かいじされていない情報じょうほう利用りようすることは、ぎゃく選抜せんばつとしてられている。

この機会きかいにはてき影響えいきょうがある。情報じょうほうたない当事とうじしゃは、たとえば相互そうご作用さようから撤退てったいしたり、)がたかい(ひくい)価格かかく要求ようきゅうしたりすることで、不公平ふこうへいな(おそらく「不正ふせいな」)契約けいやくむすぶことをけるための措置そちることができ、その結果けっか市場いちばでの取引とりひきりょう減少げんしょうする。さらに、人々ひとびと市場いちばへの参加さんかおもいとどまらせ、競争きょうそう減少げんしょうし、参加さんかしゃ利益りえきりつたかくなる可能かのうせいがある。

ときには、よりも商品しょうひんやサービスの価値かちをよくっていることがある。たとえば、放題ほうだいレストランでは、平均へいきん以上いじょう食欲しょくよくきゃくけ、レストランに損失そんしつをもたらすことがある。

標準ひょうじゅんてきれいとして、かくれた欠陥けっかん中古ちゅうこしゃレモン市場いちばがある。ジョージ・アカロフは1970ねん論文ろんぶんレモン市場いちば」で、ぎゃく選抜せんばつ中古ちゅうこしゃ市場いちばあたえる影響えいきょう強調きょうちょうし、あいだにアンバランスをし、市場いちば崩壊ほうかいにつながる可能かのうせいがあることを指摘してきした。さらに、この論文ろんぶんでは、情報じょうほう非対称ひたいしょうせい市場いちばあたえる影響えいきょういちれいとして、保険ほけんにおけるぎゃく選抜せんばつ影響えいきょう説明せつめいしており[2]一種いっしゅの「一般いっぱんされたグレシャムの法則ほうそく」とされている[2]。それ以来いらい、「ぎゃく選抜せんばつ」はおおくの分野ぶんやひろ使用しようされている。

ぎゃく選抜せんばつ市場いちばにおける商品しょうひん品質ひんしつ悪化あっかさせる悪循環あくじゅんかん効果こうか

市場いちば崩壊ほうかい背後はいごにある理論りろんは、馴染なじみのない市場いちばから商品しょうひん購入こうにゅうしたい消費しょうひしゃからはじまる。こう品質ひんしつてい品質ひんしつかの情報じょうほうは、てい品質ひんしつ商品しょうひんをよりこう品質ひんしつ商品しょうひんおな価格かかく販売はんばいすることを目指めざし、よりおおきな利益りえきりつにつなげようとする。こう品質ひんしつは、てい品質ひんしつ商品しょうひん平均へいきん価格かかくげ、こう品質ひんしつ商品しょうひん販売はんばいにはもはや採算さいさんわなくなるため、こう品質ひんしつ商品しょうひんつことの十分じゅうぶんなメリットをられなくなる。そのため、こう品質ひんしつ市場いちばから撤退てったいし、商品しょうひん品質ひんしつ価格かかくがさらに低下ていかする[2]。この市場いちば崩壊ほうかいは、価格かかく下落げらくたいして需要じゅよう上昇じょうしょうしないこと、および市場いちば供給きょうきゅう全体ぜんたい品質ひんしつ低下ていかすることによってこされる。ときには、ほう情報じょうほうたない当事とうじしゃとなり、人口じんこう統計とうけいのために価格かかく設定せっていされた商品しょうひん契約けいやくを、開示かいじされていない属性ぞくせい消費しょうひしゃ購入こうにゅうすることがある[2]

ぎゃく選抜せんばつは、1860年代ねんだいから生命せいめい保険ほけん議論ぎろんされており[3]、1870年代ねんだいからこの言葉ことば使用しようされている[4]

れい[編集へんしゅう]

保険ほけん[編集へんしゅう]

ぎゃく選抜せんばつ最初さいしょ生命せいめい保険ほけん説明せつめいされた。それは、保険ほけんしゃ損失そんしつリスクとせい相関そうかん関係かんけいにある保険ほけん需要じゅよう[3]

たとえば、全体ぜんたいてきて、おな年齢ねんれい性別せいべつ喫煙きつえんしゃくらべて喫煙きつえんしゃ死亡しぼうリスクははるかにひくい。保険ほけんりょう喫煙きつえんじょうきょうによってことならない場合ばあい喫煙きつえんしゃよりも喫煙きつえんしゃにとってより価値かちがあることになる。したがって、喫煙きつえんしゃ保険ほけん購入こうにゅうする動機どうきおおきくなり、喫煙きつえんしゃよりもおおくの保険ほけん購入こうにゅうする。これにより、保険ほけんしゃプールの平均へいきん死亡しぼうりつ上昇じょうしょうし、保険ほけん会社かいしゃ支払しはら保険ほけんきん増加ぞうかする。保険ほけん会社かいしゃは、喫煙きつえんしゃにかかるコストをまかなうために、健康けんこう喫煙きつえんしゃ保険ほけんりょうたよっている。よりおおくの喫煙きつえんしゃ保険ほけん購入こうにゅうするにつれ、かれらに保険ほけんをかけるコストが増加ぞうかする[5]

これにたいして、保険ほけん会社かいしゃ平均へいきんリスクの上昇じょうしょう対応たいおうして保険ほけんりょうげるかもしれない。しかし、価格かかくたかくなると、保険ほけんわりわなくなるため、合理ごうりてき喫煙きつえんしゃ保険ほけん解約かいやくし、ぎゃく選抜せんばつ問題もんだいがさらに悪化あっかする。最終さいしゅうてきに、価格かかく上昇じょうしょうにより、より選択肢せんたくしもとめるすべての喫煙きつえんしゃされ、保険ほけん購入こうにゅう希望きぼうするひと喫煙きつえんしゃだけになる[6]健康けんこう保険ほけんについてもおなじことがえる。

ぎゃく選抜せんばつ影響えいきょう対抗たいこうするために、保険ほけん会社かいしゃ顧客こきゃくのリスクを反映はんえいした保険ほけんりょう要求ようきゅうし、こうリスクとていリスクの個人こじん区別くべつすることがある。たとえば、医療いりょう保険ほけん会社かいしゃ一連いちれん質問しつもんをし、保険ほけん購入こうにゅうもう個人こじんについて医療いりょう報告ほうこくしょやその報告ほうこくしょ要求ようきゅうすることがある。保険ほけんりょうはそれにおうじて変動へんどうし、れがたいほどこうリスクの個人こじん拒否きょひされる(cf. 既往症きおうしょう英語えいごばん)。このリスク選択せんたくプロセスは、引受ひきうけ一部いちぶである。おおくのくにでは、保険ほけんほうに「最大限さいだいげん誠実せいじつ」またはウベリマ・フィデス英語えいごばん原則げんそくまれており、潜在せんざいてき顧客こきゃく保険ほけん会社かいしゃからたずねられた質問しつもん完全かんぜんかつ正直しょうじきこたえることがもとめられる。不正直ふしょうじき場合ばあい保険ほけんきん支払しはらいを拒否きょひされることがある。

ぎゃく選抜せんばつは、保険ほけん会社かいしゃ特定とくてい情報じょうほうもとづいて価格かかく設定せっていすることを禁止きんしする政府せいふ規制きせいからもしょうじる可能かのうせいがある。これは「規制きせいじょうぎゃく選抜せんばつ」とばれることがある[7]たとえば、米国べいこく政府せいふは、保険ほけん会社かいしゃ既往症きおうしょう性別せいべつもとづいてたか料金りょうきん請求せいきゅうすることを禁止きんしする「医療いりょう保険ほけん制度せいど改革かいかくほう(ACA)」を制定せいていした[8]ぎゃく選抜せんばつふせぐために、ACAは病気びょうき加入かにゅうしゃかかえる保険ほけん会社かいしゃ補償ほしょうするリスク調整ちょうせいプログラムを設計せっけいした[9]。ACAはまた、米国べいこく居住きょじゅうしゃ医療いりょう保険ほけんへの加入かにゅう義務付ぎむづけるか、税金ぜいきんのペナルティを支払しはらうことをもとめた。これは、健康けんこう個人こじん加入かにゅう確保かくほするために実施じっしされたものであり、かれらは保険ほけんきん請求せいきゅう可能かのうせいひくいため、そうでなければ保険ほけん財政ざいせいてき価値かちがあるとはかんがえないかもしれない[8]

ぎゃく選抜せんばつ実証じっしょうてき証拠しょうこ混在こんざいしている。リスクと保険ほけん購入こうにゅう相関そうかん関係かんけい調査ちょうさしたいくつかの研究けんきゅうでは、生命せいめい保険ほけん[10]自動車じどうしゃ保険ほけん[11][12]健康けんこう保険ほけん[13]予測よそくされたせい相関そうかん関係かんけいしめすことができなかった。一方いっぽうで、健康けんこう保険ほけん[14]長期ちょうき介護かいご保険ほけん[15]年金ねんきん市場いちば[16]では、ぎゃく選抜せんばつの「肯定こうていてきな」検査けんさ結果けっか報告ほうこくされている。

特定とくてい市場いちばにおけるぎゃく選抜せんばつ証拠しょうこよわいことは、引受ひきうけプロセスがこうリスクの個人こじんをスクリーニングするのに効果こうかてきであることを示唆しさしている。もう1つの可能かのう理由りゆうは、リスク回避かいひ保険ほけん購入こうにゅう意欲いよくなど)とリスクレベル(観測かんそくされたクレームの発生はっせいりつもとづいて事後じごてき推定すいていされる)とのあいだに、人口じんこうなかまけ相関そうかんがあることである。ていリスクの顧客こきゃくほうがリスク回避かいひたか場合ばあいぎゃく選抜せんばつ減少げんしょうまたは逆転ぎゃくてんし、「有利ゆうりな」選択せんたくにつながる可能かのうせいがある[17][18]。これは、リスクを増大ぞうだいさせる行動こうどうをとる可能かのうせいひくひとほど、リスクを減少げんしょうさせるための積極せっきょくてき措置そちをとる可能かのうせいたか場合ばあい発生はっせいする。

たとえば、喫煙きつえんしゃ喫煙きつえんしゃくらべて危険きけん仕事しごとをする意欲いよくたかいという証拠しょうこがある[19]。このリスクをれる意欲いよくたかさが、喫煙きつえんしゃによる保険ほけん契約けいやく購入こうにゅうらす可能かのうせいがある。

公共こうきょう政策せいさく観点かんてんからは、ある程度ていどぎゃく選抜せんばつ有利ゆうりになる可能かのうせいがある。ぎゃく選抜せんばつにより、ぎゃく選抜せんばつがない場合ばあいくらべて、人口じんこう全体ぜんたいそう損失そんしつのうち保険ほけんでカバーされる割合わりあいたかくなる可能かのうせいがある[20]

資本しほん市場いちば[編集へんしゅう]

資本しほん調達ちょうたつさい、あるしゅ証券しょうけん証券しょうけんよりもぎゃく選抜せんばつけやすい。収益しゅうえき安定あんていてきしている会社かいしゃ株式かぶしき募集ぼしゅうは、無名むめい会社かいしゃ募集ぼしゅうよりもさきめられ、投資とうしのぞまなかった魅力みりょくとぼしい募集ぼしゅう市場いちばのこされる。経営けいえいしゃ企業きぎょう内部ないぶ情報じょうほうっていると仮定かていすると、外部がいぶしゃ株式かぶしき募集ぼしゅうもっとぎゃく選抜せんばつけやすい。これは、経営けいえいしゃ募集ぼしゅう価格かかく自社じしゃ価値かちたいする私的してき評価ひょうか上回うわまわるとっている場合ばあい株式かぶしき募集ぼしゅうする可能かのうせいがあるためだ。したがって、外部がいぶ投資とうしは、「レモン」をうリスクを補償ほしょうするために、株式かぶしきたか利回りまわりを要求ようきゅうする。

ぎゃく選抜せんばつのコストは、債券さいけん発行はっこうほうひくい。債券さいけん発行はっこうされると、経営けいえいしゃ現在げんざい株価かぶか過小かしょう評価ひょうかされているとかんがえていることを外部がいぶ投資とうししめすシグナルとなる。そうでなければ、企業きぎょう株式かぶしき発行はっこう熱心ねっしんになるだろう。

したがって、債券さいけん株式かぶしき要求ようきゅうされるリターンは、ぎゃく選抜せんばつコストに関連かんれんしており、これは債券さいけん株式かぶしきよりも外部がいぶ資本しほん調達ちょうたつげんとして安価あんかであるべきだということを意味いみし、「ペッキング・オーダー英語えいごばん」を形成けいせいする[21]

上記じょうきれいでは、市場いちば経営けいえいしゃかぶ売却ばいきゃくしていることをらないと仮定かていしている。市場いちばは、おそらく企業きぎょう報告ほうこくしょでこの情報じょうほうつけることで、この情報じょうほうにアクセスできるかもしれない。この場合ばあい市場いちばはその情報じょうほう利用りようする。市場いちば企業きぎょう情報じょうほうにアクセスできれば、情報じょうほう非対称ひたいしょうせい解消かいしょうされ、もはやぎゃく選抜せんばつ状態じょうたいではなくなる。

資本しほん市場いちばぎゃく選抜せんばつ存在そんざいすると、過剰かじょう民間みんかん投資とうしおこなわれる。本来ほんらいであれば、機会きかい費用ひようよりも期待きたい収益しゅうえきひくいために投資とうしけられなかったはずのプロジェクトが、市場いちば情報じょうほう非対称ひたいしょうせい結果けっか資金しきん調達ちょうたつしたのである。したがって、政府せいふ公共こうきょう政策せいさく実施じっしたって、ぎゃく選抜せんばつ存在そんざい考慮こうりょれなければならない[22]

契約けいやく理論りろん[編集へんしゅう]

現代げんだい契約けいやく理論りろんでは、「ぎゃく選抜せんばつ」は、エージェントが契約けいやくかれるまえ私的してき情報じょうほうっているプリンシパル・エージェントモデルを特徴とくちょうづける[23][24]たとえば、労働ろうどうしゃ雇用こようぬし(または)が契約けいやくもうをするまえに、自分じぶん努力どりょくコスト(または自分じぶん支払しはらい意思いし)をっているかもしれない。対照たいしょうてきに、「モラル・ハザード」は、契約けいやく情報じょうほう対称たいしょうてきであるプリンシパル・エージェントモデルを特徴とくちょうづける。エージェントは、契約けいやくかれたのち私的してき情報じょうほうることがある。ハートとホルムストローム(1987)によれば、モラル・ハザードモデルは、エージェントがみずか選択せんたくする観察かんさつ不可能ふかのう行動こうどうによって私的してき情報じょうほうるか、自然しぜんのランダムなうごきによって私的してき情報じょうほうるかによって、かくれた行動こうどうモデルとかくれた情報じょうほうモデルにさらに細分さいぶんされる[25]。したがって、ぎゃく選抜せんばつモデルとかくれた情報じょうほうときにはかくれた知識ちしきばれる)モデルのちがいはたんにタイミングの問題もんだいである。前者ぜんしゃ場合ばあい、エージェントは最初さいしょから情報じょうほうている。後者こうしゃ場合ばあい契約けいやく締結ていけつ私的してき情報じょうほうる。

ほとんどのぎゃく選抜せんばつモデルでは、エージェントの私的してき情報じょうほうは「ソフト」(つまり、情報じょうほう認証にんしょうできない)であると仮定かていされている。しかし、「ハード」な情報じょうほう(つまり、エージェントは自分じぶんのタイプについて主張しゅちょうすることが真実しんじつであることを証明しょうめいする証拠しょうこっている可能かのうせいがある)をぎゃく選抜せんばつモデルもある[26]

ぎゃく選抜せんばつモデルは、私的してき価値かちつモデルと相互そうご依存いぞんてきまたは共通きょうつう価値かちつモデルにさらに分類ぶんるいできる。私的してき価値かちつモデルでは、エージェントのタイプは自分じぶん自身じしん選好せんこう直接ちょくせつ影響えいきょうあたえる。たとえば、エージェントは自分じぶん努力どりょくコストや支払しはらい意思いしについて知識ちしきっている。あるいは、相互そうご依存いぞんてきまたは共通きょうつう価値かちつモデルは、エージェントのタイプがプリンシパルの選好せんこう直接ちょくせつ影響えいきょうあたえる場合ばあい発生はっせいする。たとえば、エージェントはくるま品質ひんしつ私的してきっているかもしれない。

私的してき価値かちモデルへの画期的かっきてき貢献こうけんロジャー・マイヤーソンエリック・マスキンによってなされ、一方いっぽう相互そうご依存いぞんてきまたは共通きょうつう価値かちモデルは最初さいしょジョージ・アカロフによって研究けんきゅうされた。私的してき価値かちぎゃく選抜せんばつモデルは、片側かたがわ私的してき情報じょうほうつモデルと両側りょうがわ私的してき情報じょうほうつモデルを区別くべつすることで、さらに分類ぶんるいすることもできる。後者こうしゃ場合ばあいもっと著名ちょめい結果けっかは、マイヤーソン・サタースウェイトの定理ていりである[27]最近さいきんでは、契約けいやく理論りろんてきぎゃく選抜せんばつモデルが、実験じっけんしつ実験じっけん実地じっち調査ちょうさ両方りょうほう検証けんしょうされている[28][29]

銀行ぎんこう[編集へんしゅう]

銀行ぎんこうあつまって、個人こじんローン、住宅じゅうたくローン、ビジネスローンを決定けっていするさいぎゃく選抜せんばつ議論ぎろんふかざしている[30]

たとえば、新規しんき顧客こきゃく銀行ぎんこう個人こじんローン英語えいごばんもとめてきた場合ばあい自分じぶん消費しょうひ貯蓄ちょちく潜在せんざいてき収入しゅうにゅうについて、つね銀行ぎんこうよりもっているだろう。これはぎゃく選抜せんばつす。なぜなら、顧客こきゃく銀行ぎんこうらない自分じぶん人生じんせいかんする情報じょうほうっており、この情報じょうほう利用りようして経済けいざいてき利益りえきることができるからだ[31]

同様どうように、企業きぎょう銀行ぎんこうにローンを要求ようきゅうする場合ばあいも、ぎゃく選抜せんばつしょうじる。企業きぎょうは、市場いちば動向どうこう内部ないぶ情報じょうほう、その企業きぎょう関連かんれんする将来しょうらい出来事できごとについて、銀行ぎんこう企業きぎょう融資ゆうしするさいらない情報じょうほうっている。

ぎゃく選抜せんばつ関係かんけいするもう1つのケースは、銀行ぎんこうがローンを取引とりひきする場合ばあいである。このプロセスはぎゃく選抜せんばつす。なぜなら、銀行ぎんこうあたらしい銀行ぎんこうにローンを譲渡じょうとするさいがどれほどリスクがたかいか、また銀行ぎんこう資金しきんさいともなうその関連かんれんリスクをらないからである[32]

ぎゃく選抜せんばつ影響えいきょう対抗たいこうするために、銀行ぎんこう顧客こきゃくとの関係かんけい強化きょうかけてうごいている。これは、消費しょうひしゃ銀行ぎんこうからりるさいっているかくれた情報じょうほう一部いちぶをさらに理解りかいするのに役立やくだつ。さらに、銀行ぎんこう金利きんり調整ちょうせいして、未知みちのリスクの一部いちぶ軽減けいげんすることができる。銀行ぎんこうはまた、ローンの申請しんせいしゃたいしてよりきびしい審査しんさ実施じっしし、融資ゆうしさい全体ぜんたいぞう把握はあくできるようにしている。銀行ぎんこうは、がローンを返済へんさいする可能かのうせい推定すいていするのに十分じゅうぶん情報じょうほう収集しゅうしゅうするために、かなりの資源しげん投入とうにゅうしている。さらに、銀行ぎんこう一部いちぶたいする融資ゆうし限度げんどがく設定せっていし、顧客こきゃくがローンの返済へんさいおこたるリスクを低減ていげんしている[30]

銀行ぎんこうは、事業じぎょうにおけるぎゃく選抜せんばつ影響えいきょう制限せいげんするために、れプロセスにできるだけおおくの安全あんぜん措置そち実施じっししようとしている。

ぎゃく選抜せんばつ軽減けいげん[編集へんしゅう]

市場いちば存在そんざいする大量たいりょう信用しんようざい英語えいごばん考慮こうりょすると[33]両方りょうほう不正ふせい行為こういたいするインセンティブは、社会しゃかい全体ぜんたい市場いちば効率こうりつたいするおおきな脅威きょういとなる。ぎゃく選抜せんばつおも情報じょうほう非対称ひたいしょうせいのために存在そんざいするので、その影響えいきょう軽減けいげんするための重要じゅうようなステップは、市場いちば両側りょうがわ透明とうめいせい奨励しょうれいすることにより、情報じょうほう非対称ひたいしょうせい排除はいじょすることからはじまる。

シグナリングとスクリーニング[編集へんしゅう]

販売はんばいしたい製品せいひんかんする私的してき情報じょうほうっている市場いちばでは、評判ひょうばんのメカニズムは、品質ひんしつのシグナルとして機能きのうすることで、ぎゃく選抜せんばつらすのに役立やくだ[34]いちれいとして、オンラインマーケットプレイスのeBayげられる。こう品質ひんしつ商品しょうひん販売はんばいしていることでられるは、eBayの評価ひょうかシステム英語えいごばん利用りようすることで、さらに評判ひょうばんたかめることができる。製品せいひん購入こうにゅうから効用こうようるため、自然しぜんこう品質ひんしつから購入こうにゅうしようとするので、にはそうするインセンティブがある。このように、評判ひょうばんシステムをてい品質ひんしつからこう品質ひんしつをふるいけるシグナルとして利用りようすることができる[35]

品質ひんしつシグナリングでは、よりおおくの情報じょうほう当事とうじしゃさき行動こうどうするのにたいし、スクリーニングは、情報じょうほうたない当事とうじしゃ契約けいやく参加さんかするかどうかの最初さいしょ決定けっていくだ必要ひつようがある場合ばあいてきしている[36]ぎゃく選抜せんばつ情報じょうほう不足ふそくからしょうじることを認識にんしきし、スクリーニングゲーム英語えいごばん使用しようすることで、プレイヤーは、契約けいやく最悪さいあく結果けっかのリスクが最初さいしょから参加さんかする価値かちがあるかどうかを分析ぶんせきすることができる[36]当事とうじしゃつねにより情報じょうほうようとすることができるが、あたらしい情報じょうほうるのにコストがかかりすぎ、契約けいやくによる経済けいざいてき損失そんしつ脅威きょういおおきすぎる場合ばあい、スクリーニング方法ほうほうろんでは最初さいしょから契約けいやく参加さんかしないことを示唆しさしている。

ぎゃく選抜せんばつ資本しほん市場いちばでどのように発生はっせいするかというれい使つかってより文脈ぶんみゃく提供ていきょうすると、投資とうしてい収益しゅうえきのリスクがたかすぎるとかんがえ、取引とりひき専門せんもん相談そうだんするコストが見合みあわない場合ばあいかれらは可能かのう結果けっかをスクリーニングし、最初さいしょから投資とうしをする価値かちがないことを認識にんしきしている[36]

レモンほう[編集へんしゅう]

レモンほうは、欠陥けっかん商品しょうひん購入こうにゅうした場合ばあい消費しょうひしゃ保護ほごいち形態けいたいとして機能きのうする。通常つうじょう自動車じどうしゃ適用てきようされるが、レモンほうはほとんどの消費しょうひざいにも使用しようされる。このような規制きせいは、製造せいぞう業者ぎょうしゃ欠陥けっかん商品しょうひん故意こい販売はんばいする事例じれいらすために制定せいていされた。レモンほうくにによってことなるが、一般いっぱんてきに、商品しょうひんもどしまたは交換こうかん要求ようきゅうする。たとえば、テキサスしゅう欺瞞ぎまんてき取引とりひき慣行かんこうほうでは、消費しょうひしゃ欠陥けっかん商品しょうひん購入こうにゅうした結果けっか取引とりひき情報じょうほうかくしていたために損害そんがいこうむった場合ばあい消費しょうひしゃさんばい損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうすることができる。このように、政府せいふ規制きせいは、関係かんけいしゃあいだ情報じょうほう非対称ひたいしょうせい利用りようすることを抑止よくしする役割やくわりたす。これにより、ぎゃく選抜せんばつ問題もんだい軽減けいげんされる。なぜなら、レモンほうによって保護ほごされていることをっているは、以前いぜん利用りよう可能かのう情報じょうほう不足ふそくしていたためにおこなわなかった取引とりひきおこな可能かのうせいたかくなるからだ。

保証ほしょう[編集へんしゅう]

販売はんばいしようとする製品せいひん保証ほしょう提供ていきょうすることで、製品せいひんかんする私的してき情報じょうほう間接かんせつてきつたえることができる。保証ほしょうは、製品せいひん品質ひんしつたいする自信じしんかんする情報じょうほうを、製品せいひん保証ほしょうとして機能きのうすることで伝達でんたつするのに役立やくだ[37]一般いっぱんてきれい中古ちゅうこしゃ市場いちばであり、自身じしん提供ていきょうする保証ほしょうとはべつに、はサードパーティの企業きぎょうから保険ほけんかたち追加ついか保証ほしょう購入こうにゅうすることができる。

モラル・ハザード[編集へんしゅう]

関連かんれんする市場いちば失敗しっぱい形態けいたいは、モラル・ハザードである。モラル・ハザードでは、当事とうじしゃあいだ情報じょうほう非対称ひたいしょうせいにより、一方いっぽう当事とうじしゃ取引とりひきのちにリスク露出ろしゅつ増加ぞうかさせるのにたいし、ぎゃく選抜せんばつまえ発生はっせいする。モラル・ハザードは、保険ほけん加入かにゅうしている顧客こきゃくは、加入かにゅうしていない顧客こきゃくよりも無謀むぼう行動こうどうをとる可能かのうせいたかいことを示唆しさしている。一方いっぽうぎゃく選抜せんばつは、顧客こきゃく保険ほけん購入こうにゅうするさいに、既存きそん健康けんこう状態じょうたいかんする情報じょうほう健康けんこう保険ほけん会社かいしゃかくすことを示唆しさしている。

ぎゃく選抜せんばつとモラル・ハザード
おもちが ぎゃく選抜せんばつ モラル・ハザード
情報じょうほう非対称ひたいしょうせい対象たいしょう 個人こじんのタイプ 個人こじん行動こうどう
バイアスをこす時期じき 契約けいやく締結ていけつまえ 契約けいやく締結ていけつ

現実げんじつてき状況じょうきょうで、この2つの経済けいざい現象げんしょう積極せっきょくてき関与かんよするのは、賃貸ちんたい物件ぶっけん市場いちばである[38]ぎゃく選抜せんばつは、物件ぶっけん賃貸ちんたいまたは購入こうにゅうするまえ意思いし決定けっていプロセスで発生はっせいする(契約けいやく)。時間じかんてき制約せいやくからいえ定期ていきてき手入ていれをおこなうことに専念せんねんできないひと損害そんがいたいする補償ほしょう準備じゅんび不十分ふじゅうぶんひと、または生来せいらい無責任むせきにんひとは、賃貸ちんたいする可能かのうせいたかい。購入こうにゅう興味きょうみがあるひととは対照たいしょうてきに、長期ちょうきてき物件ぶっけん良好りょうこう状態じょうたい維持いじする意欲いよくひくいだろう。このようなタイプは、これらの特徴とくちょうたないテナントに物件ぶっけんしたいとかんがえる大家たいかと、情報じょうほう非対称ひたいしょうせい利用りようすることになる。モラル・ハザードは、契約けいやくのち発生はっせいする。テナントは、入居にゅうきょ行動こうどうえる可能かのうせいたかい。物件ぶっけん自分じぶんのものではなく、リース期間きかん終了しゅうりょうすればすぐにていけるので、いテナントであるインセンティブがすくなくなるからだ。これは、良好りょうこう維持いじ管理かんりをする意欲いよくひくくなること、または大家たいか責任せきにんうべきことにたいして責任せきにんわなくなることを意味いみする。ここではぎゃく選抜せんばつとモラル・ハザードの両方りょうほうはたらいているが、発生はっせいする時期じきことなり、ことなる要因よういんかんする情報じょうほう非対称ひたいしょうせい原因げんいんとなっている。ただし、後者こうしゃ場合ばあい行動こうどう変化へんか源泉げんせんぜん当事とうじしゃ認識にんしきしている特定とくていのインセンティブ構造こうぞうであることから、情報じょうほう非対称ひたいしょうせい問題もんだい実際じっさいには存在そんざいしないと主張しゅちょうすることもできる。

ゲーム理論りろんにおけるぎゃく選抜せんばつ[編集へんしゅう]

様々さまざま金融きんゆう市場いちば危機ききにより、人々ひとびとぎゃく選抜せんばつのある市場いちばとく信用しんよう市場いちば保険ほけん市場いちば市場いちば分析ぶんせきにますます注目ちゅうもくするようになっている。ぎゃく選抜せんばつのある競争きょうそう均衡きんこう市場いちばかんする現在げんざいのほとんどの市場いちば分析ぶんせきは、ロスチャイルドとスティグリッツ(1976)の研究けんきゅう結果けっかもとづいている。我々われわれはまた、ぎゃく選抜せんばつ幅広はばひろ形式けいしき競争きょうそうてき市場いちばゲームにくわえることができる。これにより、企業きぎょう任意にんい限定げんてい契約けいやく価格かかく差別さべつ補助ほじょきん提供ていきょうすることができる。同時どうじに、企業きぎょう初期しょき契約けいやくもう観察かんさつされたのち市場いちばから撤退てったいした。このような場合ばあい、ネッツァー、ニック、フロリアン(2014)は、サブゲームにおける完全かんぜん均衡きんこうつね存在そんざいすることを証明しょうめいした。撤退てったいにコストがかからない場合ばあい均衡きんこう結果けっか集合しゅうごう実行じっこう可能かのう契約けいやくぜん集合しゅうごう対応たいおうする可能かのうせいがある。つぎに、ちいさな撤退てったいコストにたいして存在そんざいつづける頑健がんけん均衡きんこう着目ちゃくもくする。ネッツァー、ニック、フロリアン(2014)は、この場合ばあい宮崎みやざき・ウィルソン契約けいやく唯一ゆいいつ頑健がんけん均衡きんこう結果けっかであることを示唆しさした。

ビジネスにおけるぎゃく選抜せんばつ[編集へんしゅう]

ビジネスのしずかな戦場せんじょうでは、関係かんけい情報じょうほう非対称ひたいしょうせい直面ちょくめんすることがおおい。たとえば、製造せいぞう業者ぎょうしゃ一般いっぱんてきに、自社じしゃ製品せいひん需要じゅよう予測よそくにおいてサプライヤーよりも正確せいかくである可能かのうせいたかい。もう1つのれいは、対象たいしょう企業きぎょう上級じょうきゅう管理かんりしょくが、買収ばいしゅうしゃよりも企業きぎょう無形むけい資産しさん情報じょうほう価値かちふか理解りかいしている企業きぎょう買収ばいしゅうである。しかし、あいだ契約けいやくかんするほとんどの理論りろんてき研究けんきゅうでは、私的してき情報じょうほう検証けんしょう不可能ふかのうであると仮定かていしている。したがって、情報じょうほうは、主観しゅかんてき情報じょうほうパラメータについて任意にんい主張しゅちょうをすることができる。パトリック(2014)は、私的してき情報じょうほう実際じっさいには検証けんしょう可能かのうであるとかんがえている。かれは、情報じょうほう証明しょうめいできる場合ばあい期待きたいされるそう余剰よじょうは、証明しょうめいできない情報じょうほうよりも厳密げんみつちいさくなる可能かのうせいがあることを発見はっけんした。私的してき情報じょうほうっている可能かのうせいがあり、日和見ひよりみ主義しゅぎてき電話でんわをかける場合ばあい戦略せんりゃくてき理由りゆうから情報じょうほう取得しゅとくするかどうかを私的してき決定けっていすることができる。

貸出かしだし市場いちばにおけるぎゃく選抜せんばつ担保たんぽ[編集へんしゅう]

2022ねん4がつのロアニドゥ、パバニーニ、パンの研究けんきゅうによると、ぎゃく選抜せんばつ理論りろんは、担保たんぽ債務さいむ契約けいやく増分ぞうぶんコストにもとづいて、貸出かしだし市場いちばのパフォーマンスを決定けっていするじょうでも重要じゅうよう役割やくわりたしている。

最近さいきん研究けんきゅうでは、担保たんぽ事前じぜんチャネルと事後じごチャネルを分離ぶんりするさいぎゃく選抜せんばつのモラル問題もんだいのレベルの増加ぞうか債券さいけん市場いちばのスピリットに重大じゅうだい影響えいきょうあたえていることも指摘してきされている。一方いっぽう実証じっしょうてき証拠しょうこ統計とうけいモデルの両方りょうほうが、担保たんぽ活用かつようぎゃく選抜せんばつまけ影響えいきょうらすことを示唆しさしている。実際じっさいには、情報じょうほう共有きょうゆうシステムと信用しんよう格付かくづけメカニズムの促進そくしんつうじて、担保たんぽ契約けいやくかんする貸出かしだし市場いちば規制きせいなかで、関連かんれんする利害りがい関係かんけいしゃぎゃく選抜せんばつによってこされる社会しゃかいてき厚生こうせいコストを削減さくげんするためのよりいインセンティブと技術ぎじゅつつことが期待きたいされる。

べつふくめることで、分散ぶんさんがた貸出かしだし戦略せんりゃくしたでは、担保たんぽ実施じっしぎゃく選抜せんばつ問題もんだい効果こうかてき緩和かんわし、金融きんゆう行動こうどうをポジティブな方向ほうこう調整ちょうせいできるという十分じゅうぶん証拠しょうこがある。

住宅じゅうたくローン市場いちばにおける非対称ひたいしょう情報じょうほうともなぎゃく選抜せんばつ[編集へんしゅう]

商業しょうぎょうよう不動産ふどうさん担保たんぽローンのあいだでは、非対称ひたいしょう情報じょうほう現象げんしょう対応たいおうしてぎゃく選抜せんばつ問題もんだい発生はっせいする。CMBSの場合ばあい、アン、デン、ガブリエル(2010)は、セカンダリー市場いちばのローンにかんする情報じょうほう均等きんとうであるため、ローンのしつ情報じょうほうかんするのコンジットが強化きょうかされると指摘してきしている。住宅じゅうたくローン市場いちば投資とうしは、ぎゃく選抜せんばつ影響えいきょう効果こうかてき考慮こうりょれ、それに対応たいおうして、市場いちばにおけるローンとポートフォリオの価格かかくマージンが低下ていかする。要約ようやくすると、エージェンシー問題もんだいはジャンクローンと債券さいけんにはあらわれないが、投資とうし行動こうどうたいする不満足ふまんぞく意見いけん追加ついかすることになる。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]