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機会きかい費用ひよう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

機会きかい費用ひよう(きかいひよう、えい: opportunity cost)とは、時間じかん使用しよう消費しょうひ有益ゆうえきせい効率こうりつせいにまつわる経済けいざいがくうえ概念がいねんであり、ある経済けいざい行為こうい選択せんたくすることによってうしなわれる、経済けいざい活動かつどう機会きかいのうちの最大さいだい収益しゅうえきをさす経済けいざいがくじょう概念がいねん[1]最大さいだい利益りえき選択肢せんたくし以外いがい選択せんたくする場合ばあい、その本来ほんらいあり利益りえきぶんそこねていることになるので、その潜在せんざいてき損失そんしつぶん選択肢せんたくしえらうえでの費用ひよう (cost) と表現ひょうげんしている。

会計かいけいがくじょうでは、ある意思いし決定けっていをしたためにおこなえなかった投資とうし機会きかいのうち、ることができなかった最大さいだい利益りえきがくのことである[2]

概念がいねんとして、機会きかい損失そんしつ[3] (opportunity loss) があるが、機会きかい費用ひよう (opportunity cost) が「ある選択せんたく実行じっこうする」(ことで選択せんたく実行じっこうできなかった)ことでしょうじる・しょうじた架空かくう費用ひよう損失そんしつ (loss) を表現ひょうげんする積極せっきょくてき概念がいねんなのにたいし、機会きかい損失そんしつたんに(ある行為こういを)「実行じっこうできなかった・実行じっこうそこねた(やりそこねた)」ことでしょうじる・しょうじた架空かくう損失そんしつ表現ひょうげんする消極しょうきょくてき概念がいねんであり、ややニュアンスがことなる。

会計かいけいがくじょうでは、最善さいぜん意思いし決定けっていをしなかったためにうしなった利益りえきがくのことである[2]

法学ほうがくにおける類似るいじ概念がいねんとして、逸失いっしつ利益りえきがあるが、こちらも機会きかい費用ひようよりは機会きかい損失そんしつちか概念がいねんである。

概要がいよう

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機会きかい費用ひようは、希少きしょうせい使つかいたいりょうたいして使つかえるりょうすくないこと)によってせまられる選択せんたくさいしてしょうじる。「そのことをすると、のことがどれだけ犠牲ぎせいになるか」計算けいさんするものを機会きかい費用ひよう機会きかいコスト)とぶ。つまり、ひとつのことをすると、もうひとつのことをするチャンスがなくなることである。機会きかい費用ひよう概念がいねん応用おうようとしては、比較ひかく優位ゆういがあり、相手あいてよりすくない機会きかい費用ひようゆうすることを意味いみする。この比較ひかく優位ゆういゆうするざい生産せいさんとくすること(分業ぶんぎょう)で、全体ぜんたいてきなアウトプットを増大ぞうだいさせることができる。

経済けいざいがくじょう費用ひよう

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たとえば、大学だいがく進学しんがく機会きかい費用ひようとは、進学しんがくせずに就学しゅうがく期間きかんちゅうはたらいていたらられたとかんがえられる利益りえきである。大学だいがく進学しんがく場合ばあい会計かいけいじょうあらわれる費用ひようは、大学だいがく進学しんがくのための学費がくひなどで、就学しゅうがく期間きかんちゅうはたらいていたらられたとかんがえられる利益りえき会計かいけいがくじょう費用ひようにははいらない。しかし、経済けいざいがくじょう費用ひようとは、会計かいけいがくじょう費用ひよう機会きかい費用ひようしたものとなる。通常つうじょう経済けいざいがくにおいて合理ごうりてき行動こうどうとは、会計かいけいがくじょう費用ひようではなく経済けいざいがくじょう費用ひようにもとづいたものとかんがえられている。

時間じかんたいする機会きかい費用ひようがゼロでないかぎり、なにかしらの費用ひよう発生はっせいする[4]時間じかん機会きかい費用ひようたかひとは、割引わりびきのためにれつならんだりはしない[5]時間じかんたりの機会きかい費用ひようちいさいひとは、通常つうじょう価格かかくではわないことがおお[6]

ベンジャミン・フランクリンは、「時間じかん貨幣かへい」すなわち「ときかねなり」という格言かくげんで、経済けいざいがくのいう機会きかい費用ひようかんがかた表現ひょうげんしている[7]

たとえば、100まんえんもうかったとき、べつのやりかたなら150まんえんもうかったというとき、50まんえん機会きかい費用ひようである。

その実例じつれい

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たとえば、ネットワーク商法しょうほうなどで会員かいいんをあつめる場合ばあい、「サイドビジネスつきなんまんえん収入しゅうにゅうえるから、もうかります」という文句もんくがつかわれる。しかしサイドビジネスにおいて、会計かいけいがくじょう収支しゅうしとして「もう」がたとしても、機会きかい費用ひよう考慮こうりょした経済けいざいがくじょう費用ひようにおいても「もうけ」がるかどうかはべつ問題もんだいである。

もし、経済けいざいがくじょう費用ひようにおいては、サイドビジネスに時間じかんがとられるのなら、そのあいだ労働ろうどう機会きかい費用ひよう考慮こうりょにいれなければならない。もし、時給じきゅう計算けいさん就業しゅうぎょう可能かのうべつのアルバイトよりもサイドビジネスがおとっているとすれば、サイドビジネスによる収入しゅうにゅう増加ぞうか労働ろうどうによる機会きかい費用ひようをかならず下回したまわる。

また、本業ほんぎょうのほうで疲労ひろうしたのち時間じかんくから余暇よか希少きしょうになり、余暇よか価値かちはサイドビジネスをしない場合ばあいよりおおきくなるだろう。もし、この犠牲ぎせいとなる余暇よか価値かちをこえる収入しゅうにゅうがサイドビジネスによってもたらされないのならば、サイドビジネスは経済けいざいがくじょう収支しゅうしとしてはそんである。

この場合ばあい個人こじん選択せんたくとして合理ごうりてきなのは、セールストークの会計かいけいがくじょう費用ひようにもとづいて行動こうどうすることではなく、経済けいざいがくじょう費用ひようにもとづいて行動こうどうすることである。このことは、合理ごうりてき選択せんたくにあたっては機会きかい費用ひよう考慮こうりょれる必要ひつようがあることをしめしている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ "機会きかい費用ひよう". 百科ひゃっか事典じてんマイペディア. コトバンクより2022ねん6がつ14にち閲覧えつらん
  2. ^ a b 機会きかい損失そんしつ」と「機会きかい原価げんか」のちがいについて”. 杉本すぎもと公認こうにん会計士かいけいし事務所じむしょ 公式こうしきブログ (2014ねん3がつ31にち). 2024ねん1がつ28にち閲覧えつらん
  3. ^ 機会きかい損失そんしつ機会きかいロス) キカイソンシツ”. 日経にっけいクロストレンド. 日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ (2020ねん7がつ2にち). 2024ねん1がつ28にち閲覧えつらん
  4. ^ ロバート・H・フランク 『日常にちじょう疑問ぎもん経済けいざいがくかんがえる』 日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ日経にっけいビジネス人文じんぶん〉、2013ねん、113ぺーじ
  5. ^ ロバート・H・フランク 『日常にちじょう疑問ぎもん経済けいざいがくかんがえる』 日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ日経にっけいビジネス人文じんぶん〉、2013ねん、137ぺーじ
  6. ^ ロバート・H・フランク 『日常にちじょう疑問ぎもん経済けいざいがくかんがえる』 日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ日経にっけいビジネス人文じんぶん〉、2013ねん、318ぺーじ
  7. ^ 日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃへん世界せかいえた経済けいざいがく名著めいちょ日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ日経にっけいビジネス人文じんぶん〉、2013ねん、120ぺーじ

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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