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遠隔えんかく透視とうし

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

遠隔えんかく透視とうし(えんかくとうし、えい: Remote viewing)は、ちょう能力のうりょくひとつで、肉眼にくがんではえない距離きょりにある物体ぶったい情報じょうほうちょう感覚かんかくてき知覚ちかくにより入手にゅうしゅする能力のうりょくをいう[1]。「遠隔えんかく」(えんかくし)ともいう[2]同様どうよう遠距離えんきょりにある物体ぶったい感知かんちするちょう能力のうりょく千里眼せんりがんがあり、遠隔えんかく透視とうし千里眼せんりがん同一どういつされることもあるが[3]遠隔えんかく透視とうしテレパシー透視とうし同時どうじおこなうような能力のうりょくとの解釈かいしゃくもある[4][5]自分じぶん意識いしき肉体にくたいから離脱りだつさせることでほかの場所ばしょのものを能力のうりょくという解釈かいしゃくもあり[6]体外たいがい離脱りだつアストラルたい投影とうえいとも密接みっせつ関係かんけいがあるとかんがえられている[1]

歴史れきし

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18世紀せいき後半こうはんフランスじん・ボティノーは、500キロメートルから1000キロメートルもの彼方かなたからのふね接近せっきん正確せいかく察知さっちできたという。ボティノーは自分じぶん能力のうりょく公式こうしき認定にんていしてもらうためにパリへんだものの、当時とうじ世間せけん関心かんしんうすく、文芸ぶんげい雑誌ざっしメルキュール・ド・フランス』では、かれ幻覚げんかくたものとべられた。ボティノーはその能力のうりょく世間せけんみとめられることのないまま、失意しついのうちにこのった[1]

本格ほんかくてき遠隔えんかく透視とうし研究けんきゅうはじまったのは1970年代ねんだいであり、この時代じだいにはアメリカ陸軍りくぐんで、遠隔えんかく透視とうし能力のうりょくスパイ活用かつようするためのスターゲイト・プロジェクト開始かいしされた[1]。「Remote viewing」のは、この計画けいかく参画さんかくしたインゴ・スワンづけたもので[7]、スワンは遠隔えんかく透視とうし先駆せんくしゃてき存在そんざいともばれる[8]。スワンはプロジェクトでの実験じっけんにおいて木星もくせい様子ようす正確せいかく透視とうししたとされ、ほかにもすうキロメートルさき光景こうけい透視とうししたとする報告ほうこくがある。しかしこのプロジェクトは、信頼しんらいせいけるためにスパイ活動かつどうへの利用りよう困難こんなんとの判断はんだんや、遠隔えんかく透視とうし能力のうりょく訓練くんれん向上こうじょうする見込みこみはないとなされたことなどが理由りゆうで、1995ねんられた[1]

1973ねんにはスタンフォード研究所けんきゅうじょ在籍ざいせきしていた科学かがくしゃであるラッセル・ターグ英語えいごばんハロルド・プットフ英語えいごばんらにより「プロジェクト・スキャネート」とばれる遠隔えんかく透視とうし実験じっけんおこなわれた[9]。この実験じっけんでは前述ぜんじゅつのインゴ・スワンらが被験者ひけんしゃとなり[10]、ターグらはこの実験じっけんつうじて遠隔えんかく透視とうし実在じつざい主張しゅちょうした[11]

1900年代ねんだい後半こうはんから2000年代ねんだいにかけて遠隔えんかく透視とうし能力のうりょくしゃとされる著名ちょめい人物じんぶつには、ジェラール・クロワゼ[12]ジョゼフ・マクモニーグル[13]、アメリカのナンシー・マイヤー[14]、ロシアのガブリエル・クロフツ[15]、イギリスのクリス・ロビンソン[15]、ポーランドのハンナ・ポドウィッチらがおり[15]テレビ番組ばんぐみ自伝じでんによるとおおくの遠隔えんかく透視とうし成功せいこうさせたとされ、おおくの反響はんきょうんだ。

懐疑かいぎてき意見いけん

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前述ぜんじゅつのクリス・ロビンソンは、イギリスのテレビ番組ばんぐみ未知みち世界せかいへ』、ナショナルジオグラフィックチャンネルの『科学かがくてきちょうつね現象げんしょう解明かいめいせよ!』、イギリスの心理しんり学者がくしゃであるスーザン・ブラックモアにより能力のうりょく検証けんしょうおこなわれているが[16]、いずれも透視とうし成功せいこうといえる結果けっか確認かくにんされていない[17][18]。またジョゼフ・マクモニーグルは日本にっぽんのテレビ番組ばんぐみビートたけしのTVタックル』でも遠隔えんかく透視とうし披露ひろうしているが、その結果けっか成功せいこうとはがたく、司会しかいビートたけし成功せいこうりつを「50パーセント」と指摘してきし、当時とうじのゲストの松尾まつお貴史たかし透視とうし成果せいか否定ひていてきなコメントをしている[19]

また前述ぜんじゅつのほかの1990年代ねんだい以降いこう人物じんぶつたちも日本にっぽんのテレビでげられているが、SF作家さっか山本やまもとひろし懐疑かいぎてき組織そしきJAPAN代表だいひょうみなかみ龍太郎りゅうたろうによれば、番組ばんぐみじょう透視とうし成功せいこうれいとされる場面ばめんは、テレビ番組ばんぐみによる捏造ねつぞう誇張こちょうヤラセ[13][15]、または偶然ぐうぜん的中てきちゅうしただけのことがちょう能力のうりょくによる的中てきちゅうのように演出えんしゅつされたり[12]透視とうしはずれた場面ばめん意図いとてきかくされているにぎないと指摘してきされている[14][20]

こうしたちょう能力のうりょくしゃたちは殺人さつじん事件じけんなどの犯罪はんざいをも解決かいけつしているとテレビで特集とくしゅうされることもあるが、ちょう能力のうりょく肯定こうていてき作家さっかコリン・ウィルソンですら、1987ねん自著じちょ『THE PSYCHIC DETECTIVES』(日本語にほんごだい:『サイキック 人体じんたいひそちょうつね能力のうりょく探究たんきゅうちょう感覚かんかくてき世界せかい』)において、1928ねんにマクシミリアン・ランズネルという人物じんぶつ透視とうし能力のうりょく殺人さつじん事件じけん捜査そうさ活用かつようされた1けんのみを例外れいがいとし、透視とうし殺人さつじんなどの重要じゅうよう犯罪はんざい解決かいけつしたれい皆無かいむべている[12][21][22]

遠隔えんかく透視とうし能力のうりょく現実げんじつ存在そんざいすれば、その能力のうりょくおよ分野ぶんや軍事ぐんじ警察けいさつ医療いりょう地質ちしつがく人類じんるいがく天文学てんもんがくなど多岐たきにわたるといえる[1]。しかしスターゲイト・プロジェクトの理由りゆうをもって、プロジェクト参加さんかしゃ遠隔えんかく透視とうし証言しょうげん信憑しんぴょうせいけるときもある[1]遠隔えんかく透視とうしかんする科学かがくてき研究けんきゅうおこなわれておらず、統制とうせいされた条件下じょうけんか遠隔えんかく透視とうし再現さいげん可能かのうであることがしめされないかぎり、遠隔えんかく透視とうし疑似ぎじ科学かがくいきないとする指摘してきもある[1]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e f g h ホートン 2011, pp. 199–207
  2. ^ 川村かわむら光広みつひろ『テレパシー能力のうりょくしゃ世界せかい文芸ぶんげいしゃ、2002ねん2がつ、149ぺーじISBN 978-4-8355-3390-2 
  3. ^ 透視とうし”. うらな用語ようごしゅう. アカデメイア. 2017ねん7がつ2にち閲覧えつらん
  4. ^ 羽仁はに 2001, p. 39.
  5. ^ 馬野うまの周二しゅうじほか しる秘教ひきょう科学かがく研究けんきゅうかい へんちょうつね科学かがくなぞがく事典じてん小学館しょうがくかん、1993ねん1がつ、79ぺーじISBN 978-4-09-207304-3 
  6. ^ ジュディ・ホール『実践じっせんクリスタル クリスタルのちからかす誌上しじょうワークショップ完全かんぜんガイド』加野かの敬子けいこやく、ガイアブックス〈ワンランクアップシリーズ〉、2010ねん12月、189ぺーじISBN 978-4-88282-768-9 
  7. ^ 歴史れきし雑学ざつがく探究たんきゅう倶楽部くらぶ 2010, p. 106.
  8. ^ 歴史れきし雑学ざつがく探究たんきゅう倶楽部くらぶ 2010, p. 100.
  9. ^ 羽仁はに 2001, p. 54.
  10. ^ 羽仁はに 2001, p. 46.
  11. ^ 羽仁はに 2001, p. 48.
  12. ^ a b c 山本やまもと 2007, pp. 152–156
  13. ^ a b 山本やまもと 2007, pp. 163–178
  14. ^ a b みなしん 2013, pp. 41–49
  15. ^ a b c d 山本やまもと 2007, pp. 126–141
  16. ^ スーザン・ブラックモア (1995ねん5がつ). “What’s in the box? An ESP test with Chris Robinson”. Dr. Susan Blackmore. 2013ねん11月9にち閲覧えつらん
  17. ^ 山本やまもと 2007, pp. 107–109.
  18. ^ 山本やまもと 2007, pp. 149–151.
  19. ^ 山本やまもと 2007, pp. 180–187.
  20. ^ 山本やまもと 2007, pp. 200–223.
  21. ^ ウィルソン 1987, pp. 246–249.
  22. ^ ウィルソン 1987, p. 324.

参考さんこう文献ぶんけん

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