都と尉じょう

都と尉じょう（とい）は、中国ちゅうごくの秦はた・漢かんの官職かんしょく名めい。郡ぐんの軍事ぐんじを掌てのひらる。

前漢ぜんかんにおいては、元もとは郡ぐん尉じょうと呼よばれていたが、景けい帝みかど中元ちゅうげん2年ねん（紀元前きげんぜん148年ねん）に郡こおり守まもるを郡ぐん太守たいしゅと改称かいしょうし、郡ぐん尉じょうは郡こおり都と尉じょうと改称かいしょうした。都と尉じょうは太守たいしゅを補佐ほさし、郡ぐん内ないの武ぶ職しょくや兵卒へいそつを掌てのひらった。官かん秩は比ひ二に千せん石せきであった。役所やくしょは太守たいしゅとは別べつの場所ばしょに置おかれた。通常つうじょうは郡ぐんに一いち名めいだが、辺境へんきょうなどでは一いち郡ぐんに複数ふくすうの都と尉じょうが置おかれることもあり、その場合ばあいには「西部せいぶ都と尉じょう」「中部ちゅうぶ都と尉じょう」などと呼よばれる。副官ふっかんに丞すすむ（官かん秩比六ろく百ひゃく石せき）がいた。

後こう漢かんの光武みつたけ帝みかどの建たて武たけし6年ねん（30年ねん）、辺境へんきょうを除のぞいて都と尉じょうは廃止はいしされ、太守たいしゅが職務しょくむを兼任けんにんし、必要ひつように応おうじ臨時りんじに置おかれることがあるだけとなった。蜀しょく漢かんにおいても辺境へんきょうには郡こおり都と尉じょうの配置はいちは続つづいた。

また、前漢ぜんかんにおいては関所せきしょに置おかれる関都せきと尉じょう、辺境へんきょうの郡ぐんで農事のうじを掌てのひらる農のう都と尉じょう、属国ぞっこくを掌てのひらる属国ぞっこく都と尉じょうがあったが、後こう漢かんにおいては属国ぞっこく都と尉じょうだけが残のこった。それとは別べつに、騎き都と尉じょう、奉たてまつ車くるま都と尉じょう、駙馬都と尉じょうなど一部いちぶの高級こうきゅう武官ぶかんにも都と尉じょうの称しょうが使つかわれている。これは同おなじ校こう尉じょうと付ついても、中央ちゅうおうの高級こうきゅう武官ぶかんと将軍しょうぐんの配下はいかの将校しょうこうがいることと似にている。

その後ご、李り自じ成なり政権せいけんが県けんの統治とうち官かんを都と尉じょうと改あらためたことがある（従来じゅうらいは「知ち県けん事ごと」）。

清しん代だいには、武官ぶかんの散ち官かんの名称めいしょうとして都と尉じょうが用もちいられた。一品いっぴん、二に品ひん官かんの散ち官かんは「○○将軍しょうぐん」であるが、三品みしな、四よん品ひん官かんの散ち官かんは「○○都と尉じょう」と名なづけられる。

北京ぺきん政府せいふは警察庁けいさつちょうの役職やくしょくとして都と尉じょうを設置せっちしていた。

注釈ちゅうしゃくと出典しゅってん

出典しゅってん

• 『漢書かんしょ』巻まき19上じょう百官ひゃっかん公卿くぎょう表ひょう上じょう、巻まき28地理ちり志こころざし
• 『続ぞく漢書かんしょ』（『後こう漢書かんしょ』合ごう刻こく）百官ひゃっかん志こころざし五ご