儀ぎ同どう三さん司つかさ

儀ぎ同どう三さん司つかさ（ぎどうさんし）は、歴代れきだい中華ちゅうか王朝おうちょうの官職かんしょく。開府かいふ儀ぎ同どう三さん司つかさとも。

歴史れきし

「開府かいふ」は自みずからの名義めいぎで幕府ばくふを開ひらいて属ぞく部ぶの幕僚ばくりょうを置おくことを指さし、前漢ぜんかんでは三公みつきみと大将軍だいしょうぐん・驃騎将軍しょうぐん・衛まもる将軍しょうぐんにしか許ゆるされなかった。

後こう漢かんになって功績こうせきを挙あげた大臣だいじんに対たいして、その労ろうに報むくいる意味いみで儀ぎ同どう三さん司しの号ごうが授さづけられるようになった。授さづけられた者ものは三公みつきみと同様どうようの儀礼ぎれいと待遇たいぐうを受うけた。延のべ平ひらた元年がんねん（106年ねん）に車くるま騎き将軍しょうぐんに任にんじられた鄧騭が最初さいしょの儀ぎ同どう三さん司つかさとされる。

魏たかし晋すすむでは開府かいふする将軍しょうぐんが非常ひじょうに多おおくなり、それらの将軍しょうぐんが開府かいふ儀ぎ同どう三さん司つかさを称しょうするようになった。景けい初はつ3年ねん（239年ねん）に車くるま騎き将軍しょうぐんに任にんじられた黄き権けんが最初さいしょの開府かいふ儀ぎ同どう三さん司つかさとされる。

南北なんぼく朝あさ時代じだい後期こうきになると儀ぎ同どう三さん司つかさと開府かいふ儀ぎ同どう三さん司しに分わけられるようになり、皆みなが開府かいふの権けんを得えて官署かんしょを置おくようになったことから、上うえ開府かいふ儀ぎ同どう大将軍だいしょうぐん・開府かいふ儀ぎ同どう大将軍だいしょうぐん・上うえ儀ただし同どう大将軍だいしょうぐん・儀ただし同どう大将軍だいしょうぐんの四よん種しゅが新あらたに設もうけられた。

隋ずい唐とうでは文ぶん散ち官かんとして扱あつかわれ、従したがえ一いち品ひんであった。北きた宋そうの元げん豊ゆたかの改革かいかくで開府かいふ儀ぎ同どう三さん司しに移行いこうした。元もと代だいでも存置そんちされたが、明あきら代だいになって廃止はいしされた。

高こう麗うららでは成なり宗むねによる制度せいど改革かいかくとして、淳じゅん化か5年ねん（994年ねん）にそれまでの大だい匡ただしに代かわって開府かいふ儀ぎ同どう三さん司つかさが導入どうにゅうされた。文ぶん宗むねの治世ちせいに従したがえ一いち品ひんと定さだめられたが、忠ちゅう烈れつ王おうが元もとの世よ祖その駙馬となると廃止はいしされた。至いたり正ただし16年ねん（1356年ねん）、恭きょう愍王による制度せいど改革かいかくで復活ふっかつし、品しな階かいは正せい一品いっぴん上じょうとなった。その後ご、至いたり正せい22年ねん（1362年ねん）に壁かべ上じょう三さん韓かん三重大みえだい匡ただし、至いたり正せい29年ねん（1369年ねん）に特進とくしん輔国三重大みえだい匡ただしと順じゅんに改あらためられた。

日本にっぽんにおいては倭やまと王おう武たけしが高句麗こうくりの長寿ちょうじゅ王おうに対抗たいこうして開府かいふ儀ぎ同どう三さん司つかさを自称じしょうしたのが最もっとも古ふるいが、これは宋そうの皇帝こうていの下もとであり日本にっぽん独自どくじのものではなく、長寿ちょうじゅ王おうにこれを認みとめた宋そうも武たけ王おうには認可にんかしなかった。後のちに開府かいふ儀ぎ同どう三さん司しは散ち位くらいの従したがえ一いち位いの唐名とうみょうとして、儀ただし同どう三さん司しは准じゅん大臣だいじんの唐名とうみょうとして用もちいられた。准じゅん大臣だいじんは小倉おぐら百人一首ひゃくにんいっしゅ成立せいりつの頃ころまで藤原伊周ふじわらのこれちかが唯一ゆいいつの例れいであったため、その母はは高階たかしな貴子たかこは百ひゃく人にん一いち首しゅで儀ぎ同どう三さん司つかさ母ははと呼称こしょうされている。

参考さんこう資料しりょう

• 藤井ふじい律ただし之の「特進とくしんの起源きげんと變遷へんせん : 列侯れっこうから光ひかり禄ろく大夫たいふへ」『東洋とうよう史し研究けんきゅう』第だい59巻かん第だい4号ごう、東洋とうよう史し研究けんきゅう會かい、2001年ねん3月がつ31日にち、607-644頁ぺーじ、doi:10.14989/155368。 
• 速水はやみ大まさる「隋ずい唐とう「勲くん官かん」の府ふ佐さ制度せいどの変遷へんせんについて」『文学部ぶんがくぶ・文学ぶんがく研究けんきゅう科か学術がくじゅつ研究けんきゅう発表はっぴょう会かい論集ろんしゅう』第だい2008巻かん、明治大学めいじだいがく文学部ぶんがくぶ・文学ぶんがく研究けんきゅう科か、2009年ねん3月がつ1日にち、27-36頁ぺーじ。 
• 平田ひらた陽一郎よういちろう「「隋ずい・于寛墓誌ぼし」の訳注やくちゅうと考察こうさつ」（PDF）『沼津工業高等専門学校ぬまづこうぎょうこうとうせんもんがっこう研究けんきゅう報告ほうこく』第だい51巻かん、沼津工業高等専門学校ぬまづこうぎょうこうとうせんもんがっこう、2017年ねん1月がつ、63-68頁ぺーじ。