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おちいにゅうつめ

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化膿かのうした肉芽にくがしゅ正面しょうめん

おちいにゅうつめ(かんにゅうそう)とは、つまかぶとがわえん周囲しゅういの軟部組織そしきんでしまい、疼痛とうつう炎症えんしょう肉芽にくが形成けいせい感染かんせんこした状態じょうたい[1]

従来じゅうらい外科げか手術しゅじゅつほどこされたが、21世紀せいきでは矯正きょうせい器具きぐ使つかった保存ほぞんてき治療ちりょうほうおこなわれるようになった。

つめ混同こんどうされがちだが、つめつまかぶと先端せんたん内側うちがわいたように変形へんけいつまゆかはさんだ状態じょうたいをいいおちいにゅうつめとはことなる[1]。ただおちいにゅうつめつめおも原因げんいんには共通きょうつうするてんがあり並存へいそんすることもおおい。

原因げんいん[編集へんしゅう]

化膿かのうした肉芽にくがしゅ側面そくめん

おちいにゅうつめつめ原因げんいんには、物理ぶつりてき外力がいりょくはばせまくつやハイヒールによるあし趾への圧力あつりょくよわい下肢かし麻痺まひともな歩行ほこう荷重かじゅう減少げんしょうともなつめ支持しじ組織そしき萎縮いしゅく)、つめかた深爪ふかづめ)、あしかたち外反母趾がいはんぼし)などである[1]

つめはしみじかりすぎることが原因げんいんであり、いたみを緩和かんわするためにさらにみじかることで悪循環あくじゅんかんとなる[2]

また、趾におちいにゅうつめられるときは、遺伝いでんこうがんざい分子ぶんし標的ひょうてき治療ちりょうやくとう)の副作用ふくさよう原因げんいんになっている場合ばあいがある[1]

治療ちりょう[編集へんしゅう]

抜爪手術しゅじゅつ

従来じゅうらい外科げかてき治療ちりょう手術しゅじゅつ)しか選択せんたくがなかったが、1999ねん町田まちだ英一ひでかずらがワイヤーを使つかった保存ほぞんてき治療ちりょうほう紹介しょうかいし、(対応たいおうできる病院びょういんでは)保存ほぞんてき治療ちりょうむずかしい場合ばあい手術しゅじゅつ選択せんたくされる傾向けいこうにある[3]。2015ねんのガイドラインでは、最初さいしょにワイヤーなど保存ほぞんてき治療ちりょう優先ゆうせんされるが、今後こんごのランダム比較ひかく試験しけんなどの研究けんきゅうのぞまれるとされている[4]

保存ほぞんてき治療ちりょう

  • ワイヤーによる矯正きょうせい - つめあなをあけワイヤーをとおしてひろげる方法ほうほう。コットンやテーピングを併用へいようすればおおくの場合ばあい対応たいおうできる[5]。VHOほうでは、つめりょうはしにワイヤーのフックをひっかけひろげる[2]。VHOほうでは肉芽にくががあると対応たいおうむずかしい場合ばあいがあり、ガターほうなどを併用へいようすることがある[6]
  • 金属きんぞくプレートによる矯正きょうせい
  • つまロボ - つめ軟化なんかさせ器具きぐ圧力あつりょくをかけ、いちおちいいれ解除かいじょできることもおお[7]
  • アクリル人口じんこうつめ - つめかぶとながくする[2]実施じっしできる施設しせつかず十分じゅうぶんではないが[2]重症じゅうしょうでも実施じっししやすい[8]

んでいるつめ根治こんじてき治療ちりょうにはガターほう、ワイヤーほう、フェノールほうなどがある[1]手術しゅじゅつやフェノールほう推奨すいしょうできないとする意見いけんもある[8]

外科げかてき治療ちりょう

  • フェノールほう - えんつめえないようにフェノール使つかって腐食ふしょくさせる。時間じかんつめ変形へんけいするので推奨すいしょうしないという意見いけんもある[2]
  • 手術しゅじゅつ(抜爪など) - つめがしても8わり再発さいはつする[9]小坂こさかしきじゅつほうでは術後じゅつご6かげつの111ゆびの8わり変形へんけいいたみがなく、再発さいはつは4%であった[10]重度じゅうどつめ変形へんけいすることがある[2]
  • ガターほう - つまくるわ沿って一方いっぽうひらいたチューブを挿入そうにゅうつめかせる。

反応はんのうせい肉芽にくが形成けいせいられる場合ばあいには、液体えきたい窒素ちっそによる凍結とうけつ凝固ぎょうこ炭酸たんさんガスレーザーによる蒸散じょうさん硝酸銀しょうさんぎんなどによる焼灼しょうしゃくによる治療ちりょうおこなわれる[1]

また、一部いちぶ治療ちりょうほう保存ほぞんてき療法りょうほうとう)をおこなまえ局所きょくしょ麻酔ますい希望きぼうすることも可能かのう麻酔ますいをかけることにより、上記じょうき治療ちりょうともな激痛げきつう軽減けいげんすることができる。

テーピングの方法ほうほう

いたみを緩和かんわする方法ほうほうとして、ゆう離縁りえんみぞへのコットンをめたりテーピング(らせんとう)がある[1]。ただし、ゆう離縁りえんみぞへのコットンなどの挿入そうにゅう適切てきせつあつみにしないと圧迫あっぱくによるいたみやつまかぶと剥離はくりこす[1]軽症けいしょうではコットンだけで軽快けいかいすることがある[2]

おちいにゅうつめふくいたみをもたらすあし病変びょうへんのケアにより、あし運動うんどう機能きのう向上こうじょうした[11]

予防よぼう[編集へんしゅう]

ただしおちいにゅうつまそのものはつめ内部ないぶ組織そしきつめによって傷付きずつけられればそれだけで発生はっせいするため、つめったことがとなってぎゃくつま内部ないぶ傷付きずつけるつめ形状けいじょうとなってしまうこともあり、とく症例しょうれい発症はっしょうしやすいつめ気味きみ場合ばあいは、適度てきどつめながさを日頃ひごろからためしておくとい。

おちいにゅうつめをめぐる出来事できごと[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g h 月刊げっかん「ナースせん」2017ねん1がつごう、ナースせん編集へんしゅう、44-46ぺーじ
  2. ^ a b c d e f g おちいにゅうつめつめし)の原因げんいん治療ちりょうほう”. 日本にっぽん皮膚ひふ学会がっかい. 2018ねん12月30にち閲覧えつらん 術後じゅつごつま変形へんけい写真しゃしんがある。
  3. ^ 本多ほんだ孝之たかゆきかしわ克彦かつひこ小林こばやし誠一郎せいいちろうおちいにゅうつめつめ治療ちりょう 【おちいにゅうつめでは保存ほぞんてき治療ちりょう選択肢せんたくし増加ぞうかつま変形へんけいでは物理ぶつりてきつま矯正きょうせいほう一般いっぱん」『週刊しゅうかん日本にっぽん医事いじ新報しんぽうだい4785ごう、2016ねん1がつ9にち 
  4. ^ 日本にっぽん形成けいせい外科げか学会がっかい 2015.
  5. ^ 青木あおき文彦ふみひこつまおちいにゅうつめたいして保存ほぞんてき治療ちりょう選択せんたくする理由りゆう」『創傷そうしょうだい3かんだい4ごう、2012ねん、174-180ぺーじdoi:10.11310/jsswc.3.174NAID 130004552981 
  6. ^ 河合かわい修三しゅうぞうVHOの使用しよう経験けいけん」『皮膚ひふ科学かがくだい5かんだい6ごう、2006ねん、466-468ぺーじdoi:10.11340/skinresearch.5.6_466NAID 130005404685 
  7. ^ 堀口ほりぐち真弓まゆみ大澤おおさわ葉子ようこ山浦やまうら小百合さゆり野溝のみぞ明弘あきひろ透析とうせき時間じかん利用りようしたつまロボによるつま矯正きょうせいこころみて」『日本にっぽんフットケア学会がっかい雑誌ざっしだい16かんだい4ごう、2018ねん、208-212ぺーじdoi:10.18970/footcare.69 
  8. ^ a b ひがし禹彦「おちいにゅうつめ治療ちりょう」『皮膚ひふ科学かがくだい5かんだい6ごう、2006ねん、456-460ぺーじdoi:10.11340/skinresearch.5.6_456NAID 130005404683 
  9. ^ Palmer BV, Jones A (August 1979). “Ingrowing toenails: the results of treatment”. Br J Surg (8): 575–6. PMID 486921. 
  10. ^ 宮島みやじまあきらつめ手術しゅじゅつ療法りょうほう」『創傷そうしょうだい3かんだい4ごう、2012ねん、160-166ぺーじdoi:10.11310/jsswc.3.160NAID 130004552979 
  11. ^ 今井いまい亜希子あきこあし皮膚ひふつま所見しょけんからみる下肢かし機能きのう」『日本にっぽん転倒てんとう予防よぼう学会がっかいだい5かんだい1ごう、2018ねん、17-21ぺーじdoi:10.11335/tentouyobou.5.1_17NAID 130007430944 
  12. ^ つめあるけない」ヘリ救助きゅうじょ要請ようせい登山とざん女性じょせい批判ひはんこえさき病院びょういんけ」山岳さんがく遭難そうなん年間ねんかん3000けん”. smart Flash (2023ねん7がつ27にち). 2023ねん7がつ27にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]