雲形くもがた

すじ雲くも（巻雲けんうん）

雲形くもがた（うんけい）とは、雲くもをその形状けいじょうにより分類ぶんるいしたものである。雲級うんきゅう（うんきゅう）ともいう。

世界せかい気象きしょう機関きかん発行はっこうの『国際こくさい雲くも図ず帳ちょう』では雲くもをその大おおまかな形かたちから10の「類るい」に分類ぶんるいしており、これを十じゅう種しゅ雲形くもがた（十じゅう種しゅ雲級うんきゅう）と呼よぶ。それぞれの類るいは、形かたちの特徴とくちょうや雲くも塊かたまりの組成そせいなどからさらに「種たね」に分類ぶんるいされる。また、雲くも塊かたまりの配列はいれつ、雲くもの透明とうめい度どによる細分さいぶん類るいは「変種へんしゅ」と呼よばれる。さらに、部分ぶぶん的てきな特徴とくちょうや、付随ふずいする雲くもがある場合ばあいには「副ふく変種へんしゅ」として記しるされる。また、地形ちけいなどによって発生はっせいする雲くもは、十じゅう種しゅ雲形くもがたには含ふくまれていない｡

分類ぶんるいの適用てきようや排他はいた性せい（重複じゅうふく分類ぶんるいの有無うむ）は以下いかの通とおり。

• 絶たえず変化へんかし無数むすうの形かたちがある雲くもを、観測かんそくされる典型てんけい的てきな形かたちにより分類ぶんるいしたものが類るい・種たね・変種へんしゅの体系たいけい。典型てんけいから典型てんけいへと変化へんかする途中とちゅうの中なか間あいだ的てきな雲くもはよく観察かんさつされるが、分類ぶんるい体系たいけいと大おおきく異ことなるわけではなくすぐに形かたちを変かえてしまうため、特とくに明記めいきしていない。非ひ典型てんけい的てきなものを除のぞいて、ほとんどの雲くもは類るい（十じゅう種しゅ雲形くもがた）に分類ぶんるいできる。
• それぞれの類るいの雲くもは、ほとんどがいずれかの種たねに分類ぶんるいできる。基本きほん的てきにひとつの種たねに分類ぶんるいする。ただし、2種しゅ以上いじょうに重複じゅうふくして分類ぶんるいする場合ばあいもある。また、どの種たねにも分類ぶんるいできないものもあって、その場合ばあいは種たねを示しめさない（類るいのみで表あらわす）。
• 種たねに重かさねて、変種へんしゅの分類ぶんるいが適用てきようできる場合ばあいがある。一部いちぶを除のぞき2変種へんしゅ以上いじょうに重複じゅうふくして分類ぶんるいできる場合ばあいがある。すべての雲くもがいずれかの変種へんしゅに該当がいとうするわけではない。
• 副ふく変種へんしゅは、一部いちぶの雲くもに現あらわれることがある特徴とくちょうや付随ふずいする雲くもを分類ぶんるいしたもの。
• 類るい・種たね・変種へんしゅの体系たいけいとは別べつに、特殊とくしゅな起源きげんの雲くもSpecial clouds、成層圏せいそうけん以上いじょうの雲くもUpper atmospheric cloudsの分類ぶんるいも示しめされている。

雲形くもがた分類ぶんるい表ひょう

国際こくさい雲くも図ず帳ちょう2017年版ねんばんによる分類ぶんるい表ひょう (一部いちぶ日本語にほんご訳やく未み確定かくていのものは英文えいぶんで記載きさい)

基本形きほんけい		種たね	変種へんしゅ	部分ぶぶん的てきに特徴とくちょうのある雲くも（副ふく変種へんしゅ）	付随ふずいして現あらわれる雲くも（副ふく変種へんしゅ）
上層じょうそう雲くも	巻雲けんうん （Ci）	毛け状じょう雲くも 鉤かぎ状じょう雲くも 濃密のうみつ雲くも 塔とう状じょう雲くも 房ぼう状じょう雲くも	もつれ雲くも 放射状ほうしゃじょう雲くも 肋骨あばらぼね雲くも 二に重じゅう雲くも	乳房ちぶさ雲くも fluctus	―
	巻積雲けんせきうん （Cc）	層状そうじょう雲くも レンズ雲くも 塔とう状じょう雲くも 房ぼう状じょう雲くも	波状はじょう雲くも 蜂はちの巣す状じょう雲くも	尾お流りゅう雲くも 乳房ちぶさ雲くも cavum	―
	巻層雲けんそううん （Cs）	毛け状じょう雲くも 霧きり状じょう雲くも	二に重じゅう雲くも 波状はじょう雲くも	―	―
中ちゅう層雲そううん	高こう積雲せきうん （Ac）	層状そうじょう雲くも レンズ雲くも 塔とう状じょう雲くも 房ぼう状じょう雲くも volutus	半はん透明とうめい雲くも 隙間すきま雲くも 不透明ふとうめい雲くも 二に重じゅう雲くも 波状はじょう雲くも 放射状ほうしゃじょう雲くも 蜂はちの巣す状じょう雲くも	尾お流りゅう雲くも 乳房ちぶさ雲くも cavum fluctus asperitas	―
	高こう層雲そううん （As）	―	半はん透明とうめい雲くも 不透明ふとうめい雲くも 二に重じゅう雲くも 波状はじょう雲くも 放射状ほうしゃじょう雲くも	尾お流りゅう雲くも 降水こうすい雲くも 乳房ちぶさ雲くも	ちぎれ雲ぐも
	乱層雲らんそううん （Ns）	―	―	降水こうすい雲くも 尾お流りゅう雲くも	ちぎれ雲ぐも
下層かそう雲くも	層積雲そうせきうん （Sc）	層状そうじょう雲くも レンズ雲くも 塔とう状じょう雲くも 房ぼう状じょう雲くも volutus	半はん透明とうめい雲くも 隙間すきま雲くも 不透明ふとうめい雲くも 二に重じゅう雲くも 波状はじょう雲くも 放射状ほうしゃじょう雲くも 蜂はちの巣す状じょう雲くも	尾お流りゅう雲くも 乳房ちぶさ雲くも 降水こうすい雲くも fluctus asperitas cavum	―
	層雲そううん （St）	霧きり状じょう雲くも 断片だんぺん雲くも	不透明ふとうめい雲くも 半はん透明とうめい雲くも 波状はじょう雲くも	降水こうすい雲くも fluctus	―
	積雲せきうん （Cu）	扁平へんぺい雲くも 並なみ雲くも 雄大ゆうだい雲くも 断片だんぺん雲くも	放射状ほうしゃじょう雲くも	尾お流りゅう雲くも 降水こうすい雲くも アーチ雲くも fluctus 漏斗ろうと雲くも	頭巾ずきん雲くも ベール雲くも ちぎれ雲ぐも
	積乱雲せきらんうん （Cb）	無む毛け雲くも 多毛たもう雲くも	―	降水こうすい雲くも 尾お流りゅう雲くも かなとこ雲ぐも 乳房ちぶさ雲くも アーチ雲くも murus cauda 漏斗ろうと雲くも	ちぎれ雲ぐも 頭巾ずきん雲くも ベール雲くも flumen

10基本形きほんけいの分布ぶんぷ高度こうどの目安めやす

「巻まき」――空そらの高たかいところにできる雲くも。

「高こう」――中層ちゅうそうにできる雲くも。

「層そう」――のっぺり平たいらにひろがる雲くも。

「積せき」――もこもこしていて、空そら高たかくのびてゆく雲くも。

「乱らん」――雨あめを降ふらせる雲くも。

種たねの分類ぶんるい

毛け状じょう雲くも

毛け状じょう雲くも（fibratus、略号りゃくごう：fib.）は、細ほそい筋すじ状じょうの雲くもの中なかで、先端せんたんがまっすぐなものをいう。巻雲けんうん、巻層雲けんそううんに現あらわれる。

鉤かぎ状じょう雲くも

鉤かぎ状じょう雲くも（uncinus、略号りゃくごう：unc.）は、細ほそい筋すじ状じょうの雲くもの中なかで、先端せんたんが釣つり針ばり状じょうに曲まがっているものをいう。巻雲けんうんに現あらわれる。

房ぼう状じょう雲くも

房ぼう状じょう雲くも（floccus、略号りゃくごう：flo.）は、巻雲けんうん・巻積雲けんせきうん・高こう積雲せきうん・層積雲そうせきうんに現あらわれる種しゅで、巻雲けんうんでは雲くもの先さきが丸まるくなっているもの、巻積雲けんせきうん・高こう積雲せきうんでは雲くも片へんが丸まるいものをいう。

濃密のうみつ雲くも

濃密のうみつ雲くも（spissatus、略号りゃくごう：spi.）は、厚あつく濃密のうみつな巻雲けんうんのこと。

塔とう状じょう雲くも

塔とう状じょう雲くも（castellanus、略号りゃくごう：cas.）は、上方かみがたへ塔とうのように伸のびた雲くもをいう。巻雲けんうん、巻積雲けんせきうん、高こう積雲せきうん、層積雲そうせきうんに現あらわれる。上昇じょうしょう気流きりゅうが生しょうじていることを示しめす雲くも種しゅで、雨あめの前触まえぶれであることが多おおい。

層状そうじょう雲くも

層状そうじょう雲くも（stratiformis、略号りゃくごう：str.）は、空そらの大だい部分ぶぶんを層状そうじょうに覆おおう雲くもをいう。巻積雲けんせきうん、高こう積雲せきうん、層積雲そうせきうんに現あらわれる。

レンズ雲くも

レンズ雲くも（左上ひだりうえの雲くも）

レンズ雲くも（lenticularis、略号りゃくごう：len.）は、輪郭りんかくがレンズ型がたにはっきりしている雲くもをいう。巻積雲けんせきうん、層積雲そうせきうんに現あらわれる。山やまの近ちかくや風ふうの影響えいきょうでできる雲くもで、風ふうが吹ふきはじめる前兆ぜんちょうであることも多おおい。シェイクスピアは「定さだまらないような雲くも、それは風ふうに吹ふかれ飛ひ雲くも増大ぞうだいする」と評ひょうしている。

霧きり状じょう雲くも

霧きり状じょう雲くも（nebulosus、略号りゃくごう：neb.）は、霧きりのようにかすんでいて輪郭りんかくの定さだまらない雲くもをいう。巻層雲けんそううん、層雲そううんに現あらわれる。

断片だんぺん雲くも

断片だんぺん雲くも（fractus、略号りゃくごう：fra.）は、積雲せきうん・層雲そううんがちぎれてできた切きれ端はしをいう。

ひつじ雲くもなどと呼よばれる。

扁平へんぺい雲くも・並なみ雲くも・雄大ゆうだい雲くも

入道雲にゅうどうぐも

積雲せきうんはその発達はったつ具合ぐあいにより名前なまえがつけられている。扁平へんぺい雲くも（humilis、略号りゃくごう：hum.）は、まだ発達はったつしておらず雲くも頂いただきの平たいらなもの、並なみ雲くも（mediocris、略号りゃくごう：med.）は通常つうじょうの積雲せきうん、雄大ゆうだい雲くも（congestus、略号りゃくごう：con.）は、雲くも頂いただきが大おおきく盛もり上あがったいわゆる「入道雲にゅうどうぐも」をいう。

volutus

volutus（略号りゃくごう：vol）は、水平すいへいに円柱えんちゅう状じょうに伸のびた雲くもをいう。高こう積雲せきうん、層積雲そうせきうんに現あらわれる。

無む毛け雲くも・多毛たもう雲くも

積乱雲せきらんうんもまた発達はったつの度合どあいにより分類ぶんるいされる。雲くも頂いただきが毛羽立けばだっていないものを無む毛け雲くも（calvus、略号りゃくごう：cal.）、発達はったつして雲くも頂いただきから毛け状じょうの雲くもが広ひろがるものを多毛たもう雲くも（capilatus、略号りゃくごう：cap.）という。

変種へんしゅの分類ぶんるい

雲くも塊かたまりの配列はいれつと雲くもの透明とうめい度どによる特徴付とくちょうづけられた分類ぶんるい。半はん透明とうめい雲くもと不透明ふとうめい雲くもに限かぎりどちらか一方いっぽうしか適用てきようしないが、このほかはひとつの雲くもに複数ふくすうの変種へんしゅが適用てきようされることがある。

もつれ雲くも

筋すじがもつれたような状態じょうたいの巻雲けんうんをもつれ雲くも（intortus、略号りゃくごう：in.）という。上空じょうくうの風かぜが弱よわいときに発生はっせいしやすく、この雲くもが出でた後のちは晴天せいてんが続つづく場合ばあいが多おおい。

肋骨あばらぼね雲くも

肋骨あばらぼね雲くも（vetrebratus、略号りゃくごう：ve.）は、巻雲けんうんから横向よこむきに筋すじが出でて、魚さかなの骨ほねのような形かたちに見みえる雲くものこと。雨あめの前兆ぜんちょうとされる。

放射状ほうしゃじょう雲くも

放射状ほうしゃじょう雲くも（radiatus、略号りゃくごう：ra.）は、空そらの広範囲こうはんいに放射状ほうしゃじょうに広ひろがるように見みえる雲くものこと。実際じっさいは平行へいこうな雲くもの列れつであるが、遠近えんきん感かんにより放射状ほうしゃじょうに見みえる。巻雲けんうん、高こう積雲せきうん、高層こうそう雲くも、層積雲そうせきうん、積雲せきうんに現あらわれる。

二に重じゅう雲くも

二に重じゅう雲くも（duplicatus、略号りゃくごう：du.）は、同おなじ種類しゅるいの雲くもが異ことなる高度こうどで重かさなって出現しゅつげんしている状態じょうたいをいう。巻雲けんうん、巻層雲けんそううん、高こう積雲せきうん、高層こうそう雲くも、層積雲そうせきうんで現あらわれる。

波状はじょう雲くも

波状はじょう雲くも（undulatus、略号りゃくごう：un.）は、波なみのような模様もようで空そらを覆おおう雲くものこと。巻積雲けんせきうん、巻層雲けんそううん、高こう積雲せきうん、高層こうそう雲くも、層積雲そうせきうん、層雲そううんで現あらわれる。

蜂はちの巣す状じょう雲くも

蜂はちの巣す状じょう雲くも（lacunosus、略号りゃくごう：la.）は、蜂はちの巣す状じょうの穴あなが無数むすうに開ひらいた雲くものこと。巻積雲けんせきうん、高こう積雲せきうん、層積雲そうせきうんで見みられる。下降かこう気流きりゅうのあることを示しめし、好天こうてんの前触まえぶれとされる。

半はん透明とうめい雲くも・不透明ふとうめい雲くも

空そらを大おおきく覆おおっている高こう積雲せきうん・高層こうそう雲くも・層積雲そうせきうん・層雲そううんのうち、比較的ひかくてき薄うすく太陽たいようや月つきが透すけて見みえる程度ていどのものを半はん透明とうめい雲くも（translucidus、略号りゃくごう：tr.）、厚あつくて太陽たいようや月つきを完全かんぜんに隠かくすものを不透明ふとうめい雲くも（opacus、略号りゃくごう：op.）という。

隙間すきま雲くも

隙間すきま雲くも（perlucidus、略号りゃくごう：pe.）は、大おおきく広ひろがった雲くものうち、隙間すきまがあり空そらが見みえる状態じょうたいにあるものをいう。高こう積雲せきうん、層積雲そうせきうんに現あらわれる。

副ふく変種へんしゅの分類ぶんるい

雲形くもがた分類ぶんるい表ひょうでは、種たねや変種へんしゅと並ならび、部分ぶぶん的てきに特徴とくちょうのある雲くも、付随ふずいして現あらわれる雲くもに分わけて分類ぶんるいが示しめされている。

部分ぶぶん的てきに特徴とくちょうのある雲くも

雲くも本体ほんたいの特徴とくちょうとして現あらわれる形状けいじょうで、一部いちぶが本体ほんたいに繋つながる形かたちをとる場合ばあいもある。

かなとこ雲ぐも

アーチ雲くも、前線ぜんせんの境目さかいめ

乳房ちぶさ雲くも

かなとこ雲ぐも

積乱雲せきらんうんが発達はったつを続つづけ対流圏たいりゅうけんと成層圏せいそうけんの境さかいに達たっすると、上昇じょうしょうが妨さまたげられ雲くも頂いただき部ぶは横よこに大おおきく広ひろがる。この状態じょうたいをかなとこ雲ぐも（incus、略号りゃくごう：inc.）という。

乳房ちぶさ雲くも

乳房ちぶさ雲くも（mamma、略号りゃくごう：mam.）は、雲くも底そこからこぶ状じょうの雲くもが垂たれ下さがっている状態じょうたいのこと。巻雲けんうん、巻積雲けんせきうん、高こう積雲せきうん、高層こうそう雲くも、層積雲そうせきうん、積乱雲せきらんうんに現あらわれる。雲くも底そこで下降かこう気流きりゅうや渦うず流りゅうが発生はっせいしているとき発生はっせいし、大雨おおあめの前兆ぜんちょうともされる。

尾お流りゅう雲くも

尾お流りゅう雲くも（virga、略号りゃくごう：vir.）は、雲くも底そこから筋すじ状じょうの雲くもが垂たれ下さがっている状態じょうたいのこと。地上ちじょうに達たっしない降水こうすいによる雲くも。巻積雲けんせきうん、高こう積雲せきうん、高層こうそう雲くも、層積雲そうせきうん、積乱雲せきらんうん、積雲せきうん、乱層雲らんそううんに現あらわれる。

cavum

cavum（略号りゃくごう：cav）は、雲くもに大おおきな丸まるい穴あなが開ひらいた状態じょうたいのこと。巻積雲けんせきうん、高こう積雲せきうん、層積雲そうせきうんに現あらわれる。

fluctus

fluctus（略号りゃくごう：flu）は、雲くもの上面うわつらに現あらわれる砕くだけた並なみのような雲くものことで、ケルビン・ヘルムホルツ波はに対応たいおうする。巻雲けんうん、高こう積雲せきうん、層積雲そうせきうん、層雲そううん、積雲せきうんに現あらわれる。

asperitas

asperitas（略号りゃくごう：asp）は、雲くも底そこに現あらわれる波なみのうねりのような形かたちの雲くものこと。高こう積雲せきうん、層積雲そうせきうんに現あらわれる。

降水こうすい雲くも

降水こうすい雲くも（praecipitatio、略号りゃくごう：pra.）は、地上ちじょうに達たっする降水こうすいに伴ともなって雲くも底そこから下さがる筋すじ状じょうの雲くものこと。高層こうそう雲くも、層積雲そうせきうん、積乱雲せきらんうん、積雲せきうん、乱層雲らんそううん、層雲そううんに現あらわれる。

アーチ雲くも

アーチ雲くも（arcus、略号りゃくごう：arc.）は、積雲せきうん・積乱雲せきらんうんの雲くも底そこにできるロール状じょうの雲くものこと。雲くもの下したで強つよい対流たいりゅうが起おこっているときに現あらわれ、大雨おおあめになることも多おおい。

murus, cauda

積乱雲せきらんうんの下部かぶに付随ふずいして、murus（略号りゃくごう：mur）は雲くも底そこから垂たれ下さがる壁かべのような雲くも、cauda（略号りゃくごう：cau）はmurusにつながる尻尾しっぽのような雲くものこと。

漏斗ろうと雲くも

漏斗ろうと雲くも（tuba、略号りゃくごう：tub.）は、積雲せきうん・積乱雲せきらんうんの雲くも底そこから渦うずをまいて垂たれ下さがった漏斗ろうと状じょうの雲くものこと。地上ちじょうに達たっすると竜巻たつまきを起おこす。

付随ふずいして現あらわれる雲くも

本体ほんたいとなる雲くもに付随ふずいするふつうは小ちいさな雲くもで、離はなれているか一部いちぶが本体ほんたいに繋つながっている。

頭巾ずきん雲くも・ベール雲くも

頭巾ずきん雲くも（pileus、略号りゃくごう：pil.）は、積雲せきうん・積乱雲せきらんうんの雲くも頂いただきに帽子ぼうしをかぶせたようにベール状じょうの雲くもが乗のっている状態じょうたいをいう。これがさらに大おおきく広ひろがった場合ばあいにはベール雲くも（velum、略号りゃくごう：vel.）という。

ちぎれ雲ぐも

ちぎれ雲ぐも（pannus、略号りゃくごう：pan.）は、厚あつい雲くもの下したを流ながれる断片だんぺん雲くも。高層こうそう雲くも、積乱雲せきらんうん、積雲せきうん、乱層雲らんそううんに現あらわれる。

flumen

flumen（略号りゃくごう：flm）は、積乱雲せきらんうんに向むかって流ながれ込こむ帯状おびじょうの雲くものこと。

Special clouds

特殊とくしゅな起源きげんの雲くも。2017年版ねんばん改訂かいていで雲形くもがた分類ぶんるい表ひょうの親しん雲くもの欄らんを拡張かくちょう、"Mother-clouds and special clouds"となりここに追加ついかされた。

flammagenitus

flammagenitus（略号りゃくごう：flgen）は、山やま火事かじや火山かざん噴火ふんかを起源きげんとして発生はっせいする雲くものこと。積雲せきうん、積乱雲せきらんうんに現あらわれる。

homogenitus

homogenitus（略号りゃくごう：hogen）は、飛行機ひこうきや工場こうじょうの排はい熱ねつなどの人為じんい的てき活動かつどうを起源きげんとして発生はっせいする雲くものこと。巻雲けんうん、層雲そううん、積雲せきうん、積乱雲せきらんうんに現あらわれる。飛行機雲ひこうきぐもが10分間ふんかん以上いじょう持続じぞくしたものはCirrus homogenitusの名なが与あたえられている。

homomutatus

homomutatus（略号りゃくごう：homut）は、飛行機ひこうきなどの人為じんい的てき活動かつどうを起源きげんに発生はっせいし、広ひろがってより自然しぜんな形状けいじょうに変異へんいした雲くものこと。巻雲けんうん、巻層雲けんそううん、巻積雲けんせきうんに現あらわれる。

cataractagenitus

cataractagenitus（略号りゃくごう：cagen）は、流ながれ落おちる滝たきの飛沫しぶきを起源きげんとして発生はっせいする雲くものこと。層雲そううん、積雲せきうんに現あらわれる。

silvagenitus

silvagenitus（略号りゃくごう：sigen）は、森林しんりんの蒸ふけ発散はっさんによる加湿かしつを起源きげんとして発生はっせいする雲くものこと。層雲そううんに現あらわれる。

成層圏せいそうけん以上いじょうの雲くも

Upper atmospheric cloudsとして示しめされている雲くもを列記れっきする。

真珠しんじゅ母はは雲くも

氷こおり結晶けっしょうの極きょく成層圏せいそうけん雲くも。

Nitric acid and water polar stratospheric clouds

硝酸塩しょうさんえん結晶けっしょうと過か冷却れいきゃく水滴すいてきの極きょく成層圏せいそうけん雲くも。cf.真珠しんじゅ母はは雲くも

夜光やこう雲くも

極ごく中ちゅう間あいだ圏けん雲くも。

改訂かいてい史し

国際こくさい雲くも図ず帳ちょうの改訂かいていにより、数すう度どの変更へんこうや追加ついかが行おこなわれてきた。

• 国際こくさい雲くも図ず帳ちょう第だいI巻まき 1956年版ねんばん - 10基本形きほんけいの大分おおいた類るいを変更へんこう（層状そうじょう雲くも(A族ぞく-上層じょうそう雲くも,B族ぞく-中層ちゅうそう雲くも,C族ぞく-下層かそう雲くも),D族ぞく-対流たいりゅう雲くもから、上層じょうそう雲くも,中層ちゅうそう雲くも,下層かそう雲くもへ）。上うえ・中なか・下層かそう雲くもの高度こうどを変更へんこう。乱層雲らんそううんを下層かそう運うんから中層ちゅうそう雲くもに変更へんこう。変種へんしゅ分類ぶんるいを種たね・変種へんしゅ・副ふく変種へんしゅに再編さいへん。
• 国際こくさい雲くも図ず帳ちょう第だいI巻まき 1975年版ねんばんおよび国際こくさい雲くも図ず帳ちょう第だいII巻まき 1987年版ねんばん - 雲形くもがた分類ぶんるいの変更へんこうはなし。
• 国際こくさい雲くも図ず帳ちょう 2017年版ねんばん - 種たね1つ・副ふく変種へんしゅ（部分ぶぶん的てきに特徴とくちょうのある雲くも）5つ・副ふく変種へんしゅ（付随ふずいして現あらわれる雲くも）1つを追加ついか、房ぼう状じょう雲くものみられる基本形きほんけいに層積雲そうせきうんを追加ついか、人間にんげん活動かつどうや火災かさいなどに起因きいんする特殊とくしゅな雲くもをSpecial cloudsとして追加ついか。

脚注きゃくちゅう

日本語にほんご訳やくに関かんする注釈ちゅうしゃく

以下いかの注釈ちゅうしゃくは日本語にほんご訳やくが確定かくていしていない用語ようごに関かんするもの。例れいとして「雲くもの和名わみょうワーキンググループ」による提案ていあん名めいを掲載けいさいした。

出典しゅってん

以下いかでは"International Cloud Atlas"（国際こくさい雲くも図ず帳ちょう）は ICA と略記りゃっきしている。

参考さんこう文献ぶんけん

• "International Cloud Atlas"（国際こくさい雲くも図ず帳ちょう）, WMO（世界せかい気象きしょう機関きかん）, 2017 （英語えいご）