日照ひでり時間じかん

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日照ひでり時間じかん(にっしょうじかん、えい: sunshine duration)とは、気象台きしょうだいアメダスなど日照ひでりけいにより観測かんそくされる太陽たいようった時間じかんすうのことである。

日照ひでり時間じかん定義ていぎ[編集へんしゅう]

日照ひでり時間じかんは、いちにちのうちで、日照ひでりけい測定そくていされるじきたち日射にっしゃりょうが120W/m2以上いじょうである時間じかん定義ていぎされる。日照ひでりなしの目安めやす(120W/m2以下いか)は、直射ちょくしゃこうによって物体ぶったいかげみとめられない程度ていど

日照ひでり時間じかん計測けいそくするおもはかうつわ[編集へんしゅう]

太陽たいよう追尾ついびしき日照ひでりけい
太陽たいようからの直射ちょくしゃこう日照ひでりけいかんれる。かん固定こていではなく、自動じどう緯度いど経度けいど日時にちじから計算けいさんによりもとめる)で太陽たいよう追尾ついびして観測かんそくする。そのほかの仕組しくみは下記かき回転かいてんしき参照さんしょう日本にっぽんでは、気象台きしょうだい測候所そっこうじょなどで使用しようされる。
回転かいてんしき日照ひでりけい
基本きほんてき観測かんそく方法ほうほう太陽たいよう追尾ついびしき日照ひでりけいおな仕組しくみ。上記じょうき太陽たいよう追尾ついびしきふくんでばれることがある。日照ひでりけい主軸しゅじく地軸ちじく平行へいこうになるように水平面すいへいめんから設置せっちてん緯度いどぶんだけかたむけて設置せっちし、主軸しゅじくけられた反射はんしゃきょう主軸しゅじくにそって一定いってい速度そくど回転かいてんさせる。かんにあるひかりセンサーじきたちこう強弱きょうじゃくおうじたパルスじょう信号しんごうし、あらかじめ調しらべているその信号しんごう日射にっしゃりょうとの関係かんけいより、日照ひでりありを判断はんだんする。最近さいきん整備せいびされたアメダスでは、この方式ほうしきはかうつわ採用さいようされている。
太陽たいよう電池でんちしき日照ひでりけいみぎ)と日射にっしゃけい(アメダス)
太陽たいよう電池でんちしき日照ひでりけい
あらかじめ検定けんてい電池でんち出力しゅつりょく日射にっしゃりょう対応たいおう関係かんけい調しらべておき、その電池でんち出力しゅつりょくおおきさから日照ひでり有無うむ判別はんべつする方式ほうしき日照ひでりけいアメダス使用しようされる。メンテナンスがすくなくてすみ、自動じどう観測かんそくいている。近年きんねん太陽たいよう電池でんちしきから、回転かいてんしき日照ひでりけいへの作業さぎょうおこなわれている。

その過去かこ日本にっぽん気象庁きしょうちょう使つかわれていた日照ひでり時間じかんはかうつわとして、太陽光たいようこう球形きゅうけいガラスでしゅうひから紙面しめんにできたあとから日照ひでり時間じかんもとめる「カンベルしき日照ひでりけい」、「青写真あおじゃしん感光かんこう紙上しじょうにピンホールからの日光にっこうによるぞう記録きろくする「ジョルダンしき日照ひでりけい」などがある。 両者りょうしゃとも、電気でんきてき部品ぶひん処理しょりなど必要ひつようなく、設置せっち場所ばしょさえあればどこでも設置せっち可能かのうである。反面はんめん人的じんてき交換こうかん保守ほしゅ必要ひつよう記録きろく交換こうかん毎日まいにち)であること。普段ふだんもちいる時刻じこく適用てきようできないとった弊害へいがいがある(地方ちほう太陽たいよう)。 ことなる種類しゅるい日照ひでりけいにより、日照ひでり時間じかん観測かんそくする場合ばあいは、注意ちゅうい必要ひつようである。なぜなら、はかにより観測かんそくことなるためである。また天気てんきにかかわらず山岳さんがくなどの地形ちけいでは山陰やまかげはいめんがあるため、日照ひでり時間じかんみじかくなる。

日照ひでり時間じかんおお地域ちいき[編集へんしゅう]

降水こうすいりょうすくない地域ちいきで、日照ひでり時間じかんおお傾向けいこうがある。あきら時間じかんたいする日照ひでり時間じかん割合わりあい日照ひでりりつ[%]でしめすことがある。ちなみに気候きこうべつると、亜熱帯あねったいだかあつたい影響えいきょうおおきいもしくは大陸たいりく内陸ないりく存在そんざいする乾燥かんそうたい地中海ちちゅうかいせい気候きこう地域ちいき亜寒帯あかんたい冬季とうき少雨しょうう気候きこう地域ちいきなど、大陸たいりくせい乾燥かんそうした気候きこうしめ地域ちいきでは日照ひでり時間じかんおおい。ぎゃく温帯おんたい湿潤しつじゅん気候きこう亜熱帯あねったいかた温帯おんたいなつ気候きこうモンスーンのある地域ちいき赤道あかみち低圧ていあつたい周辺しゅうへんにある熱帯ねったいとく熱帯ねったい雨林うりん気候きこう)の地域ちいきや、偏西風へんせいふう降雨こうう影響えいきょう一年中いちねんじゅうある西岸せいがん海洋かいようせい気候きこう高緯度こういど低圧ていあつたい影響えいきょうにある寒帯かんたい地域ちいきでは日照ひでり時間じかんすくない傾向けいこうがある。

日本にっぽん各地かくち日照ひでり時間じかん[編集へんしゅう]

日本にっぽん各地かくち年間ねんかん日照ひでり時間じかんは、おおむね1500あいだから2200あいだ程度ていど気象台きしょうだいおよびアメダスの平均へいきんやく1850あいだ程度ていどとなっており、世界せかい平均へいきんやく2500あいだよりみじかい。理由りゆうとしては、日本にっぽん島国しまぐにかつちゅう緯度いど大陸たいりく東岸とうがん位置いちするモンスーン地域ちいきにあたるためである。 日本にっぽん各地かくち日照ひでり時間じかん長短ちょうたんには四季しきによって特徴とくちょうがみられる。

  • 春季しゅんきは、春分しゅんぶんぎると昼間ひるま時間じかん夜間やかん時間じかんよりながくなるうえシベリア気団きだん明瞭めいりょうでなくなりてい気圧きあつ高気圧こうきあつ交互こうご通過つうかする。ふゆ北西ほくせい季節風きせつふうかげであった関東かんとう地方ちほう甲信越こうしんえつ地方ちほう東海とうかい地方ちほう一部いちぶ紀伊きい半島はんとう南東なんとう日照ひでり時間じかんがややみじかくなるほかは、ほぼすべての地域ちいき冬季とうきよりも日照ひでり時間じかん増加ぞうかする。その傾向けいこう日本海にほんかいがわ東シナ海ひがししなかいがわ顕著けんちょである。北日本きたにっぽんでは、5〜6月が1ねんのうちでもっと日照ひでり時間じかんながぶしである。南西諸島なんせいしょとうでは、てい気圧きあつ前線ぜんせん日本にっぽん南岸なんがん停滞ていたいする時期じきがあるため冬季とうきより増加ぞうかはするもののほか地域ちいきよりも日照ひでり時間じかんみじかめである。
  • 夏季かきは、昼間ひるま時間じかんもっとなが夏至げしはさんだなつやく1〜2かげつあいだ北海道ほっかいどう小笠原諸島おがさわらしょとうのぞ日本にっぽんのほぼ全域ぜんいき梅雨つゆぶしにあたるため日照ひでり時間じかん西日本にしにほん中心ちゅうしんみじかくなる。東日本ひがしにっぽん北日本きたにっぽん南西諸島なんせいしょとうでは梅雨つゆどき日照ひでり時間じかん春季しゅんきくらべてそれほどみじかくならないかわらず、小笠原諸島おがさわらしょとうでは太平洋たいへいよう高気圧こうきあつ圏内けんないになるためにむしろながくなる。梅雨つゆ日本にっぽん列島れっとう太平洋たいへいよう高気圧こうきあつ圏内けんないにあたることおおくなり、西日本にしにほん南西諸島なんせいしょとう中心ちゅうしん日照ひでり時間じかん増加ぞうかする。とく瀬戸内海せとないかい周辺しゅうへん地域ちいき日本海にほんかいがわ沿岸えんがん南西諸島なんせいしょとうではなつ太平洋たいへいようから南東なんとう季節風きせつふう影響えいきょうすくないためにその傾向けいこうつよくなる。また小笠原諸島おがさわらしょとうでは、本州ほんしゅう梅雨つゆぶしである時期じきからつづ太平洋たいへいよう高気圧こうきあつ圏内けんないにあたり日照ひでり時間じかんながい。なお内陸ないりくでは雷雨らいうおおくなり、前述ぜんじゅつ地域ちいきよりは梅雨つゆけによって増加ぞうかする日照ひでり時間じかんはばちいさくなる。
  • 秋季しゅうきは、秋分しゅうぶんぎると昼間ひるま時間じかん夜間やかん時間じかんよりもみじかくなるうえ太平洋たいへいよう高気圧こうきあつ勢力せいりょくけんは9がつ後半こうはんには日本にっぽん列島れっとうから退しりぞき、てい気圧きあつ高気圧こうきあつ交互こうご通過つうかするようになる。内陸ないりく夕立ゆうだちきやすい一部いちぶ地域ちいきのぞき、ほぼすべての地域ちいき夏季かきよりも日照ひでり時間じかん減少げんしょうする。長江ながえ気団きだんおおわれやすい西日本にしにほんではややながくなるが、秋雨前線あきさめぜんせん明瞭めいりょうである東日本ひがしにっぽん北日本きたにっぽんではややみじかくなり、東日本ひがしにっぽん太平洋たいへいようがわでは秋季しゅうき一番いちばん日照ひでり時間じかんみじかい。ふゆちかづくにつれ日本海にほんかいがわ東シナ海ひがししなかいがわ南西諸島なんせいしょとう日照ひでり時間じかんみじかく、太平洋たいへいようがわ日照ひでり時間じかんながくなっていく。
  • 冬季とうきは、昼間ひるま時間じかんもっとみじか冬至とうじはさんでおり、北海道ほっかいどう道東どうとう本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう太平洋たいへいようがわ一部いちぶのぞいた地域ちいきでは、1ねんのうちで日照ひでり時間じかん一番いちばんみじかぶしである。ユーラシア大陸たいりくからの北西ほくせい季節風きせつふう影響えいきょうによってあめくもゆきくもができやすい道東どうとうのぞ北海道ほっかいどうから九州きゅうしゅうにかけての日本海にほんかいがわ九州きゅうしゅう南西諸島なんせいしょとう東シナ海ひがししなかいがわでは日照ひでり時間じかん極端きょくたんみじかくなる。また、さきとう諸島しょとうでは北東ほくとうからの季節風きせつふう東シナ海ひがししなかいからためくもができやすくなり、日照ひでり時間じかん極端きょくたんみじかくなる。太平洋たいへいようがわ地域ちいきでは季節風きせつふう山岳さんがくさえぎられているため秋季しゅうきおなじぐらいかすこみじかくなる程度ていどにとどまり、関東かんとう地方ちほう甲信こうしん地方ちほう東海とうかい地方ちほう一部いちぶ紀伊きい半島はんとう南東なんとうなどの太平洋たいへいようがわでは秋季しゅうきよりも増加ぞうかし、冬季とうき日照ひでり時間じかんが1ねんのうちでもっとなが地域ちいきもある。

平年へいねんとの比較ひかく[編集へんしゅう]

気象庁きしょうちょう定義ていぎでは、日照ひでり時間じかん平年へいねんより「おおい」場合ばあいには「多照たしょう」、「すくない」場合ばあいは「寡照」、どちらでもない場合ばあいは「ひら年並としなみ」と表現ひょうげんする。おおい・すくないの定義ていぎはいずれも生起せいきかくりつ3ぶんの1としている[1]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]