霧越峠きりごえとうげ

国道こくどう193号ごう標識ひょうしき

霧越峠きりごえとうげ
所在地しょざいち	日本にっぽん 徳島とくしま県けん那賀なか町まち・同どう県けん海陽かいよう町まち
標高ひょうこう	693 m
山系さんけい	四国しこく山地さんち
通過つうか路ろ	国道こくどう193号ごう
プロジェクト 地形ちけい

霧越峠きりごえとうげ（きりごえとうげ）は、徳島とくしま県けん那賀なか郡ぐん那賀なか町まち海川うみかわと海部かいふ郡ぐん海陽かいよう町まち小川おがわを結むすぶ国道こくどう193号ごうの峠とうげである。鑵子峠とうげという別名べつめいがある。

概要がいよう

峠とうげ名めいの由来ゆらいは、この峠とうげに南側みなみがわの太平洋たいへいようから吹ふく暖あたたかい風ふうが、山やまの冷つめたい空気くうきで冷ひやされるため霧きりの発生はっせいが多おおく、峠とうげを往来おうらいする人ひとが霧きりの中なかを越こえていくような感かんじだったことによる。

霧越峠きりごえとうげ

峠とうげ道どうはかつては木頭きとう街道かいどうと呼よばれ、現在げんざいの那賀なか町まち木頭きとう地区ちくと太平洋たいへいよう側がわを結むすんでいた重要じゅうような道みちで、現在げんざいは国道こくどう193号ごうに指定していされている。那賀なか町まち側がわは海川うみかわ谷川たにがわ、海陽かいよう町まち側がわは海部川かいふがわとその支流しりゅうに沿そって走はしるが、ブラインドカーブが多おおく見通みとおしが悪わるい上うえに、ほとんどの区間くかんが狭隘きょうあいで自動車じどうしゃの離合りごうが難むずかしく、谷たに側がわはガードレール等ひとしの転落てんらく防止ぼうし設備せつびが無ない区間くかんも多おおい。さらに反対はんたいの山側やまがわは剥むき出だしの岩いわがせり出だしており、落石らくせき・倒木とうぼくの危険きけん性せいも大おおきい。このため峠とうげ区間くかんの那賀なか町まち平谷ひらやから郡ぐん境さかいを経へて海陽かいよう町まち神野かんのまで併あわせて41.7kmは時間じかん40mmもしくは連続れんぞく100mm以上いじょうの雨量うりょうを記録きろくすると通行止つうこうどめになる。町まち境さかい周辺しゅうへんは少すこし広ひろくなっており、林道りんどう霧きり越えつ線せん開通かいつう記念きねん碑ひがある。ここからは晴はれていれば眺望ちょうぼうが効きく。

霧きり越えつ林道りんどう開通かいつう記念きねん碑ひ

歴史れきし

峠とうげ道どうは土佐とさ街道かいどう途中とちゅうの鞆奥から分岐ぶんきし、海川うみかわを経へて、木頭きとうに至いたる木頭きとう街道かいどうと呼よばれ、海部かいふ川下かわしも流域りゅういきと木頭きとう上下じょうげ山地さんち方かた（現在げんざいの那賀なか町まち木頭きとう地区ちく）を結むすぶ主要しゅよう路ろであった。天和てんわ年間ねんかんに鞆浦ともうら-皆みなノ瀬間せまに高瀬舟たかせぶねが就航しゅうこう。木頭きとうから茶ちゃ、和紙わし、木材もくざい等とうが霧越峠きりごえとうげを越こえ、皆みなノ瀬せより高瀬舟たかせぶねで川かわの下流かりゅうへ運はこばれていた。また海部かいふ川下かわしも流域りゅういきより木頭きとうへ穀物こくもつ、衣類いるい等とうが運はこばれていた。

1909年ねん、鞆浦ともうら - 小川おがわ間あいだのそれまで馬うまも通とおるのが難むずかしかった険路けんろを、海部川かいふがわ霧きり越えつ線せんとして馬道うまみちの整備せいびがなされた。これによりこの陸上りくじょうの輸送ゆそうは人力じんりきから馬うまに代かわり、高瀬舟たかせぶねによる輸送ゆそうと併あわせて、物資ぶっし輸送ゆそう量りょうは飛躍ひやく的てきに増大ぞうだいした。1918年ねん、皆みなノ瀬せまでの車道しゃどうの整備せいびが行おこなわれた後のち、1924年ねんに海部かいふ公営こうえい自動車じどうしゃが皆みなノ瀬せまで乗のり入いれ、これにより物資ぶっしの輸送ゆそうは高瀬たかせ船せんから自動車じどうしゃに移うつった。

一方いっぽう、那賀川なかがわ沿ぞいでは1942年ねん、平谷ひらや - 出原いではら間あいだに車道しゃどうの林道りんどう木頭きとう線せんが開通かいつうし木頭きとうまでの自動車じどうしゃの運行うんこうが可能かのうとなった。これにより木頭きとうからの人ひとと物資ぶっしの移動いどうは霧越峠きりごえとうげ越こえのルートから那賀川なかがわ沿ぞいに鷲敷わじき方面ほうめんに向むかうルート（現在げんざいの国道こくどう195号ごう）へと大おおきく移うつり、霧越峠きりごえとうげの道みちは廃すたれた。この結果けっかは行政ぎょうせい面めんにも影響えいきょうし、1951年ねんにそれまで海部かいふ郡ぐんに属ぞくしていた木頭きとう上下じょうげ山地さんち方かたの上うえ木頭きとう村むら・木頭きとう村むら・中ちゅう木頭きとう村むらが那賀なか郡ぐんへ移管いかんされた。

1962年ねんから1968年ねんにかけて高知こうち営林局えいりんきょくが林道りんどう霧きり越えつ線せんとして整備せいびした。このときの記念きねん碑ひが道路どうろ沿ぞいに置おかれている。その後ご1972年ねん、徳島とくしま県けん道どう253号ごう山川やまかわ海南かいなん線せんに指定していされた後のち、1975年ねん、国道こくどう193号ごうに指定していされ現在げんざいに至いたる。

参考さんこう資料しりょう

• 海南かいなん町まち史し
• 関連かんれん林道りんどう霧きり越えつ線せん開通かいつう記念きねん碑ひ
• 日本にっぽん地名ちめい大だい辞典じてん（角川書店かどかわしょてん）