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青少年せいしょうねん育成いくせい国民こくみん会議かいぎ

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社団しゃだん法人ほうじん青少年せいしょうねん育成いくせい国民こくみん会議かいぎ（しゃだんほうじんせいしょうねんいくせいこくみんかいぎ）は、日本にっぽんにかつて存在そんざいした公益こうえき法人ほうじんである[注ちゅう 1]。1966年ねん(昭和しょうわ41年ねん)に作つくられた。地方自治体ちほうじちたいレベルには都道府県とどうふけん民みん会議かいぎ・市町村しちょうそん会議かいぎが設置せっちされ、その全国ぜんこくレベルの組織そしきとして「国民こくみん会議かいぎ」が存在そんざいした。表面ひょうめん上じょうは、民間みんかんによる自主じしゅ的てきな団体だんたいではあるが、背後はいごには総理府そうりふ(後ご、総務庁そうむちょう)がおり、事実じじつ上じょうは官製かんせい運動うんどうを組織そしきするために存在そんざいした団体だんたいである。財政難ざいせいなんのため2009年ねん(平成へいせい21年ねん)7月がつに解散かいさんした[1]。2010年ねん(平成へいせい22年ねん)10月がつ20日はつか破産はさん手続てつづき開始かいし決定けってい[2]。日本にっぽん青少年せいしょうねん育成いくせい学会がっかいの運営うんえいも行おこなっていたが、この学会がっかいも解散かいさんした。

概要がいよう[編集へんしゅう]

「国民こくみん会議かいぎ」は育成いくせい団体だんたいの総本山そうほんざん、まとめ役やくと言いえる組織そしきだっただけでなく[3]、長ながい歴史れきしを持もっていたにもかかわらず、その存在そんざいはほとんど知しられていない[4]。「国民こくみん会議かいぎ」は「国民こくみん運動うんどう」と自称じしょうする活動かつどうを行おこなっていたが、「国民こくみん会議かいぎ」自体じたいが国民こくみんにまったく知しられていなかったため、その運動うんどうは、一部いちぶの熱心ねっしんな人間にんげんのもの以上いじょうにはならなかった[4]。あまりにも知しられていない団体だんたいであったため、日本にっぽんの一般いっぱん国民こくみんはもとより、日本にっぽんの国会こっかい議員ぎいんすらその存在そんざいを知しらなかった。

一いち例れいとしては、2000年ねん(平成へいせい12年ねん)末まつに参院さんいん自民党じみんとうが国会こっかいに上程じょうてい予定よていだった青少年せいしょうねん社会しゃかい環境かんきょう対策たいさく基本きほん法案ほうあん(後ご、青少年せいしょうねん有害ゆうがい社会しゃかい環境かんきょう対策たいさく基本きほん法案ほうあんへ名称めいしょうを変更へんこう)にまつわるエピソードがあげられる[4]。

この法案ほうあんでは、法律ほうりつ化かされた時ときに実務じつむを担当たんとうする予定よていだったのが「情報処理じょうほうしょりセンター」という組織そしきで、その委託いたく先さきが見みつからず困こまっていた時ときに、総務庁そうむちょうから紹介しょうかいされたのが、この「国民こくみん会議かいぎ」だった[4]。しかし、議員ぎいんが「国民こくみん会議かいぎ」からその歴史れきしと活動かつどうに関かんするレクチャーを受うけて初はじめてその存在そんざいを知しり、「こんな立派りっぱな組織そしきがあったのか」と驚おどろく始末しまつで、それほど知しられていない組織そしきだった[4]。

1966年ねん(昭和しょうわ41年ねん)に結成けっせい、当初とうしょ、事務じむ局きょくは総理府そうりふの中なかに置おかれていた[5]。さらに、各かく都道府県とどうふけんや市町村しちょうそんに都道府県とどうふけん民みん会議かいぎや市町村しちょうそん会議かいぎが結成けっせいされたが、その事務所じむしょは多おおくが役所やくしょの中なかに置おかれた[6]。このように、「国民こくみん会議かいぎ」は社団しゃだん法人ほうじんとは言いいながら、みかけが民間みんかんであるだけの官製かんせい運動うんどうである[6]。その点てんで、戦前せんぜんの国民こくみん精神せいしん総動員そうどういん運動うんどうとよく似にている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

行政ぎょうせいに限かぎって言いえば、日本にっぽんにおいては、映画えいが・出版しゅっぱん物ぶつ等とうの規制きせいやそれに関かんする運動うんどうの震源しんげん地ちは、多おおくの場合ばあい中央ちゅうおう青少年せいしょうねん問題もんだい協議きょうぎ会かい(中ちゅう青あお協きょう)、またはその傘下さんかの都道府県とどうふけん青少年せいしょうねん問題もんだい協議きょうぎ会かい(青あお少しょう協きょう)であったが、この「国民こくみん会議かいぎ」の設立せつりつに関かんしてもまた同様どうようである。

「国民こくみん会議かいぎ」に関かんする議論ぎろんは、1964年ねん(昭和しょうわ39年ねん)秋あき頃ごろから中ちゅう青あお協きょうを中心ちゅうしんとして始はじまっていた[7]。「国民こくみん会議かいぎ」の主張しゅちょうでは、「少年しょうねん非行ひこうは(昭和しょうわ)三さん十じゅう四よん年ねんから再ふたたび増ふえはじめ、少年しょうねん刑法けいほう犯はんは(昭和しょうわ)三さん十じゅう九きゅう年ねんには二に三さん万まん八はち千せん名めいにのぼり、関係かんけい者しゃの憂うれいは非常ひじょうに深ふかかった」というのがその理由りゆうである[7]。

同年どうねん9月がつ、中ちゅう青あお協きょうは、優良ゆうりょう文化財ぶんかざいの推進すいしん普及ふきゅうと不良ふりょう映画えいが・テレビ・出版しゅっぱん物ぶつの排除はいじょのため効果こうか的てきな措置そちをとるよう具申ぐしん、さらに11月には青少年せいしょうねん特別とくべつ対策たいさく委員いいん会かいを設置せっちした[7]。委員いいん会かい設置せっちの理由りゆうは、「青少年せいしょうねん非行ひこうの実態じったいを十分じゅうぶんに把握はあくしたうえで、有効ゆうこうなる対策たいさくの検討けんとうを行おこなう」ためとされた[7]。

同どう特別とくべつ委員いいん会かいは、翌よく1965年ねん(昭和しょうわ40年ねん)9月がつ28日にち、佐藤さとう栄作えいさく首相しゅしょうに「青少年せいしょうねん非行ひこう対策たいさくに関かんする意見いけん」を提出ていしゅつし、政府せいふに対策たいさくをとるよう求もとめた[7]。

この「意見いけん」は、青少年せいしょうねん非行ひこうが増加ぞうか傾向けいこうにある、粗暴そぼう犯はん・年少ねんしょう少年しょうねん犯罪はんざいが急増きゅうぞうしている、中流ちゅうりゅう家庭かてい、両親りょうしん家庭かていの犯罪はんざいも増ふえている、青少年せいしょうねん対策たいさくが不十分ふじゅうぶんであると主張しゅちょうしていた[7]。更さらに「行政ぎょうせい施策しさくの画期的かっきてきな強化きょうかと、これに呼応こおうする一大いちだい国民こくみん運動うんどうの展開てんかいが必要ひつよう」と強調きょうちょうされていた[8]。この報告ほうこくにより、内閣ないかくは「青少年せいしょうねんの健全けんぜん育成いくせい及および非行ひこう防止ぼうし対策たいさくについて」という閣議かくぎ報告ほうこくをまとめ、これを根拠こんきょにして「国民こくみん運動うんどう」が開始かいしされた[8]。

12月2、3日にちに開ひらかれた第だい十じゅう五ご回かい青少年せいしょうねん問題もんだい協議きょうぎ会かい全国ぜんこく会議かいぎでは、「青少年せいしょうねん育成いくせい国民こくみん運動うんどうの積極せっきょく的てき推進すいしん」を決議けつぎし、その後ご約やく半年はんとしをかけて運動うんどうの母体ぼたいを作つくった(第だい1回かい発起人ほっきにん会かいは翌年よくねんの2月がつ)[9]。

しかし、当初とうしょからこの「国民こくみん運動うんどう」を危惧きぐする声こえも内部ないぶにはあった。「上うえからの押おし付つけで、昔むかしの大政たいせい翼賛よくさん会かいのようなものを作つくらないように」、「青少年せいしょうねん不在ふざいの運動うんどうにならないようにしなければならない」との慎重しんちょうな意見いけんも出でた[9]。また、「青少年せいしょうねん育成いくせいという言葉ことばが気きになるが、もっとよい名称めいしょうは 考かんがえられぬか」という苦言くげんも出でた[10](しかし、名称めいしょう変更へんこうは行おこなわれず)。

結成けっせい大会たいかい[編集へんしゅう]

1966年ねん(昭和しょうわ41年ねん)、「国民こくみん会議かいぎ」は中ちゅう青あお協きょうの改組かいそとほぼ時ときを同おなじくして発足ほっそくした。

同年どうねん、総理府そうりふに「青年せいねん局きょく」が設置せっちされ、4月がつに中ちゅう青あお協きょうは、総理そうり大臣だいじんの諮問しもん機関きかんである[11]「青少年せいしょうねん問題もんだい審議しんぎ会かい」(青あお少しょう審しん)へ改組かいそされた[12]。

その翌月よくげつの5月がつ[12]には、総理府そうりふを後うしろ盾たてとして青少年せいしょうねん育成いくせい国民こくみん会議かいぎが設置せっちされた[11]。これ以後いご、青あお少しょう審しんと「国民こくみん会議かいぎ」が政府せいふによる青少年せいしょうねん問題もんだい対策たいさくの両輪りょうりんになった。

「国民こくみん会議かいぎ」は、全国ぜんこくの青少年せいしょうねん育成いくせい団体だんたいやPTA、婦人ふじん団体だんたい、教化きょうか団体だんたいなど結集けっしゅうし、それに国くにや都道府県とどうふけんの条例じょうれい担当たんとう者しゃが協力きょうりょくする形かたちで作つくられた[13]。構成こうせい団体だんたいには、日本にっぽん書籍しょせき協会きょうかい、日本にっぽん雑誌ざっし協会きょうかい、日本にっぽん新聞しんぶん協会きょうかいなども加くわわり、全部ぜんぶで二に百ひゃく五ご十じゅうあまりであった[10][13]。

「国民こくみん会議かいぎ」の結成けっせい大会たいかいは、1966年ねん(昭和しょうわ41年ねん)5月がつ27日にち午後ごご、サンケイホールで開催かいさいされた[10]。参加さんか者しゃは千せん五ご百ひゃく人にん、来賓らいひんに佐藤さとう栄作えいさく首相しゅしょう、総務そうむ長官ちょうかん、自治じち大臣だいじん、文部もんぶ大臣だいじんなどが呼よばれた[13]。この時ときの佐藤さとうの来賓らいひん挨拶あいさつは次つぎのようなものである[5][13]。

明治維新めいじいしんの大業おおわざは、明治めいじの青年せいねんたちによってなしとげられたといっても過言かごんではないと思おもいます。明治めいじ時代じだいと今いまの時代じだいを同一どういつに論ろんじ得えないにしても、今日きょうの青少年せいしょうねん諸君しょくんが明日あしたの日本にっぽんを日本にっぽんを築きずくための大だい行進こうしんの先頭せんとうにたつことが期待きたいされるのであります。一部いちぶの青少年せいしょうねんの間あいだには、行いきす過すぎやあやまちを犯おかす者ものも少すくなくありません、しかし、私わたしは、今日きょうの青少年せいしょうねん諸君しょくんに時代じだいを託たくすことに、いささかの不安ふあんもありません。
私わたしは、かねてから「次代じだいを担になう青少年せいしょうねんを健全けんぜんに育成いくせいすることは、国家こっか社会しゃかいに課かせられた重大じゅうだいな責務せきむであり、国政こくせいの基本きほんである」と考かんがえておりますが、青少年せいしょうねん育成いくせい国民こくみん会議かいぎの発足ほっそくを大変たいへん力強ちからづよく感かんずるとともに、今後こんごの活動かつどうに期きして待まつべきものがあると存ぞんじます。
政府せいふといたしましても、青少年せいしょうねんの健全けんぜん育成いくせいに対たいしてあらゆる努力どりょくと援助えんじょを惜おしまないことを明あきらかにいたします。

「国民こくみん会議かいぎ」の初代しょだい会長かいちょうは茅かや誠司せいじ(元もと東京大学とうきょうだいがく総長そうちょう)である[10]。茅ちがやは結成けっせい大会たいかいであいさつ「文化ぶんかを創造そうぞうし、世界せかいに貢献こうけんできる人ひとづくり」をして、次つぎのように述のべた[14]。

(二に年ねん後ごの)一いち九きゅう六ろく八はち年ねんは明治めいじ百ひゃく年ねんにあたります。日本にっぽんはほぼ百ひゃく年ねん前まえに国くにを開ひらいたわけですが(中略ちゅうりゃく)、これからの百ひゃく年ねんは、ただ単たんに外国がいこくの文化ぶんかを吸収きゅうしゅうし咀嚼そしゃくするだけでは足たりないと思おもいます。それだけなら、進展しんてんする世界せかいから取とり残のこされて落伍らくご者しゃになるのではないかと思おもいます。
日本にっぽんは文化ぶんかを創造そうぞうしつつ世界せかいの進歩しんぽに貢献こうけんし、世界せかいとともに歩あゆむという基本きほん方針ほうしんを確立かくりつする、その大業おおわざを担になうのが青少年せいしょうねんである
そのような重おもい責任せきにんを自覚じかくし、誇ほこりとして成人せいじんに育そだっていくようにするのがこの会議かいぎの目的もくてきである。

事務じむ局きょくは同年どうねん11月がつ1日にち、総理府そうりふ内うちに開局かいきょくされたあと、12月1日にちに日本にっぽん女子じょし会館かいかんに移うつり、1968年ねん(昭和しょうわ43年ねん)2月がつ1日にちに今度こんどはオリンピック記念きねん青少年せいしょうねん総合そうごうセンターに移うつった[5]。以後いご、事務じむ局きょくは総合そうごうセンターから動うごくことはなかった。社団しゃだん法人ほうじんの認可にんかは、結成けっせいの翌年よくねん、1967年ねん(昭和しょうわ42年ねん)10月がつ2日にちである。

さらに、「国民こくみん会議かいぎ」結成けっせいの後のち、各かく都道府県とどうふけんや市町村しちょうそんに都道府県とどうふけん民みん会議かいぎや市町村しちょうそん会議かいぎが作つくられたが、その事務所じむしょは多おおくが役所やくしょの中なかに置おかれた[6]。このように、民間みんかん団体だんたいとしての顔かおは表面ひょうめん上じょうの体裁ていさいにすぎず、「国民こくみん会議かいぎ」やその支部しぶは、実際じっさいには官製かんせい運動うんどうのための団体だんたいだったと言いえる[6]。

以後いご、市民しみん団体だんたいが市場いちばの出版しゅっぱん物ぶつを監視かんしするという体裁ていさいのもとで、「国民こくみん会議かいぎ」の関係かんけい者しゃが業界ぎょうかい団体だんたいに対たいして自粛じしゅくを要請ようせいする場ばとして、「国民こくみん会議かいぎ」は機能きのうするようになった[6]。

活動かつどう[編集へんしゅう]

結成けっせい後ご、「国民こくみん会議かいぎ」は「国民こくみん運動うんどう」と自称じしょうした運動うんどうを行おこなった[4]。結成けっせいの翌年よくねん、1967年ねん(昭和しょうわ42年ねん)には「出版しゅっぱん物ぶつと青少年せいしょうねんに関かんする懇談こんだん会かい」を、1973年ねん(昭和しょうわ48年ねん)以降いこうは毎年まいとし、「青少年せいしょうねんと映画えいが、出版しゅっぱん物ぶつ、広告こうこく物ぶつに関かんする懇談こんだん会かい」、「青少年せいしょうねんと環境かんきょうに関かんする懇談こんだん会かい」のように名称めいしょうを変かえながら、育成いくせい者しゃ、都道府県とどうふけんの職員しょくいんらと関係かんけい業界ぎょうかいとの意見いけん交換こうかんの場ばが作つくられた[6]。

1990年ねん(平成へいせい2年ねん)から1993年ねん(平成へいせい5年ねん)にかけて『有害ゆうがい』コミック問題もんだいが生しょうじ、全国ぜんこくの都道府県とどうふけんで青少年せいしょうねん条例じょうれいの改正かいせいによる規制きせい強化きょうかを求もとめて育成いくせい者しゃ団体だんたいが攻勢こうせいをかけた時期じきに、「国民こくみん会議かいぎ」もその運動うんどうに参加さんかしている。例たとえば、1991年ねん(平成へいせい3年ねん)11月、東京とうきょう都とにおいて、育成いくせい者しゃ12団体だんたい(請願せいがん団体だんたい連絡れんらく協議きょうぎ会かい)が「有害ゆうがい図書としょ追放ついほう都民とみん大会たいかい」を開催かいさいした際さい、その後援こうえん団体だんたいとなっていたのが「国民こくみん会議かいぎ」である[15]。

「国民こくみん会議かいぎ」の最後さいごの大おおきな動うごきと言いえるものは、2000年ねん(平成へいせい12年ねん)に参院さんいん自民党じみんとうが提案ていあんの動うごきを見みせた「青少年せいしょうねん社会しゃかい環境かんきょう対策たいさく基本きほん法案ほうあん」をめぐったものである。

前述ぜんじゅつのように、この法案ほうあんが成立せいりつした暁あかつきには「青少年せいしょうねん社会しゃかい環境かんきょう対策たいさくセンター」が苦情くじょう処理しょり・啓発けいはつ運動うんどう・事業じぎょう者しゃの相談そうだんなどの業務ぎょうむを請うけ負おうことになっていた[16]。参院さんいん自民党じみんとうはその指定してい法人ほうじんとして「国民こくみん会議かいぎ」に委託いたくすることを考かんがえており、田中たなか直紀なおき(青少年せいしょうねん問題もんだい検討けんとう小しょう委員いいん会かい委員いいん長ちょう) は内々ないないに指定してい法人ほうじんの打診だしんを行おこなっていた[17]。「国民こくみん会議かいぎ」も法案ほうあんに賛成さんせいすると同時どうじに、同どう法人ほうじんに指定していされることを望のぞんでいた[16]。

2001年ねん(平成へいせい13年ねん)1月がつ、「国民こくみん会議かいぎ」は「青少年せいしょうねんと社会しゃかい環境かんきょうに関かんする中央ちゅうおう集会しゅうかい」を開催かいさい、全国ぜんこくの育成いくせい者しゃ・行政ぎょうせい関係かんけい者しゃと、テレビ・新聞しんぶん・出版しゅっぱんなどの業界ぎょうかい関係かんけい者しゃとの意見いけん交換こうかんを行おこなった[16]。この席上せきじょう、上村うえむら文三ぶんぞう副ふく会長かいちょうが「青少年せいしょうねん社会しゃかい環境かんきょう対策たいさくセンター」の指定してい法人ほうじんを「国民こくみん会議かいぎ」が引ひき受うける意向いこうだと表明ひょうめいした[16]。しかし、肝心かんじんの法案ほうあんが廃案はいあんとなった[注ちゅう 2]ため実現じつげんしなかった。

結局けっきょくその活動かつどうは、「国民こくみん運動うんどう」という名前なまえからはほど遠とおく、最後さいごまで国民こくみんに広ひろく知しられるようなものにはならなかった[4]。

解散かいさん[編集へんしゅう]

1990年代ねんだいに入はいるとメディア規制きせいの状況じょうきょうが変かわり始はじめた。これまで、規制きせい派はは道徳どうとく的てきな活動かつどう団体だんたいが主体しゅたいだったものが、それらは次第しだいに後景こうけいに退しりぞき、代かわって、行政ぎょうせいと警察けいさつが前面ぜんめんに出でてくるようになった[18]。「国民こくみん会議かいぎ」も急速きゅうそくに影かげの薄うすい存在そんざいになっていった。

特とくに、2001年ねん(平成へいせい13年ねん)の小泉こいずみ政権せいけん成立せいりつは「国民こくみん会議かいぎ」にとっては致命ちめい的てきなものになった。小泉こいずみ政権せいけんは行財政ぎょうざいせい改革かいかくを旗印はたじるしにしていたからである。

これまで、「国民こくみん会議かいぎ」の収入しゅうにゅう源げんは省庁しょうちょうと結むすんだ契約けいやくであり、それは随意ずいい契約けいやくだった[1][注ちゅう 3]。しかし、小泉こいずみ政権せいけんの改革かいかくにより競争きょうそう入札にゅうさつが導入どうにゅうされたため、収入しゅうにゅうが激減げきげんした[1]。逆ぎゃくにいえば、「国民こくみん会議かいぎ」とはそれほど行政ぎょうせいが丸抱まるがかえした官製かんせい運動うんどうだったといえる。

「国民こくみん会議かいぎ」は財政難ざいせいなんに陥おちいり、2009年ねん(平成へいせい21年ねん)7月がつに解散かいさんした[1]。2010年ねん(平成へいせい22年ねん)10月がつ20日はつか破産はさん手続てつづき開始かいし決定けってい[2]。日本にっぽん青少年せいしょうねん育成いくせい学会がっかいの運営うんえいも行おこなっていたが、この学会がっかいも解散かいさんした。

開催かいさいしていた「少年しょうねんの主張しゅちょう全国ぜんこく大会たいかい」については2009年ねんに国立こくりつ青少年せいしょうねん教育きょういく振興しんこう機構きこうに移うつされている[19]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注ちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 所管しょかん省庁しょうちょうは時代じだいと共ともに変かわっているが、「国民こくみん会議かいぎ」の最後さいごの時期じきは、内閣ないかく府ふ政策せいさく統括とうかつ官かんが所管しょかんである。
  2. ^ 2002年ねん(平成へいせい14年ねん)に上程じょうてい予定よていだったが世論せろんと関係かんけい業界ぎょうかいの強つよい反発はんぱつで断念だんねん、業界ぎょうかいの反発はんぱつの強つよかった部分ぶぶんを別べつ法案ほうあんとして分離ぶんりし、通とおりやすそうな部分ぶぶんだけを取とり出だして「青少年せいしょうねん健全けんぜん育成いくせい基本きほん法案ほうあん」として2004年ねん(平成へいせい16年ねん)に、参院さんいん自民党じみんとう・公明党こうめいとうが提出ていしゅつしたが審議しんぎ未了みりょうにより廃案はいあんになった。
  3. ^ かつて、「国民こくみん会議かいぎ」は総務庁そうむちょうと契約けいやくを結むすび、委託いたくを受うけて、全国ぜんこくの自治体じちたいで「有害ゆうがい」指定していされた図書としょ類るいの集計しゅうけいを行おこなって冊子さっしを発行はっこうすることを行おこなっていたこともある[1]。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e 長岡ながおか義幸よしゆき『マンガはなぜ規制きせいされるのか 「有害ゆうがい」をめぐる半はん世紀せいきの攻防こうぼう』平凡社へいぼんしゃ新書しんしょ、2010年ねん、229頁ぺーじ。ISBN 978-4-582-85556-2。 
  2. ^ a b 東京商工とうきょうしょうこうリサーチ
  3. ^ 長岡ながおか『マンガ』pp.245, 255.
  4. ^ a b c d e f g 橋本はしもと健けん午うま『有害ゆうがい図書としょと青少年せいしょうねん問題もんだい 大人おとなのオモチャだった”青少年せいしょうねん”』明石書店あかししょてん、2002年ねん、269頁ぺーじ。ISBN 4-7503-1647-4。 
  5. ^ a b c 橋本はしもと『有害ゆうがい』p.268.
  6. ^ a b c d e f 長岡ながおか『マンガ』p.136.
  7. ^ a b c d e f 橋本はしもと『有害ゆうがい』p.265.
  8. ^ a b 橋本はしもと『有害ゆうがい』p.266.
  9. ^ a b 橋本はしもと『有害ゆうがい』pp.266-267.
  10. ^ a b c d 橋本はしもと『有害ゆうがい』p.267.
  11. ^ a b 橋本はしもと『有害ゆうがい』p.468.
  12. ^ a b 橋本はしもと『有害ゆうがい』p.275.
  13. ^ a b c d 長岡ながおか『マンガ』p.135.
  14. ^ 橋本はしもと『有害ゆうがい』pp.267-268.
  15. ^ 長岡ながおか『マンガ』p.186.
  16. ^ a b c d 長岡ながおか『マンガ』p.224.
  17. ^ 長岡ながおか『マンガ』p.225.
  18. ^ 長岡ながおか『マンガ』p.255.
  19. ^ 帝国ていこくデータバンク[リンク切きれ]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 橋本はしもと健けん午うま『有害ゆうがい図書としょと青少年せいしょうねん問題もんだい 大人おとなのオモチャだった”青少年せいしょうねん”』明石書店あかししょてん、2002年ねん。ISBN 4-7503-1647-4。 
  • 長岡ながおか義幸よしゆき『マンガはなぜ規制きせいされるのか 「有害ゆうがい」をめぐる半はん世紀せいきの攻防こうぼう』平凡社へいぼんしゃ新書しんしょ、2010年ねん。ISBN 978-4-582-85556-2。 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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