PTA

日本にっぽんにおけるPTA（ピーティーエー、英語えいご: Parent-Teacher Association）は、各かく学校がっこうで組織そしきされた保護ほご者しゃと教職員きょうしょくいん（児童じどうを含ふくまない）による社会しゃかい教育きょういく関係かんけい団体だんたい。児童じどう・生徒せいとはPTA会員かいいんではない。皆みな等ひとしく活動かつどうの支援しえん対象たいしょうでもある。任意にんい加入かにゅうの団体だんたい。

この項目こうもくでは、各かく学校がっこうのPTA（単位たんいPTAと呼称こしょうされる）について主おもに記述きじゅつする。単位たんいPTAが協きょう働はたらけするために集あつまった、市町村しちょうそん・都道府県とどうふけん・全国ぜんこくの各かくレベルに存在そんざいするPTA連合体れんごうたい（PTA連合れんごう会かい）の詳細しょうさいについては、日本にっぽんPTA全国ぜんこく協議きょうぎ会かい、全国ぜんこく高等こうとう学校がっこうPTA連合れんごう会かい、全国ぜんこくPTA連絡れんらく協議きょうぎ会かいの項目こうもくを参照さんしょう。

名称めいしょう

PTAの名称めいしょうは、学校がっこうに通かよう子こどもの保護ほご者しゃ（Parent）と教職員きょうしょくいん（Teacher）からなる団体だんたい（Association）であることから、各かく語かたりの頭文字かしらもじを取とったものである（Parent Teacher Association）。

PTA及および類似るいじの団体だんたいについて、昭和しょうわ20年代ねんだいに用もちいられた名称めいしょうとしては「父母ちちははと先生せんせいの会かい」がある。これは、当時とうじの文部省もんぶしょう（現在げんざいの文部もんぶ科学かがく省しょう）が発はっした通達つうたつに基もとづく名称めいしょうである。その他たにも、「親おやと教師きょうしの会かい」「保護ほご者しゃと教職員きょうしょくいんの会かい」、あるいは「育いく友とも会かい（いくゆうかい）」など、学校がっこうごとに様々さまざまな名称めいしょうが付ふされることもある。各かく学校がっこうのPTAの名称めいしょうは、各かく学校がっこうのPTAごとの規約きやくにより定さだめられる。

なお、これまでの教職員きょうしょくいん・保護ほご者しゃによる組織そしきから発展はってんさせる意味いみで、PTAにC「地域ちいき社会しゃかい（Community）」を加くわえたPTCAと称しょうするところもある。

また、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）に公布こうふされ、翌年よくねん施行しこうされたPTA・青少年せいしょうねん教育きょういく団体だんたい共済きょうさい法ほうの2条じょう1項こうには「PTA」の定義ていぎがある。

PTA・青少年せいしょうねん教育きょういく団体だんたい共済きょうさい法ほう（平成へいせい22年ねん6月がつ2日にち法律ほうりつ第だい42号ごう）
（定義ていぎ）
第だい2条じょう　この法律ほうりつにおいて「PTA」とは、学校がっこう（学校がっこう教育きょういく法ほう（昭和しょうわ22年ねん法律ほうりつ第だい26号ごう）第だい1条じょうに規定きていする学校がっこう（大学だいがくを除のぞく。）をいう。以下いか同おなじ。）に在籍ざいせきする幼児ようじ、児童じどう、生徒せいと若もしくは学生がくせい（以下いか「児童じどう生徒せいと等とう」という。）の保護ほご者しゃ（同どう法ほう第だい16条じょうに規定きていする保護ほご者しゃをいい、同どう条じょうに規定きていする保護ほご者しゃのない場合ばあいにおける里親さとおや（児童じどう福祉ふくし法ほう（昭和しょうわ22年ねん法律ほうりつ第だい164号ごう）第だい27条じょう第だい1項こう第だい3号ごうの規定きていにより委託いたくを受うけた里親さとおやをいう。）その他たの文部もんぶ科学かがく省令しょうれいで定さだめる者ものを含ふくむ。以下いか同おなじ。）及および当該とうがい学校がっこうの教職員きょうしょくいんで構成こうせいされる団体だんたい又またはその連合体れんごうたいをいう。

本ほん条項じょうこうの定義ていぎによる「PTA」には、単位たんいPTAとPTA連合体れんごうたいの両者りょうしゃを含ふくむ。

沿革えんかく

PTAのルーツ

PTAは、1897年ねん、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくで2人ふたりの女性じょせいにより自発じはつ的てきに結成けっせいされた。

詳細しょうさいは「#アメリカのPTA」を参照さんしょう

PTA前史ぜんし

明治めいじ時代じだいに日本にっぽんに近代きんだい的てき学校がっこう制度せいどが導入どうにゅうされた際さい、各かく学校がっこう（特とくに小学校しょうがっこう）の設立せつりつ・維持いじの経費けいひは、地方ちほう住民じゅうみんの負担ふたんによることを原則げんそくとした。その後ご、学校がっこう経費けいひは、主おもに町村ちょうそん費ひの負担ふたんとされていったが、学校がっこう予算よさんは必かならずしも潤沢じゅんたくではなかった。そこで、学校がっこう運営うんえいにかかる金銭きんせん的てき・労務ろうむ的てき負担ふたんを軽減けいげんするため、学校がっこうに通かよう児童じどう・生徒せいとの保護ほご者しゃや学区がっくの住民じゅうみんによって、学校がっこうを支援しえんする任意にんい団体だんたいも多おおく結成けっせいされた。これらの団体だんたいは、「後援こうえん会かい」や「保護ほご者しゃ会かい」、「母ははの会かい」と呼よばれる。これらの団体だんたいは、学校がっこうの経済けいざい的てき支援しえんをもっぱらとし、教育きょういく活動かつどうに関かかわることはほとんどなかった。

昭和しょうわ10年代ねんだい以降いこう、戦争せんそうの激化げきかとその後ごの混乱こんらんの影響えいきょうで、保護ほご者しゃたちによる団体だんたいの活動かつどうは一時いちじ停滞ていたいした。しかし、終戦しゅうせん後のちには荒廃こうはいした学校がっこうや教育きょういくを支ささえる団体だんたいの活動かつどうが再ふたたび始はじめられ、後ごのPTAの精神せいしんを先取さきどりするような活動かつどうや運動うんどうも各地かくちで試こころみられた。

日本にっぽん型がたPTAの登場とうじょう

1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）の春はる、連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれい官かん総そう司令しれい部ぶ（GHQ/SCAP）の要請ようせいによりアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくから派遣はけんされた教育きょういく使節しせつ団だんが作成さくせいした報告ほうこく書しょ、アメリカ教育きょういく使節しせつ団だん報告ほうこく書しょ（第だい一いち次じ報告ほうこく書しょ）が発表はっぴょうされた。同どう報告ほうこく書しょでは、PTAに直接ちょくせつ言及げんきゅうはないものの、いくつかの箇所かしょでPTAの理念りねんに及およぶ考かんがえ方かたが示しめされた。また、1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）4月がつには、極東きょくとう委員いいん会かいも「日本にっぽん教育きょういく制度せいど改革かいかくに関かんする指令しれい」を定さだめ、PTAが民主みんしゅ主義しゅぎ教育きょういく推進すいしんのために積極せっきょく的てきな役割やくわりを果はたすことを期待きたいし、勧奨かんしょうした。

GHQは、これらの基本きほん方針ほうしんを元もとに、総そう司令しれい部ぶの民間みんかん情報じょうほう教育きょういく局きょく（CIE）と地方ちほう軍政ぐんせい部ぶが担当たんとうして、全国ぜんこくの学校がっこうへのPTA（父母ちちははと先生せんせいの会かい）の設置せっちを奨励しょうれい・推進すいしんした。実際じっさいの事務じむを担になった文部省もんぶしょうは省内しょうないに「父母ちちははと先生せんせいの会かい委員いいん会かい」を設置せっちして審議しんぎ研究けんきゅうを進すすめ、同どう委員いいん会かいは「父母ちちははと先生せんせいの会かい‐教育きょういく民主みんしゅ化かのために‐」と題だいするPTA結成けっせいの手引てびき書しょを作成さくせいした。

1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）3月がつ、この手引てびき書しょは、文部もんぶ事務次官じむじかん名めいで全国ぜんこく都道府県とどうふけん知事ちじにあてて通達つうたつされた。通達つうたつが出だされた翌年よくねんの1948年ねん（昭和しょうわ23年ねん）4月がつには、全国ぜんこくの小・中学校しょうちゅうがっこうのPTA設置せっち状じょう況きょうは7割わりを超こえた。1948年ねん（昭和しょうわ23年ねん）3月がつには、『〔父母ちちははと先生せんせいの会かい〕参考さんこう規約きやく（案あん）』（第だい一いち次じ参考さんこう規約きやくとも呼よばれる）が文部省もんぶしょう社会しゃかい教育きょういく局きょく社会しゃかい教育きょういく課かから出だされ、1954年ねん（昭和しょうわ29年ねん）2月がつには、『小学校しょうがっこう〔父母ちちははと先生せんせいの会かい〕（PTA）第だい二に次じ参考さんこう規約きやく』が文部省もんぶしょう父母ちちははと先生せんせいの会かい分科ぶんか審議しんぎ会かいから出だされた。なお、戦前せんぜんから存在そんざいした各かく学校がっこうの「後援こうえん会かい」などはPTAに看板かんばんを変かえたり、地域ちいき住民じゅうみんを交まじえた団体だんたいとしてPTAとは別べつ組織そしきとして存続そんぞくした。

1950年ねん(昭和しょうわ25年ねん)PTAの全国ぜんこく組織そしきを結成けっせいさせようと、文部省もんぶしょうは積極せっきょく的てきに指導しどうするようになる。25の県けんで早はやくも連合体れんごうたい(現在げんざいの都道府県とどうふけんのPTA連合れんごう会かい、PTA協議きょうぎ会かいにあたる)が結成けっせいされていた。 でも、GHQの方針ほうしんを具体ぐたい化かさせようとして働はたらいていた民間みんかん情報じょうほう教育きょういく局きょく（CIE）は、「いたずらに全国ぜんこく組織そしき化かを促進そくしんすることは、かえってPTAの健全けんぜんな発展はってんを阻害そがいする」という理由りゆうで、PTAの全国ぜんこく組織そしきをつくるのはまだ早はやいと考かんがえていた。(CIEはPTAに限かぎらず婦人ふじん会かいや青年せいねん団だんでも同様どうようだった。) PTAの全国ぜんこく連合れんごう組織そしきを設立せつりつさせたいと考かんがえていた文部省もんぶしょうに対たいし、CIE担当たんとう官かんジョン・ネルソンは講演こうえんで、「新あたらしいPTAは古ふるい後援こうえん会かいとほとんど変かわっていない。(略りゃく)行政ぎょうせいが、どんなレベルにしろPTAの連合体れんごうたいを後援こうえんすることは避さけなければならない。補助ほじょ金きんも行政ぎょうせいによる統制とうせいもしてはならない(略りゃく)。PTAの目標もくひょうに到達とうたつできず、民主みんしゅ的てきな手続てつづきにも従したがっていないような満足まんぞくのいかない地域ちいきのPTAグループが連合れんごうしても、満足まんぞくのいかない連合体れんごうたいにしかならないだろう」という旨むね、述のべたという。(-井上いのうえ恵美子えみこ「占領せんりょう軍ぐん資料しりょうにみる日本にっぽんへのPTA導入どうにゅう過程かてい」-)

文部省もんぶしょうが全国ぜんこく組織そしきの結成けっせいを急いそいだ背景はいけいに、1948年ねん(昭和しょうわ23年ねん)米国べいこくの対たい日にち占領せんりょう政策せいさくが転換てんかんし、それまで推進すいしんされてきた民主みんしゅ化か・非ひ軍事ぐんじ化かに逆行ぎゃっこうする動うごきが強つよまっていった。これを逆ぎゃくコースといい、 1950年ねん(昭和しょうわ25年ねん)に入はいると、共産党きょうさんとうが弾圧だんあつの対象たいしょうとなり、職場しょくばでのレッドパージが行おこなわれた。 そして、軍国ぐんこく主義しゅぎ者しゃ、国家こっか主義しゅぎ者しゃと見みなされ公職こうしょくから追放ついほうされていた人々ひとびとの大幅おおはばな追放ついほう解除かいじょが1949年ねん以降いこうに進すすめられた。 1951年ねん(昭和しょうわ26年ねん)には教職きょうしょく追放ついほうの解除かいじょによって、民主みんしゅ化かのためには不適合ふてきごうとされて教職きょうしょくに就つけていなかった教育きょういく関係かんけい者しゃ・管理かんり職しょくたちが学校がっこう現場げんばに戻もどってくることになった。

「初期しょきPTAにおけるアソシエーション的てき特性とくせいに関かんする一いち考察こうさつ 一いち占領せんりょう期きPTA規約きやく準じゅん期き等とうの比較ひかく検討けんとうを通つうじて」(山梨大学やまなしだいがく 平井ひらい 貴美代きみよ)によれば、規約きやくを具体ぐたい的てきに示しめさなかった文部省もんぶしょう[父母ちちははと先生せんせいの会かい」資料しりょうを除のぞくと、占領せんりょう期きに出だされた規約きやく準則じゅんそくにはPTA役員やくいんの構成こうせいについて親おやが中心ちゅうしんとなることや、役員やくいんの資格しかくについて「地域ちいきボスを除外じょがいすることが明記めいきされている。いずれも会かいの運営うんえいを民主みんしゅ化かするために、日にち来らいの支配しはい者しゃ層そうが影響えいきょう力りょくを及およぼさないよう規制きせいするための規定きていであり、占領せんりょう終結しゅうけつ後ごに改訂かいていされた参考さんこう規約きやくから当該とうがい事項じこうが除外じょがいされたのは、いわゆる「逆ぎゃくコース」として説明せつめいがつくだろう。会員かいいんの権利けんりを保障ほしょうするはずの「規約きやくは、最終さいしゅう的てきにはアソシエーションを構想こうそうする自由じゆうを規制きせいする手段しゅだんとして用もちいられている。この背景はいけいには地方ちほう軍政ぐんせい部ぶの成果せいか主義しゅぎ的てきな性向せいこうが垣間見かいまみえるが、PTAを受容じゅようした側がわの受うけ止とめ方かたがアソシエーションの本質ほんしつを必かならずしも理解りかいしきれていない側面そくめんがあったことも否いなめない。

民生みんせい局きょくが戦時せんじ下かの国家こっか主義しゅぎ、軍国ぐんこく主義しゅぎを日常にちじょう的てきに下しも支ささえした隣組となりぐみ・町内ちょうない会かいを廃止はいしすることを決定けっていし、 1947(昭和しょうわ22)年ねん5月がつの政令せいれい第だい 15号ごう(ポツダム宣言せんげんの受諾じゅだくに伴ともない発はっする命令めいれいに関かんする件けんに基もとづく町内ちょうない会かい部落ぶらく会かいその他たの行為こういの制限せいげんに関かんする件けん)をもって禁止きんし措置そちに踏ふみ切きったのである。それを受うけて、 6月30日にちには文部省もんぶしょうより各かく知事ちじ、直轄ちょっかつ学がく校長こうちょうあてに通牒つうちょう「学校がっこう後援こうえん会かい父兄ふけい会かい又またはこ れに類似るいじする団体だんたいに関かんする件けんが出だされている。通牒つうちょうの内容ないようは、政令せいれい第だい 15号ごうにより解散かいさんすべき団体だんたいのなかに、後援こうえん会かい、父兄ふけい会かいはふくまれないが、公おおやけ・教職きょうしょく追放ついほう者しゃがこれらの団体だんたいの長ちょうになっていることは適当てきとうではないとするものであった。

PTA全国ぜんこく実態じったい調査ちょうさの結果けっかからは、結成けっせいのプロセスが旧来きゅうらいの類似るいじ組織そしきから自動的じどうてきに切きり替かえられたものが多おおいことや、役員やくいん中ちゅうに顧問こもん、相談役そうだんやく、世話せわ役やく、参与さんよなどの役名やくめいを含ふくむといった組織そしき運営上うんえいじょうの問題もんだいが、地方ちほうPTAの多おおくに見みられることが明あきらかとなったのであった。

1952年ねん（昭和しょうわ27年ねん）10月がつ14日にち-16日にち、東京とうきょうで「日本にっぽん父母ちちははと先生せんせいの会かい全国ぜんこく団体だんたい結成けっせい大会たいかい」が開ひらかれ、PTAの全国ぜんこく団体だんたいが結成けっせいされた。

理念りねんと目的もくてき

保護ほご者しゃと教員きょういんが学まなびあうことで教養きょうようを高たかめ、成果せいかを家庭かてい・学校がっこう・地域ちいきに還元かんげんすること。児童じどう生徒せいとの健全けんぜんな発達はったつに寄与きよすること。

同時どうじに、民主みんしゅ的てきな方法ほうほうで運営うんえいするという設計せっけい思想しそうがあり、PTAは民主みんしゅ主義しゅぎの演習えんしゅうの場ばであるという側面そくめんを併あわせ持もつ。

寄付きふ金きんを集あつめたり、教職員きょうしょくいんを金銭きんせん的てきに支援しえんすることなどは、日本にっぽんのPTA設立せつりつ当時とうじ本来ほんらいの理念りねんにはなかった。戦後せんご復興ふっこうのため、やむなく行おこなわれた措置そちである。それゆえ、PTAの「後援こうえん会かい機能きのう」は「従したがえ」の位置いちに属ぞくする。この点てんは時代じだいを経へるにつれ、問題もんだい点てんが整理せいりされ、文部もんぶ科学かがく省しょうよりガイドラインが通知つうちされるに至いたった。

PTAの基本きほん

PTAは民みんである。官かんではなく、学校がっこうでもない。教育きょういくを本旨ほんしとした団体だんたいであり、営利えいりを目的もくてきとしてはいけない。

民主みんしゅ主義しゅぎの原則げんそくにのっとり、自みずからのあり方かたを自みずからで決定けっていしていく。発案はつあんは会員かいいんならだれでもよく、意思いし決定けっていの際さいには、合議ごうぎを尽つくしていくのが原則げんそくである。活動かつどうにあたっては、活動かつどう計画けいかく、予算よさん決算けっさん、新しん役員やくいん、規約きやく改正かいせい、議案ぎあんその他たの承認しょうにんを、年度ねんど初はじめの総会そうかいで行おこなうのが通常つうじょうである。運営うんえいにあたっては、コンプライアンスが求もとめられる。なお、コンプライアンスとは、ここでは「法律ほうりつや倫理りんりなどの要求ようきゅうに『従したがうこと』」とする。類似るいじ組織そしきに特定とくてい非ひ営利えいり活動かつどう法人ほうじん（NPO法人ほうじん）、生活協同組合せいかつきょうどうくみあいがある。

児童じどう・生徒せいとは会員かいいんではない。彼かれらはひとしく支援しえん対象たいしょうである。

PTAの法的ほうてき問題もんだいは通常つうじょう、PTA、学校がっこう、保護ほご者しゃ及および児童じどうの三さん当事とうじ者しゃの問題もんだいとなっている。PTAと学校がっこうとは別べつ団体だんたいであるため、公的こうてき機関きかんが私的してき団体だんたいを支援しえんするような構造こうぞうとなり、日本国にっぽんこく憲法けんぽうを始はじめ、個人こじん情報じょうほう保護ほごなどの公法こうほう上じょうの規定きていに服ふくする。PTAと保護ほご者しゃとは私人しじん同士どうしの関係かんけいにすぎないが、PTAが消費しょうひ者しゃ契約けいやく法ほう第だい2条じょう第だい2項こうの「その他たの団体だんたい」に該当がいとうするので、PTAによる加入かにゅうの勧誘かんゆうや、PTAが未み加入かにゅうの保護ほご者しゃとの間あいだで契約けいやくを締結ていけつする場合ばあいには消費しょうひ者しゃ契約けいやく法ほうが適用てきようされる。学校がっこうと保護ほご者しゃないしその保護ほご下かの生徒せいととは一般いっぱんの在学ざいがく関係かんけいにあり、学校がっこうがPTA会員かいいんの子供こどもと非ひ会員かいいんの子供こどもを差別さべつすることは、日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい14条じょう1項こうの平等びょうどう原則げんそくの問題もんだいになる。

公立こうりつの学校がっこう教育きょういくは、地方ちほう分権ぶんけん、教育きょういく分権ぶんけんにもとづくものである。地方ちほうによって財政ざいせい事情じじょう、教育きょういく委員いいん会かいの見解けんかい、学校がっこう長ちょうの見解けんかい、風土ふうど、住民じゅうみん気質きしつ等ひとしはことなるので、その特色とくしょくにより、PTAの活動かつどう内容ないようは左右さゆうされる。PTAは地域ちいき差さの大おおきいものである。

私立しりつ校こうのPTAでは保護ほご者しゃ・学校がっこう教職員きょうしょくいん・業務ぎょうむの質しつから希望きぼう者しゃが集あつまりやすい等とうの事情じじょうが異ことなる傾向けいこうがある。

法的ほうてき位置いちづけ

根拠こんきょ法ほう

PTAの結成けっせい・加入かにゅうを義務付ぎむづける法律ほうりつの規定きていは存在そんざいしない。通常つうじょうの単位たんいPTAには、法人ほうじん格かくはない。

日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい21条じょうにおいて、国民こくみんは誰だれしも自由じゆうに結社けっしゃをすることが保障ほしょうされている。このため、国民こくみんは誰だれでも希望きぼうすれば、「任意にんい加入かにゅうの団体だんたい」としてのPTAを結成けっせい・解散かいさんおよび参加さんか・脱退だったいすることができる。同どう条じょうにより、さらに、PTAは、PTA連合体れんごうたいに加盟かめい・脱退だったいすることができる。官公庁かんこうちょうに問とい合あわせるとPTAは社会しゃかい教育きょういく法ほうの第だい三さん章しょう「社会しゃかい教育きょういく関係かんけい団体だんたい」にあたるとの回答かいとうを得えられるが、同どう法ほうには「PTA」や旧称きゅうしょうである「父母ちちははと先生せんせいの会かい」という文字もじは存在そんざいしない。1948年ねんの社会しゃかい教育きょういく局長きょくちょう通牒つうちょう「地方ちほうにおける社会しゃかい教育きょういく団体だんたいの組織そしきについて」では、社会しゃかい教育きょういく関係かんけい団体だんたいへの官公庁かんこうちょうからのノー・サポート、ノーコントロールの原則げんそくが示しめされた。この原則げんそくは、1947年ねんに制定せいていされた社会しゃかい教育きょういく法ほうに取とり入いれられており、社会しゃかい教育きょういく関係かんけい団体だんたいとしてのPTAの活動かつどうの自主じしゅ性せいが確保かくほされている。

現行げんこうの社会しゃかい教育きょういく法ほう第だい2条じょうは「社会しゃかい教育きょういく」を「主しゅとして青少年せいしょうねん及および成人せいじんに対たいして行おこなわれる組織そしき的てきな教育きょういく活動かつどう（体育たいいく及およびレクリエーションの活動かつどうを含ふくむ。）をいう」と定義ていぎしており、同どう法ほう第だい44条じょう第だい1項こうは教育きょういく委員いいん会かいは「学校がっこう教育きょういく上じょう支障ししょうがないと認みとめる限かぎり、その管理かんりする学校がっこうの施設しせつを社会しゃかい教育きょういくのために利用りように供きょうするように努つとめなければならない」とするため、PTAが社会しゃかい教育きょういくを行おこなう団体だんたいである性格せいかくを維持いじする限かぎり、教育きょういく行政ぎょうせい上じょう優遇ゆうぐうされる。

現在げんざいでは、学校がっこうのPTA室しつを無償むしょうで確保かくほでき、学校がっこう諸しょ設備せつびを活動かつどうに使用しようできるのは、学校がっこう施設しせつ令れい第だい3条じょう第だい1項こう第だい2号ごうの許可きょかに基もとづくものである。同どう条じょう第だい2項こうにより許可きょかに当あたり「他たの法令ほうれいの規定きていに従したがわなければならない」とされ、ここでいう「他たの法令ほうれいの規定きてい」とは、最高裁判所さいこうさいばんしょ平成へいせい18年ねん2月がつ7日にち第だい三さん小しょう法廷ほうてい判決はんけつ（民みん集しゅう60巻かん2号ごう401頁ぺーじ[1]）により地方ちほう自治じち法ほう第だい238条じょうの4第だい4項こう（現行げんこう法ほうでは第だい7項こう）及および学校がっこう教育きょういく法ほう第だい85条じょう（現行げんこう法ほうでは第だい137条じょう）となる。学校がっこう教育きょういく法ほう第だい137条じょうで「社会しゃかい教育きょういくその他た公共こうきょうのため」と明文化めいぶんかされているため、PTAが社会しゃかい教育きょういくを行おこなわず公共こうきょう性せいを失うしなった場合ばあい、学校がっこう内ないで活動かつどうしたり施設しせつを無償むしょうで使用しようしたりする法的ほうてき根拠こんきょが失うしなわれる。

PTAが、ある保護ほご者しゃが入会にゅうかいしないことを理由りゆうに、その子こどもを「登校とうこう班はんに入いれない」「行事ぎょうじに参加さんかできない」「配布はいふ物ぶつをわたさない」などと差別さべつすることは、社会しゃかいに非難ひなんされるが、PTAが単たんなる私的してき団体だんたいであるから会員かいいんの子こどもと非ひ会員かいいんの子こどもを区別くべつすることは事実じじつ上じょう可能かのうである。特とくに学校がっこうの外そとで行おこなう活動かつどうについて、社会しゃかい教育きょういく法ほう第だい12条じょうは国こくや自治体じちたいに社会しゃかい教育きょういく関連かんれん団体だんたいの「事業じぎょうに干渉かんしょうを加くわえてはならない」と命令めいれいするため、学校がっこう側がわはPTAに対たいし指導しどうすることが禁きんじられる。しかし、PTAが学校がっこう教育きょういく法ほう第だい137条じょうの「社会しゃかい教育きょういくその他た公共こうきょうのため」の基準きじゅんに明白めいはくに充みたさなくなる場合ばあい、学校がっこう内ないでPTAが優遇ゆうぐうされる法的ほうてき根拠こんきょがなくなる。この場合ばあい、施設しせつ使用しようの許可きょかが撤回てっかいされうる。また、公共こうきょう性せいのないPTAによる学校がっこう施設しせつの無償むしょう利用りようは、地方自治体ちほうじちたいの違法いほうな財産ざいさん管理かんり行為こういとして住民じゅうみん訴訟そしょうで問とうことができる。PTAによる学校がっこう施設しせつの一時いちじ使用しよう（PTA室しつなど長期ちょうきの使用しように関かんする訴訟そしょうはまだない）をめぐる住民じゅうみん訴訟そしょうにおいて、教育きょういく委員いいん会かいによる一時いちじ使用しようの許可きょかの適否てきひを争あらそうことができず（訴うったえ却下きゃっか）、使用しよう料りょう減免げんめんの決定けっていの適否てきひのみを争あらそうことができる。（参考さんこうとなる判例はんれいは、杉並すぎなみ区立くりつ和田わだ中学校ちゅうがっこうの地域ちいき本部ほんぶに関かんする夜よるスぺ訴訟そしょうである。判例はんれいタイムズ1370号ごうに詳細しょうさいがある。）

規約きやく・細則さいそくの法的ほうてき位置いちづけ

「任意にんい加入かにゅうの団体だんたい」であるPTAが制定せいていする規約きやく・細則さいそくは、あくまで団体だんたい内部ないぶのみに通用つうようするルールである。

地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの制定せいていする子こどもの権利けんり条例じょうれいや、国際こくさい条約じょうやくである子こどもの権利けんり条約じょうやく等ひとしの理念りねんはルール策定さくていにおいて参考さんこうとなる。個人こじん情報じょうほう保護ほご法ほうについても考慮こうりょが必要ひつようとなる。

司法しほう判断はんだん

熊本くまもと県けんで、PTAを相手あいてにした裁判さいばんが2014年ねん初夏しょかに起おこされた（熊本くまもとPTA裁判さいばん）。原告げんこくは被告ひこくPTAに対たいして、同意どうい書しょや契約けいやく書しょなしに強制きょうせい加入かにゅうさせられたうえ退会たいかい届とどけが受理じゅりされなかったことを訴うったえ、会費かいひなどの損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめた。2016年ねん2月がつ25日にち、熊本くまもと地裁ちさいは原告げんこくの訴うったえを棄却ききゃく。民法みんぽうにおける「黙示もくしの承諾しょうだく」および「慣習かんしゅうの優先ゆうせん」により、入会にゅうかい届とどけなしでの「みなし入会にゅうかい」に違法いほう性せいはないとした。。原告げんこくは控訴こうそした。

2017年ねん2月がつ10日とおか、福岡ふくおか高裁こうさいにて熊本くまもとPTA裁判さいばんは和解わかいした。双方そうほうが合意ごういした和解わかい条項じょうこうには、下記かきがある。

• PTAが入にゅう退会たいかい自由じゆうな任意にんい団体だんたいであることを将来しょうらいにわたって保護ほご者しゃに十分じゅうぶんに周知しゅうちすること。
• 保護ほご者しゃがそうと知しらないまま入会にゅうかいさせられたり退会たいかいを不当ふとうに妨さまたげられたりしないようPTA側がわが努つとめること。

「和解わかい」はあくまでも当事とうじ者しゃ間あいだの合意ごういであって、第三者だいさんしゃに強制きょうせい力りょくを及およぼしうる「判例はんれい」とは明確めいかくに区別くべつされるべきである。 当該とうがい和解わかい条項じょうこうを自発じはつ的てきに取とり入いれることは自由じゆうであるが、当とう和解わかい条項じょうこうを根拠こんきょにした第三者だいさんしゃからの団体だんたいへの強制きょうせいがなされてはならない。
結果けっか的てきに訴訟そしょうが取とり下さげられたため、判例はんれいとはならなかったが、地裁ちさい判決はんけつの論旨ろんしを踏ふまえれば、現行げんこう法ほうの解釈かいしゃく上じょう、明文化めいぶんかされた入会にゅうかい届とどけが準備じゅんびされる必要ひつようはない。（ただし、それが入会にゅうかいを強制きょうせいできる権利けんりを単位たんいPTAに与あたえるものではないことは留意りゅういが必要ひつよう）

個人こじん情報じょうほう保護ほご法ほうとPTA

2017年ねん5月がつ30日にち、改正かいせい個人こじん情報じょうほう保護ほご法ほう（2016年ねん12月がつ20日はつかに閣議かくぎ決定けっていされた）が全面ぜんめん施行しこうされた。改正かいせい法ほうの施行しこうにより、PTAも個人こじん情報じょうほう保護ほご法ほうのルールに沿そった個人こじん情報じょうほうの取扱とりあつかいが求もとめられることとなった。2020年ねんに、同どう法ほうはさらに改正かいせい・施行しこうされている。

PTAが個人こじん情報じょうほうを扱あつかう際さいに守まもるべきポイントはいくつもあるが、代表だいひょう的てきなものを次つぎにあげる。個人こじん情報じょうほうの利用りよう目的もくてきを明確めいかくにする。個人こじん情報じょうほうを取得しゅとくする際さいは、利用りよう目的もくてきを本人ほんにんに知しらせる。偽いつわりその他た不正ふせいな手段しゅだんによって個人こじん情報じょうほうを取得しゅとくしてはならない。病歴びょうれき等とうの要よう配慮はいりょ個人こじん情報じょうほうを収集しゅうしゅうしてはならない。個人こじん情報じょうほうを本人ほんにんの同意どういを得えないで第三者だいさんしゃに提供ていきょうしてはならない。個人こじん情報じょうほうを第三者だいさんしゃに提供ていきょうするときは、記録きろくを厳密げんみつにつける。

組織そしき

単位たんいPTA

日本にっぽんでは、単位たんいPTAと呼よばれる学校がっこう単位たんいでのPTA活動かつどうが基本きほんである。

会員かいいん

PTA（親おやと先生せんせいの会かい）という名称めいしょう通どおり、会かいの事務じむ局きょくを置おく学校がっこうに児童じどう生徒せいとを通学つうがくさせる親おや（保護ほご者しゃ）と教師きょうしが会員かいいんである。また、地域ちいきの人ひとが会員かいいんになるケースがある。これについては、所属しょぞくするPTAの規約きやくを各自かくじで参照さんしょうされたい。

児童じどう生徒せいとは、会員かいいんではない。

PTA連合体れんごうたい

単位たんいPTAのうち、学区がっく内ないのPTAがある単位たんいごとに組織そしきされ、市区しく町村ちょうそん単位たんいのPTA連合体れんごうたいを形成けいせいする。オブザーバーとして教育きょういく委員いいん会かいがつくようである。

市区しく町村ちょうそん単位たんいのPTA連合れんごうが組織そしきされ、都道府県とどうふけんのPTA連合れんごう（協議きょうぎ会かいとも称しょうする）を形成けいせいする。東京とうきょう都とのように、加入かにゅう率りつが30%前後ぜんごのPTA連合れんごうもある。

日本にっぽんには、小・中学校しょうちゅうがっこうを対象たいしょうとした全国ぜんこく組織そしきの公益社こうえきしゃ団だん法人ほうじん日本にっぽんPTA全国ぜんこく協議きょうぎ会かい（通称つうしょう、日にちP）が存在そんざいし、北海道ほっかいどう、東北とうほく、東京とうきょう、関東かんとう、東海とうかい・北陸ほくりく、近畿きんき、中国ちゅうごく、四国しこく、九州きゅうしゅうの9つのブロックに分わかれている。なお、政令市せいれいしの中なかには、都道府県とどうふけん単位たんいのPTA連合れんごうには属ぞくさずに、直接ちょくせつ、日にちPに属ぞくするものもある。しかしすべてのPTAが日ひPに属ぞくしているわけではない。日ひPに属ぞくさず独立どくりつして活動かつどうしていてもPTAを名乗なのりれる点てんが、アメリカ組織そしきとの違ちがいである。

また、高等こうとう学校がっこうを対象たいしょうとした組織そしきとして、一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん全国ぜんこく高等こうとう学校がっこうPTA連合れんごう会かい（通称つうしょう、高こうP連れん）が存在そんざいしている。

なお、国立こくりつ学校がっこう、私立しりつ学校がっこうは、独自どくじのPTAを組織そしきしている模様もようである。PTAとは称しょうさず、「○○の会かい」や「○○校こう保護ほご者しゃの会かい」といった名称めいしょうのところがあり、公立こうりつ学校がっこうのPTAとは一線いっせんを画かくす活動かつどう内容ないようであるそうだ。国立こくりつ学校がっこうの全国ぜんこく組織そしきとして一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん全国ぜんこく国立こくりつ大学だいがく附属ふぞく学校がっこうPTA連合れんごう会かい、私立しりつ学校がっこうの全国ぜんこく組織そしきとして日本にっぽん私立しりつ小学校しょうがっこう中学校ちゅうがっこう高等こうとう学校がっこう保護ほご者しゃ会かい連合れんごう会かいが存在そんざいしている。

地方ちほう行政ぎょうせいによるPTAの位置いちづけ例れい

世田谷せたがや区くのように、PTAを家庭かてい教育きょういくへの支援しえんと位置いちづけ、教育きょういく委員いいん会かいが委託いたく金きんを各かくPTAへ渡わたして最低さいていでも年とし4回かいの研修けんしゅう会かいを開催かいさいさせたり、区くのPTA連合体れんごうたいで研修けんしゅうを設もうける自治体じちたいがある。

なお、杉並すぎなみ区立くりつ和田わだ中学校ちゅうがっこう（藤原ふじわら和博かずひろ、代田しろた昭久あきひさ）のように、公立こうりつ学校がっこうでPTA自体じたいを廃止はいしし、地域ちいきのボランティアの住民じゅうみんでつくる「地域ちいき本部ほんぶ」に統合とうごうしようとする動うごきがある。

活動かつどう例れい

PTAを本来ほんらいのボランティア・生涯しょうがい学習がくしゅう団体だんたい（社会しゃかい教育きょういく関係かんけい団体だんたい）として捉とらえ直なおし、サークル活動かつどうや、固定こていした定員ていいんを設もうけず参加さんか希望きぼう者しゃだけで活動かつどうする委員いいん会かい（委員いいん会かいとは呼よばず、広報こうほうボランティア、家庭かてい教育きょういくボランティアなどと称しょうする）での活動かつどうを、中心ちゅうしんに据すえるようになった単位たんいPTAが存在そんざいする。

近年きんねんの傾向けいこう

近年きんねんの傾向けいこうとしては、PTAが本当ほんとうに必要ひつようかどうか、あるいは、PTAのあり方かたを整理せいりすべきでは、という議論ぎろんが起おこっている。

2007年ねんより、PTAが本来ほんらい、自由じゆうに入にゅう退会たいかいできる任意にんい加入かにゅうの団体だんたいであることを周知しゅうち徹底てっていすることで、会かいの正常せいじょう化かをはかるべきとの声こえも聞きかれるようになった。

2008年ねん（平成へいせい20年ねん）から現在げんざいに掛かけて、インターネットでのPTAに関かんする議論ぎろんが充実じゅうじつしてきている。

2010年ねん8月がつ7日にち、有志ゆうしが東京大学とうきょうだいがく福武ふくたけホールでシンポジウムを開ひらいている。登壇とうだん者しゃは川端かわばた裕人ひろと、岸きし 裕司ゆうじ、寺脇てらわき研けん、吉田よしだ博彦ひろひこ。

報道ほうどう関係かんけいでは2012年ねん（平成へいせい24年ねん）に入はいり、PTA問題もんだいを体系たいけい的てきに取とり上あげる新聞しんぶん社しゃが出でている。2015年ねん、社会しゃかい問題もんだいを読者どくしゃと一緒いっしょに議論ぎろんする場ばを朝日新聞あさひしんぶん紙面しめんと公式こうしきサイト上うえに設もうけ、PTAをテーマに据すえる記事きじが出でた。このウェブアンケート結果けっかは公開こうかいされており、個人こじんのPTAに関かんする考かんがえを属性ぞくせい別べつに閲覧えつらんすることができる。同年どうねん春はる以降いこう、PTA報道ほうどうが多数たすう取とり上あげられており、春はるの風物詩ふうぶつしとなりつつある。

2016年ねん（平成へいせい28年ねん）3月がつ25日にち、総理そうり大臣だいじん官邸かんていで開ひらかれた「1億おく総そう活躍かつやく国民こくみん会議かいぎ」にて、民間みんかん議員ぎいんとして出席しゅっせきしたタレントの菊池きくち桃子ももこが、働はたらく女性じょせいにとって「PTA活動かつどうが負担ふたんである」ことと「PTAの任意にんい性せいの意味いみ」について発言はつげんした。

2018年ねん（平成へいせい30年ねん）10月がつ27日にち、サイボウズBARにて、有志ゆうしがPTA退会たいかい問題もんだいについて考かんがえるイベント「やめたらどうなるPTA？【PTAを自由じゆうに考かんがえる】」を開催かいさいした。登壇とうだん者しゃは木村きむら草くさ太ふとし、加藤かとう薫かおる、大塚おおつか玲子れいこ。開催かいさい報告ほうこくはYahoo!Japanより閲覧えつらんできる。

2019年ねん5月がつ18日にち、PTA問題もんだいを取材しゅざいしている新聞しんぶん各社かくしゃと保護ほご者しゃで組織そしきされた実行じっこう委員いいん会かいが主催しゅさいし、朝日新聞あさひしんぶん読者どくしゃホールにて「PTAフォーラム　～取とり戻もどそう、自分じぶんたちの手てに～」が開催かいさいされた。第だい一部いちぶのパネルディスカッションは、越田こしだ謙治けんじ郎ろう（兵庫ひょうご県けん川西かわにし市長しちょう）・福本ふくもと靖やすし（神戸こうべ市立しりつ桃山台ももやまだい中ちゅう校長こうちょう）・石原いしはら慎子しんこが登壇とうだん。第だい二に部ぶは、参加さんか者しゃ同士どうしの意見いけん交換こうかんおよび木村きむら草くさ太ふとし・首都しゅと大学だいがく東京とうきょう教授きょうじゅへの質疑しつぎ応答おうとうが行おこなわれた。当とうフォーラムは、2019年ねん8月がつ24日にちに神戸こうべ市しで第だい2回かい目めが開催かいさいされた。登壇とうだん者しゃは岩いわ竹ちく美加子みかこ（ヘルシンキ大学だいがく非常勤ひじょうきん教授きょうじゅ）、今関いまぜき明子あきこ（元もとPTA会長かいちょう）。2020年ねん2月がつには熊本くまもと市しでも桜井さくらい智恵子ちえこ(関西学院大かんせいがくいんだい教授きょうじゅ)・遠藤えんどう洋ひろし路ろ（熊本くまもと市し教育きょういく長ちょう）・松島まつしま雄一郎ゆういちろう（同市どうしPTA協議きょうぎ会かい会長かいちょう）が登壇とうだんして開催かいさいする予定よていであったが、新型しんがたコロナウイルスの拡大かくだいを受うけ開催かいさい延期えんきとなった。

負担ふたんとなるPTA活動かつどうの一部いちぶを代行だいこうする民間みんかん企業きぎょうも登場とうじょうしている。

行政ぎょうせいの対応たいおう

教育きょういく支援しえん協会きょうかいシンポジウム

2010年ねん2月がつ11日にち、NPO法人ほうじん教育きょういく支援しえん協会きょうかいが文部もんぶ科学かがく省しょう委託いたく事業じぎょうの一環いっかんとして開催かいさいしたシンポジウムで、PTAのあり方かたが議論ぎろんされた。この席せきで元もと文科ぶんか省しょう官僚かんりょう寺脇てらわき研けんにより、PTAは任意にんいということが明言めいげんされ、文科ぶんか省しょう官僚かんりょうにより教育きょういく委員いいん会かいと校長こうちょうに対たいしてPTAは任意にんい加入かにゅうだということを広ひろめる約束やくそくがされた。このときの様子ようすは新聞しんぶん報道ほうどうされた。

「10年ねんくらい前まえまでだったら、文部省もんぶしょうに問とい合あわせがあったら、任意にんいであるとは言いわない。私わたしが初はじめてそれを言いった。（中略ちゅうりゃく）日本にっぽんPTA全国ぜんこく協議きょうぎ会かいももちろん言いわない。だって会費かいひ収入しゅうにゅうで成なり立たっているのだから、できるだけ入はいってもらおうと思おもっている。」（寺脇てらわき、p41）

「任意にんいか任意にんいでないかといえば任意にんいだという事実じじつがあるわけだから、地球ちきゅうが回まわっているとか１+１が２だと同おなじこと」（寺脇てらわき、p41）
「強制きょうせいのないところにはボランティアが花はな咲さく」（川端かわばた、p43）
「今いまの一番いちばんの問題もんだいは強制きょうせい、義務ぎむにボランティアの花はなは咲さかないっていうのは世界せかい共通きょうつう」（吉田よしだ、p44）

「文科ぶんか省しょうとしては少すくなくとも教育きょういく委員いいん会かいの職員しょくいんと校長こうちょうに対たいしては、PTAは任意にんい加入かにゅうだということをきっちり広ひろめるために一いち歩ほでも二に歩ほでも努力どりょくしたいと思おもいます。」（神代かみよ、p58）

文部もんぶ科学かがく省しょう 事務じむ連絡れんらく

これをうけ、2010年ねん4月がつ26日にちに、PTAが任意にんい加入かにゅうの団体だんたいであることを前提ぜんていに優良ゆうりょうPTAの推薦すいせんにあたるよう、各かく都道府県とどうふけん教育きょういく委員いいん会かい宛あてに文科ぶんか省しょうから事務じむ連絡れんらくがなされた。

日本にっぽんPTA全国ぜんこく研究けんきゅう大会たいかい京都きょうと大会たいかい 大臣だいじん祝辞しゅくじ

2012年ねん8月がつ、第だい60回かい日本にっぽんPTA全国ぜんこく研究けんきゅう大会たいかい 京都きょうと大会たいかいにおいて、文部もんぶ科学かがく大臣だいじん平野ひらの博文ひろぶみが私費しひ会計かいけいのあり方かたについて祝辞しゅくじの中なかで以下いかのように言及げんきゅうした。

教員きょういんが教育きょういく委員いいん会かいの許可きょか無なく皆様みなさま方かたであるPTA等とうをはじめとした学校がっこう関係かんけい団体だんたいが主催しゅさいする補習ほしゅう等とうの活動かつどうにおいて報酬ほうしゅうを受うけていた事案じあんや、学校がっこう関係かんけい団体だんたいからなされた寄付きふ等とうに関かんし法令ほうれい上じょうの疑義ぎぎを生しょうじさせる事案じあん等とうが指摘してきされており、5月9日にちに教育きょういく委員いいん会かいに対たいして通知つうちを発出はっしゅつしたところです。教育きょういく委員いいん会かいの問題もんだいではありますが、長ながい慣例かんれい・慣行かんこうがあったとしても、社会しゃかい通念つうねん上じょう、許ゆるされないことは、今いまの時代じだいは認みとめられません。PTAにおかれましても、会費かいひの執行しっこうについては、しっかりとした対応たいおうをお願ねがいいたします。

大分おおいた県けん杵築きづき市し教育きょういく委員いいん会かい 通達つうたつ

2014年ねん7月がつ14日にち、大分おおいた県けん杵築きづき市し教育きょういく委員いいん会かいが各かく園えん・小・中学校しょうちゅうがっこう長ちょう宛あてに「PTAへの入会にゅうかいの意思いし確認かくにん及および個人こじん情報じょうほうの提供ていきょうについて（依頼いらい）」という通達つうたつを出だした。これは一いち自治体じちたいの見解けんかいに過すぎない。

• PTAは、任意にんい団体だんたいでありますので、入会にゅうかいについては、本人ほんにんにその意思いしがあるかを確認かくにんする必要ひつようがあります。これまで入会にゅうかいの意思いし確認かくにんを行おこなっていなかったPTAには、適切てきせつな意思いし確認かくにんを行おこなうよう申もうし入いれ等とうをお願ねがいます。
• PTAは学校がっこうと緊密きんみつな協力きょうりょく関係かんけいにあるものの、学校がっこうとは別べつの組織そしきでありますので、個人こじん情報じょうほうの保護ほごに関かんする法律ほうりつ上じょうは、PTAの個人こじん情報じょうほうの提供ていきょうに関かんしては、第三者だいさんしゃ提供ていきょうにあたると解ほぐされます。そこで、学校がっこうがPTAに対たいして児童じどう生徒せいとやその保護ほご者しゃの個人こじん情報じょうほうを提供ていきょうする場合ばあいは、あらかじめ第三者だいさんしゃ提供ていきょうに係かかる本人ほんにんの同意どういが必要ひつようとなります。今後こんご、PTAに対たいし個人こじん情報じょうほうの第三者だいさんしゃ提供ていきょうを行おこなう場合ばあいには、本人ほんにんの同意どういを得えるようお願ねがいします。

滋賀しが県けん大津おおつ市し教育きょういく委員いいん会かい 事務じむ連絡れんらく

2016年ねん5月24日にち、滋賀しが県けん大津おおつ市し教育きょういく委員いいん会かいが、同どう委員いいん会かい校こう園長えんちょう会かいで、学校がっこう園長えんちょう向むけに事務じむ連絡れんらくを出だした。下記かきは抜粋ばっすいである。(１）においては事務じむ委任いにん契約けいやく書しょのひな形がたが提示ていじされ、(４）においてはPTA会費かいひ徴収ちょうしゅうは入会にゅうかい意思いしの確認かくにんをしたうえでおこなうよう指針ししんがでた。

• （PTAは）公的こうてき機関きかんである学校がっこう園えんからは独立どくりつした任意にんいの団体だんたいであることから、現行げんこうの学校がっこう園えんとPTA組織そしきとの関かかわり方かたについては課題かだいがあると認識にんしきしています。
• (１）PTA事務じむの委任いにんについて

PTA会費かいひの集金しゅうきんや預金よきん通帳つうちょう等とうの保管ほかん等とう、PTAに関かんする事務じむを学校がっこう園えんが行おこなう場合ばあい、学校がっこう園えんは外部がいぶの任意にんい団体だんたいであるPTAの代理人だいりにんとなりますので、代理人だいりにんとして付与ふよされる権限けんげんとその範囲はんいを委任いにん契約けいやく書しょ等とうで規定きていする必要ひつようがあります。

• (２）PTA会費かいひを学校がっこう徴収ちょうしゅう金きんと合あわせて徴収ちょうしゅうすることについて

事務じむの効率こうりつ化かや経費けいひ節減せつげんの観点かんてんから、PTA会費かいひを学校がっこう徴収ちょうしゅう金きんと合あわせて徴収ちょうしゅうする場合ばあいにおいては、PTA会費かいひの徴収ちょうしゅうは代理だいり行為こういであることを保護ほご者しゃに対たいして明確めいかくにする必要ひつようがあります。

• (３）保有ほゆう個人こじん情報じょうほうの取扱とりあつかいについて

大津おおつ市し個人こじん情報じょうほう保護ほご条例じょうれい第だい12条じょう1項こうにより、教育きょういく委員いいん会かい（学校がっこう）は利用りよう目的もくてき以外いがいの目的もくてきのために保有ほゆう個人こじん情報じょうほうを利用りよう及および提供ていきょうしてはならないとされており、PTAに対たいして児童じどう生徒せいと名簿めいぼ等とうの保有ほゆう個人こじん情報じょうほうを提供ていきょうすることは、条例じょうれい違反いはんとなる可能かのう性せいがあります。 また、同どう条例じょうれい第だい12条じょう第だい2項こうでは例外れいがい規定きていとして本人ほんにんの同意どういがある場合ばあいは提供ていきょうが認みとめられています。（中略ちゅうりゃく） PTAに対たいして名簿めいぼ等とうの保有ほゆう個人こじん情報じょうほうを直接ちょくせつ提供ていきょうされている学校がっこう園えんにおかれましては、保護ほご者しゃからの提出ていしゅつ文書ぶんしょに同意どうい規定きていを記載きさいする等ひとし、保有ほゆう個人こじん情報じょうほうの保護ほごに関かんし必要ひつような措置そちについてご検討けんとういただきますようお願ねがいします。

• (４）PTA加入かにゅうの任意にんい性せいについて

PTAは児童じどう生徒せいとの健全けんぜんな育成いくせいを図はかることを目的もくてきに自主じしゅ的てきに活動かつどうする任意にんい団体だんたいですが、PTA会費かいひの徴収ちょうしゅうの前提ぜんていとしてPTAへの入会にゅうかいが必要ひつようになります。（中略ちゅうりゃく）PTA活動かつどうの意義いぎや内容ないようなどを十分じゅうぶんに説明せつめいすることで入会にゅうかいへの意欲いよくを高たかめ、入会にゅうかいの意思いしを確認かくにんした上うえで会費かいひが徴収ちょうしゅうされるよう、PTAに対たいして助言じょげんをお願ねがいします。

愛知あいち県けん刈谷かりや市しウェブサイト

2017年ねん1月がつ31日にち、愛知あいち県けん刈谷かりや市しが、同市どうしウェブサイトでPTA加入かにゅうの任意にんい性せいと個人こじん情報じょうほうの扱あつかいについて見解けんかいを出だした。

• PTAは、任意にんい加入かにゅうですか。

PTAは、任意にんい加入かにゅうの社会しゃかい教育きょういく関係かんけい団体だんたいです。会員かいいんの自由じゆうな意思いしにより自主じしゅ的てきに運営うんえいされています。会員かいいんによるボランティア及および会費かいひ等とうで運営うんえいをしているため、PTA活動かつどうに、ご理解りかい、ご協力きょうりょくをお願ねがいいたします。

• 学校がっこうが保管ほかんしている保護ほご者しゃ等とうの情報じょうほうを、PTAで利用りようしていますか。

PTAで利り活用かつようするため、学校がっこうが保管ほかんしている保護ほご者しゃ等とうの情報じょうほうをPTAへ提供ていきょうすることはありません。必要ひつような情報じょうほうはPTAで収集しゅうしゅう管理かんりするべきと考かんがえています。

埼玉さいたま県けん教育きょういく委員いいん会かい 通知つうち

2017年ねん1月がつ、埼玉さいたま県けん教育きょういく委員いいん会かいが、「PTA活動かつどうを円滑えんかつに推進すいしんするための留意りゅうい事項じこうについて」という通知つうちを県内けんないの小中学しょうちゅうがく校長こうちょう宛あてに出だした。同どう教委きょういでは、PTAの関連かんれん法規ほうきを、結社けっしゃの自由じゆうを保障ほしょうする日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい21条じょうとしている。下記かきはチェックリスト４項目こうもくの見出みだし等とうである。なお、同どう通知つうちにはチェックリストの各かく項目こうもくに詳細しょうさいな解説かいせつがついている。

「国民こくみんは誰だれでも希望きぼうすれば、『任意にんい加入かにゅうの団体だんたい』としてのＰＴＡを結成けっせい・解散かいさん及および参加さんか・脱退だったいすることができる」（日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい21条じょうのPTAへの解釈かいしゃく）

• 入会にゅうかいは任意にんいであることを保護ほご者しゃに周知しゅうちしている
• 加入かにゅう方法ほうほうや会費かいひの徴収ちょうしゅう方法ほうほう等とうを事前じぜんに周知しゅうちしている
• 会員かいいんではない保護ほご者しゃの児童じどう生徒せいとに対たいしても教育きょういく的てき配慮はいりょをしている
• 役員やくいん選定せんていの方法ほうほうを事前じぜんに説明せつめいし、各かく保護ほご者しゃの事情じじょうに十分じゅうぶんに配慮はいりょしている

熊本くまもと県けん熊本くまもと市し教育きょういく長ちょう 通知つうち

2018年ねん3月23日にち、熊本くまもと県けん熊本くまもと市し教育きょういく長ちょう遠藤えんどう洋ひろし路ろが、「学校がっこうにおけるPTA加入かにゅう世帯せたい・非ひ加入かにゅう世帯せたいへの対応たいおうについて（通知つうち）」を市内しないの小中学しょうちゅうがく校長こうちょうあてに出だした。通知つうちの写うつしは教育きょういく長ちょうツイッター参照さんしょう。これにより、PTA非ひ加入かにゅう世帯せたいの児童じどう生徒せいとへの差別さべつ撤廃てっぱいが示しめされた。

詳細しょうさいは「#非ひ会員かいいんの子こどもの差別さべつ問題もんだい」を参照さんしょう

• 保護ほご者しゃの加入かにゅうの有無うむに関係かんけいなく児童じどう生徒せいとへは平等びょうどうに対応たいおうする
• PTAからの依頼いらいについては、全ぜん児童じどう生徒せいとが対象たいしょうとなる場合ばあいのみ対応たいおうする
• 学校がっこうからPTAへ依頼いらいする場合ばあいにも、全ぜん児童じどう生徒せいとが対象たいしょうとなる場合ばあいのみ依頼いらいする

滋賀しが県けん大津おおつ市し教育きょういく委員いいん会かい PTA運営うんえいの手引てびき

2018年ねん10月がつ、滋賀しが県けん大津おおつ市し教育きょういく委員いいん会かいが、「学校がっこう園えん管理かんり者しゃのための PTA運営うんえいの手引てびき～誰だれもが参加さんかしやすいPTA活動かつどうをめざして～」を市内しないの公立こうりつ小中学しょうちゅうがく校長こうちょう・幼稚園ようちえん長ちょう向むけに配布はいふした。。「PTA運営うんえいの手引てびき」全文ぜんぶんは外部がいぶ参照さんしょう。 手引てびきでは、PTAの課題かだいを7項目こうもくに分類ぶんるいし、各かく項目こうもくで概要がいよう・現時点げんじてんでの対応たいおう・学校がっこう園えん側がわのリスク・想定そうていされる対応たいおう策さく等とうを明快めいかいに記述きじゅつしている。さらに、想定そうていされる対応たいおう策さくでは具体ぐたい例れいをレベル3～0・レベル▲（マイナス）に分類ぶんるいし、解説かいせつしている。

＜PTAの課題かだい例れい＞

• 強制きょうせい加入かにゅうの問題もんだい
• 役員やくいんの強制きょうせいの問題もんだい
• 非ひ効率こうりつかつ無駄むだな作業さぎょうの多おおさの問題もんだい
• 個人こじん情報じょうほうの問題もんだい
• 会費かいひの学校がっこう園えん徴収ちょうしゅう金きんとの引ひき落おとしの問題もんだい
• 会費かいひ使途しと不透明ふとうめいの問題もんだい
• その他たの問題もんだい（PTAの未み加入かにゅう者しゃの子こどもへの教育きょういく的てき配慮はいりょ、PTAの必要ひつよう性せいの説明せつめい）

＜会費かいひ使途しと不透明ふとうめいの問題もんだい：想定そうていされる対応たいおう策さく＞

• レベル2：必要ひつような予算よさんは市しで確保かくほ
• レベル1：ルールに基もとづいた事務じむ手続てつづき
• レベル0：学校がっこう園えんがPTAに依頼いらい
• レベル▲：寄付きふなどの手続てつづきの不備ふび

「PTA問題もんだい」

PTAは任意にんいで結成けっせいし解散かいさんでき、参加さんか・脱退だったいは個人こじんの意思いしに任まかされる団体だんたいのはずである。つまり、PTA活動かつどうは義務ぎむではない。しかし、これがあたかも義務ぎむであるかのような誤解ごかいがある。2015年ねん4月がつ-5月に行おこなわれた朝日新聞あさひしんぶんアンケートにおいて、「PTAに改善かいぜんしてほしいところは？」の設問せつもんの回答かいとう「全員ぜんいん加入かにゅうが当あたり前まえのこと」が、43.2%に上のぼっている（複数ふくすう回答かいとう可か、母はは数すう2104回かい答こたえ）。

強制きょうせい加入かにゅう（自動じどう加入かにゅう）の問題もんだい

PTAが任意にんい加入かにゅうの団体だんたいであることは、報道ほうどう等とうにより近年きんねん周知しゅうちされてきた。しかしながら、大だい多数たすうのPTAにおいて、保護ほご者しゃ・教員きょういんは子こどもの入学にゅうがく・赴任ふにんと同時どうじに書面しょめん等とうによる意思いし確認かくにんなくPTA会員かいいんにさせられる問題もんだいがある。これを強制きょうせい加入かにゅうの問題もんだい、あるいは自動じどう加入かにゅうの問題もんだいと呼よぶ。組織そしき学者がくしゃの太田おおた肇はじめは「民主みんしゅ化かの三さん原則げんそく」として、「自由じゆう参加さんかの原則げんそく」「最小さいしょう負担ふたんの原則げんそく」「選択せんたくの原則げんそく」を掲かかげている。

非ひ会員かいいんの子こどもの差別さべつ問題もんだい

保護ほご者しゃ会員かいいんと、その子こどもは別べつ人格じんかくである。児童じどう生徒せいとが、親おやの地位ちい・活動かつどう・思想しそう信条しんじょうや人種じんしゅ等とうからくるあらゆる差別さべつから守まもられることは、児童じどうの権利けんりに関かんする条約じょうやく（子こどもの権利けんり条約じょうやく）第だい2条じょうに明記めいきされている。

登校とうこう班はん差別さべつ

PTAを退会たいかいした保護ほご者しゃの子こどもが、登校とうこう班はんから排除はいじょされるという問題もんだいが起おきている。登校とうこう班はん編成へんせいや運用うんようは、本来ほんらい学校がっこうの管轄かんかつであるが、PTAや地域ちいきの育成いくせい会かい・子こども会かいが担になうケースがある。

卒業そつぎょう記念きねん品等ひんとうの差別さべつ（まんじゅうプロブレム）

大阪おおさか府ふ堺さかい市し内うちの中高なかだか一貫いっかんの私立しりつ学校がっこうにおいて、ある生徒せいとが、親おやが保護ほご者しゃ会かいを退会たいかいしたことを理由りゆうに、中学校ちゅうがっこうの卒業そつぎょう式しきでコサージュが貰もらえなかった事例じれいがある。同どう事例じれいでは他ほかにもマラソン大会たいかいの差さし入いれや特別とくべつ給食きゅうしょくが、保護ほご者しゃ会かいから支給しきゅうされなかったという。両親りょうしんは「人格じんかく権けんを侵害しんがいされた」として保護ほご者しゃ会かいと学校がっこうの理事りじ長ちょうを相手取あいてどり訴訟そしょうを起おこしたが、2017年ねん8月がつに訴うったえが退しりぞけられている。

活動かつどうの強制きょうせい、役員やくいん・委員いいんの選出せんしゅつ問題もんだい

PTA役員やくいん・委員いいんの活動かつどうは平日へいじつ昼間ひるまに行おこなうことが多おおい。このために、ひとり親おや、共働ともばたらき、乳幼児にゅうようじ育児いくじ中ちゅう、親族しんぞくの介護かいご・看護かんご中ちゅう、病気びょうき療養りょうよう中ちゅうなどの会員かいいんは出席しゅっせきが難むずかしく、活動かつどうを敬遠けいえんしがちとなる。離婚りこん率りつ、共働ともばたらき家庭かてい、核かく家族かぞくの増加ぞうか、少子しょうし高齢こうれい化か社会しゃかいへの変化へんかに伴ともない、この様ような会員かいいんが増ふえた結果けっか、役員やくいん・委員いいんのなり手てが居いないために、例たとえば「毎年まいとし、１世帯せたい１役割やくわり制せい」といった学校がっこう独自どくじのルールを設もうけたり、くじ引びきやじゃんけんで選出せんしゅつし役員やくいん・委員いいんを割わり当あてるケースも少すくなくない。

免除めんじょの儀式ぎしき

役員やくいん・委員いいん選出せんしゅつに当あたり、着任ちゃくにん免除めんじょの理由りゆうとして、「闘病とうびょう中ちゅう」「シングル家庭かていで家計かけいを支ささえている」等とうのセンシティブな家庭かてい事情じじょうをクラスの保護ほご者しゃたちの前まえで公言こうげんさせ、場ばにいる保護ほご者しゃの採決さいけつを図はかる事例じれいがある。会員かいいんに守秘しゅひ義務ぎむが設定せっていされない組織そしきでは、これにより家庭かてい事情じじょうのうわさが回まわり、プライバシー権けん侵害しんがいの恐おそれがある。

名簿めいぼ流用りゅうよう問題もんだい

大抵たいていの場合ばあい、会員かいいん名簿めいぼは、学校がっこうから提供ていきょうされた児童じどう名簿めいぼを充あてている。法律ほうりつ上じょうでは非ひ会員かいいん保護ほご者しゃの同意どうい無なしに個人こじん情報じょうほうを第三者だいさんしゃに提供ていきょうしてはいないという判例はんれいが出だされている。また2021年ねんには、名簿めいぼの無断むだん提供ていきょうを行おこなった校長こうちょうが刑事けいじ告発こくはつされた事例じれいがある。

財政ざいせい的てきな問題もんだい

PTAが会費かいひや事業じぎょう収入しゅうにゅう等とうを学校がっこうへ寄付きふする問題もんだいがある。その背景はいけい要因よういんとして、戦後せんごの貧まずしい予算よさん、また現在げんざいはOECD諸しょ外国がいこくより低ひくい教育きょういく予算よさんを補完ほかんするために、金銭きんせん的てきまたは人的じんてき支援しえんが暗あんに求もとめられてきた（前述ぜんじゅつ『PTA読本とくほん』）。

私費しひ会計かいけいであるPTA会費かいひを学校がっこう運営うんえいに流用りゅうようすることは、法令ほうれいで保障ほしょうされた「教育きょういくの機会きかい均等きんとうと義務ぎむ教育きょういく費ひ負担ふたんの原則げんそく」を害がいする。このため、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後こうは、PTAが教員きょういんの給金きゅうきんを補填ほてんしていた時代じだいもあった（前述ぜんじゅつ『PTA読本とくほん』）が、徐々じょじょに是正ぜせいされ、自治体じちたいによっては「義務ぎむ教育きょういくにおける私費しひ負担ふたんの解消かいしょうについて」という指針ししんを通達つうたつし、改善かいぜんされたところがある。しかしその一方いっぽうで、依然いぜんとして、PTA会費かいひを学校がっこう運営うんえいに流用りゅうようする自治体じちたいがあり、2012年ねん（平成へいせい24年ねん）5月がつ9日にちに、文部もんぶ科学かがく省しょうが実態じったい調査ちょうさに乗のり出だしている。

PTA会費かいひの法律ほうりつ規定きてい外がい寄付きふ問題もんだい

2012年ねん、公立こうりつ学校がっこうにおいてPTA会費かいひが流用りゅうようされ、教職員きょうしょくいんの人件じんけん費ひや校舎こうしゃの修繕しゅうぜん費ひなどに流用りゅうようされている実態じったいが明あかるみに出でた。

2012年ねん5月がつ9日にち、文部もんぶ科学かがく省しょうがこの流用りゅうよう問題もんだいについて調査ちょうさを開始かいしした。2013年ねん1月がつ29日にち現在げんざい、文科ぶんか省しょうサイトにて結果けっかが確認かくにんできる。その概要がいようは「PTA等とう学校がっこう関係かんけい団体だんたいが実施じっしする事業じぎょうに係かかる兼職けんしょく兼業けんぎょう等とうの取扱とりあつかい及および学校がっこうにおける会計かいけい処理しょりの適正てきせい化かについて調査ちょうさしましたので、その結果けっかについて公表こうひょうします。」とあり、詳くわしくは外部がいぶリンク・その中なかのPDF文書ぶんしょを参照さんしょうされたい。

PTA会費かいひを学校がっこう運営うんえいに流用りゅうようする背景はいけいには、教育きょういく予算よさんに地方ちほう格差かくさが反映はんえいされるという現状げんじょうがある。地方自治体ちほうじちたいが学校がっこうに教育きょういく予算よさんを執行しっこうし、実際じっさいにかかった費用ひようの一定いってい割合わりあいを、国くにが負担ふたんする仕組しくみである。なお、下記かき報告ほうこく書しょによると、文部もんぶ科学かがく省しょうとしては「学校がっこうの管理かんり経費けいひ（職員しょくいんの人件じんけん費ひは除のぞく）については、割わり当あてて 強制きょうせい的てきに徴収ちょうしゅうするのではなく、PTA等とう学校がっこう関係かんけい団体だんたい等とうが真しんに任意にんいに経費けいひの支援しえんを行おこなうことは禁止きんしされていない」の立場たちばである。「学校がっこうにおける会計かいけい処理しょりについて」（文部もんぶ科学かがく省しょう2012年ねん） (PDF) を参照さんしょうすると、不適切ふてきせつな寄付きふ事例じれいが閲覧えつらんできる。

会費かいひの流用りゅうよう

• 三重みえ県けんで、教員きょういんの出張しゅっちょう費ひや学校がっこう設備せつび費ひなどに年間ねんかん約やく7億おく円えん以上いじょう流用りゅうよう
• 堺さかい市立しりつ小学校しょうがっこうで、消耗しょうもう品ひん、学習がくしゅう補助ほじょ費ひ、図書館としょかん費ひ、保健ほけん衛生えいせい費ひに8180万まん円えん流用りゅうよう

• 県けん教育きょういく委員いいん会かい委員いいんに接待せったいなど（帳簿ちょうぼにある分ぶんだけで約やく100万まん円えん、冠婚葬祭かんこんそうさい、学校がっこう訪問ほうもんの際さいの宴席えんせき費ひや手土産てみやげ代だい、飲食いんしょく代だい、ワイシャツの仕立したて券けん）
• 県けん教育きょういく長ちょうにお中元ちゅうげん
• 県けん会議かいぎ員いんに商品しょうひん券けん
• 市議会しぎかい議員ぎいんに金粉きんぷん入いりの清酒せいしゅ
• 学校がっこうの修理しゅうり、教材きょうざい、備品びひん費ひなど（一輪車いちりんしゃ、金管楽器きんかんがっき、校訓こうくん碑ひ、児童じどう用よう図書としょ、図書としょ、印刷いんさつ機き、ガラス飾かざり棚だな、楽器がっき、カメラ、いす、幕まく）
• クラブ活動かつどうの旅費りょひや学校がっこうの備品びひん費ひ、教育きょういく活動かつどう振興しんこう費ひ（300万まん余よ円えん、バレーボールの支柱しちゅう、バーベル、楽器がっき、自動じどう高だか圧あつ滅菌めっきん器き）
• 県けん教委きょうい幹部かんぶへの宴席えんせき接待せったいや贈答ぞうとう攻勢こうせい
• 臨時りんじ職員しょくいんの謝金しゃきん（賞与しょうよ）、図書としょ券けん
• 園えんの備品びひんの購入こうにゅうや職員しょくいんの研修けんしゅう
• 事務じむ職員しょくいんがPTA会費かいひ約やく280万まん円えんを流用りゅうよう、依願いがん退職たいしょく
• PTAの積立つみたて金きんや会費かいひ約やく205万まん円えんを、会計かいけい係がかり（当時とうじ）の女性じょせいが生活せいかつ費ひに流用りゅうよう
• PTA会長かいちょう、運用うんよう資金しきん5000万まん円えん流用りゅうよう、横領おうりょう罪ざい起訴きそ猶予ゆうよ処分しょぶん
• 学習がくしゅう補助ほじょ費ひなど
• 治療ちりょう費ひ
• 消費しょうひ者しゃ金融きんゆうへの返済へんさい、交通こうつう事故じこの補償ほしょう金きん
• 借金しゃっきん返済へんさい
• 借金しゃっきん返済へんさい
• 医療いりょう費ひ
• 競馬けいば、住宅じゅうたくローンに、299万まん円えん、教頭きょうとうを懲戒ちょうかい免職めんしょく処分しょぶん
• 来賓らいひんへの弁当べんとう、教職員きょうしょくいんの名刺めいし、校舎こうしゃ内ないの清掃せいそう、コピー機きのリース代だい、校舎こうしゃの窓まどの修繕しゅうぜん、案内あんない標識ひょうしき板ばんの交換こうかん工事こうじ、切手きって購入こうにゅう、スクールカウンセラーへの謝礼しゃれい、校舎こうしゃの修繕しゅうぜん、職員しょくいん室しつの給きゅう茶器ちゃき購入こうにゅう、教員きょういんの部ぶ活動かつどう引率いんそつ手当てあて、修学旅行しゅうがくりょこう下見したみの教員きょういんの旅費りょひ、健診けんしん時じの校医こういの昼食ちゅうしょく、卒業そつぎょう式しきの来賓らいひんの弁当べんとう、非常勤ひじょうきん職員しょくいんの賃金ちんぎん、寄宿舎きしゅくしゃの配水はいすい管かんの修繕しゅうぜん、学校がっこう案内あんない資料しりょうの印刷いんさつ代だい、樹木じゅもくの枝えだ切ぎり、校舎こうしゃのワックスがけ、芝刈しばかり機きや製氷せいひょう機きの修理しゅうり、教職員きょうしょくいんの県けん外がい出張しゅっちょう旅費りょひ、卒業そつぎょう証書しょうしょの筆耕ひっこう料りょう、教職員きょうしょくいんの名刺めいし代だいや結婚けっこん・出産しゅっさん祝いわい
• 約やく2億おく4千せん万まん円えんが学校がっこう施設しせつの修繕しゅうぜん費ひや教職員きょうしょくいんの出張しゅっちょう旅費りょひなどとして使つかわれていた

ずさんな経理けいり

• PTA会費かいひなど計けい1133万まん円えんを引ひき出だしたまま
• 事務じむ長ちょうが横領おうりょう、不明ふめい額がくは他たのものと合あわせて3311万まん
• 副ふく校長こうちょうが学年がくねん費ひやPTA会費かいひなど約やく470万まん円えんを着服ちゃくふく

労力ろうりょくに対たいする成果せいかの少すくなさ

ベルマーク等ひとしのクーポンの仕分しわけや集計しゅうけいをする時給じきゅう100円えん相当そうとうの労働ろうどうボランティアをさせたり、年とし数すう回かいの地域ちいきの有価ゆうか物ぶつ集団しゅうだん回収かいしゅうで数時間すうじかん労働ろうどう力りょくとして収集しゅうしゅう活動かつどうに従事じゅうじさせたり、また、休日きゅうじつにクリスマス会かいにおいて何なに色しょくのグミを皿さらにいくつ足たすか決きめるのに1時じ間あいだもかけたりする活動かつどうが知しられている。

PTA離職りしょく

PTA活動かつどうの負担ふたんが重おも過すぎて、職場しょくばを去さる羽目はめになったケースがある。

アメリカのPTA

億おく万まん長者ちょうじゃの上院じょういん議員ぎいんの妻つまであり、教師きょうしでもあったフィービー・アパーソン・ハースト

1897年ねん、当時とうじまだ参政さんせい権けんのなかった女性じょせい2人にん、ウィリアム・ランドルフ・ハーストの母ははであるフィービー・アパーソン・ハーストとアリス・マクレラン・バーニーが、ワシントンD.C.にて全米ぜんべい母親ははおや議会ぎかい(National Congress of Mothers)を開ひらいた。予想よそうに反はんして、父親ちちおやや教師きょうしや政治せいじ家かも含ふくめ2000人にんもの人間にんげんが集あつまった。そのため「全米ぜんべい保護ほご者しゃ教師きょうし議会ぎかい (National Congress of Parents and Teachers)」と名称めいしょうを変かえ、後のちに「全米ぜんべいPTA団体だんたい(National PTA Organization)」へと発展はってんし、幼稚園ようちえんの設立せつりつ、児童じどう労働ろうどう法ほう、公共こうきょう保健ほけんサービス、給食きゅうしょく、少年しょうねん法ほう、予防よぼう接種せっしゅの義務ぎむ化かなどにつながる活動かつどうを行おこなっている。

2007年ねん現在げんざい、アメリカ国内こくないにある全米ぜんべいPTA団体だんたいに属ぞくしているPTAは2万まん3000以上いじょうある。しかし全米ぜんべいの90%以上いじょうの学校がっこうが何なんらかの保護ほご者しゃと教師きょうしによるグループを持もっているにもかかわらず、PTAに正式せいしきに属ぞくしているのはわずか25%である。残のこり75%は各自かくじが独立どくりつした団体だんたいで、PTO、またはHSA、PCCなどと呼よばれる。PTOの割合わりあいが高たかいのは、PTAの方針ほうしんや運営うんえい方法ほうほうに賛同さんどうしない団体だんたいが多おおいほか、私立しりつ校こうには宗教しゅうきょう学校がっこうが多おおく、全米ぜんべいPTAよりも母体ぼたいの宗教しゅうきょう団体だんたいのガイドラインに沿そった活動かつどうをするためである。

PTOが学校がっこう単位たんいで活動かつどうしがちなのに対たいし、PTAは学校がっこう、州しゅう、国くにというヒエラルキーで構成こうせいされ、すべての子こども達たちのためという長期ちょうき的てきかつ広範囲こうはんいな目標もくひょうを持もち、それぞれの単位たんいに合あった内容ないようで活動かつどうしている。たとえば学校がっこう単位たんいでは、教員きょういんや職員しょくいんをサポート、学校がっこう環境かんきょうの改善かいぜん、行事ぎょうじなどを企画きかくし実行じっこうする。州しゅう単位たんいでは、各かく学校がっこうからの質問しつもんに対たいしてアドバイスを与あたえたり、学区がっくのカリキュラム、州法しゅうほうの改定かいていなど州しゅう内ないの子こども達たちが対象たいしょうとなる事項じこうについて話はなし合あいが行おこなわれる。国くに単位たんいでは、アメリカの教育きょういく政策せいさくに対たいするロビー活動かつどうを行おこなっている。

過去かこにPTAが先鞭せんべんをつけた法案ほうあんには、給食きゅうしょく、予防よぼう接種せっしゅの義務ぎむ化か、スクールバスの安全あんぜん確保かくほ、テレビ放送ほうそう内容ないようのレーティング（年齢ねんれい制限せいげん）などがある。近年きんねんPTAが政府せいふ関係かんけい者しゃに働はたらきかけているものとしては、安全あんぜんな学校がっこう環境かんきょう、保護ほご者しゃの介入かいにゅうや意向いこうの尊重そんちょう、給食きゅうしょくの栄養えいよう標準ひょうじゅんの改新かいしん、公立こうりつ校こうの支援しえん強化きょうかなどである。また全米ぜんべいPTAは毎年まいとし子こども達たちが提出ていしゅつする数すう万まんの候補こうほの中なかからテーマを決定けっていし、そのテーマに基もとづいて百ひゃく万まん点てん以上いじょうが出品しゅっぴんされる"リフレクションズ" (Reflections) という大だい規模きぼな芸術げいじゅつコンテストを催もよおしている。各かく学校がっこうから選えらばれた作品さくひんは学区がっくPTA、州しゅうPTAに進すすみ、全米ぜんべいPTAで受賞じゅしょうした作品さくひんはワシントンDCの教育きょういく省しょうで展示てんじされる。

カナダのPTAもアメリカ同様どうよう、資金しきん集あつめが目的もくてきのオークション・パーティーを行おこなう。ノースバンクーバーの学校がっこうPTA主催しゅさいによる70年代ねんだいディスコ風ふうオークション・パーティー

各かく学校がっこうのPTAは毎年まいとし、メンバーの家庭かていからPTA会費かいひを徴収ちょうしゅうする。その中なかの一部いちぶを州しゅうPTAと全米ぜんべいPTAに収おさめることによって、学校がっこうの保険ほけんではカバーされないイベントなどのためにPTA団体だんたい保険ほけんに加入かにゅうしたり、トレーニングを受うけたり、州しゅうや全米ぜんべいPTAのサポートを受うけることができる。

PTAも各かく学校がっこうの特色とくしょくやニーズに合あったイベントやプロジェクトを立たち上あげるが、PTOの強つよみは、会費かいひの徴収ちょうしゅうの有無うむ、活動かつどう目的もくてきや方針ほうしんまで全すべてを決きめられる自由じゆう度どの高たかさである。増加ぞうかするPTOに対応たいおうして1999年ねんに出版しゅっぱん・サービス会社かいしゃPTO Todayが幼稚園ようちえんから8年生ねんせいの保護ほご者しゃを対象たいしょうとした雑誌ざっし『PTO Today』が創刊そうかんされ、8万まん部ぶ発行はっこうしている。PTO Today社しゃは、独立どくりつしているPTOをまとめる事業じぎょうも行おこなっており、会費かいひを払はらえばPTO Today Plusのメンバーとなって全米ぜんべいPTAと同おなじようなサービスを受うけることができる。

PTA、PTOに限かぎらず、教育きょういく熱心ねっしんな親おやほど学校がっこうに係かかわる傾向けいこうにあり、一般いっぱん的てきにレベルが高たかい公立こうりつ校こうほどPTA (PTO) の活動かつどうが盛さかんである。PTAが楽らくな学校がっこうを選えらぶ日本にっぽんとは対照たいしょう的てきである。また日本にっぽんが「今年ことしはPTA委員いいんに当あたった」と、大量たいりょうの仕事しごとが一部いちぶの人間にんげんに集中しゅうちゅうするという現象げんしょうが順繰じゅんぐりに回まわってくるのに対たいし、アメリカでは毎年まいとし各かく家庭かていがPTAに加入かにゅうするかどうかを訊たずねられ、加入かにゅうすることは「今年ことしも自分じぶんができる範囲はんいでPTA活動かつどうをする」という意志いしの表示ひょうじとなる。仕事しごとを持もちながらシーズンを決きめて活動かつどうする保護ほご者しゃも多おおく、教育きょういく法ほう、会計かいけい、美術びじゅつ指導しどう、図書としょ整理せいりや読書どくしょ指導しどう、作文さくぶん添削てんさく、スポーツ・コーチ、学校がっこう周囲しゅういの交通こうつう整理せいり、広報こうほう活動かつどう、緊急きんきゅう災害さいがい準備じゅんび、寄付きふ金きん集あつめ、子こどものクラス役員やくいん、親睦しんぼく会かい、講演こうえん会かい、教職員きょうしょくいんへの感謝かんしゃ週間しゅうかんなど自分じぶんの専せん門もんや趣味しゅみを活かつかせる分野ぶんやで活動かつどうする。私立しりつ校こうの場合ばあいは入学にゅうがくと同時どうじにPTAに自動的じどうてきに入会にゅうかいしたり、ボランティア活動かつどうと現金げんきん寄付きふのどちらかを選択せんたくする学校がっこうもある。

PTOでも女性じょせいの保護ほご者しゃ、特とくに専業せんぎょう主婦しゅふが多おおいのは同おなじであるが合理ごうり主義しゅぎが徹底てっていしているため、日本にっぽんの公立こうりつ小中しょうちゅう高だかのPTAのような煩雑はんざつかつ不人気ふにんき・前例ぜんれい至上しじょう主義しゅぎ的てきな傾向けいこうがない。ただし、日本にっぽんでも私立しりつ校こうのPTAでは保護ほご者しゃ・学校がっこう教職員きょうしょくいん・業務ぎょうむの質しつから希望きぼう者しゃが集あつまる等とうの事情じじょうが異ことなる傾向けいこうがある。

諸しょ外国がいこくにおけるPTAの呼称こしょう

諸しょ外国がいこくにおいて、PTAは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、カナダ、イギリス、イギリス連邦れんぽう諸国しょこく、日本にっぽんなどで用もちいられる呼称こしょうである。学校がっこう職員しょくいん (Staff) を含ふくめた"PTSA"、これまでの教職員きょうしょくいん・保護ほご者しゃによる組織そしきから発展はってんさせる意味いみで、「地域ちいき社会しゃかい (Community)」を加くわえた"PTCA"と称しょうする学校がっこうもある。アメリカでは100年ねん以上いじょうの歴史れきしを持もつ非ひ営利えいり組織そしき、全米ぜんべいPTA(National PTA)に属ぞくしている団体だんたいのみがPTAまたはPTSAを名乗なのり、属ぞくしていないグループは"PTO" (Parent-Teacher Organization)など他たの名称めいしょうを用もちいる。

関連かんれん項目こうもく

• 社会しゃかい教育きょういく法ほう
• 教育きょういく基本きほん法ほう
• 教育きょういく法令ほうれい一覧いちらん
• PTA・青少年せいしょうねん教育きょういく団体だんたい共済きょうさい法ほう
• 個人こじん情報じょうほう保護ほご法ほう
• PTA新聞しんぶん
• 学校がっこう教育きょういく
• 社会しゃかい教育きょういく
• 家庭かてい教育きょういく
• アソシエーション
• コミュニティ
• 町内ちょうない会かい - PTAと似にたような問題もんだいを抱かかえている。
• おやじの会かい