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教育きょういく基本きほんほう

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教育きょういく基本きほんほう
日本国政府国章(準)
日本にっぽん法令ほうれい
法令ほうれい番号ばんごう 平成へいせい18ねん法律ほうりつだい120ごう
提出ていしゅつ区分くぶん かくほう
種類しゅるい 教育きょういくほう
効力こうりょく 現行げんこうほう
成立せいりつ 2006ねん12月15にち
公布こうふ 2006ねん12月22にち
施行しこう 2006ねん12月22にち
所管しょかん文部省もんぶしょう→)
文部もんぶ科学かがくしょう
大臣だいじん官房かんぼう生涯しょうがい学習がくしゅう政策せいさくきょく総合そうごう教育きょういく政策せいさくきょく
おも内容ないよう 教育きょういく基本きほん方針ほうしんについて
関連かんれん法令ほうれい 学校がっこう教育きょういくほう
教育きょういく職員しょくいん免許めんきょほう
社会しゃかい教育きょういくほう
地方ちほう教育きょういく行政ぎょうせい組織そしきおよ運営うんえいかんする法律ほうりつ
条文じょうぶんリンク 教育きょういく基本きほんほう - e-Gov法令ほうれい検索けんさく
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教育きょういく基本きほんほう(きょういくきほんほう、平成へいせい18ねん12月22にち法律ほうりつだい120ごう)は、教育きょういくについての原則げんそくさだめた日本にっぽん法律ほうりつである。

主務しゅむ官庁かんちょう

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概要がいよう

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教育きょういく基本きほんほうは、そののとおり、日本にっぽん教育きょういくかんする根本こんぽんてき基礎きそてき法律ほうりつである。教育きょういくかんするさまざまな法令ほうれい運用うんよう解釈かいしゃく基準きじゅんとなる性格せいかくつことから「教育きょういく憲法けんぽう」とばれる場合ばあいもある[よう出典しゅってん]

2006ねん平成へいせい18ねん12月22にち公布こうふ施行しこうされた現行げんこう教育きょういく基本きほんほうは、1947ねん昭和しょうわ22ねん公布こうふ施行しこう教育きょういく基本きほんほう昭和しょうわ22ねん法律ほうりつだい25ごう)(以後いご旧法きゅうほうという)の全部ぜんぶ改正かいせいしたものである。

前文ぜんぶんでは、「たゆまぬ努力どりょくによってきずいてきた民主みんしゅてき文化ぶんかてき国家こっかさら発展はってんさせるとともに、世界せかい平和へいわ人類じんるい福祉ふくし向上こうじょう貢献こうけんすることをねがう」としたうえで、この理想りそう実現じつげんするために教育きょういく推進すいしんするとしている。

本則ほんそくは18カ条かじょうある。だい1しょうからだい4しょうまでにけられており、それぞれ「教育きょういく目的もくてきおよ理念りねん」「教育きょういく実施じっしかんする基本きほん」「教育きょういく行政ぎょうせい」「法令ほうれい制定せいてい」について規定きていされている。

旧法きゅうほう概要がいよう

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旧法きゅうほうは1947ねん昭和しょうわ22ねん3月31にち公布こうふ施行しこうされた。

帝国ていこく議会ぎかいにおける審議しんぎ過程かていにおいて、とき文部もんぶ大臣だいじん高橋たかはし誠一郎せいいちろうが、(きゅう教育きょういく基本きほん法案ほうあん教育きょういく勅語ちょくごとは矛盾むじゅんしないむね答弁とうべんをしている[2]など異論いろんもあるものの、教育きょういく基本きほんほう旧法きゅうほう)は戦後せんご急激きゅうげき教育きょういく改革かいかくした基本きほん文書ぶんしょとされたこともあり、1890ねん明治めいじ23ねん10月30にち発布はっぷされた教育きょういく勅語ちょくごわるものと位置いちづけられることがおお[よう出典しゅってん]教育きょういく基本きほんほう教育きょういく勅語ちょくごとの関係かんけいについては、1948ねん昭和しょうわ23ねん6月19にち教育きょういく勅語ちょくごとう排除はいじょかんする決議けつぎ」と「教育きょういく勅語ちょくごとう失効しっこう確認かくにんかんする決議けつぎより確定かくていされたものとえる。旧法きゅうほう前文ぜんぶんでは、やく1ヵ月かげつ施行しこうされる日本国にっぽんこく憲法けんぽうとの関連かんれんつよ意識いしきされており、日本国にっぽんこく憲法けんぽうしめされた理想りそう実現じつげん基本きほんてき教育きょういくちからによると記載きさいされている。

本則ほんそく全部ぜんぶで11カ条かじょうからなる。現行げんこうほうとはことなり、あきらけはない。おおきくは、内実ないじつさだめただい1じょうからだい10じょうと、法令ほうれいとの関係かんけいさだめただい11じょう補則ほそく)にけられている。

教育きょういく基本きほんほう構成こうせい

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旧法きゅうほう構成こうせい

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  • 上諭じょうゆ
  • 前文ぜんぶん
  • だい1じょう 教育きょういく目的もくてき
  • だい2じょう 教育きょういく方針ほうしん
  • だい3じょう 教育きょういく機会きかい均等きんとう
  • だい4じょう 義務ぎむ教育きょういく
  • だい5じょう 男女だんじょ共学きょうがく
  • だい6じょう 学校がっこう教育きょういく
  • だい7じょう 社会しゃかい教育きょういく
  • だい8じょう 政治せいじ教育きょういく
  • だい9じょう 宗教しゅうきょう教育きょういく
  • だい10じょう 教育きょういく行政ぎょうせい
  • だい11じょう 補則ほそく
  • 附則ふそく

かく規定きてい

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前文ぜんぶん

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教育きょういく目的もくてき(だい1じょう)

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教育きょういく目標もくひょう(だい2じょう)

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生涯しょうがい学習がくしゅう理念りねん(だい3じょう)

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現行げんこうほうのもとであらたに規定きていされた。

教育きょういく機会きかい均等きんとう(だい4じょう)

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現行げんこうほうのもとで、障害しょうがいしゃたいする教育きょういく機会きかい均等きんとうについてあらたに規定きていされた。

教育きょういく実施じっしかんする基本きほん(だい2しょう)

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義務ぎむ教育きょういく(だい5じょう)

日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい26じょうだい2こうけて義務ぎむ教育きょういくかんする規定きていいている。義務ぎむ教育きょういく目的もくてきについて、かく個人こじんゆうする能力のうりょくばしつつ社会しゃかいにおいて自立じりつてききる基礎きそつちかい、また、国家こっかおよ社会しゃかい形成けいせいしゃとして必要ひつようとされる基本きほんてき資質ししつやしなうことを目的もくてきとしておこなわれるものとするとしている。

学校がっこう教育きょういく(だい6じょう)

教育きょういくおこなしゅたる機関きかんとして学校がっこう法的ほうてき性格せいかく、および学校がっこう基礎きそ強固きょうこにし、学校がっこう性格せいかくにふさわしい活動かつどうおこなわれるための設置せっちしゃ資格しかくについて明示めいじしたものである。

大学だいがく(だい7じょう)

現行げんこうほう新設しんせつ

私立しりつ学校がっこう(だい8じょう)

現行げんこうほう新設しんせつ 日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい26じょう基本きほんけんとしての私学しがく教育きょういくける権利けんりと、それに対応たいおうしたくに地方自治体ちほうじちたい私学しがく教育きょういく振興しんこう義務ぎむ

教員きょういん(だい9じょう)
家庭かてい教育きょういく(だい10じょう)

現行げんこうほう新設しんせつ

2こうくにおよび地方ちほう公共こうきょう団体だんたい責務せきむとして、家庭かてい教育きょういく支援しえんするために必要ひつよう施策しさくこうずるようつとめなければならない、としている。

幼児ようじ教育きょういく(だい11じょう)

現行げんこうほう新設しんせつ

社会しゃかい教育きょういく(だい12じょう)

1こうで、社会しゃかいにおいておこなわれる教育きょういくは、くにおよび地方ちほう公共こうきょう団体だんたいによって奨励しょうれいされなければならないとし、2こう図書館としょかん博物館はくぶつかん公民館こうみんかんその社会しゃかい教育きょういく施設しせつ設置せっち学校がっこう施設しせつ利用りよう学習がくしゅう機会きかいおよび情報じょうほう提供ていきょうなどで社会しゃかい教育きょういく振興しんこうつとめなければならない、としている[3]

学校がっこう家庭かていおよび地域ちいき住民じゅうみんとう相互そうご連携れんけい協力きょうりょく(だい13じょう)

現行げんこうほう新設しんせつ

政治せいじ教育きょういく(だい14じょう)

2こう法律ほうりつさだめる学校がっこう特定とくてい政党せいとう支持しじするための教育きょういくおこなってはならないと、学校がっこう政治せいじてき中立ちゅうりつせいさだめる。

宗教しゅうきょう教育きょういく(だい15じょう)

2こう国公立こっこうりつ学校がっこう特定とくてい宗教しゅうきょうのための宗教しゅうきょう教育きょういくおこなってはならないと、くに公立こうりつ学校がっこう宗教しゅうきょうてき中立ちゅうりつせい規定きていする。

教育きょういく行政ぎょうせい(だい3しょう)

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教育きょういく行政ぎょうせい(だい16じょう)

2こう以下いかくに地方ちほう公共こうきょう団体だんたい責務せきむについてさだめる。

教育きょういく振興しんこう基本きほん計画けいかく(だい17じょう)

政府せいふは、教育きょういく振興しんこうかんする施策しさく総合そうごうてきかつ計画けいかくてき推進すいしんはかるため、教育きょういく振興しんこうかんする施策しさくについての基本きほんてき方針ほうしんおよびこうずべき施策しさくその必要ひつよう事項じこうについて、基本きほんてき計画けいかくさだめることとし、2こう地方ちほう公共こうきょう団体だんたい教育きょういくかんする基本きほんてき計画けいかくさだめるようつとめるものとしている。

法令ほうれい制定せいてい(だい4しょう)

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現行げんこうほう旧法きゅうほうちが

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出典しゅってん[4][5]

  • 道徳どうとく教育きょういく
    • 現行げんこうほうでは、前文ぜんぶんに「公共こうきょう精神せいしん」をとうとぶことがかかげられ、だい2じょうにおいて「教育きょういく目標もくひょう」として「ゆたかな情操じょうそう道徳心どうとくしんつちかう」ことなど、育成いくせいされるべき国民こくみん姿すがたしめされている。
    • 旧法きゅうほうにおいては道徳どうとく教育きょういくかんする規定きていはなく、道徳どうとく教育きょういくについては文部もんぶ科学かがくしょう告示こくじである学習がくしゅう指導しどう要領ようりょう提示ていじされていた。
  • 愛国心あいこくしんについて、
    • 現行げんこうほうでは、教育きょういく目標もくひょうひとつとしてだい2じょう5で「伝統でんとう文化ぶんか尊重そんちょうし、それらをはぐくんできたくに郷土きょうどあいするとともに、他国たこく尊重そんちょうし、国際こくさい社会しゃかい平和へいわ発展はってん寄与きよする態度たいどやしなうこと」があげられるかたちれられている。
    • 旧法きゅうほうにおいては「愛国あいこくしん教育きょういく」にかんしてはれられていなかった。
  • 普通ふつう教育きょういく年限ねんげん
    • 現行げんこうほうでは具体ぐたいてき記載きさいされず、だい5じょうで「べつ法律ほうりつさだめるところにより」とされている。
    • 旧法きゅうほうだい4じょうでは「きゅうねん普通ふつう教育きょういくけさせる義務ぎむ」があるとされていた。
  • 教員きょういん養成ようせい研修けんしゅうについて
    • 現行げんこうほうだい9じょうでは、教員きょういんについて「養成ようせい研修けんしゅう充実じゅうじつはかられなければならない」ことが規定きていされている。
    • 旧法きゅうほうにおいては教員きょういん養成ようせい研修けんしゅうかんしてはれられていなかった。
  • 教育きょういく行政ぎょうせい
    • 現行げんこうほうだい16じょうでは、教育きょういく法律ほうりつもとづいておこなわれるべきと明示めいじされている。
    • 旧法きゅうほうだい10じょうにおいては「国民こくみん全体ぜんたいたい直接ちょくせつ責任せきにんっておこなわれるべきもの」とされていた。
  • 現行げんこうほうでは、生涯しょうがい学習がくしゅう理念りねん大学だいがく私立しりつ学校がっこう家庭かてい教育きょういく幼児ようじ教育きょういく学校がっこう家庭かていおよ地域ちいき住民じゅうみんとう相互そうご連帯れんたい協力きょうりょく教育きょういく振興しんこう計画けいかく追加ついかされたが、旧法きゅうほうにあった男女だんじょ共学きょうがくについての記述きじゅつ削除さくじょされた。

旧法きゅうほうかく規定きてい

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旧法きゅうほうかく規定きてい解説かいせつする。

教育きょういく目的もくてき方針ほうしん前文ぜんぶんだい1じょうだい2じょう
前文ぜんぶんだい1じょうだい2じょうには、教育きょういくそのもののありかたについてれられている。前文ぜんぶんでは、日本国にっぽんこく憲法けんぽう精神せいしんのっと教育きょういく基本きほんほう制定せいていされたこと、だい1じょうでは教育きょういく目的もくてき人格じんかく完成かんせいをめざすこと、だい2じょうではあらゆる機会きかいあらゆる場所ばしょ教育きょういく目的もくてき達成たっせいすることをべている。教育きょういく勅語ちょくごわるはたらきがあるとされたのはおもにこの部分ぶぶんである。みじか条文じょうぶんなかに、「平和へいわ」という文言もんごんが3かえされていることも旧法きゅうほう特徴とくちょうえる。
教育きょういく機会きかい均等きんとうだい3じょう
日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい14じょう平等びょうどう規定きていけて、教育きょういくじょう差別さべつ禁止きんししている。なお、連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれいかんそう司令しれい (GHQ)からの示唆しさけて、経済けいざいてき差別さべつをもきんじており、奨学しょうがくきん制度せいど根拠こんきょとなる規定きていさだめている[6]
義務ぎむ教育きょういくだい4じょう
日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい26じょう細目さいもくさだめるかたちで、義務ぎむ教育きょういく年数ねんすうを9ねん規定きていし、義務ぎむ教育きょういく無償むしょう具体ぐたいとして、義務ぎむ教育きょういくしょ学校がっこうでは授業じゅぎょうりょう徴収ちょうしゅうしないことをさだめている。だい2世界せかい大戦たいせんまえは、義務ぎむ教育きょういく年限ねんげんが6ねんから8ねんばすむね法令ほうれい国民こくみん学校がっこうれい)が制定せいていされたが施行しこう延期えんきされ、実質じっしつてきには教育きょういく基本きほんほうのこの規定きていによって、期間きかん延長えんちょうされることになった。
男女だんじょ共学きょうがくだい5じょう
学校がっこうにおける男女だんじょ共学きょうがくについて規定きていし、これにより、男女だんじょべつがくおおくの学校がっこう共学きょうがく移行いこうした。当初とうしょは、女子じょし教育きょういく振興しんこうという規定きてい構想こうそうしていたが、連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれいかんそう司令しれい (GHQ) のつよ示唆しさにより、男女だんじょ共学きょうがく規定きていになった。
学校がっこう教育きょういくだい6じょう
学校がっこうおおやけ性質せいしつつことを規定きていし、学校がっこう設置せっちしゃくに地方ちほう公共こうきょう団体だんたい法律ほうりつさだめる法人ほうじん限定げんていした。ここに設置せっちしゃとは、設置せっちけん帰属きぞく主体しゅたいい、同時どうじ設置せっち能力のうりょく保持ほじしゃでもある。また教員きょういんについても国公私立こっこうしりつわず「全体ぜんたい奉仕ほうししゃ」と規定きていし、その身分みぶん適正てきせいうながしている。この規定きていけて、学校がっこう教育きょういくほうおよ教育きょういく公務員こうむいん特例とくれいほうなどが制定せいていされた。
社会しゃかい教育きょういくだい7じょう
社会しゃかい教育きょういく推進すいしん規定きていし、例示れいじとして図書館としょかん博物館はくぶつかん公民館こうみんかんとう設置せっちをあげている。この規定きていけて、社会しゃかい教育きょういくほう制定せいていされた。
政治せいじ教育きょういくだい8じょう
良識りょうしきたる公民こうみんとして必要ひつよう政治せいじてき教養きょうよう尊重そんちょうさだめるとともに、学校がっこうにおける政治せいじ活動かつどう一切いっさい禁止きんししている。
宗教しゅうきょう教育きょういくだい9じょう
宗教しゅうきょうたいしての寛容かんよう社会しゃかい生活せいかつにおける地位ちい尊重そんちょう規定きていし、くに地方ちほう公共こうきょう団体だんたい設置せっちする学校がっこうにおける宗派しゅうは教育きょういくみとめないと規定きていしている(私立しりつ教育きょういく機関きかんでは、宗教しゅうきょう教育きょういく禁止きんしされていない)。
教育きょういく行政ぎょうせいだい10じょう
教育きょういく不当ふとう支配しはいふくすることなく国民こくみん全体ぜんたい直接ちょくせつ責任せきにんをもっておこなわれることを規定きていし、教育きょういく行政ぎょうせい目標もくひょうは、教育きょういく必要ひつようしょ条件じょうけん整備せいび確立かくりつとされている。なお、ここでいわれる教育きょういく直接ちょくせつ責任せきにんせいは、公選こうせんせい教育きょういく委員いいんかい制度せいど想定そうていしたものであるといわれる。
補則ほそくだい11じょう
教育きょういく基本きほんほう実施じっしするため適切てきせつ法令ほうれい実施じっしされなければならないことを規定きていしている。この規定きてい根拠こんきょに、のち制定せいていされた教育きょういく関係かんけい法令ほうれいは、教育きょういく基本きほんほうらして解釈かいしゃくされることが基本きほんとされる。

沿革えんかく

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旧法きゅうほう制定せいてい経緯けいい

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連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれいかんそう司令しれい(GHQ/SCAP)の占領せんりょう統治とうちした日本国にっぽんこく憲法けんぽう制定せいていだい92かい帝国ていこく議会ぎかいによって、学校がっこう教育きょういくほうなどとともに制定せいていされた。

最初さいしょ大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう改正かいせい議論ぎろんなかで、しん憲法けんぽう教育きょういく規定きていむべきとの意見いけんされたが、当時とうじ文部もんぶ大臣だいじんであった田中たなかこう太郎たろうにより憲法けんぽうとはべつ法律ほうりつさだめることが提案ていあんされた。その内閣ないかく総理そうり大臣だいじん管轄かんかつ教育きょういく刷新さっしん委員いいんかいがおかれ旧法きゅうほう内容ないよう審議しんぎされた。1947ねん3がつ12にち帝国ていこく議会ぎかい法案ほうあん提出ていしゅつ同月どうげつ26にちには原案げんあんどお貴族きぞくいん可決かけつ成立せいりつした。

政府せいふ与党よとうおよび中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎかいにおける改正かいせい論議ろんぎ

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自民党じみんとうは1997ねん平成へいせい9ねん)、とう教育きょういく改革かいかく推進すいしん会議かいぎにおいて教育きょういく基本きほんほう見直みなおしをふくめた提言ていげんをまとめたが、教育きょういく根幹こんかんにかかわる問題もんだい判断はんだんし、具体ぐたいてき改正かいせい論議ろんぎ先送さきおくりした。

1999ねん平成へいせい11ねん)に教育きょういく改革かいかく実施じっし本部ほんぶ本部ほんぶちょう森山もりやま真弓まゆみ)が河村かわむら建夫たけお衆議院しゅうぎいん議員ぎいんをトップとするチームを始動しどうさせ、改正かいせい議論ぎろん本格ほんかくさせた。小渕おぶち恵三けいぞう-もり喜朗よしろう内閣ないかく総理そうり大臣だいじん当時とうじ)の諮問しもん機関きかんであった教育きょういく改革かいかく国民こくみん会議かいぎ議論ぎろんまえて、2001ねん平成へいせい13ねん)11月、遠山とおやま文部もんぶ科学かがく大臣だいじん教育きょういく基本きほんほう改正かいせい中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎかい諮問しもんした。2003ねん平成へいせい15ねん)3がつ20日はつか中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎかい教育きょういく基本きほんほう改正かいせい遠山とおやま敦子あつこ文部もんぶ科学かがく大臣だいじん当時とうじ)に答申とうしんした[7]

答申とうしんによれば、教育きょういく現状げんじょう課題かだいと21世紀せいき教育きょういく目標もくひょうまえて、旧法きゅうほうつらぬ理念りねん今後こんごとも大切たいせつにしていくこととともに、21世紀せいきひらしんゆたかでたくましい日本人にっぽんじん育成いくせい目指めざ観点かんてんから今日きょうきわめて重要じゅうようかんがえられる以下いかのような教育きょういく理念りねん原則げんそく明確めいかくにするために改正かいせい必要ひつようであるとした。

  1. 信頼しんらいされる学校がっこう教育きょういく確立かくりつ
  2. 」の世紀せいきをリードする大学だいがく改革かいかく推進すいしん
  3. 家庭かてい教育きょういくりょく回復かいふく学校がっこう家庭かてい地域ちいき社会しゃかい連携れんけい協力きょうりょく推進すいしん
  4. 公共こうきょう」に主体しゅたいてき参画さんかくする意識いしき態度たいど涵養かんよう
  5. 日本にっぽん伝統でんとう文化ぶんか尊重そんちょう郷土きょうどくにあいするしん国際こくさい社会しゃかい一員いちいんとしての意識いしき涵養かんよう
  6. 生涯しょうがい学習がくしゅう社会しゃかい実現じつげん
  7. 教育きょういく振興しんこう基本きほん計画けいかく策定さくてい

自民党じみんとう公明党こうめいとう改正かいせいあん作成さくせいまでやく3年間ねんかん、70かい協議きょうぎかさねた。教育きょういく研究けんきゅうしゃおおくが「教育きょういく内容ないようへの国家こっか介入かいにゅうふせぐための条項じょうこう」と位置付いちづける旧法きゅうほうだい16じょうだい1こうの「教育きょういくは、不当ふとう支配しはいふくすることなく」の文言もんごんについて、自民党じみんとう削除さくじょ要求ようきゅうした。公明党こうめいとう要求ようきゅうこばみ、この文言もんごんのこされた。自民党じみんとうは「愛国心あいこくしん」の言葉ことばれることを主張しゅちょうしたが、「くに郷土きょうどあいする態度たいどやしなう」との表現ひょうげんにとどまった。また自民党じみんとうは「宗教しゅうきょうてき情操じょうそうたかめる」との言葉ことばれることも主張しゅちょうしたが、これもとおらなかった。公明党こうめいとう文部もんぶ科学かがく部会ぶかいちょうつとめた参議院さんぎいん議員ぎいん山下やました栄一えいいちは「政権せいけんといえども教育きょういく介入かいにゅうしないよう『不当ふとう支配しはいふくさない』との表現ひょうげんのこすことにこだわった。『くに』と『あい』とのあいだに『郷土きょうど』をれて『愛国あいこく』とつづかないようにし、しんしばられないよう『態度たいど』でなければだめだとゆずらなかった」とのちのインタビューでべている[8]

2006ねん平成へいせい18ねん)4がつ自民じみん公明こうめいりょうとう教育きょういく基本きほんほう改正かいせいかんする与党よとう検討けんとうかいは、愛国心あいこくしん直接的ちょくせつてき表現ひょうげんけ、「伝統でんとう文化ぶんか尊重そんちょうし、それらをはぐくんできたくに郷土きょうどあいするとともに、他国たこく尊重そんちょうし、国際こくさい社会しゃかい平和へいわ発展はってん寄与きよする態度たいどやしなうこと」とすることで合意ごういした。政府せいふ同月どうげつ28にち改正かいせいあん国会こっかい提出ていしゅつした。

教育きょういく基本きほんほう改正かいせいあん国会こっかい提出ていしゅつされるのは、旧法きゅうほう施行しこうはじめてのことであった。なお、国会こっかい答弁とうべん安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうは、愛国心あいこくしんかんする評価ひょうかについて、「しん評価ひょうかすることはできない」としながらも、「日本にっぽん伝統でんとう文化ぶんかまな姿勢しせい態度たいど評価ひょうか対象たいしょうにする」との認識にんしきしめしている。改正かいせいあん反対はんたいするものからは、首相しゅしょう発言はつげんについて「一方いっぽうてき価値かちかんけはおかしい」「愛国心あいこくしん強制きょうせいにつながり、内心ないしん自由じゆう侵害しんがいする」とする意見いけんがあった。

2006ねん平成へいせい18ねん)11月16にちだい165かい臨時りんじ国会こっかい衆議院しゅうぎいんほん会議かいぎにおいて、政府せいふ提出ていしゅつ改正かいせいあんについて野党やとう欠席けっせきのまま与党よとう単独たんどく採決さいけつおこなわれ、可決かけつされ[9]、12月22にち公布こうふ施行しこうされた[10]

民主党みんしゅとう提出ていしゅつの「日本国にっぽんこく教育きょういく基本きほんほうあん

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野党やとうだいいちとう民主党みんしゅとう提出ていしゅつの「日本国にっぽんこく教育きょういく基本きほんほうあんでは、旧法きゅうほう廃止はいしすることとしていた。

愛国心あいこくしん教育きょういくについては前文ぜんぶんに「日本にっぽんあいするしん涵養かんようし」と表現ひょうげんし、教育きょういく委員いいんかい制度せいど廃止はいししたうえで「教育きょういくオンブズパーソン制度せいど」の設置せっち提言ていげんした。愛国心あいこくしん明記めいきもとめてきた人々ひとびとは、よりはっきりと愛国心あいこくしんについて法案ほうあん記載きさいしているとして民主党みんしゅとうあん評価ひょうかする意見いけんもあった。

さらに、「まな権利けんり保障ほしょう」や高等こうとう教育きょういく漸進ぜんしんてき無償むしょう推進すいしん教育きょういく予算よさん確保かくほとうんでいるてん政府せいふ与党よとうあんことなるとされる。2006ねん平成へいせい18ねん11月17にち民主党みんしゅとうは、参議院さんぎいんにおいてどう法案ほうあんのほか、「地方ちほう教育きょういく行政ぎょうせい適正てきせい運営うんえい確保かくほかんする法律ほうりつあん)」と「学校がっこう教育きょういく環境かんきょう整備せいびによる教育きょういく振興しんこうかんする法律ほうりつあん)」の関連かんれん2法案ほうあん提出ていしゅつした。

タウンミーティングでの「やらせ質問しつもん

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青森あおもりけんおこなわれた、教育きょういく基本きほんほう改正かいせいふく教育きょういく改革かいかくかんする政府せいふのタウンミーティングで、改正かいせい賛成さんせい質問しつもんをするよう参加さんかしゃ依頼いらいし、その方針ほうしん沿って発言はつげんしゃ指名しめいされていた問題もんだい

2006ねん平成へいせい18ねん11月7にち内閣ないかくはこの問題もんだいかんして関与かんよみと謝罪しゃざいし、安倍あべ首相しゅしょうをはじめ閣僚かくりょう給料きゅうりょう自主じしゅ返納へんのうするなどの処分しょぶんおこなった。与党よとう教育きょういく基本きほんほう改正かいせい自体じたいには問題もんだいがないとして衆院しゅういんでは単独たんどく採決さいけつおこなったことにたいし、野党やとうはこの問題もんだいを「やらせではないのか」と批判ひはんした。

現行げんこうほう制定せいてい経緯けいい

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2006ねん平成へいせい18ねん)4がつ28にち政府せいふ改正かいせいあん閣議かくぎ決定けっていし、だい164かい通常つうじょう国会こっかい提出ていしゅつした。これをけて文部もんぶ科学かがくしょうは、同年どうねん5がつ2にち、「教育きょういく基本きほんほう改正かいせい推進すいしん本部ほんぶ」(本部ほんぶちょう小坂こさか憲次けんじ文科ぶんかしょう)を設置せっちすると発表はっぴょうし、はつ会合かいごうを8にち開催かいさいした。どう本部ほんぶには、プロジェクトチームも設置せっちし、国会こっかい審議しんぎかんする調整ちょうせいのほか、国民こくみんたいする改正かいせいあん説明せつめい教育きょういく振興しんこう基本きほん計画けいかく策定さくていなどにかんするみをすすめていた。一方いっぽう民主党みんしゅとうは、旧法きゅうほう廃止はいしによってあらたに「日本国にっぽんこく教育きょういく基本きほんほう」を制定せいていすることをめざし、同年どうねん5がつ23にち法案ほうあん国会こっかい提出ていしゅつした。

同年どうねん12がつ15にち現行げんこうほうは、だい1安倍あべ内閣ないかく自公じこう連立れんりつ政権せいけん)のした参議院さんぎいんほん会議かいぎ成立せいりつした。これにより、旧法きゅうほう施行しこう以来いらい59ねんはじめての改正かいせい全部ぜんぶ改正かいせいされることとなった。採決さいけつでは、政権せいけん与党よとう自民党じみんとう公明党こうめいとう賛成さんせいし、民主党みんしゅとう日本にっぽん共産党きょうさんとう社民党しゃみんとう国民こくみん新党しんとうなどが反対はんたいした[11]

現行げんこうほう施行しこう状況じょうきょう

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現行げんこうほう成立せいりつ反対はんたいしたものは、現行げんこうほうを「改悪かいあく教育きょういく基本きほんほう」と呼称こしょうする場合ばあいがある。そのなかには改正かいせい憲法けんぽう改正かいせいへの布石ふせきとしておこなわれたとの主張しゅちょうから問題もんだいするものもいる。

一方いっぽうで、日本にっぽん教育きょういく正常せいじょうけたいちとして教育きょういく基本きほんほう改正かいせい評価ひょうかするものもいる。

2007ねん平成へいせい19ねん)1がつ25にち召集しょうしゅうされただい166かい通常つうじょう国会こっかいにおいては、改正かいせいされた教育きょういく基本きほんほう理念りねん沿って「教育きょういくさんほう」の改正かいせいあん政府せいふ提出ていしゅつされ、成立せいりつした[12][13]

旧法きゅうほう改正かいせいろんたいする賛否さんぴ

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旧法きゅうほうは、制定せいてい直後ちょくごからなん改正かいせいろんおよびそれにたいする反対はんたいろんこった。「愛国心あいこくしん」や「伝統でんとう尊重そんちょう」といったかんがかたけているとする賛成さんせいと、「復古ふっこてきナショナリズム国家こっかへの奉仕ほうし強要きょうようにつながりかねない。」とする反対はんたい対立たいりつかえされてきた。

おも論点ろんてん

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  • 旧法きゅうほうは、やく60ねんまえというリベラリズム全盛期ぜんせいき制定せいていされた法律ほうりつであり、そのリベラル-コミュニタリアン論争ろんそう成果せいか反映はんえいしていない。したがって、保守ほしゅ主義しゅぎはもちろん、コミュニタリアニズム共同きょうどうたい主義しゅぎ)やリパブリカニズム共和きょうわ主義しゅぎ)といった、中間ちゅうかんてきあたらしい思想しそう立場たちばからも批判ひはんされてんふくんでいる。
  • 能力のうりょくおうじて」「ひとしく」教育きょういくけるといった場合ばあい前者ぜんしゃ重点じゅうてんくか、後者こうしゃ強調きょうちょうするかで、解釈かいしゃくかれている。教育きょういく自由じゆう平等びょうどうをめぐる議論ぎろんは、今日きょうのスピーディな改革かいかくながれにより、いっそう複雑ふくざつし、両者りょうしゃ緊張きんちょう関係かんけいすばかりであるとされる。また、義務ぎむ教育きょういくにおける無償むしょう授業じゅぎょうりょう教科書きょうかしょだい無償むしょうかぎられているが、給食きゅうしょく通学つうがくなどはふくまれないのかという問題もんだいもある。
  • 政治せいじてき中立ちゅうりつ確保かくほかんしては、なにをもって党派とうはてき政治せいじ教育きょういく判断はんだんするのかという議論ぎろんがある。また、旧法きゅうほうだい10じょうをめぐっては、「教育きょういく行政ぎょうせいは、(りゃく教育きょういく目的もくてき遂行すいこうするに必要ひつようしょ条件じょうけん整備せいび確立かくりつ目標もくひょうとしておこなわれなければならない」とだい2こうにあることから、くに関与かんよ教育きょういく内容ないようなどの内的ないてき事項じこうふくまず、外的がいてき事項じこうかぎるという見解けんかいと、内的ないてき事項じこうへの関与かんよふくまれるという見解けんかいかれている。
  • そもそも、教育きょういく目的もくてき役割やくわりほう規定きていすることがたして妥当だとうなのかという観点かんてんから、旧法きゅうほう批判ひはんてき検証けんしょうするうごきもある。こうしたうごきには、たとえば、だい1じょうの「人格じんかく完成かんせい」がなに意味いみするのか不明ふめいであることを問題もんだいする意見いけんふくまれている。

賛成さんせい意見いけん

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  • 旧法きゅうほう施行しこう保守ほしゅてき人々ひとびとなかには、教育きょういく勅語ちょくごにおいて、現在げんざいの「道徳どうとく」に相当そうとうする「修身しゅうしん」という科目かもくがあり、「おやへの孝行こうこう」「忠君ちゅうくん愛国あいこく大君おおきみたる天皇てんのう忠節ちゅうせつくし、神国しんこく日本にっぽんあいする)」などの道徳どうとくてき項目こうもくがあったことと比較ひかくしており、旧法きゅうほう改正かいせいもとめていた。
  • 日本にっぽん会議かいぎ会長かいちょうであった三好みよしいたるは「いま日本人にっぽんじんのままでは適正てきせい憲法けんぽう改正かいせいはできない。まず教育きょういく基本きほんほう改正かいせいし、国民こくみん意識いしきなおしたうえ憲法けんぽう改正かいせいのぞむべきだ」(『正論せいろん』2007ねん11がつごう)とべた[14]

反対はんたい意見いけん

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  • 旧法きゅうほうだいいちじょうには「教育きょういく目的もくてき 平和へいわ国家こっかおよ社会しゃかい形成けいせいしゃとして真理しんり正義せいぎあい個人こじん価値かちをたつとび、勤労きんろう責任せきにんおもんじ、自主じしゅ精神せいしんちた心身しんしんともに健康けんこう国民こくみん育成いくせいしておこなわなければならない」とある。これは個人こじん価値かちすなわち多様たようせい尊重そんちょうして自主じしゅ精神せいしんちた心身しんしんともに健康けんこう人間にんげんそだてることである。旧法きゅうほう憲法けんぽう基本きほんてき人権じんけん趣旨しゅし社会しゃかい実現じつげんするための簡潔かんけつ表現ひょうげんであり普遍ふへんてき価値かちをもつものである。政府せいふあん人格じんかく形成けいせい目指めざし、国家こっかおよ社会しゃかい形成けいせいしゃとしての必要ひつよう資質ししつそなえた・・とある。これは国家こっかおよ社会しゃかいという概念がいねん後述こうじゅつだいじょう教育きょういく目標もくひょうくに郷土きょうどあいするという表現ひょうげん公明党こうめいとうあんれたものでくにあいするしん自民党じみんとうあんはあった)でしめすようにくにのありかたふかかかわってくる内容ないようふくみこれまでの教育きょういく行政ぎょうせい経過けいかから考慮こうりょしても旧法きゅうほう非常ひじょうにその時々ときどき政権せいけんにとって自由じゆうのある基本きほんてき法律ほうりつでありあえて改定かいていする根拠こんきょはないとおもわれる。
  • 現行げんこうほうだいじょうは「教育きょういく方針ほうしん政府せいふあんではいちじょう教育きょういく目的もくてきにそった教育きょういく目標もくひょう」とされ具体ぐたいてき項目こうもくげられている。国家こっか方針ほうしんにそった教育きょういくがなされるのは、その時々ときどき政権せいけんにより教育きょういくおおきな影響えいきょうけることになり教育きょういく独立どくりつせいそこなうものである。
  • さき大戦たいせん反省はんせいもとづいて世界せかい規範きはんとなる日本人にっぽんじん育成いくせいなん旧法きゅうほう問題もんだいになることはないとおもわれる。

リベラル教育きょういくがくものなどからは、つぎのような意見いけんもある。

  • くにあいするしん」「伝統でんとう尊重そんちょう」「あたらしい「公共こうきょう」」などがまれたうえ、さまざまな内容ないようが「理念りねん」や「徳目とくもく」の形式けいしき挿入そうにゅうされている。答申とうしんは、現行げんこう教育きょういく基本きほんほうの「真理しんり正義まさよし」「個人こじん価値かち」「勤労きんろう責任せきにん」「自主じしゅてき精神せいしん」としょうしているが、その用例ようれいしたがうと、改定かいていされた教育きょういく基本きほんほうすくなくとも20、おおければ30もの「徳目とくもく」を列挙れっきょしたことになる。また、「あたらしい時代じだい」に対応たいおうすることが改定かいていしゅたる根拠こんきょになっているが、答申とうしん内容ないよう概念がいねんは、いずれも「復古ふっこ主義しゅぎ」を特徴とくちょうとしているのではないか。「個性こせい尊重そんちょう」「平和へいわ主義しゅぎ」「民主みんしゅ主義しゅぎ」の原理げんり基礎きそけられた旧法きゅうほうは、この改定かいていによって「国家こっか戦略せんりゃく基本きほんほう」へと転換てんかんしてしまいかねない。
  • 答申とうしん内容ないよう目指めざ道徳どうとく教育きょういくは、すでに1958ねんの「道徳どうとく特設とくせつ以来いらい学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうによって企図きとされてきた。いわば、改定かいてい既成きせい事実じじつである(たとえば、まるきみ問題もんだいについてえば、国旗こっき国歌こっかほう成立せいりつする以前いぜんから指導しどうおこなわれていた)。この実態じったいをどうるのかについて研究けんきゅうしゃあいだ検証けんしょうがなされている。たとえば、こうした指摘してき事実じじつであれば、答申とうしん目標もくひょうとする人材じんざい育成いくせい旧法きゅうほうでも可能かのうなら改定かいていする必要ひつようはないし、また、こうした既成きせい事実じじつこそが旧法きゅうほう空洞くうどうさせ、教育きょういく危機きき深刻しんこくにしたのではないか。
  • こうした改定かいていながれは現在げんざい教育きょういくをめぐる状況じょうきょう改善かいぜんすることにはつながらないのではないか。それどころか、いま以上いじょうに、くに自分じぶん身近みぢか地域ちいき社会しゃかい学校がっこうたいする関心かんしん不信ふしんかんまねき、どもや若者わかものが「居場所いばしょ」をうしな可能かのうせいがある。折出おりで健二けんじ教育きょういく方法ほうほうろん 愛知教育大学あいちきょういくだいがく教授きょうじゅ)は、学会がっかい報告ほうこくなかつぎのようにべている。
    「はじめに「日本人にっぽんじん育成いくせい」ありきでは、どもたちが閉塞へいそくかんをいっそうつよめ、答申とうしんう「公共こうきょう」はかれらには巨大きょだい権力けんりょくとしてのイメージとうつっても、自分じぶんたちのきられる(居場所いばしょ)あるいは公共こうきょう空間くうかんとはならないであろう。
    こうした関係かんけいせい基本きほん問題もんだい広範こうはんなおしを見過みすごして、「改正かいせい」をおこない、法的ほうてき拘束こうそくせいたせるのは、どもの自立じりつへのねがいに逆行ぎゃっこうするものといわざるをない。
  • 教育きょういく振興しんこう基本きほん計画けいかく教育きょういく基本きほんほう関係かんけいせいについての問題もんだい中田なかた康彦やすひこ教育きょういく法学ほうがく 一橋大学ひとつばしだいがく助教授じょきょうじゅ)は、「教育きょういく振興しんこう基本きほん計画けいかく策定さくていする必要ひつようせい教育きょういく基本きほんほうない根拠こんきょ規定きていをおく必要ひつようせいべつである」との主張しゅちょう学会がっかい報告ほうこく展開てんかいした。しかし、この主張しゅちょうたいして出席しゅっせきしゃから異論いろんとして、「明確めいかく根拠こんきょがないのに計画けいかく策定さくていすることのほうがかえって教育きょういく基本きほんほう空洞くうどうまねく」という指摘してきだった。中田なかたは、「教育きょういく振興しんこう基本きほん計画けいかく基本きほんほうのようなものを制定せいていすることでふせげる」とべたが、「教育きょういく基本きほんほうとの整合せいごうせい問題もんだいとなる」との反対はんたいこえがった。
  • 現行げんこうほう成立せいりつ反対はんたい立場たちばからも、旧法きゅうほういちいち見直みなおそうともしない-というのは、ナンセンスであるし、そのことが旧法きゅうほうをめぐる議論ぎろんがらない一因いちいんにもなりかねないとする指摘してきもあり、よりリベラルではん国家こっか主義しゅぎてき方向ほうこうから旧法きゅうほう見直みなおすべきだと意見いけんもあった。一方いっぽう文部省もんぶしょう文部もんぶ科学かがくしょうのもとで旧法きゅうほう理念りねん本当ほんとう実現じつげんされたことはいちもなかったという主張しゅちょうから、旧法きゅうほう内容ないよう実現じつげん先決せんけつという意見いけんもあった。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 所掌しょしょう事務じむ総合そうごう教育きょういく政策せいさくきょく - 文部もんぶ科学かがくしょうWebサイト。
  2. ^ だい92帝国ていこく議会ぎかい貴族きぞくいんほん会議かいぎ昭和しょうわ22ねん3がつ19にち
  3. ^ だいじょう社会しゃかい教育きょういく”. 文部もんぶ科学かがくしょう. 2025ねん1がつ14にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2025ねん1がつ14にち閲覧えつらん
  4. ^ 教育きょういく基本きほんほう文部もんぶ科学かがくしょう”. 文部もんぶ科学かがくしょうホームページ. 2024ねん4がつ29にち閲覧えつらん
  5. ^ 昭和しょうわ22ねん教育きょういく基本きほんほう制定せいてい条文じょうぶん文部もんぶ科学かがくしょう”. 文部もんぶ科学かがくしょうホームページ. 2024ねん4がつ29にち閲覧えつらん
  6. ^ 教育きょういく基本きほんほう新旧しんきゅう対照たいしょうひょう”. 大阪おおさか教育きょういくほう研究けんきゅうかい. 大阪おおさか教育きょういくほう研究けんきゅうかい. 2025ねん1がつ14にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2025ねん1がつ14にち閲覧えつらん
  7. ^ 中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎかい (2003ねん3がつ20日はつか). “あたらしい時代じだいにふさわしい教育きょういく基本きほんほう教育きょういく振興しんこう基本きほん計画けいかくかたについて(答申とうしん”. 文部もんぶ科学かがくしょう. 2024ねん2がつ1にち閲覧えつらん
  8. ^ 篠ケ瀬ささがせ祐司ゆうじ荒井あらいろく「こちら特報とくほう 安倍あべりゅう教育きょういく改革かいかく研究けんきゅううえ改正かいせい基本きほんほう首相しゅしょう不満ふまん 06ねん当時とうじ公明党こうめいとう愛国心あいこくしん』に最後さいごまで抵抗ていこう」 『東京とうきょう新聞しんぶん』2014ねん4がつ17にちづけ朝刊ちょうかん特報とくほう1めん、28ぺーじ
  9. ^ 衆議院しゅうぎいんTV2006ねん11月16にち (木)もくほん会議かいぎ 教育きょういく基本きほん法案ほうあん(164国会こっかいかく89)11:41〜
  10. ^ 教育きょういく基本きほんほうについて 文部もんぶ科学かがくしょう
  11. ^ 参議院さんぎいんインターネット審議しんぎ中継ちゅうけい -ビデオライブラリ2006ねん平成へいせい18ねん12月15にち (金)きんほん会議かいぎ 教育きょういく基本きほん法案ほうあんだい164かい国会こっかいかくほうだい89ごう)59:10〜1:26:40
  12. ^ 教育きょういく3ほう改正かいせいについて (PDF) 首相しゅしょう官邸かんてい
  13. ^ 教育きょういくさんほう改正かいせいについて 文部もんぶ科学かがくしょう
  14. ^ 藤生とうにゅうあかり (2016ねん12月6にち). “日本にっぽん会議かいぎをたどって II 5 教育きょういく基本きほんほう改正かいせい そのさき憲法けんぽう”. 朝日新聞あさひしんぶん: p. 夕刊ゆうかん4はん 2めん 

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文部もんぶ科学かがくしょう教育きょういく基本きほんほうについて

教育きょういく基本きほんほう改正かいせいたいする意見いけん表明ひょうめいとう