日本にっぽんにおける憲法けんぽう改正かいせいの議論ぎろん

日本にっぽんにおける憲法けんぽう改正かいせいの議論ぎろん（にっぽん/にほんにおけるけんぽうかいせいのぎろん）とは、日本国にっぽんこく憲法けんぽうの改正かいせいに向むけた一連いちれんの議論ぎろんのこと。「改憲かいけん論ろん」ともいう。憲法けんぽうとは何なにかに関かんしては「日本国にっぽんこく憲法けんぽう」または「憲法けんぽう」のページを参照さんしょう。

概説がいせつ

詳細しょうさいは「日本国にっぽんこく憲法けんぽう#制定せいてい史し」を参照さんしょう

この議論ぎろんは、日本国にっぽんこく憲法けんぽうが制定せいていされた当初とうしょから存在そんざいしている。現状げんじょうの日本国にっぽんこく憲法けんぽうの問題もんだい点てんを指摘してきし、その上うえで憲法けんぽうを修正しゅうせいするべきとする立場たちばを「改憲かいけん派は（かいけんは）」と言いい、現状げんじょうの日本国にっぽんこく憲法けんぽうを維持いじするべきとする立場たちばを「護憲ごけん派は（ごけんは）」という。

日本国にっぽんこく憲法けんぽうの改正かいせいを主張しゅちょうする根拠こんきょとされていることは、主おもに以下いかの通とおりである。

• 日本国にっぽんこく憲法けんぽうの制定せいてい過程かていに対たいする反対はんたい
• 現状げんじょうの日本国にっぽんこく憲法けんぽうの規定きていに対たいする問題もんだい視し

これまでの議論ぎろん

55年ねん体制たいせい下かでの議論ぎろん

自民党じみんとうは、戦後せんご1955年ねん立党りっとう時どきの「党とうの使命しめい」と「党とうの政綱せいこう」において、GHQの占領せんりょう下かで制定せいていされた憲法けんぽうの自主じしゅ的てき改正かいせいを実行じっこうする事ことを明記めいきした。党是とうぜの第だい一いち条じょうに憲法けんぽう改正かいせいして自主じしゅ憲法けんぽう制定せいていを目指めざすことを明確めいかくにした。鳩山はとやま一郎いちろうは憲法けんぽう改正かいせいが必要ひつようであるという考かんがえを明確めいかくに示しめし、「この1600億おく円えんの大金たいきんを使つかっている、警察けいさつ予備よび隊たいは、あれは一体いったい、巡査じゅんさ（警察けいさつ）なんですか？兵隊へいたい（軍隊ぐんたい）なんですか？ それは、軍隊ぐんたいでありますから、私わたしは憲法けんぽう改正かいせいが必要ひつようであると思おもいます。」と発言はつげんし、憲法けんぽう改正かいせいを実現じつげんさせる決意けついを示しめした。そして鳩山はとやま内閣ないかくと自民党じみんとうは保守ほしゅ勢力せいりょくを増ふやすために公職こうしょく選挙せんきょ法ほうを改正かいせいして小しょう選挙せんきょ区く制度せいどを導入どうにゅうしようとしたが（ハトマンダー）、これには野党やとうだけでなく自民党じみんとう内ないからも懸念けねんの声こえが噴出ふんしゅつし、小しょう選挙せんきょ区くを導入どうにゅうすることはできなかった。また、鳩山はとやま内閣ないかくは改憲かいけんを実現じつげんするために内閣ないかく憲法けんぽう調査ちょうさ会かい設置せっち法ほうを国会こっかいで成立せいりつさせた。なお、当時とうじの自民党じみんとう有力ゆうりょく者しゃは「自主じしゅ」憲法けんぽうの制定せいていを主張しゅちょうする一方いっぽうで、「押おし付つけ」た側がわであるアメリカ政府せいふから資金しきん援助えんじょ（「共産きょうさん主義しゅぎの影響えいきょうを排除はいじょする為ための、プロパガンダ的てき秘密ひみつ支援しえん計画けいかく」の一環いっかんとして）を受うけていたことが、アメリカの外交がいこう資料しりょうにより明あかりかになっている（アメリカの対たい日にち政策せいさくの転換てんかんについては「逆ぎゃくコース」を参照さんしょう）。

55年ねん体制たいせい崩壊ほうかい後ご

平成へいせいに入はいって消費しょうひ税ぜい課税かぜいも始はじまり、1990年代ねんだい以降いこう団塊だんかいジュニアがバブル崩壊ほうかいの煽あおりを受うけて不ふ況きょうも続つづいていた中なか、55年ねん体制たいせいは崩壊ほうかいし一いち時期じき自民党じみんとうは2/3どころか単独たんどく過半数かはんすうすら喪失そうしつし、議論ぎろんは党派とうはを超こえて交渉こうしょうや協議きょうぎを重かさねることが要求ようきゅうされた。

2005年ねん、自民党じみんとうが立党りっとう50年ねんを機きに第だい一いち次じ素案そあん を発表はっぴょうした（この素案そあんは、“自衛じえい軍ぐん”の保持ほじ、軍事ぐんじ裁判所さいばんしょ（軍法ぐんぽう会議かいぎ）の明記めいき以外いがいにも、環境かんきょう権けんなど新あたらしい人権じんけんの追加ついかという国民こくみんに受うけ入いれやすい要素ようそを合あわせ持もっていた）。この後のち、与党よとう優勢ゆうせいを背景はいけいに国民こくみん投票とうひょう法ほう制定せいていも含ふくめて憲法けんぽう改正かいせいに関かんする環境かんきょう整備せいびを進すすめようとする改憲かいけん派はと、主おもに戦力せんりょく不ふ保持ほじと交戦こうせん権けんの否認ひにんを規定きていしている憲法けんぽう9条じょう2項こうを守まもろうとする護憲ごけん派はが対立たいりつした。

日本にっぽん共産党きょうさんとうや社民党しゃみんとうは、特とくに第だい9条じょうを取とり上あげて憲法けんぽう改正かいせいを「憲法けんぽう改悪かいあく」と表現ひょうげんして反対はんたいした。護憲ごけん派はでは九きゅう条じょうの会かいなどが結成けっせいされた。2007年ねんの国民こくみん投票とうひょう法ほう案あんをめぐる与野党よやとう協議きょうぎの決裂けつれつで自民党じみんとうと民主党みんしゅとうの協力きょうりょく関係かんけいが崩くずれたことに加くわえ、改憲かいけんを公約こうやくに掲かかげた自民党じみんとうが参院さんいん選せんで大敗たいはいした。

2004年ねん - 2005年ねんの世論せろん調査ちょうさでは、改憲かいけん賛成さんせいに「議論ぎろんした結果けっか改正かいせいすることがあってもよい」という容認ようにんを含ふくめれば、60-80%台だいに増ふえている（読売新聞よみうりしんぶん、朝日新聞あさひしんぶん、毎日新聞まいにちしんぶん、日本にっぽん世論せろん調査ちょうさ会かい）。ただし、9条じょう改正かいせいの賛成さんせい、反対はんたいのみを問とうアンケートでは、賛成さんせい・反対はんたいともに39%（NHK） といった数字すうじも出でている。もっとも、「マガジン9条じょう」（現在げんざいは「マガジン9」） が2006年ねん1月がつに実施じっししたアンケート で、「9条じょうを変かえる」が82%、「9条じょうを変かえない」が18%となった。

一方いっぽう、2007年ねん4月がつの読売よみうりによる世論せろん調査ちょうさでは、改憲かいけん賛成さんせいが過半数かはんすうを占しめたものの、大おおきく数かずを減へらした。なかでも9条じょうに関かんしては改正かいせい賛成さんせいが35%にとどまる一方いっぽうで、改正かいせいせず解釈かいしゃくで対応たいおうするべきとの意見いけん及および厳密げんみつに守まもるべきとの意見いけんが合計ごうけいで約やく6割わりになった。特とくに、民主党みんしゅとう支持しじ層そうで改憲かいけん反対はんたいが増ふえ、9条じょうについては改正かいせい反対はんたいの意見いけんが根強ねづよいことを示しめした。2008年ねん4月がつに同紙どうしが行おこなった調査ちょうさではわずかながら改憲かいけん反対はんたいが賛成さんせいを上回うわまわった（42.5%に対たいし43.1%）。一方いっぽうで、各党かくとうが憲法けんぽう議論ぎろんをさらに活発かっぱつ化かさせるべきだと思おもう人ひとは71%であり、時代じだいにそぐわない部分ぶぶんが増ふえているとの認識にんしきも根強ねづよいと読売よみうりは分析ぶんせきしている。

なお、自民党じみんとう「憲法けんぽう改正かいせい草案そうあん大綱たいこう（たたき台だい）」（2004年ねん11月17日にち）は、ときの防衛庁ぼうえいちょう長官ちょうかん・中谷なかたに元はじめの要請ようせいに応こたえて防衛庁ぼうえいちょう勤務きんむの三さん等とう陸りく佐たすくが作成さくせいした「憲法けんぽう草案そうあん」を採とり入いれていたことが判明はんめい。「自衛隊じえいたいに使つかい勝手がってのいい（＝容易よういに軍事ぐんじ行動こうどうを起おこせる）改憲かいけん案あんだ」との批判ひはんを受うけて撤回てっかいした。

主要しゅような左派さは・革新かくしん派はが過去かこに社会しゃかい主義しゅぎ的てき改憲かいけんを主張しゅちょうしたこともある。しかし、近年きんねんは憲法けんぽう改正かいせい反対はんたい派はが主流しゅりゅうとなっていることから、主要しゅような左派さは・革新かくしん派はから憲法けんぽう改正かいせい案あんなどの発表はっぴょうはされていない。

• 日本にっぽん社会党しゃかいとう（現在げんざいの社民党しゃみんとう）は、当初とうしょ、「日本にっぽんに社会しゃかい主義しゅぎ社会しゃかいを確立かくりつする」と社会しゃかい主義しゅぎ的てき改憲かいけんを主張しゅちょうしていた。現在げんざいは護憲ごけんを方針ほうしんとしており、改憲かいけん論議ろんぎ自体じたいに反対はんたいしている。

政党せいとうなどの憲法けんぽうに関かんする意見いけん表明ひょうめいとしては、平和へいわや人権じんけんを強化きょうかする「護憲ごけん的てき改憲かいけん」（日本新党にほんしんとうなど）、21世紀せいきの日本にっぽんのかたちを構想こうそうして自由じゆう濶達に議論ぎろんする「論ろん憲けん」（民主党みんしゅとう）、創造そうぞう的てき議論ぎろんで国家こっか権力けんりょくの恣意しい的てき解釈かいしゃくを許ゆるさない基本きほん法ほうにする「創憲そうけん」（民主党みんしゅとう）、憲法けんぽう9条じょうは別べつとして新あたらしい人権じんけんを加くわえる「加か憲けん」（公明党こうめいとう）、憲法けんぽうを活いかす「活かつ憲けん」（辻つじ元もと清美きよみなど）、憲法けんぽうを修正しゅうせいする「修おさむ憲けん」、米国べいこく憲法けんぽうのように補正ほせいを加くわえていくなどの「追つい憲けん」、「廃はい憲けん」などの造語ぞうご競争きょうそうが起おこっている。自民党じみんとう内ないでも元もと官房かんぼう長官ちょうかんの野中のなか広務ひろむは改憲かいけんに反対はんたいであった。

当初とうしょは第だい9条じょうが大おおきな争点そうてんであった憲法けんぽう改正かいせい議論ぎろんは、その後ごの情報じょうほう化か社会しゃかいの到来とうらいや国民こくみんのプライバシーに関かんする意識いしき変革へんかくと相あいまって、多様たような論点ろんてんでの議論ぎろんが求もとめられはじめ、また護憲ごけんを党是とうぜに掲かかげている社会党しゃかいとうに替かわって1996年ねんに民主党みんしゅとうが野党やとう第だい一いち党とうとなった事ことなどから、政治せいじの場ばで憲法けんぽうを議題ぎだいにする事ことをことさらに問題もんだい視しすべきでないといった認識にんしきも広ひろまり、2004年ねんには自民党じみんとうだけでなく、公明党こうめいとう、民主党みんしゅとうなどの各党かくとう憲法けんぽう調査ちょうさ会かいが結成けっせいされ、改憲かいけん論議ろんぎが広ひろく交かわされる事こととなった

民主党みんしゅとうは「過去かこを振ふり返かえるのではなく、未来みらいに向むかって新あたらしい憲法けんぽうの あり方かたを考かんがえ、積極せっきょく的てきに構想こうそうしていくという意味いみ」の創憲そうけんを掲かかげた。2012年ねん3月がつ、たちあがれ日本にっぽん応援おうえん団長だんちょうで東京とうきょう都知事とちじの石原いしはら慎太郎しんたろうは「憲法けんぽう改正かいせいは時間じかんの無駄むだ。もし新党しんとうの党首とうしゅに私わたしがなるとしたら憲法けんぽう無効むこう論ろんを党是とうぜとする」と語かたった。石原いしはらを共同きょうどう代表だいひょうに迎むかえた日本にっぽん維新いしんの会かい(2015年ねん結党けっとうの日本にっぽん維新いしんの会かいとは別べつ政党せいとう)は綱領こうりょうに“日本にっぽんを孤立こりつと軽蔑けいべつの対象たいしょうに貶おとしめ、絶対ぜったい平和へいわという非ひ現実げんじつ的てきな共同きょうどう幻想げんそうを押おし付つけた元凶げんきょうである占領せんりょう憲法けんぽうを大幅おおはばに改正かいせいし…”と明記めいきした。

改憲かいけんに積極せっきょく的てきに賛成さんせいしている層そうは、近隣きんりん諸国しょこく（想定そうていとしては自衛隊じえいたいが定義ていぎする対象たいしょう国こく）による侵略しんりゃくからの防衛ぼうえい・抑止よくしのために、また、日本にっぽん国外こくがいに派兵はへいして国際こくさい貢献こうけんもできるようにするために軍ぐんの保持ほじを明記めいきして合憲ごうけんにすべきと主張しゅちょうしている。改憲かいけんに積極せっきょく的てきに反対はんたいしている層そうは、新あたらしい人権じんけんに関かんしては現行げんこう憲法けんぽうの人権じんけん規定きていで対応たいおう可能かのうであり、改正かいせいは不要ふようだとしている。積極せっきょく的てき賛成さんせいではないが容認ようにんする中なか間あいだ層そうは、新あたらしい人権じんけんを追加ついかする改憲かいけんに賛成さんせいである。また中国ちゅうごくや北朝鮮きたちょうせんの脅威きょういなどから自衛隊じえいたいから軍ぐんへの昇格しょうかくにもあまり反対はんたいしない状況じょうきょうが生しょうじている。

民主党みんしゅとうへの政権せいけん交代こうたい後ご

社会しゃかい保障ほしょう費ひの増大ぞうだいや日本にっぽんの財政ざいせい問題もんだいに対たいして、2009年ねん8月がつの衆議院しゅうぎいん選挙せんきょで消費しょうひ税ぜい増税ぞうぜいに明確めいかくな反対はんたいをした民主党みんしゅとうが308議席ぎせきを獲得かくとくして、自民党じみんとうは1955年ねんの結党けっとう以来いらい初はじめて衆院しゅういん第だい一いち党とうから転落てんらくした。当時とうじの大阪おおさか府知事ふちじであった橋下はしもと徹とおるは地方ちほうが国くにの奴隷どれいとなっている行政ぎょうせいの矛盾むじゅんを参議院さんぎいん改革かいかくに絡からめて訴うったえ、一時いちじは憲法けんぽう改正かいせいが大おおきく取とり上あげられた。

2010年ねんには自民党じみんとう・憲法けんぽう改正かいせい推進すいしん本部ほんぶ（本部ほんぶ長ちょうは保利ほり耕こう輔）が“憲法けんぽう改正かいせい論点ろんてん整理せいりの要旨ようし”を発表はっぴょう。天皇てんのうの明文めいぶん元首げんしゅ化かや国歌こっか国旗こっきの制定せいてい、永住えいじゅう外国がいこく人じんの参政さんせい権けん否定ひていの他ほかに、徴兵ちょうへい制度せいどを定さだめることについて検討けんとうすると明記めいきされていたことが論議ろんぎを呼よんだが、自民党じみんとう幹事かんじ長ちょうの大島おおしま理森ただもりは「公式こうしきなものではない」と話はなして徴兵ちょうへい制度せいどの導入どうにゅうを否定ひていした。2012年ねんに大阪おおさか維新いしんの会かいが一院制いちいんせいへの移行いこうを含ふくめた憲法けんぽう改正かいせいの方針ほうしんとなる「維新いしん版ばん・船ふね中ちゅう八はち策さく（維新いしん八はち策さく）」を提示ていじし、9月には自みずからの身みを切きる議員ぎいん定数ていすう削減さくげんの覚悟かくごを踏ふまえて現在げんざいの衆議院しゅうぎいん議員ぎいんも半減はんげんする方針ほうしんを明記めいきした。

2012年ねん4月がつには自民党じみんとうも2005年ねんに作成さくせいしていた改憲かいけん草案そうあんを修正しゅうせいして、野党やとうとして保守ほしゅ色いろを高たかめた新しん憲法けんぽう改正かいせい草案そうあんを国会こっかいへ提出ていしゅつする方針ほうしんを示しめしていた。いずれも国家こっか運営うんえいの体制たいせい改革かいかくを意図いとしたものであった。

自公じこう政権せいけん復活ふっかつ後ご

2012年ねん12月の第だい46回かい衆院しゅういん選せんによって民主党みんしゅとうは議席ぎせきを約やく1/4に減へらし、自民党じみんとう及および公明党こうめいとうが与党よとうに復帰ふっきした。2013年ねん7月がつの参議院さんぎいん選挙せんきょでは、自民じみん・公明こうめい両りょう党とうが連立れんりつ与党よとうとして過半数かはんすうを大おおきく超こえる議席ぎせきを確保かくほし、その後ごは他た党とうとも連携れんけいして具体ぐたい的てきな改正かいせい内容ないようを精査せいさし現実げんじつ的てきな改正かいせい手順てじゅんも模索もさくされている。

リチャード・アーミテージとジョセフ・ナイは、憲法けんぽう第だい9条じょうと集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんについて、「―何なにも日本にっぽんは憲法けんぽうを改正かいせいする必要ひつようはないということです。（以下いか略りゃく）」（アーミテージ）、「個人こじん的てきな見解けんかいですが、“九条くじょう改正かいせい”という戦たたかいに精力せいりょくを注そそぐよりも “解釈かいしゃく改憲かいけん”で行いくべきだと思おもいます。（以下いか略りゃく）」（ナイ）と述のべている。もっともアーミテージは、2012年ねん7月がつ22日にちの読売新聞よみうりしんぶんへの寄稿きこうでは、「……だが、こう言いわなければ正直しょうじきではあるまい。日本にっぽんの憲法けんぽう上じょうの制約せいやくは今後こんご、日米にちべい同盟どうめいにとって、さらに重大じゅうだいな問題もんだいになるだろう。」と述のべている。2015年ねんには、安倍あべ内閣ないかくが安保あんぽ法制ほうせいに関かんして集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんの一部いちぶ行使こうしを認みとめる解釈かいしゃく改憲かいけんを進すすめたため、9条じょうを根拠こんきょとした改正かいせいの必要ひつよう性せいは低下ていかしたと指摘してきされている。

政教せいきょう分離ぶんり問題もんだいや一票いっぴょうの格差かくさ問題もんだいに関かんして過去かこ多おおくの裁判さいばんが提起ていきされ、そのうちの幾いくつかについては最高裁判所さいこうさいばんしょ判決はんけつでは憲法けんぽう違反いはんあるいは違憲いけん無効むこうといった判決はんけつが示しめされている。また憲法けんぽうを改正かいせいすべきだとする意見いけんが過半数かはんすうを占しめる世論せろん調査ちょうさ結果けっかがあり、これらをもって憲法けんぽうを改正かいせいすべきとの論ろんがある。改憲かいけんの発議はつぎに係かかる憲法けんぽう上じょうの条文じょうぶんに関かんしては、結局けっきょくは国民こくみんが新あたらしい憲法けんぽうを要望ようぼうし賛成さんせいするかの問題もんだいになるものだが、「憲法けんぽう尊重そんちょう擁護ようご義務ぎむ」を求もとめられる国会こっかい議員ぎいんが憲法けんぽう改正かいせいを訴うったえることは「新しん憲法けんぽうの制定せいてい」や「クーデター」に相当そうとうするだろうという議論ぎろんもある。

2016年ねん（平成へいせい28年ねん）の第だい24回かい参議院さんぎいん議員ぎいん通常つうじょう選挙せんきょでは改憲かいけん勢力せいりょくとされる自民党じみんとう・公明党こうめいとう・おおさか維新いしんの会かい・日本にっぽんのこころが初はじめて衆参しゅうさん両院りょういんで2/3に達たっすることとなった。

2018年ねん（平成へいせい30年ねん）3月がつ、自民党じみんとうは4つのテーマの憲法けんぽう改正かいせい条文じょうぶんイメージを公表こうひょうした。4つのテーマの概要がいようは、自衛隊じえいたいの明記めいき、緊急きんきゅう事態じたい対応たいおう、合ごう区く解消かいしょう・地方ちほう公共こうきょう団体だんたい、教育きょういく充実じゅうじつである。

新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょう対策たいさくと憲法けんぽう改正かいせい論議ろんぎ

2020年ねんの新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの流行りゅうこうに際さいして政府せいふは、2020年ねん4月がつに改正かいせい特別とくべつ措置そち法ほうに基もとづき初はつの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんを発令はつれいしたが、諸しょ外国がいこくのような行動こうどう制限せいげんを制定せいていし、違反いはん者しゃに刑罰けいばつを与あたえるロックダウン（都市とし封鎖ふうさ）は実施じっしされず、「外出がいしゅつ自粛じしゅく要請ようせい（お願ねがい）」という、罰則ばっそくや強制きょうせい力りょくがない形かたちとなった。これに対たいして、感染かんせん拡大かくだいが深刻しんこく化かした翌よく2021年ねん8月がつには、全国ぜんこく知事ちじ会かいからも、ロックダウンの法ほう整備せいびやロックダウンのような方策ほうさくの検討けんとうを政府せいふに対たいして要求ようきゅうするなど、政府せいふのコロナ対策たいさくに対たいする不満ふまんが巻まき起おこるようになった。

この現状げんじょうに対たいして、現行げんこう憲法けんぽうに国家こっか緊急きんきゅう権けんの規定きていが存在そんざいしないために、諸しょ外国がいこくのような強制きょうせい力りょくを伴ともなう措置そちが取とれないという見方みかたから、これを解消かいしょうして実効じっこう性せいのあるものにするために、国家こっか緊急きんきゅう権けんの規定きていを日本国にっぽんこく憲法けんぽうに追加ついかしてロックダウンができるように憲法けんぽうを改正かいせいするべきという議論ぎろんが与党よとうなどから挙あがってきている。

一方いっぽうで、憲法けんぽうの専門せんもん家かである京都大学きょうとだいがく教授きょうじゅの曽我部そがべ真しん裕ひろしは、緊急きんきゅう事態じたい対応たいおうのために改憲かいけんする必要ひつようがあるのは典型てんけい的てきには憲法けんぽうが定さだめる原則げんそくを一時いちじ的てきに変更へんこうすること（国会こっかいが法律ほうりつで定さだめるべき内容ないようを内閣ないかくが政令せいれいで定さだめられるようにしたり、基本きほん的てき人権じんけんの一部いちぶを停止ていししたりすることなど）を認みとめる場合ばあいであり、いまのウイルス対策たいさくで想定そうていされているのはこのような措置そちではないことから、改憲かいけんを主張しゅちょうするのは筋違すじちがいであるとした上うえで、法ほう改正かいせいすれば都市とし封鎖ふうさ（ロックダウン）ができるのかについては、封鎖ふうさに伴ともなう人権じんけん制約せいやくが憲法けんぽうに反はんしないかどうかが問題もんだいとなるが、直ただちに違憲いけんとはならないと考かんがえるべきであり、人権じんけん制限せいげんの程度ていどや制限せいげんが限度げんどを超こえないための歯止はどめ等とうがポイントになるとしている。

世論せろん

1955年ねんの調査ちょうさ

鳩山はとやま一郎いちろうが固執こしつした憲法けんぽう改正かいせいについて、毎日新聞まいにちしんぶんが1955年ねん2月がつに実施じっしした｢憲法けんぽう改正かいせいの賛否さんぴ｣を問とう世論せろん調査ちょうさの結果けっかは、憲法けんぽう改正かいせいに賛成さんせいとした回答かいとうが44.7%で憲法けんぽう改正かいせいに反対はんたいした回答かいとうが29.6%で、国民こくみんから憲法けんぽう改正かいせいそのものについては一定いっていの理解りかいが得えられていた。 ただ、同年どうねん10月がつに朝日新聞あさひしんぶんが行おこなった、｢正式せいしきに軍隊ぐんたいが持もてるように憲法けんぽうを改正かいせいすること｣を問とうた世論せろん調査ちょうさでは、賛成さんせいとした回答かいとうが37%で 反対はんたいとした回答かいとうが42%であった。このことから当時とうじの国民こくみんは自衛隊じえいたいの存在そんざいは否定ひていしないが、それを理由りゆうに憲法けんぽう改正かいせいすることには否定ひてい的てきだった。

2023年ねんの調査ちょうさ

2023年ねんに行おこなわれた調査ちょうさでは、2022年ねんに発生はっせいしたロシアによるウクライナ侵攻しんこうを背景はいけいとして「憲法けんぽうを改正かいせいする方ほうがよい」が61%で「憲法けんぽうを改正かいせいしない方ほうがよい」は33％となった。

憲法けんぽうの改正かいせいに賛成さんせいしている政党せいとう

政党せいとう	設立せつりつ年ねん	条文じょうぶん型がた 改憲かいけん草案そうあん	第だい96条じょう (国民こくみん投票とうひょうの変更へんこう)	第だい9条じょう	一院制いちいんせい移行いこう	その他た	参考さんこうHP
自由民主党じゆうみんしゅとう	1955〜	有ゆう	改正かいせいすべき（国民こくみん投票とうひょうの厳格げんかく化かもあり得える）	改正かいせいすべき。第だい1項こう、第だい2項こうは維持いじし、自衛隊じえいたいの保持ほじを明記めいきすべき。	議論ぎろん中ちゅう		[2]
公明党こうめいとう	1964-	無む	慎重しんちょう 一定いってい緩和かんわの余地よちあり	第だい1項こう、第だい2項こうは維持いじし、自衛隊じえいたいの国際こくさい貢献こうけんなどに関かんする規定きていを新設しんせつ（改憲かいけんではなく加か憲けん）	不要ふよう		[3]
国民こくみん民主党みんしゅとう	2020-	無む	不要ふよう	改正かいせいすべき。自衛隊じえいたいを戦力せんりょくとして認みとめ、自衛じえい権けん行使こうしの限界げんかいと軍隊ぐんたいの保持ほじ・統制とうせいについて明記めいきすべき。	不要ふよう		[4]
日本にっぽん維新いしんの会かい	2015-	有ゆう（一部いちぶ）	不明ふめい	改正かいせいすべき。第だい1項こう、第だい2項こうは維持いじし、自衛隊じえいたいの保持ほじを明記めいきすべき。専守防衛せんしゅぼうえいの定義ていぎにある「必要ひつよう最小さいしょう限度げんど」を見直みなおすべき。	推進すいしん	[5]	[6]

憲法けんぽうの改正かいせいに反対はんたいしている政党せいとう

政党せいとう	設立せつりつ年ねん	条文じょうぶん型がた 改憲かいけん草案そうあん	第だい96条じょう (国民こくみん投票とうひょうの変更へんこう)	第だい9条じょう	一院制いちいんせい移行いこう	参考さんこうHP
日本にっぽん共産党きょうさんとう	1922-	無む	改正かいせいに反対はんたい	改正かいせいに反対はんたい	改正かいせいに反対はんたい	[7]
社会しゃかい民主党みんしゅとう	1996-	無む	改正かいせいに反対はんたい	改正かいせいに反対はんたい	改正かいせいに反対はんたい	[8]
立憲りっけん民主党みんしゅとう	2020-	無む	改正かいせいに反対はんたい	改正かいせいに慎重しんちょう（自民党じみんとうや維新いしんが主張しゅちょうする自衛隊じえいたい加か憲けん論ろんは、現行げんこう憲法けんぽう第だい9条じょうが空文くうぶん化かする懸念けねんがあることから反対はんたい）	改正かいせいに反対はんたい	[9]
れいわ新選しんせん組ぐみ	2019-	無む	改正かいせいに反対はんたい	改正かいせいに慎重しんちょう（改憲かいけん自体じたいに反対はんたいはしないが、自民党じみんとうの改憲かいけん案あんには反対はんたい）	改正かいせいに反対はんたい	[10]

主おもな見解けんかい

憲法けんぽう学者がくしゃ

長谷部はせべ恭男やすおは、2006年ねんに「立憲りっけん主義しゅぎに立たつ憲法けんぽうは、個々人ここじんの良心りょうしんに任まかされるべき領域りょういきに入はいり込こんだり政治せいじのプロセス自体じたいを損そこねかねない危険きけんな選択せんたくをしたりしないよう、あらかじめ選択せんたくの幅はばを制限せいげんするという役割やくわりがある。しかし、昨今さっこんの憲法けんぽう改正かいせい論議ろんぎを瞥見べっけんすると、人々ひとびとの考かんがえようやものの見方みかたをコントロールしようと企くわだてているのではないかと思おもわれる議論ぎろんが少すくなくない。国民こくみんの権利けんりの侵害しんがいに対たいしては法律ほうりつや判例はんれいで具体ぐたい化かされなければ不十分ふじゅうぶんであり、「国くにを守まもる責務せきむ」など義務ぎむを法律ほうりつではなく責務せきむとして書かき込こむと政治せいじ哲学てつがくないし道徳どうとく哲学てつがくの点てんから「国くに」とは何なにかという別べつの問題もんだいが生しょうじる」と述のべている。

憲法けんぽう改正かいせいに対たいする限界げんかい説せつと無む限界げんかい説せつ

限界げんかい説せつ

憲法けんぽうの根本こんぽん原理げんりを改正かいせいの限界げんかいとする。芦部あしべ信喜しきは、学説がくせつは主おもに限界げんかい説せつと無む限界げんかい説せつに分わかれるが、法的ほうてきな限界げんかいが存在そんざいするとする学説がくせつが通説つうせつであり、かつそれが妥当だとうと主張しゅちょうする。

• 法ほう実証じっしょう主義しゅぎ的てき限界げんかい説せつは、憲法けんぽうの改正かいせい権けんは憲法けんぽうによって与あたえられる以上いじょう、制定せいてい権けんによる根本こんぽん的てき決断けつだんたる憲法けんぽうを変更へんこうする能力のうりょくを持もたず、改正かいせいに限界げんかいがあると説明せつめいする。
• 自然しぜん法論ほうろん的てき限界げんかい説せつは、実定じってい憲法けんぽうには自然しぜん法ほうが上位じょういし、憲法けんぽうをも含ふくめての全ぜん実定法じっていほうの効力こうりょくの有無うむは自然しぜん法ほうへの適合てきごう・不ふ適合てきごうによって決けっせられるとするならば、改正かいせい規定きていによる憲法けんぽう改正かいせいにおいても自然しぜん法ほう上じょうの制約せいやくがあるとして、改正かいせいに限界げんかいがあると説明せつめいする。かかる見解けんかいによれば、自然しぜん法ほうに反はんするような憲法けんぽうの変革へんかくは「あらわな事実じじつ力りょくによる破壊はかいであって」憲法けんぽうの制定せいていとしても認みとめることはできず、正当せいとう性せいを主張しゅちょうできないとする。芦部あしべ信喜しきは、「民主みんしゅ主義しゅぎに基もとづく憲法けんぽうは、国民こくみんの憲法けんぽう制定せいてい権力けんりょく（制憲せいけん権けん）によって制定せいていされる法ほう」と説とく。従したがって、憲法けんぽう改正かいせいの権能けんのうは制憲せいけん権けんに由来ゆらいするものであるから、「自己じこの存立そんりつの基盤きばんとも言いうべき制憲せいけん権けんの所在しょざい（国民こくみん主権しゅけん）を変更へんこうすることは、いわば自殺じさつ行為こういであって理論りろん的てきに許ゆるされない」としている。憲法けんぽう第だい96条じょうは、「国民こくみんの制憲せいけん権けんの思想しそうを端的たんてきに具体ぐたい化かしたものであり、これを廃止はいしすることは国民こくみん主権しゅけんの原理げんりをゆるがす意味いみをもつので、改正かいせいは許ゆるされないと一般いっぱんに考かんがえられている」と言及げんきゅうしている。
• また、憲法けんぽう改正かいせいの発議はつぎを委ゆだねられている国会こっかいの構成こうせい員いんたる国会こっかい議員ぎいんは、日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい99条じょうによって「憲法けんぽう尊重そんちょう擁護ようご義務ぎむ」を負おうところ、現げん憲法けんぽうを否定ひていするような改正かいせいを認みとめれば明あきらかな背理はいりとなり、よって憲法けんぽうは現げん憲法けんぽうを否定ひていする変更へんこうを「改正かいせい」としては予定よていしていないとする。浦部うらべ法ほう穂ほは「そもそも平時へいじに新しん憲法けんぽうの制定せいていをおこなう国くにはない」と主張しゅちょうしている。

限界げんかい説せつを前提ぜんていとした憲法けんぽう第だい96条じょうの改正かいせい限界げんかいについて、清宮きよみや四郎しろうは、「例たとえば、国会こっかいの発議はつぎについて両りょう議院ぎいん対等たいとうの原則げんそくを変更へんこうして衆議院しゅうぎいんの優位ゆういを認みとめ、または、発議はつぎについて特別とくべつの憲法けんぽう会議かいぎを設もうけたり、あるいは、国会こっかいの議決ぎけつにおける「硬性こうせい」の度合どあいをいくぶん変更へんこうしたりする程度ていど」の改正かいせいは許容きょようされる、とする。

限界げんかい説せつに対たいしては、「改正かいせいに限界げんかいがあるとすれば、天皇てんのう主権しゅけんから国民こくみん主権しゅけんへの改正かいせいによって成立せいりつした日本国にっぽんこく憲法けんぽうは改正かいせいの限界げんかいを超こえたものである」という批判ひはん（福田ふくだ恆ひさし存そん）や、大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう発布はっぷの際さいの勅語ちょくごにも「現在げんざい及将来しょうらいの臣民しんみんは此の憲法けんぽうに対たいし永遠えいえんに従順じゅうじゅんの義務ぎむを負ふふへし」（原文げんぶん旧きゅう字じカタカナ）という文言もんごんがあるため上記じょうきの憲法けんぽう尊重そんちょう擁護ようご義務ぎむを根拠こんきょとした限界げんかいは認みとめられないとする批判ひはんがある。これに対たいし限界げんかい説せつは、八はち月がつ革命かくめい説せつを用もちいて反論はんろんしている。すなわち、ポツダム宣言せんげんの受諾じゅだくにより法的ほうてきには一種いっしゅの革命かくめいがあったものと捉とらえ、大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうと日本国にっぽんこく憲法けんぽうとの連続れんぞく性せいを否定ひていすることで、上記じょうきの批判ひはんを失当しっとうとする。

無む限界げんかい説せつ

改正かいせいに限界げんかいがないとする。

• 法ほう実証じっしょう主義しゅぎ的てき無む限界げんかい説せつは、憲法けんぽうの規定きていに価値かち序列じょれつは存在そんざいせず、憲法けんぽう自身じしんが改正かいせいを認みとめる以上いじょう、憲法けんぽうの規定きていの改正かいせいに限界げんかいはないと説明せつめいする。
  • 「社会しゃかい的てき事情じじょうを基礎きそとして存在そんざいする法規ほうきが、社会しゃかい的てき事情じじょうの変更へんこうによって変更へんこうすることのあり得えるのは当然とうぜんである。このことにはその法規ほうきがいかなる種類しゅるいのものであっても変かわりはない。」（佐々木ささき惣一そういち）
• 主権しゅけん全能ぜんのう論ろん的てき無む限界げんかい説せつは、制憲せいけん権けんは万能ばんのうであるがゆえ、改正かいせいについて憲法けんぽうの枠わくによって拘束こうそくされることはなく、改正かいせいに限界げんかいはないと説明せつめいする。
• 日本にっぽん国外こくがいの無む限界げんかい説せつ - ドイツのW・ブルクハルトは、「そもそも憲法けんぽう改正かいせいは国くにの最高さいこう法規ほうきに変更へんこうを加くわえる作用さようであるから、もはやそれは法ほうの下したの作用さようではなく事実じじつの作用さようにすぎない。事実じじつの作用さようであってみれば、そこに法的ほうてき限界げんかいがあるという考かんがえ方かたはナンセンスである。」と説とき、憲法けんぽう改正かいせいも新しん憲法けんぽう制定せいてい（革命かくめい）に等ひとしく、革命かくめいによってのみ憲法けんぽうが改正かいせいされるのであり、改正かいせい規定きていは政治せいじ的てき了承りょうしょうを得えやすいために置おかれていると論ろんじている。

阪本さかもと昌あきら成しげる・現げん近畿大学きんきだいがく教授きょうじゅは、無む限界げんかい説せつを前提ぜんていに、憲法けんぽう第だい96条じょうについて、「…無む限界げんかい説せつに立たつ以上いじょう、憲法けんぽうを改正かいせいするに当あたって、権力けんりょく主体しゅたいとしての国民こくみんは、改正かいせい手続てつづきに関かんし、「国会こっかいによる発議はつぎ権けんを否認ひにんし、国民こくみんが発案はつあんする」という憲法けんぽう改正かいせい案あんであれ、「国民こくみん投票とうひょうを不要ふようとする」という改正かいせい案あんであれ、いずれの案あんであってもこれを承認しょうにんすることができる。」と述のべている。

改正かいせい限界げんかいを超こえた改正かいせい

法的ほうてき連続れんぞく性せいが切断せつだんされた「新しん憲法けんぽう制定せいてい」と憲法けんぽう改正かいせいとの相違そうい点てんは、「改正かいせい」の定義ていぎの差さにすぎないとする指摘してきがある。改正かいせいの限界げんかいを超こえた改正かいせいも、改正かいせい後ごの憲法けんぽうが国民こくみんから広ひろく受うけ入いれられて安定あんていした秩序ちつじょを形成けいせいすることができれば、新あたらしい根拠こんきょによって憲法けんぽうの効力こうりょくが承認しょうにんされていると見みなすことができ、改正かいせい憲法けんぽうか新しん憲法けんぽうかを判断はんだんする標識ひょうしきであるにすぎないとされ、その権利けんりが改正かいせい権けん者しゃ自身じしんの手てにある限かぎり、理論りろん上じょうの新しん憲法けんぽう制定せいていが改正かいせいの名なにおいて行おこなわれることはありうる。

憲法けんぽうの変遷へんせん

憲法けんぽうの変遷へんせんとは、憲法けんぽうの規定きていの文言もんごんになんらの改定かいていが加くわえられることなく、内閣ないかく行政府ぎょうせいふによる有権ゆうけん解釈かいしゃくに基もとづく国家こっか実行じっこうが行おこなわれ、議会ぎかいが明示めいじ的てきないし黙示もくし的てきに追認ついにんすることによって、事実じじつ上じょう規範きはんの意味いみが変化へんかし、憲法けんぽう改正かいせいされたのと同おなじ結果けっかを生しょうずることを意味いみする。一般いっぱん的てきには事態じたいを客観きゃっかん的てきに観察かんさつした結果けっかを示しめす言葉ことばであるが、これに司法しほう的てき性格せいかくを持もたせることができるか議論ぎろんがある。実効じっこう性せいが失うしなわれた憲法けんぽう規範きはんは法ほうとしての性格せいかくを持もたないとして、これを肯定こうていする見解けんかいがある。他方たほう、違憲いけん状態じょうたいはあくまでも事実じじつにしか過すぎず、司法しほう的てき性格せいかくをもちえないとして、これを否定ひていする見解けんかいがある。

憲法けんぽう改正かいせいの論点ろんてん

「伊藤いとう修おさむ (参議院さんぎいん議員ぎいん)#憲法けんぽう改正かいせい論ろんに関かんする主張しゅちょう」も参照さんしょう

日本にっぽんでの憲法けんぽう改正かいせいをめぐる論点ろんてんはいくつかある。

• 戦後せんご間まもなくから、天皇てんのうの地位ちいを憲法けんぽう上じょう明確めいかくに元首げんしゅと定さだめることや、憲法けんぽう上じょう規定きていされる人権じんけんを必要ひつように応おうじて法令ほうれいで制限せいげんできるようにすべき（「公共こうきょうの福祉ふくし」における外在がいざい的てき制約せいやく説せつ採用さいよう論ろん）、といった声こえがあった。
• 日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい12条じょう改正かいせいに関かかわる論議ろんぎ。公共こうきょうの福祉ふくしの解釈かいしゃくに対立たいりつがあり、多おおくの公共こうきょう事業じぎょうや国家こっか賠償ばいしょう訴訟そしょうで司法しほう的てき争点そうてんとなってきた。また国家こっか緊急きんきゅう権けんや徴兵ちょうへいの議論ぎろんでしばしば取とり上あげられる。日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい11条じょう・日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい13条じょうも議論ぎろんに含ふくまれる。一票いっぴょうの格差かくさ問題もんだいなど。
• 日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい9条じょう。日本にっぽんの再さい武装ぶそうと警察けいさつ予備よび隊たい・自衛隊じえいたいの議論ぎろん、及およびこれに伴ともなう軍事ぐんじ裁判所さいばんしょ・憲法けんぽう裁判所さいばんしょの設置せっちについてはサンフランシスコ講和こうわ条約じょうやく締結ていけつに関かかわる国会こっかい論戦ろんせんの頃ころからの最大さいだいの論点ろんてんであった。
• 憲法けんぽう制定せいてい当時とうじからの時代じだいが進すすむにつれて新あたらしい類型るいけいの人権じんけんが意識いしきされ、裁判所さいばんしょにおいても一定いっていの新あたらしい人権じんけんを解釈かいしゃくにて認みとめるようになってきた。
• 憲法けんぽう改正かいせいの具体ぐたい的てき要件ようけんである国民こくみん投票とうひょう法ほうが長ながらく存在そんざいしていなかった。投票とうひょう方式ほうしきについても争点そうてんがあり、自民党じみんとう当初とうしょ案あんでは個別こべつ投票とうひょう方式ほうしきではなく一括いっかつ投票とうひょう方式ほうしきで様々さまざまな条文じょうぶんを一いち度どに改正かいせいが可能かのうな制度せいどになっており、公明党こうめいとうの反対はんたいにより一括いっかつ投票とうひょう方式ほうしきには固執こしつしなくなったが、現在げんざいの国民こくみん投票とうひょう法ほうでは一括いっかつ投票とうひょう方式ほうしきも可能かのうな条文じょうぶんとなっている。
• 自民党じみんとうが衆議院しゅうぎいんを与党よとう多数たすうで押おさえている結党けっとう50周年しゅうねんのタイミングで新しん憲法けんぽう草案そうあんを発表はっぴょうすると、時代じだいが変かわってきたので新あたらしい憲法けんぽうが必要ひつようであるという改憲かいけん派はと、改憲かいけんは不要ふようあるいは危険きけんとする護憲ごけん派はとの間あいだで、熾烈しれつな論争ろんそうになってきている。
• また個別こべつの内容ないようについても議論ぎろんがある。
  • 産業さんぎょうの発達はったつなどで生しょうじた問題もんだいに対処たいしょするための「環境かんきょう権けん」や「プライバシー権けん」など新あたらしい基本きほん的てき人権じんけんの追加ついか
  • 民意みんいをより国政こくせいに反映はんえいするための首相しゅしょう公選こうせん制せいあるいは大統領だいとうりょう制せいの導入どうにゅう
  • 中央ちゅうおう官庁かんちょう主導しゅどうの行政ぎょうせいを改善かいぜんするための道どう州しゅう制せいの導入どうにゅう
  • 衆議院しゅうぎいん(下院かいん)・参議院さんぎいん(上院じょういん)を並立へいりつさせている両院りょういん制せいの見直みなおし（参議院さんぎいんの廃止はいし、一院制いちいんせいへの移行いこう）
  • 私学しがく助成じょせい金きむが違憲いけんとなっている状態じょうたいの解消かいしょう（ただし、判例はんれいによると現状げんじょうの私学しがく助成じょせいは合憲ごうけんだとされる)
  • 同性どうせい結婚けっこんの導入どうにゅう
  • 憲法けんぽう改正かいせい手続てつづきの基準きじゅん緩和かんわ
  • 愛国心あいこくしん関連かんれんの明記めいき

以下いかに主おもな論点ろんてんの内容ないようを概説がいせつする。

憲法けんぽう規範きはんの性格せいかくと人権じんけん制約せいやくの原理げんり

憲法けんぽう規範きはんの性格せいかく

トーマス・ジェファーソンによれば、政府せいふとは信用しんようしてはならないものであり、憲法けんぽうとは国家こっかの暴走ぼうそう・国民こくみんに対たいする横暴おうぼうを抑おさえるためのものである。またフランス人権じんけん宣言せんげん曰いわく、「権利けんりの保障ほしょうが確保かくほされず，権力けんりょくの分立ぶんりつが定さだめられていないすべての社会しゃかいは，憲法けんぽうを有ゆうしない」（第だい16条じょう）。こういった考かんがえ方かたがある一方いっぽうで、諸国しょこくの憲法けんぽうは歴史れきし的てきにも国民こくみんの諸しょ義務ぎむを明示めいじするのが趨勢すうせいであり、消極しょうきょく国家こっか観かんにのみもとづかない憲法けんぽう観かんも存在そんざいしている（→近代きんだい的てき立憲りっけん主義しゅぎの現代げんだい的てき変容へんよう）。2012年ねん自民党じみんとう改憲かいけん案あんは国民こくみんに対たいし憲法けんぽうの擁護ようごを義務付ぎむづけている（第だい99条じょう）。

公益こうえき及および公おおやけの秩序ちつじょ

日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい12条じょう・13条じょう・29条じょうは、国民こくみんの生命せいめい・自由じゆう・財産ざいさん権けん・幸福こうふく追求ついきゅうといった日本国にっぽんこく憲法けんぽうの柱はしらである基本きほん的てき人権じんけんの尊重そんちょうが保障ほしょうされている条項じょうこうであり、この条項じょうこうの人権じんけん制限せいげん条件じょうけんである「公共こうきょうの福祉ふくし」の法ほう解釈かいしゃくに論争ろんそうがあった。

詳細しょうさいは「公共こうきょうの福祉ふくし」を参照さんしょう

現在げんざいの通説つうせつ（一元いちげん的てき内在ないざい制約せいやく説せつ）において、人権じんけん相互そうごの矛盾むじゅん衝突しょうとつを調整ちょうせいするために認みとめられる衡平こうへいの原理げんりのこととされている。この条文じょうぶんが2012年ねん自民党じみんとう憲法けんぽう改正かいせい草案そうあんにおいて「公益こうえき及および公おおやけの秩序ちつじょに反はんしない限かぎり」に差さし替かえられている事ことに対たいする論議ろんぎ。

自民党じみんとう憲法けんぽう調査ちょうさ会かいの趣旨しゅし説明せつめいとしては戦後せんご導入どうにゅうされた「個人こじん主義しゅぎ」が（国民こくみんに）正ただしく理解りかいされず利己りこ主義しゅぎに変へんじて家族かぞくと共同きょうどう体たいの破壊はかいにつながっているので、そのように変更へんこうしたい」という説明せつめいである。

一方いっぽう、弁護士べんごし9条じょうの会かいは、自民党じみんとう草案そうあんを（大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう・全体ぜんたい主義しゅぎ国憲こっけん法ほうと同おなじ）『外在がいざい制約せいやく』型がた人権じんけん条項じょうこうとみなし、「憲法けんぽう12条じょう・13条じょう自民党じみんとう案あんは、時ときの為政者いせいしゃにより「公益こうえき」「公おおやけの秩序ちつじょ」と判断はんだんされた基準きじゅんにより（国民こくみんの生命せいめい・身体しんたいや言論げんろんの自由じゆう等とうの基本きほん的てき）人権じんけんの制約せいやくすることを可能かのうとするものである。」、「自民党じみんとう12条じょう、13条じょう改正かいせい案あんの文面ぶんめん置おき換かえは『これが可決かけつされると、政治せいじ家かが公益こうえき・公おおやけ秩序ちつじょ名目めいもくで勝手かってに国民こくみんの人権じんけんを制限せいげんする事ことが可能かのうになり、近代きんだい民主みんしゅ政せいの基盤きばんの立憲りっけん制せいが根底こんていから覆くつがえりかねない』内容ないようを含ふくんでいる」と主張しゅちょうしている。

『公共こうきょうの福祉ふくし』が『公益こうえき及および公おおやけの秩序ちつじょ』に差さし替かえられ、微妙びみょうな表現ひょうげんに見みえるが大おおきな違ちがいがある。「公共こうきょう」と訳やくされてきた元々もともとの英語えいご「public（パブリック）」は、「all people」、つまり「みんな」を指さし示しめすものであるが、日本語にほんごの「公おおやけ（おおやけ）」の原義げんぎは「大宅おおたく（大おおきな家いえ）」とされ、人々ひとびとが集あつまる場所ばしょ、そこから管理かんりする長ちょう、朝廷ちょうていを示しめすようになり、天皇てんのうを頂点ちょうてんとした政府せいふ権力けんりょくを指さす「おおやけ」が定着ていちゃくした。この経緯けいいからもわかるように「公おおやけ（おおやけ）」は人民じんみんのものでなく権力けんりょく性せいを多分たぶんに含ふくんだ言葉ことばであった。歴史れきし的てきに「わたくし」に対たいする「おおやけ」の権力けんりょく性せいの優位ゆういが確立かくりつし、個人こじんより集団しゅうだんが優先ゆうせんされる戦時せんじ中ちゅうの国民こくみん精神せいしん総動員そうどういんにつながり、現代げんだいにも根強ねづよい「お上かみ」意識いしきとして残のこった。現代げんだいでも周囲しゅういに同調どうちょうせずに自分じぶんの意見いけんを主張しゅちょうする人ひとのことを「KY語ご（空気くうき読よまない系けい）場ばの空気くうきも参照さんしょう）と批判ひはんするなど同調どうちょう圧力あつりょくの強つよい集団しゅうだん主義しゅぎ的てき風潮ふうちょうは日本にっぽん社会しゃかいに残のこっている。「公共こうきょうの福祉ふくし」を「公おおやけの秩序ちつじょ」に変かえることは、「みんなの（public）」という意味いみを後退こうたいさせ、「権力けんりょく性せい（おおやけ）」という意味いみを前面ぜんめんに出だすことを意味いみする。それは「公共こうきょう性せい」を確保かくほする、という言葉ことばとは裏腹うらはらに権力けんりょく側がわの都合つごう・利益りえきによる自由じゆうの制限せいげんを許ゆるしかねない危あやうさをはらんでいるという指摘してきがある 。

自民党じみんとう議員ぎいんの意見いけん

自民党じみんとう憲法けんぽう調査ちょうさ会かいでの発言はつげん。

• 公共こうきょうの福祉ふくしの概念がいねんが曖昧あいまいで公共こうきょうの利益りえきにすべき（渡海とかい紀きの三朗さぶろう議員ぎいん）
• 公共こうきょうの福祉ふくしを実現じつげんする為ための権利けんり制限せいげんを明記めいきすべき（衛藤えとう晟一せいいち議員ぎいん）
• 公共こうきょうの福祉ふくしは借かりてきた概念がいねんで日本語にほんごになじまない（森元もりもと恒雄つねお議員ぎいん）
• 公共こうきょうの福祉ふくしは輸入ゆにゅうされた概念がいねんで、戦後せんご学者がくしゃによって良よい様ように解釈かいしゃくされてきた。公共こうきょうの利益りえきと他人たにんの権利けんりを侵害しんがいしないと言いう制約せいやく原理げんりである事ことを明記めいきすべき（葉梨はなし康弘やすひろ議員ぎいん）
• 押おし付つけ憲法けんぽう論ろん
  • 自民党じみんとう憲法けんぽう調査ちょうさ会議かいぎ事ごと録ろく 参照さんしょう

自民党じみんとう憲法けんぽう調査ちょうさ会かい 論点ろんてん整理せいり

この分野ぶんやにおける本ほんプロジェクトチーム内ないの議論ぎろんの根底こんていにある考かんがえ方かたは、近代きんだい憲法けんぽうが立脚りっきゃくする「個人こじん主義しゅぎ」が戦後せんごの日本にっぽんにおいては（国民こくみんに）正確せいかくに理解りかいされず、「利己りこ主義しゅぎ」に変質へんしつさせられた結果けっか、家族かぞくや共同きょうどう体たいの破壊はかいにつながってしまったのではないか、ということへの懸念けねんである。国民こくみんの生存せいぞん権けん等とう基本きほん的てき権利けんりが国民こくみんの何なんらかの義務ぎむを伴ともない、国民こくみんの身体しんたいや言論げんろんの基本きほん的てき自由じゆうが国民こくみんの何なんらかの責任せきにんを伴ともなうことは自明じめいの理りであり、家族かぞく・共同きょうどう体たいにおける責務せきむを明確めいかくにする方向ほうこうで、新しん憲法けんぽうにおける規定きていぶりを考かんがえていくべきとする視点してんや、国民こくみんを「被ひ統治とうち民みん」ではなく「統治とうち実権じっけんの担にない手て」とする視点してんから立脚りっきゃくしている。

自民党じみんとう憲法けんぽう調査ちょうさ会かいに対たいする批判ひはん、見解けんかい

自民党じみんとうの指摘してきするように、自由じゆう民主みんしゅ主義しゅぎの源流げんりゅうは、政府せいふの権力けんりょくを制限せいげんし、個人こじんの自由じゆうを重おもんじる個人こじん主義しゅぎである。しかし、国民こくみんが個人こじん主義しゅぎを伸張しんちょうすること（愚行ぐこう権けん思考しこうの拡大かくだい）で利己りこ主義しゅぎになったという自民党じみんとう憲法けんぽう調査ちょうさ会かいの評価ひょうかには、「憲法けんぽうで人権じんけん制限せいげん立法りっぽうを認みとめる危険きけんを軽視けいししている」との批判ひはん（弁護士べんごし9条じょうの会かいによる批判ひはん）がある。

立正大学りっしょうだいがく法学部ほうがくぶ教授きょうじゅで護憲ごけん論ろん者しゃの金子かねこ勝まさるは、自民党じみんとうの憲法けんぽう12条じょう、13条じょう改正かいせい草案そうあんが仮かりに修正しゅうせいされずに国民こくみん投票とうひょうに掛かけられた場合ばあい「公益こうえき及および公おおやけの秩序ちつじょ」を守まもるという名目めいもくで基本きほん的てき人権じんけんの制限せいげんが可能かのうとなり、日本にっぽんは基本きほん的てき人権じんけんのない国くにになると主張しゅちょうする。

日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごう会かいは、国家こっか的てき利益りえきや全体ぜんたい的てき利益りえきを優先ゆうせんさせた場合ばあい、基本きほん的てき人権じんけんの制約せいやくは容易よういとなり、人権じんけん制約せいやくの合憲ごうけん性せいについての司法しほう審査しんさもその機能きのうを低下ていかさせることとなるという見解けんかいを出だしている。

憲法けんぽう12条じょう・13条じょう改訂かいていは憲法けんぽう3原則げんそくのうち国民こくみん主権しゅけん・基本きほん的てき人権じんけん尊重そんちょうの根幹こんかんに触ふれると批判ひはんされているが、国会こっかい議員ぎいんによる説明せつめいや問題もんだい提起ていきは積極せっきょく的てきには行おこなわれておらず、主しゅとして法曹界ほうそうかいからの問題もんだい指摘してきが中心ちゅうしんである。また、自民党じみんとうが国民こくみん投票とうひょう法ほうを一括いっかつ投票とうひょうにして各かく条項じょうこう（9条じょうと12・13条じょう等とう）の抱だき合あわせ採決さいけつを可能かのうにしたことは日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごう会かいなど複数ふくすうの団体だんたいが批判ひはんしている。

なお、自民党じみんとう憲法けんぽう草案そうあんにおいて「政府せいふが公益こうえき・公おおやけ秩序ちつじょの維持いじを名目めいもくに国民こくみんの人権じんけんを制限せいげんできるようにすべき」と明言めいげんした自民党じみんとう議員ぎいんはおらず、外在がいざい制約せいやく型がた人権じんけん条項じょうこうを優先ゆうせん解釈かいしゃくされる可能かのう性せいについて議論ぎろんがなされたのかは明あきらかになっていない。

国民こくみんの義務ぎむ規定きてい

国民こくみんの「責任せきにん（責務せきむ）」として明文あきふみ改憲かいけんすべきであり、納税のうぜいなど従来じゅうらいの義務ぎむ規定きていのほかに、新あらたな人権じんけんを明記めいきする一方いっぽうで権利けんりと衡平こうへいする責務せきむ規定きていを設もうけるべきとの主張しゅちょうがある。また現状げんじょうのままで良よく、詳細しょうさいは法律ほうりつによればよいとする立場たちばがある。一方いっぽうで現行げんこう憲法けんぽうの納税のうぜいの義務ぎむを含ふくめ、義務ぎむ規定きていの憲法けんぽう上じょうでの明記めいきは最小限さいしょうげんにすべきとの主張しゅちょうがある。

天皇てんのうの地位ちい

象徴しょうちょう天皇てんのう制せいのあり方かたについて議論ぎろんがある。第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんが終結しゅうけつすると、共産きょうさん主義しゅぎや近代きんだい政治せいじ学がく（丸山まるやま眞男まさおら）の立場たちばなどから天皇てんのう制せい批判ひはんが数多かずおおく提議ていぎされた。1950年代ねんだいから1960年代ねんだいには、共産きょうさん主義しゅぎ者しゃを中心ちゅうしんに天皇てんのう制せいの廃止はいしを訴うったえる意見いけんが一いち定数ていすう存在そんざいしていたこともあった。

しかし、2004年ねんの時点じてんで日本にっぽん共産党きょうさんとうが綱領こうりょうを改正かいせい。元首げんしゅ・統治とうち者しゃということを認みとめないという条件じょうけんの下した、天皇てんのう制せいの是非ぜひについては主権しゅけん在民ざいみんの思想しそうに基もとづき国民こくみんが判断はんだんすべきであるという趣旨しゅしに改あらためており、また憲法けんぽう（特とくに第だい9条じょうや生存せいぞん権けん関連かんれん規定きてい）改正かいせいに反対はんたいする立場たちばを堅持けんじしていることから、かつてのような強硬きょうこうな天皇てんのう制せい廃止はいし論ろんは影かげをひそめているのが現状げんじょうである。また、各種かくしゅの世論せろん調査ちょうさでは、象徴しょうちょう天皇てんのう制せいの現状げんじょう維持いじを主張しゅちょうする意見いけんが大だい多数たすうとなっている。

ただし、護憲ごけん派はの中なかには、天皇てんのう制せい廃止はいし論ろん者しゃもいる（つまりその限かぎりでは改憲かいけん派はであり、厳密げんみつには護憲ごけん派はではないともされる）。そのため、天皇てんのう条項じょうこうを含ふくめた護憲ごけん派はと対立たいりつする場面ばめんも見みられる。

また、日本にっぽんを立憲りっけん君主くんしゅ制せいとみなす立場たちばからは、天皇てんのうを名実めいじつともに国家こっかの元首げんしゅと明記めいきすべきだという意見いけんもある。関連かんれんして、外国がいこく大だい公使こうしの親授しんじゅ式しきや国会こっかい開会かいかいの「おことば」など天皇てんのうの国事こくじ行為こういと準じゅん国事こくじ行為こういとされている行為こういについても整理せいりして明記めいきすべきとする意見いけんもある。

日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい9条じょう、自衛隊じえいたい

憲法けんぽう9条じょうでは、戦争せんそう放棄ほうきと戦力せんりょくの不ふ保持ほじを規定きていしているが、一方いっぽうでGHQの意向いこうで再建さいけんされた軍事ぐんじ力りょくである自衛隊じえいたいが存在そんざいしている。1945年ねんから1952年ねんの間あいだの日本にっぽん占領せんりょうの期間きかん内ないで1947年ねん頃ごろから、米国べいこくの対たい日にち政策せいさくが初期しょきの「武装ぶそう解除かいじょ・再さい武装ぶそう阻止そし」・「民主みんしゅ化かの促進そくしん」に重点じゅうてんを置おいた方針ほうしんから、「経済けいざい復興ふっこう」・「限定げんてい的てき再さい軍備ぐんび」の方針ほうしんに変換へんかんした事ことは“逆ぎゃくコース”と呼よばれ、指摘してきされている。その変換へんかんは、日本にっぽんが、ソ連それんの衛星えいせい国こく化かする事ことに対たいする危惧きぐ（ドミノ理論りろん）と、当時とうじの中国ちゅうごくでの共産党きょうさんとうの国民党こくみんとうに対たいする優勢ゆうせい化かと、その結果けっか生しょうじる、大陸たいりくの共産きょうさん圏けん勢力せいりょくに対たいする「反共はんきょう主義しゅぎ・封ふうじ込こめ」を唱となえたジョージ・ケナンやジョン・フォスター・ダレスらによる立案りつあんとされる。。自民党じみんとう、民主党みんしゅとうおよび保守ほしゅ的てき論客ろんかくは、現在げんざいの憲法けんぽう9条じょうと自衛隊じえいたいの存在そんざいの間あいだの矛盾むじゅんを解決かいけつするために、戦争せんそう放棄ほうきを定さだめた第だい9条じょう第だい1項こうの平和へいわ主義しゅぎの理念りねんは守まもりながら、第だい9条じょう第だい2項こうを改正かいせいして戦力せんりょくの保持ほじ（自衛じえい“隊たい”から自衛じえい“軍ぐん”すなわち国防こくぼう軍ぐんへ）を認みとめるべきと主張しゅちょうしてきた。

「国防こくぼう軍ぐん構想こうそう」も参照さんしょう

国際こくさい情勢じょうせいと憲法けんぽう改正かいせい論議ろんぎ

現時点げんじてんでの公明党こうめいとうの第だい9条じょう改正かいせいに関かんする意見いけんは次つぎの通とおりである。

反対はんたい。改憲かいけんの必要ひつようなし。ただし、自衛隊じえいたいの存在そんざいや国際こくさい貢献こうけんの在あり方かたの項目こうもくを追加ついかする「加か憲けん」を検討けんとう中ちゅう。

徴兵ちょうへい制せいの導入どうにゅう

自民党じみんとう憲法けんぽう改正かいせい推進すいしん本部ほんぶでは徴兵ちょうへい制せい導入どうにゅうの検討けんとうも1つの論点ろんてんとなっている。一方いっぽう、自民党じみんとう幹事かんじ長ちょうの大島おおしま理森ただもりは、徴兵ちょうへい制せいを検討けんとうする事ことはないと述のべている。

新あたらしい人権じんけん

日本国にっぽんこく憲法けんぽうにおいて、基本きほん的てき人権じんけんの尊重そんちょうは三さん大だい原則げんそくの1つである。

日本国にっぽんこく憲法けんぽうのうち「すべて国民こくみんは、健康けんこうで文化ぶんか的てきな最低さいてい限度げんどの生活せいかつを営いとなむ権利けんりを有ゆうする。」と謳うたっている第だい25条じょうの生存せいぞん権けんや教育きょういく権けんなどの人権じんけんに対たいしては、解釈かいしゃくが分わかれている

1. 「政治せいじ指針ししんに過すぎず、（たとえば個々ここの国民こくみんが訴訟そしょうで生活せいかつ扶助ふじょを要求ようきゅうできるような）直接ちょくせつ具体ぐたい的てきに与あたえられた権利けんりではなく、国くにの法的ほうてき義務ぎむはない」とする我妻あづま栄さかえのプログラム規定きてい説せつ、
2. 具体ぐたい的てき権利けんりではないが抽象ちゅうしょう的てきな法的ほうてき権利けんりであるという鵜飼うかい信成のぶなりらの抽象ちゅうしょう的てき権利けんり説せつ、
3. 具体ぐたい的てき権利けんりであるとする和田わだ鶴蔵つるぞうらの具体ぐたい的てき権利けんり説せつ。

1、2の視点してんであれば、具体ぐたい的てき権利けんりを個々ここに記載きさいするためには憲法けんぽう改正かいせいが有効ゆうこうに働はたらくといえる。

第だい13条じょうも当初とうしょは、プログラム規定きてい説せつに似にた一般いっぱん原則げんそく規定きてい説せつで「具体ぐたい的てき権利けんりではなく第だい14条じょう以下いかに規定きていする基本きほん的てき人権じんけんの総称そうしょう」と解釈かいしゃくされていた。 しかし、1960年代ねんだい以降いこう、幸福こうふく追求ついきゅう権けんは憲法けんぽうに列挙れっきょされていない新あたらしい人権じんけんも包括ほうかつする権利けんりで、それら新あたらしい権利けんりは裁判さいばん上じょうの救済きゅうさいを受うけられる具体ぐたい的てきな権利けんりであると解ほぐされるようになり、判例はんれいも認みとめている。（補充ほじゅう保障ほしょう説せつ）。これは具体ぐたい的てき権利けんりを個々ここに記載きさいする憲法けんぽう改正かいせいは不ふ必要ひつようという人ひとの論拠ろんきょになろう。

人権じんけん追加ついかの改正かいせいが必要ひつようかどうかというテーマに関かんして、解釈かいしゃくの範囲はんい内ないで運用うんようすれば十分じゅうぶんであるという反対はんたい論ろんと、もはや現代げんだいでは不十分ふじゅうぶんとなってしまったので明記めいきすべきだという推進すいしん論ろんとがある。

まず、反対はんたい論ろん者しゃは「人権じんけん明記めいきとセットで発議はつぎされることで第だい9条じょうの改正かいせいが可決かけつされやすくなる」ことを危惧きぐしている。基本きほん的てき人権じんけんは「人間にんげんである以上いじょう誰だれでも当然とうぜんにもっている権利けんり」であって、憲法けんぽうが書かいたから与あたえられるものでも、国民こくみんが国家こっか機関きかんから恭うやうやしく押おし頂いただくものでもない。そして、上記じょうきの具体ぐたい的てき権利けんり説せつや補充ほじゅう保障ほしょう説せつのように憲法けんぽうが新あたらしい人権じんけんも将来しょうらいにわたって包括ほうかつして保障ほしょうしているから、細目さいもくを追記ついきするための憲法けんぽう改正かいせいは不ふ必要ひつようであるという。また、一部いちぶの憲法けんぽう学者がくしゃからは人権じんけん条項じょうこうとセットで、国民こくみんの義務ぎむを規定きていする条項じょうこうが挿入そうにゅうされることに反対はんたいする意見いけんが出でている（後述こうじゅつ）。

一方いっぽう、推進すいしん論ろんは、主おもに、自由民主党じゆうみんしゅとう、公明党こうめいとうなどの改憲かいけん・加か憲けん派はが主張しゅちょうしている。推進すいしん論ろん者しゃは、日本国にっぽんこく憲法けんぽう制定せいてい時じに想定そうていされていなかった人権じんけんを、現代げんだい社会しゃかいの必要ひつよう性せいに応こたえて他たの人権じんけんと同様どうよう憲法けんぽうに明記めいきしていくのは必要ひつようだという。これはプログラム規定きてい説せつ、抽象ちゅうしょう的てき権利けんり説せつ、一般いっぱん原則げんそく規定きてい説せつなどがとられて、司法しほう、行政ぎょうせいなどによって拡大かくだい解釈かいしゃく、縮小しゅくしょう解釈かいしゃくなどのブレが起おこってしまうのを防ふせぐためという。

自由民主党じゆうみんしゅとうが2012年ねん新しん憲法けんぽう草案そうあん で明記めいきした新あたらしい人権じんけんは次つぎのとおり。

• 環境かんきょう権けん - 良好りょうこうな環境かんきょうを享受きょうじゅする権利けんり（これを要求ようきゅうしているNPOもある）（本ほん草案そうあんでは、全ぜん国民こくみんが良好りょうこうな環境かんきょうを享受きょうじゅする権利けんりとしてではなく、国くにの環境かんきょう保全ほぜんの責務せきむとして記載きさい）
• プライバシー権けん - 個人こじんの私生活しせいかつなどを守まもることができる権利けんり（本ほん草案そうあんでは、個人こじん情報じょうほうの保護ほご等とうとして簡単かんたんに記載きさい）
• 知しる権利けんり - 国くにや地方自治体ちほうじちたいに情報じょうほう公開こうかいを要求ようきゅうできる権利けんり（国政こくせいの説明せつめい責任せきにんとして記載きさい）
• 知的ちてき財産ざいさん権けん - 発明はつめい者しゃの権利けんり（ただし本ほん草案そうあんでは濫用らんようを戒いましめる留意りゅうい点てんも追記ついきされている）
• 犯罪はんざい被害ひがい者しゃの権利けんり - 犯罪はんざい被害ひがい者しゃのための権利けんり（全国ぜんこく犯罪はんざい被害ひがい者しゃの会かいも要求ようきゅう）
• 障害しょうがい者しゃの権利けんり - 障害しょうがい者しゃが住すみやすい国くにを創つくるために必要ひつような権利けんり（本ほん草案そうあんでは障害しょうがいの有無うむに関かかわらない平等びょうどうとして追記ついき）

この憲法けんぽう草案そうあんでは、人権じんけんが追加ついかされた一方いっぽうで、歯止はどめとして、国民こくみんには「自由じゆう及および権利けんりには責任せきにん及および義務ぎむが伴ともなう」ことが追記ついきされた。同時どうじに、「公共こうきょうの福祉ふくし」が「公益こうえき及および公おおやけの秩序ちつじょ」に置おき換かえられた。第だい21条じょうにおける言論げんろんの自由じゆう・表現ひょうげんの自由じゆうを大韓民国だいかんみんこく（第だい六ろく共和きょうわ国こく）憲法けんぽう第だい21条じょう4項こうの規定きていなどに倣ならい「青少年せいしょうねんの保護ほご」を主おもな理由りゆうに「公衆こうしゅう道徳どうとく・社会しゃかい倫理りんりを逸脱いつだつする表現ひょうげんは対象たいしょう外がい」とするものがその代表だいひょう例れいである。但ただし、表現ひょうげんの自由じゆうに対たいする制約せいやくは自民党じみんとう・保岡やすおか私案しあんにおいて明記めいきされたのを始はじめ党内とうないでもこれを支持しじする意見いけんが優勢ゆうせいであったが、2005年ねん公表こうひょうの党とう草案そうあんからは除外じょがいされている。この他ほか、同どう草案そうあんでは両性りょうせいの平等びょうどうを規定きていする第だい24条じょうを「両性りょうせいは家庭かていを保護ほごする責務せきむを負おう」とする内容ないように改あらためる案あんが提示ていじされているが、この案あんに対たいしては「戦前せんぜんの閉鎖へいさ的てきな家いえ制度せいどへの回帰かいきを目指めざすものだ」との反発はんぱつも出でている。

上記じょうきのような論点ろんてんに関かんして批判ひはん派はは、「公共こうきょうの福祉ふくし」は他たの個人こじんの人権じんけんとの衝突しょうとつを国家こっかが調整ちょうせいすることを指さす言葉ことばであって(→公共こうきょうの福祉ふくし#一元いちげん的てき内在ないざい制約せいやく説せつ)、戦時せんじの秩序ちつじょ維持いじのための人権じんけん制限せいげんや、国家こっか事業じぎょうのための個人こじんの財産ざいさんの収用しゅうようまでも意味いみしかねない「公益こうえき及および公おおやけの秩序ちつじょ」への置おき換かえは行いき過すぎである、一元いちげん的てき外在がいざい制約せいやく説せつへの逆戻ぎゃくもどりである、権利けんり・自由じゆうは義務ぎむや責任せきにんを果はたす事ことへの対価たいかとして下くだされる物ものではなく別個べっこに存在そんざいする物ものである、あるいは義務ぎむに関かんすることは法令ほうれいで規定きていすればよく、そもそも憲法けんぽうで規定きていすることではないと指摘してきする。憲法けんぽうで国民こくみんの義務ぎむや権利けんりの制限せいげんを記述きじゅつすることは「憲法けんぽうとは人民じんみんを入いれておく檻おりではなく、政府せいふを入いれておく檻おりである」（トーマス・ジェファーソン）との原則げんそくに反はんするとの主張しゅちょうがある。「自由じゆう及および権利けんりには責任せきにん及および義務ぎむが伴ともなう」については、自由じゆうや権利けんりは“義務ぎむを果はたし責任せきにんを取とる事ことの代償だいしょうに与あたえられる”性質せいしつのものではない（先さき国家こっか的てきなものとしての人権じんけん、あるいは天賦てんぷ人権じんけん）との意見いけんがある。

現在げんざい、世論せろん調査ちょうさでは、9条じょうを除のぞいて新あたらしい（人権じんけん明記めいきを含ふくめた）憲法けんぽうへの改正かいせいに賛成さんせいかどうかとの問といに、6割わり - 8割わりが賛成さんせいしている。ただし、その一方いっぽうで9条じょうを変かえるべきでないという声こえはなお根強ねづよい。

「人権じんけん」および「立憲りっけん主義しゅぎ」も参照さんしょう

表現ひょうげん・結社けっしゃ・言論げんろん・集会しゅうかいの自由じゆう

表現ひょうげんの自由じゆうなどを定さだめた日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい21条じょう第だい一いち項こうには、「集会しゅうかい、結社けっしゃ及および言論げんろん、出版しゅっぱんその他た一切いっさいの表現ひょうげんの自由じゆうは、これを保障ほしょうする」と規定きていしている。それに対たいして、自民党じみんとう改憲かいけん草案そうあんは、次つぎの部分ぶぶんを加くわえた。「前項ぜんこうの規定きていにかかわらず、公益こうえき及および公おおやけの秩序ちつじょを害がいすることを目的もくてきとした活動かつどうを行おこない、並ならびにそれを目的もくてきとして結社けっしゃをすることは、認みとめられない」 これは、前述ぜんじゅつのようにときの政権せいけん（自民党じみんとう・公明党こうめいとう以外いがいも含ふくみうる）から「公益こうえき及および公おおやけの秩序ちつじょ」に反はんするとみなされれば、例たとえば反はん原発げんぱつデモ・辺野古へのこ移設いせつ反対はんたい運動うんどうなどの政権せいけん批判ひはんデモ活動かつどうも憲法けんぽう違反いはんとして即そく取とり締しまりの対象たいしょうになりうるおそれを含ふくむものである（「公おおやけの秩序ちつじょ」かどうかを判断はんだんするのは政府せいふ以外いがいに考かんがえにくいため）。それによって表現ひょうげんの自由じゆうが失うしなわれ、委縮いしゅくする社会しゃかいが来くる、という意見いけんも見みられる。絶対ぜったい王政おうせい・全体ぜんたい主義しゅぎへの反省はんせいから、意見いけんを表明ひょうめいする自由じゆうを保障ほしょうするのは民主みんしゅ主義しゅぎの根幹こんかんであるとする主張しゅちょうが主流しゅりゅうである。昭和しょうわ史し研究けんきゅう者しゃの半藤はんどう一利かずとしと保阪ほさか正ただし康やすしは、新あたらしく加くわえた部分ぶぶんによって第だい一いち項こうの自由じゆうをあってなきがごときものにしようとしていると批判ひはんし、「ことによったら治安ちあん維持いじ法ほうよりもひどいかもしれません」と述のべた。戦前せんぜんの治安ちあん維持いじ法ほうでは国体こくたいに反はんするとみなされた共産きょうさん主義しゅぎ者しゃやリベラリスト、市民しみん運動うんどう家かなどが弾圧だんあつされた事実じじつもあり、議論ぎろんが続つづいている。

首相しゅしょう公選こうせん制せい

「首相しゅしょう公選こうせん制せい」も参照さんしょう

現状げんじょうは、衆議院しゅうぎいんにおいて最大さいだい勢力せいりょくを占しめる多数たすう派はが選出せんしゅつした者ものが内閣ないかく総理そうり大臣だいじんとなる仕組しくみであるが（連立れんりつ与党よとうを組くんでいる場合ばあいには第だい二に党とうの党首とうしゅの場合ばあいもある）、総そう選挙せんきょの結果けっかとは無関係むかんけいに決きまってしまう場合ばあいがあることを問題もんだい視しして首相しゅしょう公選こうせん制せいの導入どうにゅうが主張しゅちょうされることがある。

ただし、「首相しゅしょう公選こうせん制せい」の内容ないようは論者ろんしゃにより異ことなり、実質じっしつ的てきな大統領だいとうりょう制せいへの転換てんかんを目指めざすべきとする意見いけん、議院ぎいん内ない閣かく制せいの原理げんりの一部いちぶに修正しゅうせいを加くわえるべきとする意見いけん、政党せいとうの党首とうしゅ選挙せんきょにおいて一般いっぱん党員とういんによる予備よび選挙せんきょを行おこなうことで実質じっしつ的てきな首相しゅしょう公選こうせんを目指めざすべきとする意見いけんなどがある。このうち大統領だいとうりょう制せいのように国民こくみんを直接的ちょくせつてきに選出せんしゅつする制度せいどを採用さいようする案あんの場合ばあいや、議院ぎいん内ない閣かく制せいの下したで憲法けんぽうに政党せいとう条項じょうこうを加くわえて衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょを憲法けんぽう上じょうも内閣ないかく総理そうり大臣だいじん選出せんしゅつのための選挙せんきょとして運用うんようする案あんをとる場合ばあいには憲法けんぽう改正かいせいが必要ひつようになる。実際じっさいには首相しゅしょう公選こうせん論ろんを主張しゅちょうする論者ろんしゃによって、首相しゅしょうの議会ぎかい解散かいさん権けんやこれに対たいする議会ぎかいの公選こうせん首相しゅしょうに対たいする不信任ふしんにん決議けつぎを認みとめるべきか否ひか、法律ほうりつ案あんや予算よさん案あんに対たいする首相しゅしょうの拒否きょひ権けんを認みとめるべきか否ひか、閣僚かくりょうを占しめる国会こっかい議員ぎいんの割合わりあいなどといった点てんをめぐり、具体ぐたい的てき制度せいど像ぞうは論者ろんしゃごとに大おおきな幅はばがある。

小泉こいずみ内閣ないかくの下したでの「首相しゅしょう公選こうせん制せいを考かんがえる懇談こんだん会かい」では、国民こくみんが首相しゅしょう指名しめい選挙せんきょを直接ちょくせつ行おこなう案あん、議院ぎいん内ない閣かく制せいを前提ぜんていとした首相しゅしょう統治とうち体制たいせい案あん、現行げんこう憲法けんぽうの枠わく内ないにおける改革かいかく案あんの三さん案あんが制度せいど構想こうそうとして示しめされた。

首相しゅしょう公選こうせん制せいを採用さいようしている国くには例れいが少すくなく過去かこにはイスラエルがあったが、対たいパレスチナ強硬きょうこう派はの人物じんぶつが選えらばれ、和平わへいプロセスが崩壊ほうかいして戦争せんそう状態じょうたいとなったために同国どうこくは首相しゅしょう公選こうせん制せいを取とりやめている。

両院りょういん制せい

「ねじれ国会こっかい」も参照さんしょう

両りょう議院ぎいんの構成こうせいと役割やくわりを大おおきく異ことなるものにするか、参議院さんぎいんの権限けんげん縮小しゅくしょう・廃止はいしにより一院制いちいんせいを採用さいようするか、など議院ぎいんの扱あつかいをめぐる議論ぎろんがある。

世界せかいでは一院制いちいんせいも両院りょういん制せいもあるが、主要しゅような民主みんしゅ先進せんしん国こくは両院りょういん制せいが多おおい。また通常つうじょう単一たんいつ国家こっかでは一院制いちいんせいであることが多おおい。なお、両院りょういん制せいを採とっている国くにでも民選みんせん制せいである代議だいぎ院いんとは別べつの議員ぎいん選出せんしゅつ制度せいど（アメリカ・ドイツ：連邦れんぽう構成こうせい体たいの代表だいひょう、イギリス：世襲せしゅうの貴族きぞく、カナダ：政府せいふによる任命にんめい）を施行しこうしていることが多おおく、日本にっぽんのように両院りょういんの議員ぎいんがほぼ同おなじ方法ほうほうで選挙せんきょされ、かつ下院かいんが優越ゆうえつしている国くにとしてはイタリアがある（比較ひかく憲法けんぽう学者がくしゃの西にし修おさむ曰いわく、「異質いしつな制度せいどが悪わるいわけではないが、合理ごうり性せいに欠かける点てんが問題もんだい）。

両院りょういん制せいのメリットとして一方いっぽうの院いんの暴走ぼうそうを止とめ慎重しんちょうな審議しんぎを行おこなうことができること、異ことなる投票とうひょう形式けいしき・投票とうひょう時期じきで得えられた民意みんいを反映はんえいできることなどがある（ドイツの教育きょういくでは、ナチス・ドイツの独裁どくさいは連邦れんぽう参議院さんぎいんの廃止はいし(1934.1.30)から始はじまったと教おしえられている）。また伝統でんとう的てきに参議院さんぎいんは「良識りょうしきの府ふ」「再考さいこうの府ふ」とも呼よばれ、衆議院しゅうぎいんのような党派とうは的てき支配しはいとは一線いっせんを画かくして審議しんぎを行おこなってきたと言いわれていた。そして衆議院しゅうぎいん、参議院さんぎいんの選挙せんきょが頻繁ひんぱんに行おこなわれることより政権せいけん政党せいとうに緊張きんちょう感かんが生うまれしっかりとした政権せいけん運用うんようを期待きたいすることができると言いわれる。他ほかにも衆議院しゅうぎいん解散かいさん後ごの国政こくせい上じょうの緊急きんきゅう時じにおいて緊急きんきゅう集会しゅうかいにより権力けんりょくの空白くうはく期間きかんをなくすなどの役割やくわり(過去かこに2度ど実施じっし)もある。

しかし、近年きんねんでは参議院さんぎいんも衆議院しゅうぎいんと同様どうような政党せいとう支配しはいに置おかれ、実質じっしつ的てきに衆議院しゅうぎいんの採決さいけつと同様どうようの採決さいけつを繰くり返かえすに過すぎないことが多おおく、その存在そんざい意義いぎが薄うすれてきたという意見いけんがある。しかもあまりの選挙せんきょの頻発ひんぱつは逆ぎゃくに選挙せんきょへの興味きょうみを削そぎ、投票とうひょう率りつを下さげるとも言いわれる。またその運用うんようコストや選挙せんきょ費用ひようなどの無駄むだも問題もんだい視しされ、改憲かいけんによって参議院さんぎいんの縮小しゅくしょう・廃止はいし論ろんが浮上ふじょうしている。そのことから現在げんざいの憲法けんぽう改正かいせい論議ろんぎ上じょうでは議題ぎだいにあまり挙あがっていない。

なお、自民党じみんとう・保岡やすおか私案しあんでは二院にいん制せいを維持いじしつつも閣僚かくりょう就任しゅうにんを衆議院しゅうぎいん議員ぎいんに限定げんていするなど、衆議院しゅうぎいんを優越ゆうえつさせる規定きていが置おかれていた点てんが同どう党とうの参議院さんぎいん議員ぎいんから反発はんぱつを招まねき、撤回てっかいしている。

軍事ぐんじ裁判所さいばんしょ

軍事ぐんじ裁判所さいばんしょ（軍法ぐんぽう会議かいぎ）は終戦しゅうせんまで、敵前てきぜん逃亡とうぼうや脱走だっそうなど軍法ぐんぽう違反いはん行為こういを行おこなった兵士へいしを裁さばく特別とくべつ裁判所さいばんしょとして存在そんざいした。最前線さいぜんせんの戦場せんじょうでは、裁判官さいばんかんなしのまま、上官じょうかんによる即決そっけつ裁判さいばんで判決はんけつ、銃殺じゅうさつ刑けいの執行しっこうまでが行おこなわれた時期じきもあった。

日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい76条じょう第だい2項こうでは「特別とくべつ裁判所さいばんしょは、これを設置せっちすることができない」として禁止きんしされた。よって、自衛隊じえいたいの職種しょくしゅにも軍法ぐんぽう会議かいぎ・軍事ぐんじ裁判さいばんを担当たんとうし検事けんじ・弁護士べんごし・判事はんじ相当そうとうの将校しょうこうが所属しょぞくする「法務ほうむ科か」は存在そんざいしない。自民党じみんとう新しん憲法けんぽう草案そうあんでは、「自衛じえい軍ぐん」の保持ほじを明記めいきするのと同時どうじに、「軍事ぐんじ裁判所さいばんしょ」を置おくとしている。しかし、新しん憲法けんぽう草案そうあんでも「特別とくべつ裁判所さいばんしょの設置せっちは禁止きんし」とされており、矛盾むじゅんしているとの指摘してきがある。

国家こっか緊急きんきゅう権けん（緊急きんきゅう事態じたい条項じょうこう）

詳細しょうさいは「国家こっか緊急きんきゅう権けん」を参照さんしょう

多おおくの国家こっかの憲法けんぽう、特とくに大陸たいりく法ほうをとる国くにのほとんどの憲法けんぽうには緊急きんきゅう権けんの規定きていがあり、存在そんざいしていない憲法けんぽうは少数しょうすう派はである。英えい米べい法ほうではコモンローとしてマーシャルローの法理ほうりが認みとめられており、イギリスでは第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん後ごから個別こべつ立法りっぽう制度せいどが採用さいようされるようになり、アメリカにおいてはウォーターゲート事件じけん以降いこう立法りっぽう制度せいどが多おおく採用さいようされるようになった。イギリスの緊急きんきゅう権けん法ほう、アメリカの戦争せんそう権限けんげん法ほうや全国ぜんこく産業さんぎょう復興ふっこう法ほうがこれに該当がいとうする。

国家こっか緊急きんきゅう権けんは、緊急きんきゅう事態じたいのために憲法けんぽうを一時いちじ停止ていしして超ちょう法規ほうき的てき立場たちばの判断はんだんに委ゆだねる意味いみで超ちょう憲法けんぽう的てき性質せいしつを持もっている。

国家こっか緊急きんきゅう権けんは、非常ひじょう事態じたいのために考かんがえ出だされた概念がいねんであるが、三権分立さんけんぶんりつのような一般いっぱんの憲法けんぽうと違ちがい為政者いせいしゃの権力けんりょくに制限せいげんをかけるのでなく、緊急きんきゅう事態じたいをきっかけに逆ぎゃくに権力けんりょくを集中しゅうちゅうさせ国民こくみんの人権じんけんを広ひろく制限せいげんするものであるため、諸刃もろはの剣けんのようなもので一いち歩ほ使つかい方かたを誤あやまると独裁どくさいに陥おちいる危険きけん性せいがあることが指摘してきされている。当初とうしょの意図いとはそうでなくとも、歴史れきし的てきには、国家こっか緊急きんきゅう権けんは野心やしんを抱だいた一部いちぶの人間にんげんによってたびたび権力けんりょくを握にぎる手段しゅだんとして利用りようされてきた過去かこを持もっている。憲法けんぽう学者がくしゃの村田むらた尚紀なおきは「各国かっこくの歴史れきしを見みると、国家こっか緊急きんきゅう権けんはクーデターに利用りようされることが多おおい」と述のべている。たとえば、アドルフ・ヒトラーが民主みんしゅ的てきに選えらばれながら、ワイマール憲法けんぽうの国家こっか緊急きんきゅう権けんを利用りようして全権ぜんけん委任いにん法ほうを公布こうふして独裁どくさい体制たいせいを築きずいた歴史れきしもあるため、日本国にっぽんこく憲法けんぽうに国家こっか緊急きんきゅう権けん（緊急きんきゅう事態じたい条項じょうこう）を導入どうにゅうすることについては慎重しんちょうな意見いけんもある。

橋爪はしづめ大だい三郎さぶろうは、諸刃もろはの剣けんになるような国家こっか緊急きんきゅう権けんの導入どうにゅうには慎重しんちょうな議論ぎろんが求もとめられるとした上うえで、もし導入どうにゅうするとすれば、あくまでもとの憲法けんぽう秩序ちつじょを復帰ふっきさせることを目的もくてきとし、期限きげんつきの一時いちじ的てきなものとし、事後じごに検証けんしょうを働はたらかせられる仕組しくみが必要ひつようという提言ていげんをしている。具体ぐたい的てきには、国政こくせい調査ちょうさ権けんの発動はつどうによる「国家こっか緊急きんきゅう事態じたい調査ちょうさ特別とくべつ委員いいん会かい」のようなものを設置せっちして国家こっか緊急きんきゅう権けんに関与かんよした当事とうじ者しゃを招致しょうちすることや、特別とくべつ裁判所さいばんしょの設置せっちなどが考かんがえられている。

個別こべつの事案じあん

自民党じみんとうの改憲かいけん草案そうあんでは、国家こっか緊急きんきゅう権けん（緊急きんきゅう事態じたい条項じょうこう）を発動はつどうする条件じょうけんとしての緊急きんきゅう事態じたいは「①我わが国くにに対たいする外部がいぶからの武力ぶりょく攻撃こうげき、②内乱ないらん等とうによる社会しゃかい秩序ちつじょの混乱こんらん、③地震じしん等とうによる大だい規模きぼな自然しぜん災害さいがい」を主おもに想定そうていしている。

①外国がいこくからの攻撃こうげきに関かんしては、すでに武力ぶりょく攻撃こうげき事態じたい国民こくみん保護ほご法ほう、武力ぶりょく攻撃こうげき事態じたい対処たいしょ法ほうが2004年ねんに施行しこうされている。

②テロなど国内こくないで起おきた内乱ないらんについては、テロ対策たいさく特別とくべつ措置そち法ほう、警察けいさつ法ほうの「第だい六ろく章しょう　緊急きんきゅう事態じたいの特別とくべつ措置そち（第だい七なな十じゅう一いち条じょう～七なな十じゅう五ご条じょう）がすでに存在そんざいしている。これらのことから、新あらたに憲法けんぽうで定さだめなくとも法律ほうりつですでに十分じゅうぶん対処たいしょでき、わざわざ憲法けんぽうに書かき込こむまでもないという意見いけんもある。

③地震じしんなどの大だい規模きぼ災害さいがいを想定そうていしたケースであるが、災害さいがい対策たいさく基本きほん法ほう、災害さいがい救助きゅうじょ法ほうがすでに存在そんざいしていて、権力けんりょくの集中しゅうちゅうが定さだめられている。阪神はんしん・淡路あわじ大震災だいしんさい、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいなどの例れいから、地方ちほうで大だい地震じしんなどの天災てんさいが起おこった際さい、永田町ながたちょう・霞かすみが関せきのある東京とうきょうから司令しれいを行おこなうことが有効ゆうこうかは疑問ぎもんがつけられている。小林こばやし節たかしは、阪神はんしん大震災だいしんさい、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいで実際じっさいに支援しえん活動かつどうをして現場げんばをよく知しる弁護士べんごしたちの意見いけんを紹介しょうかいしている。災害さいがいに際さいして中央ちゅうおうの政府せいふの権限けんげんを強化きょうかしたところで、たいてい情報じょうほうインフラは寸断すんだんされており、被災ひさい地ちの状況じょうきょうは把握はあくできない。災害さいがい時じに必要ひつようなのは中央ちゅうおうの権限けんげんを強化きょうかするのではなく、むしろニーズを最もっとも把握はあくしている地方自治体ちほうじちたいの首長しゅちょうに権限けんげんを委譲いじょうしておくほうがよい、というものである。実際じっさい、被災ひさい者しゃに最もっとも近ちかい市町村しちょうそんなどは日頃ひごろから地域ちいきに密着みっちゃくしているので迅速じんそくに情報じょうほうが入はいりやすく、適切てきせつな支援しえん活動かつどうをしやすいという。アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスなど外国がいこくの例れいを見みても、災害さいがい時じには地方自治体ちほうじちたいの責任せきにんに任まかせて国くにはサポートに回まわるのが普通ふつうであり、権力けんりょくを集中しゅうちゅうさせる例れいはむしろ例外れいがいである。

大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうの国家こっか緊急きんきゅう権けん

大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうにおいては、天皇てんのうが国家こっか緊急きんきゅう権けんを行使こうしする規定きていが制定せいていされており、緊急きんきゅう勅みことのり令れい制定せいてい権けん（8条じょう）、戒厳かいげん状態じょうたいを布告ふこくする戒厳かいげん大権たいけん（14条じょう）、非常ひじょう大権たいけん（31条じょう）、緊急きんきゅう財政ざいせい措置そち権けん（70条じょう）などが存在そんざいした。日本国にっぽんこく憲法けんぽうにおいては国家こっか緊急きんきゅう権けんに関かんする規定きていは存在そんざいしないとする見方みかたが多数たすう的てきである。さらに日本国にっぽんこく憲法けんぽうは国家こっか緊急きんきゅう権けんを認みとめていないとする否定ひてい説せつ、緊急きんきゅう権けんを容認ようにんしているという容認ようにん説せつの二ふたつの解釈かいしゃくがあり、また否定ひてい説せつは緊急きんきゅう権けん規定きていがないのは憲法けんぽうの欠陥けっかんであるとみる欠かけ缺かけ説せつ、緊急きんきゅう権けん規定きていの不在ふざいを積極せっきょく的てきに評価ひょうかする否認ひにん説せつの二ふたつに大別たいべつされる。また内閣ないかく憲法けんぽう調査ちょうさ会かいの委員いいん有志ゆうしにより、1964年ねんに憲法けんぽう調査ちょうさ会かいに提出ていしゅつされた「憲法けんぽう改正かいせいの方向ほうこう」と題だいする共同きょうどう意見いけん書しょにおいて「重大じゅうだいな憲法けんぽうのミス」であるとしている。

憲法けんぽう裁判所さいばんしょ

「憲法けんぽうの番人ばんにん」として独立どくりつ機関きかんである「憲法けんぽう裁判所さいばんしょ」を設置せっちすべきという意見いけんもある。憲法けんぽう裁判所さいばんしょの設置せっちは、衆議院しゅうぎいん憲法けんぽう調査ちょうさ会かい、自民党じみんとう、民主党みんしゅとうでも提案ていあんされたが、自民党じみんとう新しん憲法けんぽう草案そうあんには採用さいようされなかった。

公金こうきんによる私学しがく助成じょせい

詳細しょうさいは「私学しがく助成じょせい」を参照さんしょう

現行げんこうの私学しがく助成じょせい制度せいどは、日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい89条じょうに定さだめる

公金こうきんその他たの公おおやけの財産ざいさんは、宗教しゅうきょう上じょうの組織そしき若もしくは団体だんたいの使用しよう、便益べんえき若もしくは維持いじのため、又または公おおやけの支配しはいに属ぞくしない慈善じぜん、教育きょういく若もしくは博愛はくあいの事業じぎょうに対たいし、これを支出ししゅつし、又またはその利用りように供きょうしてはならない。

—日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい89条じょう

に違反いはんするので改憲かいけんするのならこれも直なおすべきといわれている。自民党じみんとう新しん憲法けんぽう草案そうあんもこの解決かいけつを含ふくむ。

憲法けんぽう改正かいせいに関連かんれんした動うごき

2000年代ねんだい

• 2005年ねん（平成へいせい17年ねん）
  • 4月がつ1日にち：憲法けんぽう学者がくしゃも加くわわり市民しみん自身じしんによる憲法けんぽう草案そうあん作成さくせいに取とり組くんでいる市民しみん立憲りっけんフォーラム が、中間ちゅうかん報告ほうこく「市民しみん立憲りっけん案あん2005」を発表はっぴょう。
• 2009年ねん（平成へいせい21年ねん）
  • 7月がつ29日にち：民法みんぽう成年せいねん年齢ねんれい部会ぶかいが「民法みんぽうの成年せいねん年齢ねんれいの引下ひきさげについての最終さいしゅう報告ほうこく書しょ」をとりまとめる。引ひき下さげ時期じきは、若者わかものに自立じりつを促うながす施策しさくなどの効果こうかや国民こくみん意識いしきの動向どうこうを踏ふまえ、「国会こっかいの判断はんだんに委ゆだねるのが相当そうとう」と結論けつろん付つける。
  • 10月27日にち：千葉ちば景子けいこ法務大臣ほうむだいじんが、成人せいじん年齢ねんれいの18歳さいへの引ひき下さげのための民法みんぽう改正かいせい案あんの、翌年よくねんの通常つうじょう国会こっかいへ提出ていしゅつに関かんして「容易よういではない」と見送みおくる意向いこうを示しめす。

2010年代ねんだい

• 2010年ねん（平成へいせい22年ねん）
  • 1月がつ20日はつか：鳩山はとやま由紀夫ゆきお首相しゅしょうは、参院さんいん本ほん会議かいぎでの各党かくとう代表だいひょう質問しつもんに対たいして、「首相しゅしょうという立場たちばにおいては特とくに重おもい憲法けんぽう尊重そんちょう擁護ようご義務ぎむが課かせられている。私わたしの在任ざいにん中ちゅうに、などと考かんがえるべきものではない」と改憲かいけんは在任ざいにん中ちゅう考かんがえないと答弁とうべんした。
  • 3月4日にち：自民党じみんとう・憲法けんぽう改正かいせい推進すいしん本部ほんぶ、5月がつを目処めどに改憲かいけん案あんを改訂かいていする旨むね発表はっぴょう。この中なかでは“天皇てんのうの明文めいぶん元首げんしゅ化か”、“外国がいこく人じん地方ちほう参政さんせい権けんについて”（公民こうみん権けんを日本にっぽん国籍こくせき者しゃに限定げんてい）、“徴兵ちょうへい制度せいどと国防こくぼうの義務ぎむについて”の検討けんとうが予定よていされていると共同通信社きょうどうつうしんしゃによって報ほうじられたが、これに対たいし自民党じみんとうは徴兵ちょうへい制度せいどを取とり入いれることについては公式こうしきに否定ひていする旨むねを発表はっぴょうしている。
  • 5月18日にち：国民こくみん投票とうひょう法ほうが施行しこう。この日ひ以降いこう、憲法けんぽう改正かいせい原案げんあん（議員ぎいん提出ていしゅつ案あん・憲法けんぽう審査しんさ会かい提出ていしゅつ案あん）の提出ていしゅつと、憲法けんぽう改正かいせい国民こくみん投票とうひょうの実施じっしが可能かのうとなる。
• 2012年ねん（平成へいせい24年ねん）
  • 2月がつ25日にち：自民党じみんとう・憲法けんぽう改正かいせい推進すいしん本部ほんぶが「日本国にっぽんこく憲法けんぽう改正かいせい草案そうあん」を発表はっぴょう。従来じゅうらいからの“天皇てんのう明文めいぶん元首げんしゅ化か”、“軍隊ぐんたい・軍事ぐんじ裁判所さいばんしょ設置せっち”他たに加くわえ、国民こくみんの国歌こっか・国旗こっき尊重そんちょう・憲法けんぽう尊重そんちょう義務付ぎむづけ、国家こっか緊急きんきゅう権けん規定きていの制定せいていを盛もり込こむ。
  • 4月がつ25日にち：たちあがれ日本にっぽんが「自主じしゅ憲法けんぽう大綱たいこう案あん」を発表はっぴょう。
  • 4月がつ27日にち：みんなの党とうが「憲法けんぽう改正かいせいの基本きほん的てきな考かんがえ方かた」を発表はっぴょう。
  • 12月16日にち：第だい46回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょ執行しっこう。“戦後せんごレジームからの脱却だっきゃく”を唱となえる安倍晋三あべしんぞうが総理そうり大臣だいじんに就任しゅうにん、第だい2次じ安倍あべ内閣ないかくが成立せいりつ。
• 2013年ねん（平成へいせい25年ねん）
  • 4月がつ26日にち：『産経新聞さんけいしんぶん』、創刊そうかん80周年しゅうねん事業じぎょうとして改憲かいけん案あん「国民こくみんの憲法けんぽう」を発表はっぴょう。
• 2014年ねん（平成へいせい26年ねん）
  • 1月がつ1日にち：安倍あべ首相しゅしょうは『産経新聞さんけいしんぶん』の新年しんねん企画きかくで、東京とうきょうオリンピック (2020年ねん)開催かいさい予定よていの2020年ねんの未来みらい予想よそう図ずを聞きかれ、「（憲法けんぽうは）改正かいせい済ずみですね」「その段階だんかいで日本にっぽんは完全かんぜんに地位ちいを回復かいふくし、地域ちいきや世界せかいの平和へいわと安定あんていに大おおきく貢献こうけんし、尊敬そんけいのまなざしで見みつめられる国くにになっていたい」と答こたえた。
• 2015年ねん（平成へいせい27年ねん）
  • 10月14日にち：『東京とうきょう新聞しんぶん』、解釈かいしゃくの余地よちを政権せいけんに与あたえない、専守防衛せんしゅぼうえいを明確めいかくにした「新しん九きゅう条じょう論ろん」を特集とくしゅう。11月10日にち、『朝日新聞あさひしんぶん』も報ほうじた。
• 2016年ねん（平成へいせい28年ねん）
  • 3月24日にち：おおさか維新いしんの会かいが臨時りんじ両院りょういん議員ぎいん総会そうかいで憲法けんぽう改正かいせい原案げんあんを了承りょうしょう。具体ぐたい的てきな改憲かいけん案あんを示しめした主要しゅよう国政こくせい政党せいとうは自民党じみんとう以外いがいでは維新いしんが初はじめてとなる。
  • 3月26日にち：おおさか維新いしんの会かいが定期ていき党とう大会たいかいで憲法けんぽう改正かいせい原案げんあんを正式せいしきに決定けってい。
  • 7月がつ10日とおか：第だい24回かい参議院さんぎいん議員ぎいん通常つうじょう選挙せんきょ執行しっこう。史上しじょう初はじめて衆参しゅうさん両院りょういんで改憲かいけん勢力せいりょくが3分ぶんの2を越こえることとなった。
• 2018年ねん（平成へいせい30年ねん）
  • 3月26日にち：自由民主党じゆうみんしゅとうが、①自衛隊じえいたい、②緊急きんきゅう事態じたい、③合あい区く解消かいしょう・地方ちほう公共こうきょう団体だんたい、④教育きょういく充実じゅうじつの4項目こうもくを優先ゆうせん的てきな検討けんとう事項じこうとして公表こうひょう。
  • 7月がつ19日にち：立憲りっけん民主党みんしゅとうが「憲法けんぽうに関かんする考かんがえ方かた～立憲りっけん的てき憲法けんぽう論議ろんぎ」を公表こうひょう。

2020年代ねんだい

• 2020年ねん（令れい和わ2年ねん）
  • 11月19日にち：立憲りっけん民主党みんしゅとう憲法けんぽう調査ちょうさ会かいが「憲法けんぽう論議ろんぎの指針ししん」を策定さくてい。
  • 12月4日にち：国民こくみん民主党みんしゅとうが憲法けんぽう論議ろんぎに向むけた論点ろんてん整理せいりを行おこなう。
• 2021年ねん（令れい和わ3年ねん）
  • 6月11日にち：共通きょうつう投票とうひょう所しょの設置せっちなど、公職こうしょく選挙せんきょ法ほうと投票とうひょう環境かんきょうをそろえることを目的もくてきとした、改正かいせい国民こくみん投票とうひょう法ほうが成立せいりつ。
  • 11月19日にち：自由民主党じゆうみんしゅとうが憲法けんぽう改正かいせい推進すいしん本部ほんぶを、憲法けんぽう改正かいせい実現じつげん本部ほんぶに名称めいしょう変更へんこう。
• 2022年ねん（令れい和わ4年ねん）
  • 5月18日にち：日本にっぽん維新いしんの会かいが憲法けんぽう9条じょうの改正かいせい条文じょうぶん案あんを公表こうひょう。
  • 6月8日にち：日本にっぽん維新いしんの会かいが緊急きんきゅう事態じたい対応たいおうに関かんする骨子こっし案あんを公表こうひょう。
  • 12月14日にち：国民こくみん民主党みんしゅとうが緊急きんきゅう事態じたい条項じょうこうの改正かいせい条文じょうぶん案あんを公表こうひょう
• 2023年ねん（令れい和わ5年ねん）6月19日にち：日本にっぽん維新いしんの会かい、国民こくみん民主党みんしゅとう、衆議院しゅうぎいん会派かいは「有志ゆうしの会かい」が緊急きんきゅう事態じたい条項じょうこうの改正かいせい条文じょうぶん案あんを公表こうひょう。

憲法けんぽう改正かいせい案あんを提案ていあんした組織そしき

政党せいとう

詳細しょうさいは「自由民主党じゆうみんしゅとうの憲法けんぽう改正かいせい草案そうあん」を参照さんしょう

• 自由民主党じゆうみんしゅとう（憲法けんぽう記念きねん日びにあたって）
• 公明党こうめいとう（公明党こうめいとうの憲法けんぽう改正かいせい）
• 国民こくみん民主党みんしゅとう（【談話だんわ】憲法記念日けんぽうきねんびにあたって）
• 日本にっぽん維新いしんの会かい（馬場ばば伸幸のぶゆき代表だいひょうによる憲法記念日けんぽうきねんびについて談話だんわ発表はっぴょうのお知しらせ）

自由民主党じゆうみんしゅとうによる改憲かいけん4項目こうもく

詳細しょうさいは「自由民主党じゆうみんしゅとうの憲法けんぽう改正かいせい草案そうあん」を参照さんしょう

自由民主党じゆうみんしゅとう憲法けんぽう改正かいせい推進すいしん本部ほんぶ（現げん：憲法けんぽう改正かいせい実現じつげん本部ほんぶ）は、日本国にっぽんこく憲法けんぽう施行しこう70年ねんの2017年ねん12月20日にちに憲法けんぽう改正かいせいに関かんする論点ろんてん整理せいりを取とりまとめ、以下いかの「改憲かいけん4項目こうもく」を定さだめた。

• (1) 第だい9条じょうの第だい1項こう、第だい2項こうは維持いじし、新設しんせつ「9条じょうの2」における自衛隊じえいたいの存在そんざいの明記めいき
  • （ただし、自民党じみんとう改憲かいけん草案そうあんには野党やとう時代じだいの2012年ねんに発表はっぴょうした「国防こくぼう軍ぐん」のまま記載きさいされている。）
• (2) 緊急きんきゅう事態じたい条項じょうこう（国家こっか緊急きんきゅう権けん）の規定きてい
• (3) 参議院さんぎいん議員ぎいん選挙せんきょ区くの合ごう区くと地方ちほう公共こうきょう団体だんたい
• (4) 教育きょういく環境かんきょうの充実じゅうじつ化か

しかし、現在げんざいの日本にっぽんが抱かかえる問題もんだいの解決かいけつに対たいし、法ほう改正かいせいの対応たいおう範囲はんいや優先ゆうせん順位じゅんいと照てらして、国民こくみん側がわに問題もんだい提起ていきするには不十分ふじゅうぶんという意見いけんがある。

政治せいじ団体だんたい

政治せいじ団体だんたい	設立せつりつ年ねん	条文じょうぶん型がた 改憲かいけん草案そうあん	第だい96条じょう (国民こくみん投票とうひょうの変更へんこう)	第だい9条じょう	一院制いちいんせい移行いこう	参考さんこうHP
維新いしん政党せいとう・新風しんぷう	1995-	有ゆう	不明ふめい	改正かいせいすべき。国軍こくぐんのあり方かたについて明記めいきすべき。	不明ふめい
幸福こうふく実現じつげん党とう	2009-	有ゆう	不明ふめい	改正かいせいすべき。国民こくみんの生命せいめい・安全あんぜん・財産ざいさんを護まもるため、陸りく海うみ空軍くうぐんよりなる防衛ぼうえい軍ぐんの保持ほじについて明記めいきすべき。	不明ふめい
日本にっぽん第だい一いち党とう	2016-	無む	不明ふめい	改正かいせいすべき。国軍こくぐんの保持ほじについて明記めいきすべき。	不明ふめい
新党しんとうくにもり	2020-	無む	不明ふめい	改正かいせいすべき。戦力せんりょく不ふ保持ほじと交戦こうせん権けんの否認ひにんを定さだめた第だい2項こうを撤廃てっぱいすべき。	不明ふめい

解党かいとうした政党せいとう

政党せいとう	設立せつりつ年ねん	条文じょうぶん型がた 改憲かいけん草案そうあん	第だい96条じょう (国民こくみん投票とうひょうの変更へんこう)	第だい9条じょう	一院制いちいんせい移行いこう	参考さんこうHP
自由党じゆうとう	2012-(2014改称かいしょう)	無む	不要ふよう	不明ふめい（現行げんこうの9条じょうの規定きていは維持いじするが国連こくれんのPKOへの実力じつりょく行使こうしを含ふくめた参加さんかを規定きていする）	反対はんたい（二院にいん制せいを維持いじしつつ、両りょう議院ぎいんに求もとめられる役割やくわり・性格せいかくを理念りねんとして明記めいき）
日本にっぽんのこころ	2014-	有ゆう		改正かいせいすべき（主権しゅけんと独立どくりつを守まもり、国際こくさい的てきな平和へいわ活動かつどうに協力きょうりょくするため、軍ぐんを保持ほじすべき）	不要ふよう

行政ぎょうせい機関きかん

• 全国ぜんこく知事ちじ会かい - 憲法けんぽうと地方ちほう自治じち研究けんきゅう会かい
• 徳島とくしま県けん - 地方ちほう自治じちに関かんする憲法けんぽう課題かだい研究けんきゅう会かい
• 静岡しずおか県けん - 県知事けんちじによる国土こくどに関かんした改正かいせい案あん

民間みんかん団体だんたい等とう

新聞しんぶん社しゃ

• 産経新聞さんけいしんぶん - 要綱ようこう（2013年ねん）（Wayback Machineによるアーカイブ）
• 読売新聞よみうりしんぶん - 全文ぜんぶん（2004年ねん）

公益こうえき法人ほうじん等とう

• 公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん世界せかい平和へいわ研究所けんきゅうじょ - 概要がいよう 条文じょうぶん対照たいしょう表ひょう（2005年ねん）
• 公益社こうえきしゃ団だん法人ほうじん日本にっぽん青年せいねん会議かいぎ所しょ - 日本国にっぽんこく憲法けんぽう草案そうあん（2012年ねん）
• 公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん松下まつした政経せいけい塾じゅく - 第だい34期生きせい共同きょうどう研究けんきゅう「憲法けんぽうフォーラム」改正かいせい草案そうあん（2015年ねん）

任意にんい団体だんたい他ほか

• 明日あしたの自由じゆうを守まもる若手わかて弁護士べんごしの会かい（あすわか）- やや日ひめくり憲法けんぽう☆
• 憲法けんぽう改正かいせい発議はつぎ研究けんきゅう会かい - 憲法けんぽう改正かいせい発議はつぎの提言ていげん（2017年ねん）
• ゲンロン - 全文ぜんぶん（2012年ねん）
• 新あたらしい憲法けんぽうをつくる国民こくみん会議かいぎ（＝自主じしゅ憲法けんぽう制定せいてい国民こくみん会議かいぎ） 第だい三さん次じ案あん（2006年ねん）（Wayback Machineによるアーカイブ）

関連かんれん項目こうもく

• 社しゃ共ども共闘きょうとう
• 自じ共きょう共闘きょうとう
• 民みん共ども共闘きょうとう

外部がいぶリンク

• 現行げんこう憲法けんぽうの策定さくてい時期じきにおける改憲かいけん案あん一覧いちらん（国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん）
• 憲法けんぽう制定せいていの経過けいかに関かんする小しょう委員いいん会かい報告ほうこく書しょ、衆議院しゅうぎいん憲法けんぽう調査ちょうさ会かい（1961年ねん） - ウィキソース
• 衆議院しゅうぎいん憲法けんぽう審査しんさ会かいホームページ
• 参議院さんぎいん憲法けんぽう審査しんさ会かいホームページ
• 各かく政党せいとうの憲法けんぽう改正かいせい諸しょ案あん（昭和しょうわ20年ねん11月）
• 「主おもな日本国にっぽんこく憲法けんぽう改正かいせい試案しあん及および提言ていげん」平成へいせい13年ねん1月がつ - 平成へいせい17年ねん2月がつ - ウェイバックマシン（2007年ねん9月がつ30日にちアーカイブ分ぶん）
• 憲法けんぽう問題もんだい調査ちょうさ会かい意見いけん書しょ - 経済同友会けいざいどうゆうかい
• 主おもな日本国にっぽんこく憲法けんぽう改正かいせい試案しあん及および提言ていげん 平成へいせい17（2005）年ねん3 月がつ～11 月がつ - ウェイバックマシン（2012年ねん12月17日にちアーカイブ分ぶん）
• 日本にっぽん商工しょうこう会議かいぎ所しょ「憲法けんぽう問題もんだいに関かんする懇談こんだん会かい報告ほうこく書しょ－憲法けんぽう改正かいせいについての意見いけん－」 - ウェイバックマシン（2006年ねん6月がつ28日にちアーカイブ分ぶん） - 日本にっぽん商工しょうこう会議かいぎ所しょ
• 最近さいきんの主おもな日本国にっぽんこく憲法けんぽう改正かいせい提言ていげん 平成へいせい17年ねん12月～平成へいせい24年ねん12月
• 新しん憲法けんぽう制定せいていに向むけて （中間なかま報告ほうこく） - ウェイバックマシン（2012年ねん6月がつ8日にちアーカイブ分ぶん） - 民間みんかん憲法けんぽう臨調りんちょう
• 新しん憲法けんぽう大綱たいこう案あん 新しん憲法けんぽう制定せいてい促進そくしん委員いいん会かい準備じゅんび会かい
• 自民じみんの改憲かいけん４項目こうもく「論点ろんてん取とりまとめ」要旨ようし (2017年ねん12月21日にち) - 産経新聞さんけいしんぶん

参考さんこう文献ぶんけん

• 憲法けんぽう制定せいていの経過けいかに関かんする小しょう委員いいん会かい報告ほうこく書しょ、衆議院しゅうぎいん憲法けんぽう調査ちょうさ会かい（1961年ねん） - ウィキソース
• 諸橋もろはし邦彦くにひこ 「主おもな日本国にっぽんこく憲法けんぽう改正かいせい試案しあん及および提言ていげん」 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん、2005年ねん3月がつ18日にち。
• 南部なんぶ義典よしのり 『Q&A解説かいせつ 憲法けんぽう改正かいせい国民こくみん投票とうひょう法ほう』現代げんだい人文じんぶん社しゃ、2007年ねん
• 「主おもな日本国にっぽんこく憲法けんぽう改正かいせい試案しあん及および提言ていげん」諸橋もろはし邦彦くにひこ国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん ISSUE BRIEF NUMBER 474 (MAR.18.2005)[11]
  ※平成へいせい13年ねん（2001年ねん）1月がつから平成へいせい17年ねん（2005年ねん）2月がつまでに公表こうひょうされた提言ていげん及および試案しあんが収録しゅうろく対象たいしょう。
• 「主おもな日本国にっぽんこく憲法けんぽう改正かいせい試案しあん及および提言ていげん―平成へいせい17（2005）年ねん3月がつ〜11月―」諸橋もろはし邦彦くにひこ 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん ISSUE BRIEF NUMBER 537(APR.24.2006)[12]
• 堀内ほりうち健志たけし「「憲法けんぽう」概念がいねんと憲法けんぽう学がく（三さん・完かん） 「法的ほうてき憲法けんぽう」と「政治せいじ的てき憲法けんぽう」というい方いかたの比喩ひゆ性せい」『人文じんぶん社会しゃかい論叢ろんそう 社会しゃかい科学かがく篇へん』第だい21号ごう、弘前大学ひろさきだいがく人文学部じんぶんがくぶ、2009年ねん、115-133頁ぺーじ、ISSN 13450255、NAID 120001342724。 
• 伊藤いとう修おさむ『憲法けんぽうを如何いかに改正かいせいすべきか』国政こくせい調査ちょうさ研究所けんきゅうじょ、1955年ねん1月がつ。ASIN B000JB428Q。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3019065。 
• Britannica Japan Co., Ltd.「日本国にっぽんこく憲法けんぽう」『ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてん』Kotobank、2018a。https://kotobank.jp/word/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95-110162#E3.83.96.E3.83.AA.E3.82.BF.E3.83.8B.E3.82.AB.E5.9B.BD.E9.9A.9B.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.20.E5.B0.8F.E9.A0.85.E7.9B.AE.E4.BA.8B.E5.85.B8。 
• Britannica Japan Co., Ltd.「ブルジョア憲法けんぽう」『ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてん』Kotobank、2018b。https://kotobank.jp/word/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%A2%E6%86%B2%E6%B3%95-127248#E3.83.96.E3.83.AA.E3.82.BF.E3.83.8B.E3.82.AB.E5.9B.BD.E9.9A.9B.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.20.E5.B0.8F.E9.A0.85.E7.9B.AE.E4.BA.8B.E5.85.B8。 
• 吉田よしだ, 善明よしあき「憲法けんぽう」『日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)』Kotobank、2018年ねん。https://kotobank.jp/word/%E6%86%B2%E6%B3%95-61073#E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E5.85.A8.E6.9B.B8.28.E3.83.8B.E3.83.83.E3.83.9D.E3.83.8B.E3.82.AB.29。 

関連かんれん項目こうもく

• 日本国にっぽんこく憲法けんぽう
  • 日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい9条じょう （戦争せんそうの放棄ほうき、戦力せんりょくの不ふ保持ほじ・交戦こうせん権けんの否認ひにん）
  • 日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい96条じょう（憲法けんぽう改正かいせいの手続てつづき、その公布こうふ）
  • 日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい99条じょう（公務員こうむいんの憲法けんぽう尊重そんちょう擁護ようご義務ぎむ）
• 人権じんけん
  • 自由じゆう権けん
  • 経済けいざい的てき自由じゆう権けん
  • 財産ざいさん権けん
  • 所有しょゆう権けん
• 資本しほん主義しゅぎ革命かくめい（ブルジョア革命かくめい）
• 資本しほん主義しゅぎ憲法けんぽう（ブルジョア憲法けんぽう）
  • ブルジョア民主みんしゅ主義しゅぎ
  • 自由じゆう民主みんしゅ主義しゅぎ
  • 自由じゆう資本しほん主義しゅぎ
• 日米にちべい安全あんぜん保障ほしょう条約じょうやく
  • ジョン・フォスター・ダレス
  • 吉田よしだ茂しげる
• 憲法けんぽう改正かいせい
  • 押おし付つけ憲法けんぽう論ろん
  • 日本人にっぽんじん民みん共和きょうわ国こく憲法けんぽう草案そうあん
  • 護憲ごけん
• 憲法けんぽう無効むこう論ろん
  • 創憲そうけん
    • 自主じしゅ憲法けんぽう論ろん
• 日本国にっぽんこく憲法けんぽうの改正かいせい手続てつづきに関かんする法律ほうりつ
• 新しん憲法けんぽう制定せいてい議員ぎいん同盟どうめい
• 戦たたかう民主みんしゅ主義しゅぎ - ドイツ及および欧州おうしゅうにおける民主みんしゅ主義しゅぎ理念りねん。「民主みんしゅ主義しゅぎを否定ひていする自由じゆう」を否認ひにんする憲法けんぽう学理がくり、条項じょうこう。

外部がいぶリンク

• 「日本国にっぽんこく憲法けんぽう改正かいせい草案そうあん」 平成へいせい24年ねん4月がつ発行はっこう (PDF) - 自由民主党じゆうみんしゅとう
• 「最近さいきんの主おもな日本国にっぽんこく憲法けんぽう改正かいせい提言ていげん」平成へいせい17年ねん12月～平成へいせい24年ねん12月 (PDF) - 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん 調査ちょうさ及および立法りっぽう考査こうさ局きょく 憲法けんぽう課か
• 「新しん憲法けんぽう大綱たいこう案あん」 新しん憲法けんぽう制定せいてい促進そくしん委員いいん会かい準備じゅんび会かい (PDF) （2007年ねん5月がつ）
• 「憲法けんぽう問題もんだい調査ちょうさ会かい意見いけん書しょ」2003年ねん4月がつ (PDF) - 経済同友会けいざいどうゆうかい
• 民間みんかん憲法けんぽう臨調りんちょう - ウェイバックマシン（2012年ねん6月がつ8日にちアーカイブ分ぶん）（ジャーナリストの櫻井さくらいよしこが代表だいひょう）
• 『憲法けんぽう改正かいせい問題もんだい』 - コトバンク