日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい24じょう

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日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい24じょう
日本国政府国章(準)
基本きほん情報じょうほう
施行しこう区域くいき 日本の旗日本にっぽん
正式せいしき名称めいしょう 日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい24じょう
家族かぞく関係かんけいにおける個人こじん尊厳そんげん両性りょうせい平等びょうどう
所属しょぞく条章じょうしょう だい3しょう
おも内容ないよう 男女だんじょ同権どうけん
個人こじん尊厳そんげん
起草きそうしゃ ベアテ・シロタ・ゴードンなど
関連かんれん法令ほうれい 戸籍こせきほう
民法みんぽう
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(にほんこく(にっぽんこく)けんぽうだい24じょう)は、日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい3しょうにある条文じょうぶんで、「家庭かてい生活せいかつにおける個人こじん尊厳そんげん」と「両性りょうせい本質ほんしつてき平等びょうどう」について規定きていしている。

条文じょうぶん[編集へんしゅう]

日本国にっぽんこく憲法けんぽう - e-Gov法令ほうれい検索けんさく

だいじゅうよんじょう
  1. 婚姻こんいんは、両性りょうせい合意ごういのみにもとづいて成立せいりつし、夫婦ふうふ同等どうとう権利けんりゆうすることを基本きほんとして、相互そうご協力きょうりょくにより、維持いじされなければならない。
  2. 配偶はいぐうしゃ選択せんたく財産ざいさんけん相続そうぞく住居じゅうきょ選定せんてい離婚りこんならびに婚姻こんいんおよ家族かぞくかんするその事項じこうかんしては、法律ほうりつは、個人こじん尊厳そんげん両性りょうせい本質ほんしつてき平等びょうどう立脚りっきゃくして、制定せいていされなければならない。


夫婦ふうふ同姓どうせい制度せいどたいする最高裁さいこうさい合憲ごうけん判決はんけつ[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、民法みんぽうだい750じょう規定きていにより夫婦ふうふ別姓べっせいは(国際こくさい結婚けっこんのぞき)みとめられていない。過去かこには、2011ねん平成へいせい23ねん2がつ14にちに、この規定きてい憲法けんぽう女性じょせい差別さべつ撤廃てっぱい条約じょうやく違反いはんするとして国家こっか賠償ばいしょう訴訟そしょう提起ていきされ、民法みんぽう夫婦ふうふ同姓どうせい規定きてい日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい24じょう違反いはんする、と主張しゅちょうされた[1]。そのため、夫婦ふうふ別姓べっせい制度せいど要求ようきゅうしゃによって裁判さいばんとなったが、2015ねん平成へいせい27ねん12月16にち最高裁判所さいこうさいばんしょだい法廷ほうてい判決はんけつにて、この国家こっか賠償ばいしょう請求せいきゅう訴訟そしょううったえは退しりぞけられ、民法みんぽうだい750じょう規定きてい夫婦ふうふ同氏どうし規定きてい)は合憲ごうけんであり、日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい24じょう違反いはんしないとの憲法けんぽう判断はんだん確定かくていされた[2]

同性どうせい結婚けっこんとの関係かんけい[編集へんしゅう]

ヴァイマル憲法けんぽう規定きてい[編集へんしゅう]

日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい24じょうでは婚姻こんいんについて「両性りょうせい合意ごうい」や「夫婦ふうふ」という文言もんごんがある。日本国にっぽんこく憲法けんぽう自体じたいが、男女だんじょ平等びょうどう概念がいねんふくむなど、草案そうあんかれた戦後せんご直後ちょくご時点じてん存在そんざいした憲法けんぽうではもっと民主みんしゅてき内容ないようであり、制定せいてい世界せかい自由じゆう民主みんしゅ主義しゅぎ諸国しょこくつよ影響えいきょうあたえたドイツこくヴァイマル憲法けんぽう(1919ねん8がつ14にち公布こうふ施行しこう)を参考さんこうにされているが、とく日本国にっぽんこく憲法けんぽう24じょうどう憲法けんぽうだい119じょう参考さんこうにされている[3]。ヴァイマル憲法けんぽうだい2しょう共同きょうどう生活せいかつ」「だい119 じょう婚姻こんいん家族かぞく母性ぼせい保護ほご〕において、①婚姻こんいんは、家庭かてい生活せいかつおよ民族みんぞく維持いじ増殖ぞうしょく基礎きそとして、憲法けんぽう特別とくべつ保護ほごける。婚姻こんいんは、両性りょうせい同権どうけん基礎きそとする。②家族かぞく清潔せいけつ保持ほじし、これを健全けんぜんにし、これを社会しゃかいてき助成じょせいすることは、くにおよ市町村しちょうそん任務にんむである。どものおお家庭かていは、それにふさわしい扶助ふじょ請求せいきゅうする権利けんりゆうする。③母性ぼせいは、くに保護ほご配慮はいりょとをもとめる権利けんりゆうする。だい120じょうどもの教育きょういく肉体にくたいてき精神せいしんてきおよ社会しゃかいてき有能ゆうのうしゃになるように教育きょういくすることは、両親りょうしん最高さいこう義務ぎむであり、かつ自然しぜん権利けんりであって、この権利けんり義務ぎむ実行じっこうについては、国家こっか共同きょうどう社会しゃかいがこれを監督かんとくする。」と規定きていされている[4]

裁判さいばん同性どうせいこん改憲かいけん[編集へんしゅう]

日本にっぽん同性どうせい結婚けっこんみとめられていない現状げんじょう違憲いけんであるかどうか判断はんだんおこなった裁判さいばんはまだなく、2019ねん2がつ14にち同性どうせいこんもとめる13くみ同性どうせいカップルがくに相手取あいてど一斉いっせい提訴ていそしたのがはじめてである[5]

2021ねん3がつ現在げんざい係争けいそうちゅうであるが、地域ちいき先駆さきがけて2021ねん3月17にち札幌さっぽろ地方裁判所ちほうさいばんしょ判決はんけつがいいわたされた。この判決はんけつでは、「憲法けんぽう24じょう1こう異性いせいこんについてさだめたものである」とした。また、どうじょう2こう具体ぐたいてき制度せいど構築こうちく立法府りっぽうふ裁量さいりょうゆだねたとする。このことから、婚姻こんいんかんする民法みんぽう戸籍こせきほう規定きてい同性どうせいこん想定そうていしていないことが直接的ちょくせつてき憲法けんぽう24じょう違反いはんするものではないとの判断はんだんくだし、同性どうせい結婚けっこんもとめる原告げんこく主張しゅちょう全面ぜんめんてき棄却ききゃくした。その一方いっぽうで、この判決はんけつでは「婚姻こんいんによってしょうじる法的ほうてき効果こうか一部いちぶですらもこれを享受きょうじゅする法的ほうてき手段しゅだん提供ていきょうしないとしていることは,立法府りっぽうふ裁量さいりょうけん範囲はんいえたものであって,その限度げんど憲法けんぽう14じょう1こう違反いはんする」とした[ちゅう 1]憲法けんぽう学者がくしゃ木村きむらくさふとしは、憲法けんぽう24じょう1こうは「異性いせいこん両性りょうせい合意ごういのみにもとづいて成立せいりつすることをしめしているにすぎず、同性どうせいこん禁止きんしした条文じょうぶんではない」と主張しゅちょうしている[7]一方いっぽうで、憲法けんぽう24じょう1こうに「両性りょうせい合意ごうい」「夫婦ふうふ」という文言もんごんがあることから、憲法けんぽう学者がくしゃ君塚きみづか正臣まさおみは、同性どうせい結婚けっこん憲法けんぽう想定そうていされたものではなく憲法けんぽう問題もんだいみとめられずに棄却ききゃくされると推測すいそくしている[8]

自身じしん同性愛どうせいあいしゃであることを公表こうひょうしている市民しみん活動かつどう明智あけちカイトは、司法しほう関係かんけいしゃあいだに「憲法けんぽう改正かいせいしなければ、同性どうせいこん法的ほうてき成立せいりつしない」という意見いけん指摘してきがあるとべている[9]

過去かこには青森あおもりけん憲法けんぽう24じょう規定きてい理由りゆう同性どうせいこん届出とどけで却下きゃっかされたこともあった[10][11]法学ほうがくしゃ植野うえのたえ実子じっし憲法けんぽう24じょう根拠こんきょ同性どうせいこん違憲いけんろんとな[12]憲法けんぽう学者がくしゃ八木やぎ秀次しゅうじ憲法けんぽう規定きていは「同性どうせいこん排除はいじょしている」と主張しゅちょう[13]弁護士べんごし藤本ふじもと尚道なおみちも「明確めいかくに『両性りょうせい合意ごういのみ』と規定きていされていますから、『同性どうせいこん』は想定そうていされていないというのが素直すなお憲法けんぽう解釈かいしゃくでしょう」とべている[14]法学ほうがくしゃ辻村つじむらみよ憲法けんぽう24じょう規定きていが「『ちょう現代げんだい家族かぞく』への展開てんかいにブレーキをかけうる」として同性どうせいこん合法ごうほう障壁しょうへきになっているとの見解けんかいしめしている[15]

弁護士べんごし濵門俊也としやは、憲法けんぽう24じょう規定きていされている「婚姻こんいん」には同性どうせいこんふくまれず、憲法けんぽう同性どうせいこんについてなに言及げんきゅうしていないため、同性どうせいこん法制ほうせい憲法けんぽうじょうきんじられていないと考察こうさつしている[16]。また、憲法けんぽうだい14じょう根拠こんきょ同性どうせいこんみとめるべきだという見解けんかい存在そんざいする[17]セクシュアル・マイノリティ問題もんだい弁護士べんごし行政ぎょうせい書士しょし司法しほう書士しょし税理士ぜいりし社会しゃかい保険ほけん労務ろうむなどで構成こうせいするLGBT支援しえん法律ほうりつネットワークは、2015ねん12月、「『憲法けんぽう24じょう1こう同性どうせいこん否定ひていしていない』というのが憲法けんぽう趣旨しゅし制定せいてい過程かていまえたただしい解釈かいしゃくです。したがって、日本にっぽん同性どうせいこん制度せいどをもうけたとしても、憲法けんぽう24じょう1こう違反いはんすることにはなりません。日本国にっぽんこく憲法けんぽう同性どうせいこん制度せいど禁止きんしするものではないということは、憲法けんぽう学者がくしゃ民法みんぽう学者がくしゃからも有力ゆうりょくとなえられているところです」とする意見いけんしょ公表こうひょうした[18]

2024ねん3がつ14にちに、札幌さっぽろ高等こうとう裁判所さいばんしょは、憲法けんぽう24じょう1こうにおいて保証ほしょうされている婚姻こんいん自由じゆうには「ひとひととのあいだ自由じゆうむすびつきとしての婚姻こんいんをもさだめる趣旨しゅしふくみ、両性りょうせいつまり異性いせいあいだ婚姻こんいんのみならず、同性どうせいあいだ婚姻こんいんについても、異性いせいあいだ場合ばあいおな程度ていど保障ほしょうしている」と解釈かいしゃくし、同性どうせいこん禁止きんしする民法みんぽうおよ戸籍こせきほう規定きてい憲法けんぽう違反いはんすると判断はんだんした[19]

きゅう憲法けんぽう公的こうてき草案そうあん比較ひかく[編集へんしゅう]

大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう[編集へんしゅう]

なし

(参考さんこう)
きゅう民法みんぽうだい750じょう
  1. 家族かぞく婚姻こんいんまた養子ようし縁組えんぐみためスニハ戸主こしゅ同意どういルコトヲよう
  2. 家族かぞく前項ぜんこう規定きてい違反いはんシテ婚姻こんいんまた養子ようし縁組えんぐみためシタルトキハ戸主こしゅハ其婚姻こんいんまた養子ようし縁組えんぐみにちヨリいちねんない離籍りせきためまた復籍ふくせきこばめムコトヲとく
  3. (りゃく)
きゅう民法みんぽうだい772じょう
  1. 婚姻こんいんためスニハ其家ニざい父母ちちはは同意どういルコトヲようただしおとこまんさんじゅうねんおんなまんじゅうねんたちシタルハ此限ニざいラス
  2. 父母ちちはは一方いっぽうレサルトキ、死亡しぼうシタルトキ、いえリタルトキまたハ其意思いし表示ひょうじスルコトのうハサルトキハ一方いっぽう同意どういノミヲ以テあし
  3. 父母ちちははどもレサルトキ、死亡しぼうシタルトキ、いえリタルトキまたハ其意思いし表示ひょうじスルコトのうハサルトキハ未成年みせいねんしゃハ其後見人こうけんにん及ヒ親族しんぞくかい同意どういルコトヲよう
きゅう民法みんぽうだい773じょう
継父母けいふぼまた嫡母ちゃくぼカ子かね婚姻こんいん同意どういセサルトキハ親族しんぞくかい同意どうい婚姻こんいんためスコトヲとく
きゅう民法みんぽうだい809じょう
まんじゅうねんたちセサルしゃ協議きょうぎじょう離婚りこんためスニハだいななひゃくななじゅうじょう及ヒだいななひゃくななじゅうさんじょう規定きていリ其婚姻こんいんづけ同意どういため権利けんりゆうスルしゃ同意どういルコトヲよう

GHQ草案そうあん[編集へんしゅう]

「GHQ草案そうあん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん日本国にっぽんこく憲法けんぽう誕生たんじょう」。

日本語にほんご[編集へんしゅう]

だいじゅうさんじょう
家族かぞく人類じんるい社会しゃかい基底きていニシテ其ノ伝統でんとうぜんカレあくシカレ国民こくみん滲透しんとう婚姻こんいん男女だんじょ両性りょうせい法律ほうりつじょう及社かいじょうそうカラサル平等びょうどううえそん両親りょうしん強要きょうようだいリニ相互そうご同意どういうえ基礎きそツケラレ且男せい支配しはいだいリニ協力きょうりょく維持いじセラルヘシ此等ノ原則げんそくはんスルしょ法律ほうりつ廃止はいしセラレ配偶はいぐう選択せんたく財産ざいさんけん相続そうぞく住所じゅうしょ選定せんてい離婚りこんなみ婚姻こんいん家族かぞくせきスル其ノほか事項じこう個人こじん威厳いげん及両せい本質ほんしつ立脚りっきゃくスル法律ほうりつヲ以テだいフヘシ

英語えいご[編集へんしゅう]

Article XXIII.
The family is the basis of human society and its traditions for good or evil permeate the nation. Marriage shall rest upon the indisputable legal and social equality of both sexes, founded upon mutual consent instead of parental coercion, and maintained through cooperation instead of male domination. Laws contrary to these principles shall be abolished, and replaced by others viewing choice of spouse, property rights,inheritance, choice of domicile, divorce and other matters pertaining to marriage and the family from the standpoint of individual dignity and the essential equality of the sexes.

憲法けんぽう改正かいせい草案そうあん要綱ようこう[編集へんしゅう]

憲法けんぽう改正かいせい草案そうあん要綱ようこう国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん日本国にっぽんこく憲法けんぽう誕生たんじょう」。

だいじゅう
婚姻こんいん両性りょうせい双方そうほう合意ごういもとキテノミ成立せいりつシ且夫婦ふうふ同等どうとう権利けんりゆうスルコトヲ基本きほんトシ相互そうご協力きょうりょく維持いじセラルベキコト
配偶はいぐう選択せんたく財産ざいさんけん相続そうぞく住所じゅうしょ選定せんてい離婚りこんなみ婚姻こんいん家族かぞくせきスル其ノほか事項じこうせき個人こじん権威けんい及両せい本質ほんしつてき平等びょうどう立脚りっきゃくスル法律ほうりつ制定せいていスベキコト

憲法けんぽう改正かいせい草案そうあん[編集へんしゅう]

憲法けんぽう改正かいせい草案そうあん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん日本国にっぽんこく憲法けんぽう誕生たんじょう」。

だいじゅうじょう
婚姻こんいんは、両性りょうせい合意ごういもとづいてのみ成立せいりつし、夫婦ふうふ同等どうとう権利けんりゆうすることを基本きほんとして、相互そうご協力きょうりょくにより、維持いじされなければならない。
配偶はいぐうしゃ選択せんたく財産ざいさんけん相続そうぞく住居じゅうきょ選定せんてい離婚りこんならびに婚姻こんいんおよ家族かぞくかんするその事項じこうかんしては、法律ほうりつは、個人こじん権威けんい両性りょうせい本質ほんしつてき平等びょうどう立脚りっきゃくして、制定せいていされなければならない。

帝国ていこく憲法けんぽう改正かいせいあん[編集へんしゅう]

帝国ていこく憲法けんぽう改正かいせいあん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん日本国にっぽんこく憲法けんぽう誕生たんじょう」。

だいじゅうじょう
婚姻こんいんは、両性りょうせい合意ごういのみにもとづいて成立せいりつし、夫婦ふうふ同等どうとう権利けんりゆうすることを基本きほんとして、相互そうご協力きょうりょくにより、維持いじされなければならない。
配偶はいぐうしゃ選択せんたく財産ざいさんけん相続そうぞく住居じゅうきょ選定せんてい離婚りこんならびに婚姻こんいんおよ家族かぞくかんするその事項じこうかんしては、法律ほうりつは、個人こじん権威けんい両性りょうせい本質ほんしつてき平等びょうどう立脚りっきゃくして、制定せいていされなければならない。

関連かんれん条文じょうぶん[編集へんしゅう]

夫婦ふうふかんする判例はんれい[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ とう裁判所さいばんしょが、本件ほんけん規定きていが、憲法けんぽう24じょうまたは13じょう違反いはんするかについて検討けんとうしたところの要旨ようしつぎのとおりである。
    (1) いわゆる婚姻こんいんをするについての自由じゆうは、憲法けんぽう24じょう1こう規定きてい趣旨しゅしらし、十分じゅうぶん尊重そんちょうあたいするものとすることができる。しかしながら、現行げんこう民法みんぽうへの改正かいせい憲法けんぽう制定せいていされた戦後せんご初期しょきころにおいても、同性愛どうせいあい精神せいしん疾患しっかんであるとされており、同性どうせいこんゆるされないものとほぐされていた。このような経過けいかくわえ、憲法けんぽう24じょうが「両性りょうせい」など男女だんじょ想起そうきさせる文言もんごんもちいていることにもらせば、どうじょう異性いせいこんについてさだめたものであり、同性どうせいこんについてさだめるものではないとするのが相当そうとうである。
    (2) また、婚姻こんいんおよ家族かぞくかんする事項じこう個別こべつ規定きていである憲法けんぽう24じょう2こうは、具体ぐたいてき制度せいど構築こうちくだいいちてきには国会こっかい合理ごうりてき立法りっぽう裁量さいりょうゆだねたとほぐされる。その趣旨しゅしまえて解釈かいしゃくするのであれば、包括ほうかつてき人権じんけん規定きていであるどうほう13じょうによって、同性どうせいこんふく同性どうせいあいだ婚姻こんいんおよ家族かぞくかんする特定とくてい制度せいどもとめる権利けんり保障ほしょうされているとするのは困難こんなんである。実質じっしつてきにも、同性どうせいこんという具体ぐたいてき制度せいど内容ないようを、憲法けんぽう13じょう解釈かいしゃくのみによって直接ちょくせつみちびすことは困難こんなんである。
    (3) したがって、本件ほんけん規定きていが、憲法けんぽう24じょうおよび13じょう違反いはんするとみとめることはできない。[6]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 民法みんぽう改正かいせいかんがえるかい『よくわかる民法みんぽう改正かいせい選択せんたくてき夫婦ふうふ別姓べっせいこん外子そとこ差別さべつ撤廃てっぱいもとめて』朝陽あさひかい、2010ねん
  2. ^ 平成へいせい27ねん12月16にち だい法廷ほうてい判決はんけつ平成へいせい26ねん(オ)だい1023ごう
  3. ^ 戦後せんご日本にっぽん女性じょせい政策せいさく: 戦後せんご民主みんしゅ政策せいさくから男女だんじょ共同きょうどう参画さんかく社会しゃかい基本きほんほうまで』p87、神崎かんざき智子さとこ、2009ねん
  4. ^ [1]ワイマール憲法けんぽう日本語にほんごやく
  5. ^ 同性どうせいこんもとめ13くみ一斉いっせい提訴ていそ 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん共同通信社きょうどうつうしんしゃ - 2019ねん2がつ14にち
  6. ^ 判決はんけつ要旨ようし全文ぜんぶん】「同性どうせいこんできないのは憲法けんぽう違反いはん札幌さっぽろ地裁ちさい日本にっぽんはつ判断はんだん”. ハフポスト (2021ねん3がつ17にち). 2021ねん3がつ17にち閲覧えつらん
  7. ^ 同性どうせいこん国民こくみん権利けんり憲法けんぽう学者がくしゃ木村きむらくさふとしさんは指摘してきする。「本当ほんとうこまっていることを、きちんとえばいい」(2017ねん5がつ3にちハフィントン・ポスト
  8. ^ 君塚きみづか正臣まさおみ「Baehr v. Miike」アメリカほう 1998ねん (1), 94-98, 1998-07-00 日米にちべいほう学会がっかい
  9. ^ 同性どうせいこん憲法けんぽう改正かいせい
  10. ^ 同性どうせいこん問題もんだい日本にっぽん安全あんぜん保障ほしょうにとってとても重要じゅうようなワケ(2015ねん6がつ28にち、The New Standart)
  11. ^ 青森あおもり女性じょせいカップルが婚姻こんいんとどけ憲法けんぽう根拠こんきょ受理じゅりweb東奥ひがしおく
  12. ^ 植野うえのたえ実子じっしだいじゅうよんじょう家族かぞく権利けんり保護ほご」『法学ほうがくセミナー』545ごう
  13. ^ 日本にっぽん家族かぞくかんもとづくほう判断はんだんを 麗澤大学れいたくだいがく教授きょうじゅ八木やぎ秀次しゅうじ
  14. ^ 渋谷しぶや同性どうせいパートナー条例じょうれい成立せいりつにある懸念けねんてん
  15. ^ 辻村つじむらみよ『ジェンダーと人権じんけん』(日本にっぽん評論ひょうろんしゃ,2008)250ぺーじ
  16. ^ 日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい24じょう同性どうせいこん
  17. ^ 『LGBT 同性どうせいこん憲法けんぽう24じょう ほうした平等びょうどう
  18. ^ 同性どうせいこん憲法けんぽう24じょう解釈かいしゃくかんする報道ほうどうについて【要請ようせい】 LGBT支援しえん法律ほうりつネットワーク有志ゆうし
  19. ^ 同性どうせいこんみとめない規定きていは「違憲いけん札幌さっぽろ高裁こうさい判決はんけつ はじめての高裁こうさい判断はんだん朝日新聞あさひしんぶんデジタル”. 朝日新聞あさひしんぶんデジタル (2024ねん3がつ14にち). 2024ねん3がつ17にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 1992ねん3がつ 米沢よねざわ広一ひろかずども・家族かぞく憲法けんぽう <大阪市立大学おおさかいちりつだいがく法学ほうがく叢書そうしょ42>』有斐閣ゆうひかくISBN 4641031568
  • 1993ねん5がつ やすねんじゅん憲法けんぽう問題もんだいとしての家族かぞく」ジュリストNo.1022、46ぺーじ
  • 1994ねん1がつ 高井たかい裕之ひろゆき家族かぞくをめぐる憲法けんぽう理論りろん分析ぶんせき-公序こうじょ再編さいへんろん立場たちばから-」京都産業大学きょうとさんぎょうだいがく論集ろんしゅう24かん4ごう社会しゃかい科学かがく系列けいれつ11ごう)、90ぺーじ
  • 1996ねん3がつ 二宮にのみや周平しゅうへい憲法けんぽうよんじょう女性じょせい策定さくていした」
    • 1996ねん3がつ 二宮にのみや周平しゅうへいわる「家族かぞくほう」』かもがわ出版しゅっぱんISBN 4876992304 所収しょしゅう
  • 1997ねん12がつ 辻村つじむらみよ日本国にっぽんこく憲法けんぽうよんじょうと『現代げんだい家族かぞく』」
    • 1997ねん12がつ 辻村つじむらみよ女性じょせい人権じんけん 歴史れきし理論りろんからまなぶ』日本にっぽん評論ひょうろんしゃISBN 4535511144 所収しょしゅう
  • 2005ねん3がつ ちゅう里見さとみひろし憲法けんぽう24じょう+9じょう なぜ男女だんじょ平等びょうどうがねらわれるのか』(かもがわブックレット)、かもがわ出版しゅっぱんISBN 4876998655
  • 2005ねん5がつ 植野うえのたえ実子じっし憲法けんぽうよんじょういま家族かぞくのありかたかんがえる』明石書店あかししょてんISBN 4750321095
  • 2005ねん5がつ 福島ふくしまみずほへん『みんなの憲法けんぽうよんじょう明石書店あかししょてんISBN 4750321109
  • 2005ねん6がつ 憲法けんぽう24じょうかすかいへん個人こじん家族かぞく国家こっかにねらわれるとき』(岩波いわなみブックレット)、岩波書店いわなみしょてんISBN 4000093533