馬場目川ばばめかわ

馬場目川ばばめかわ
馬場目川ばばめかわ 後方こうほうに森山もりやまを望のぞむ
水系すいけい	二に級きゅう水系すいけい 馬場目川ばばめかわ水系すいけい
種別しゅべつ	二に級きゅう河川かせん
延長えんちょう	47.5 km
平均へいきん流量りゅうりょう	-- m³/s
流域りゅういき面積めんせき	910.5 km²
水源すいげん	馬場目岳ばばめだけ
河口かこう・合流ごうりゅう先さき	日本海にほんかい
流域りゅういき	日本にっぽん 秋田あきた県けん

馬場目川ばばめかわ（ばばめがわ）は、秋田あきた県けん南秋田みなみあきた郡ぐん五城目ごじょうめ町まち・八郎潟はちろうがた町まち・井川いかわ町まち・大潟おおがた村むら・潟上かたがみ市し・男鹿おが市しを流ながれる二に級きゅう河川かせんである。「ばばのめがわ」とも呼よばれる。

地理ちり

秋田あきた県けん最大さいだいの二に級きゅう河川かせんである。五城目ごじょうめ町まちの南東なんとう、秋田あきた市しとの境さかいに聳そびえる馬場目岳ばばめだけに源みなもとを発はっし、落合おちあいで大倉又沢おおくらまたさわに合流ごうりゅうして北きた流りゅうする。杉沢すぎさわ付近ふきんで曲きょく流りゅう・蛇行だこうしながら西にし流りゅうする。荷に背せノ峠とうげ付近ふきんで南北なんぼくに走はしる断層だんそうを横切よこぎるため、狭せま溢部ができる。五城目ごじょうめ町まちの市街地しがいちの外はずれで富津内川ふつないがわと合流ごうりゅうし、馬場目川ばばめかわ三角さんかく洲しゅうを形成けいせいし八郎潟はちろうがた調整ちょうせい池ちに入はいる。八郎潟はちろうがたで三種川みたねがわ、井川いかわ、馬うま踏川などを合あわせ、南西なんせい部ぶの船越ふなこし水道すいどうを経へて日本海にほんかいに注そそぐ。八郎潟はちろうがたを擁ようすることが水系すいけいの大おおきな特徴とくちょうである。

下流かりゅうでは大川おおかわとも呼よばれ、古名こみょうも大河たいがと称しょうし、流域りゅういきの地名ちめいも大河たいがと呼よばれた。川名かわなの「ばば」は崖がけを、「め」は狭せまい部分ぶぶんを意味いみする。上流じょうりゅうに滝たきや渓谷けいこくがあり、杉沢すぎさわには発電はつでん所しょがある。

近世きんせいに入はいってから秋田あきた藩はんの新田にった開発かいはつ政策せいさくにより、藩士はんしの戸村とむら義国よしくに（十太夫じゅうだゆう）が、1605年ねん〜1607年ねん（慶長けいちょう10年ねん-12年ねん）までに水源すいげんを馬場目川ばばめかわの中流ちゅうりゅうにもとめて旧きゅう河かわ沿ぞいに開削かいさくし、用水路ようすいろ（戸村とむら堰せき）をつくった。この用水路ようすいろによって1648年ねん（慶安けいあん元年がんねん）までに開田かいだがおこなわれた。また、1617年ねん（元和がんわ3年ねん）には真崎まさき長ちょう右みぎ衛門えもんが、馬場目川ばばめかわ中流ちゅうりゅうに水源すいげんを求もとめて、馬場目川ばばめかわの左岸さがん地帯ちたいを西方せいほうに向むかって用水路ようすいろ（真崎まさき堰せき）を開削かいさく、翌年よくねん完成かんせいし、1622年ねん（元和がんわ8年ねん）に開田かいだを完了かんりょうした。戸村とむら堰せきの受益じゅえき田地でんちは500ha、真崎まさき堰せきの受益じゅえき田地でんちは1000haにも及およんでいる。川かわの上流じょうりゅう地ちは見事みごとな森林地帯しんりんちたいで、馬場目川ばばめかわは運うん材ざいの重要じゅうよう河川かせんであった。また、流域りゅういきでは孔雀石くじゃくせきを産むする。

古代こだいの馬場目川ばばめかわは北方ほっぽうを流ながれていた。八郎潟はちろうがた町まち夜叉袋やしゃふくろ集落しゅうらくの北端ほくたんには蝦夷えぞ湊みなとという地名ちめいがある。その昔むかし、この地ちに馬場目川ばばめかわが流ながれていたと言いわれている。平安へいあん中期ちゅうきの歌人かじんであり学者がくしゃである源順みなもとのしたごうが承うけたまわ久ひさし年間ねんかん（931年ねん-938年ねん）に編纂へんさんした『和名わみょう類聚るいじゅう抄しょう』という辞書じしょがある。この辞書じしょは、当時とうじのあらゆる事ことや物ものの名前なまえと読よみ、意味いみがおさめられていて、見方みかたによっては百科ひゃっか事典じてんとも言いえる。この本ほんには10世紀せいき半なかばの国名こくめい・郡ぐん名めい・郷さと名めいの全すべてがおさめられていて、出羽でわの国くにの最もっとも北きたが率りつ浦郷うらごう（ひきうらごう）であった。率りつ浦うらは「率土そっとの果はて」という意味いみで、ここが律令りつりょう国家こっかの北きたの果はてであった。五城目ごじょうめ町まちの森山もりやま、高岳山たかおかさん、三倉みくら鼻はなが国くにの境さかいで、これより北きたには国くに・郡ぐん・郷さとは無なかった。この地ちより先さきは蝦夷えぞと呼よばれた人ひとたちの土地とちとなっていた。このころの馬場目川ばばめかわは蝦夷えぞの地ちとの境さかいともなっていた。

文治ぶんじ5年ねん（1189年ねん）に鎌倉かまくら政権せいけんに対たいして反乱はんらんを起おこした大河おおかわ兼任けんにんはこの馬場目川ばばめかわ（大河たいが）周辺しゅうへんが本拠地ほんきょちである。

災害さいがい

• 2023年ねん（令れい和わ5年ねん）7月がつ15日にち - 豪雨ごううにより馬場目川ばばめかわが氾濫はんらん。

流域りゅういきの自治体じちたい

秋田あきた県けん

南秋田みなみあきた郡ぐん五城目ごじょうめ町まち、八郎潟はちろうがた町まち、井川いかわ町まち

潟上かたがみ市し、男鹿おが市し

参考さんこう資料しりょう

• 「角川かどかわ日本にっぽん地名ちめい大だい辞典じてん」編纂へんさん委員いいん会かい 『角川かどかわ日本にっぽん地名ちめい大だい辞典じてん 5 秋田あきた県けん』 角川書店かどかわしょてん、1980年ねん3月がつ8日にち。ISBN 4-04-001050-7。