麛坂皇子おうじ

関係かんけい略りゃく系図けいず（表記ひょうき・記載きさいは『日本書紀にほんしょき』による）

神功じんぐう皇后こうごう

14 仲哀ちゅうせつ天皇てんのう

大だい中姫なかひめ命いのち （彦人大兄たいけい命いのち女おんな）

15 応神天皇おうじんてんのう

麛坂皇子おうじ

忍にん熊ぐま皇子おうじ

麛坂皇子おうじ（かごさかのみこ/かごさかのおうじ、生年せいねん不ふ詳しょう - 神功じんぐう皇后こうごう元年がんねん2月がつ）は、記紀ききに伝つたわる古代こだい日本にっぽんの皇族こうぞく。

『日本書紀にほんしょき』では「麛坂皇子おうじ」や「麛坂王おう」、『古事記こじき』では「香坂こうさか王おう」と表記ひょうきされる。

第だい14代だい仲哀ちゅうせつ天皇てんのう皇子おうじで、応神天皇おうじんてんのうとの間あいだでの対立たいりつ伝承でんしょうで知しられる。

系譜けいふ

『日本書紀にほんしょき』（『古事記こじき』）によれば、第だい14代だい仲哀ちゅうせつ天皇てんのうと、彦人大兄たいけい命いのち（大江おおえ王おう）の娘むすめの大だい中姫なかひめ（おおなかつひめ、大中おおなか比ひ売うり命いのち）との間あいだに生うまれた皇子おうじである。同母どうぼ弟おとうとに忍にん熊ぐま皇子おうじ（忍にん熊ぐま王おう）がいる。第だい15代だい応神天皇おうじんてんのうの異母いぼ兄けいである。

記録きろく

『日本書紀にほんしょき』『古事記こじき』によれば、新しん羅ら征討せいとう中ちゅうに仲哀ちゅうせつ天皇てんのうが崩御ほうぎょし、神功じんぐう皇后こうごうは誉田ほんだ別べつ尊みこと（後ごの応神天皇おうじんてんのう）を産うんだ。それを聞きいた麛坂皇子おうじと忍にん熊ぐま皇子おうじは、次つぎの皇位こういが幼おさない皇子おうじに決きまることを恐おそれ、共謀きょうぼうして筑紫つくしから凱旋がいせんする皇后こうごう軍ぐんを迎撃げいげきしようとした。

皇子おうじらは仲哀ちゅうせつ天皇てんのうの御陵ごりょう造営ぞうえいのためと偽いつわって播磨はりま赤石あかし（現在げんざいの兵庫ひょうご県けん明石あかし市し）に陣地じんちを構築こうちくし、倉見くらみ別べつ（犬上いぬかみ君きみの祖そ）と五ご十じゅう狭せま茅かや宿禰すくね（いさちのすくね、伊佐いさ比ひ宿禰すくねとも）を将軍しょうぐんとして東国とうごく兵へいを起おこさせた。ところが菟うさぎ餓かつえ野の（大阪おおさか市し北きた区く兎我野とがの）で反乱はんらんの成否せいひを占うらなう祈いのり狩かり（うけいがり）を行おこなった際さい、皇子おうじは猪いのししに襲おそわれて食ぐい殺ころされたという。

考証こうしょう

「忍にん熊ぐま皇子おうじ#考証こうしょう」も参照さんしょう

『日本書紀にほんしょき』『古事記こじき』に記しるされる麛坂皇子おうじの反乱はんらん説話せつわは、神功しんこう皇后こうごうの非ひ実在じつざい性せいと同様どうように史実しじつではないと見みる説せつがある。王朝おうちょう交替こうたい説せつでは、神かみ功いさお・応神おうしん説話せつわは古こ王朝おうちょう（崇たかし神かみ天皇てんのう朝あさ）と中ちゅう王朝おうちょう（仁徳天皇にんとくてんのう朝あさ）をつなぐもので、麛坂皇子おうじの説話せつわもその挿話そうわの1つとする説せつがあるが、王朝おうちょう交替こうたい説せつ自体じたい明あきらかでなく定さだかとはされていない。

参考さんこう文献ぶんけん

• 亀田かめだ隆之たかゆき「麛坂王おう」『国史こくし大だい辞典じてん 第だい2巻かん』吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1983年ねん。ISBN 464200503X。 
• 「麛坂皇子おうじ」『日本にっぽん古代こだい氏族しぞく人名じんめい辞典じてん 普及ふきゅう版ばん』吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2010年ねん。ISBN 978-4642014588。 

関連かんれん項目こうもく

• 忍にん熊ぐま皇子おうじ